フォーリング!   作:春夏 秋

7 / 8
蝉の声が少なくなってきましたね。家の網戸に張り付いて鳴いていたあいつらが名残惜しい...。
プロローグはまだ終わっていませんよ!


第7話

ドゴォ!

 

「「あ・・・」」

 

完勝を手にした2人だったが、2人は喜ばずに音が鳴る方へ重々しく首を向ける。

目に飛び込んできたのは、屋上が綺麗さっぱり吹き飛んだ街2番目に高いビルだった。

 

 

「あぶねぇ!?」

 

俺は瞬時にビルから飛び降り若葉からの一閃から放たれた真空波を頭上でやり過ごした。

あぶなかった・・・。ある程度距離があったからなんとか常人状態でもよけることができた。

この真空波は2人が力の加減を制御できて無い証拠だ。よりによってこっちに飛ばしてきやがった。

俺はビルから落下しながら街の風景を見て深いため息をついた。酷い有様だ。道路には約10mほどのクレーターが誕生し、ビルの窓ガラスは穴だらけで通気性抜群状態。おまけに若葉の斬撃の一直線上は真空波により綺麗に切断されてるときた。

あいつら天使より破壊行動行ってるじゃねぇか。

唯一今の状況で褒めるところと言ったら、若葉の一撃が縦切りではなく切り上げる形で斬撃を空に向かって切り込んだことぐらいだろうか。おかげで俺が危険にさらされるハメになったが。

後は家に帰ってからじっくりと3人で話し合おう。そろそろあの黒髪の子が到着するくらいだろうし。

 

「ん?まてよ?今の斬撃の向きって・・・。」

 

嫌な予感がする。直感に従いすぐさま黒髪少女を探す。

見つけた。女の子はいまだに天使が出現した場所めがけて走っている。やはりそうだ。あの位置だとちょうど・・・。

 

「そこの走ってるあんた!上を見ろ!」

 

叫ぶと同時、少女の隣に建てられている大型デパートの一角が崩れ落ち少女に降り注いだ。

 

「え?―――ヒッ!?」

 

よし!なんとか気づいた。少女はその場に立ちすくみ頭を抱え込む。

俺は瞬時に指輪をハメ少女の救出に向かう。頭を抱えている今なら見られることはない。

地面に着地すると同時にアスファルトを抉れない程度に地を蹴り少女に接近する。この速度のまま少女を拾うことも可能だが、常人の身体を考えると車に轢かれる以上の衝撃が体を貫くことになる。

先に瓦礫の処理を優先する。小さい瓦礫は後回しにし大きい瓦礫に跳躍して蹴りの体勢に入る。力任せに蹴って砕いてはしまっては意味がない。

力の加減に注意し、瓦礫を砕かないように脚に乗せる感覚で蹴り飛ばす。これで少しは時間が出来た。その隙に少女を抱えてその場を飛び退く。この間わずか4秒弱。

なんとか怪我をさせることなく少女を救出することに成功した。抱えられている少女は突然の浮遊感を感じさらに瞼をきつく閉じている。顔もバレていないようだ。

内心ホッとし、ここらの道路は危ないので安全な場所まで少女を運ぶ。

 

「もう大丈夫だ。」

 

そう言って少女を降ろす。声にビクリと反応し、緊張した顔で少女はゆっくりと瞼を開いて―――。

あ、これアカンやつや。

 

「あ、ありがと・・・って、なんで逃げるんですかぁ!?」

 

あぶねぇ!危うく顔をバッチリ見られるところだった。

少女が瞼を完全に開ききる前に俺は少女に背を向けて脱兎の如く走り去る。

くそ、見られてる今じゃ常人状態でしか走れねぇ。

 

「待ってください!お礼くらい、せめてしっかり顔を見せてください!」

 

ヤベェ追ってきた!だが相手は女の子だ。これならなんとかなる。運良く顔も少し見られた程度で済んだ。

次の角を曲がったら指輪をハメて逃げよう。

全力疾走しながら右手に握りしめている指輪を通して2人に撤退命令をだす。

 

「おいお前ら!撤退d―――。」

『『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・』』

 

・・・・・・・。

 

「こっちの状況指輪で聞こえてんだろ?!怒ってないから今すぐ撤退s―――。」

『うそだぁ!今さっきこっちにめっちゃでかい瓦礫飛んできたんだよ?!目の前通過してったんだけど!!』

『・・・わざとじゃないんですごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!』

 

・・・イラッ☆

 

「いいから撤退しろ!3秒数えるぞ!撤退しなかったらわかってるだろうな!」

『『開花《ブルーム》!!!』』

「撤退だけでそれ使うんじゃねぇ!」

『『3秒で家に着いてみせます!!』』

 

その言葉を最後に指輪からは応答がなくなった。なんとか帰ってくれたようだ。まったく手間かけさせやがって。

こちらもそろそろ帰るとしよう。

 

「待ってください!命の恩人の名前くらい教えてください!」

「田中貴子です!」

「教える気ゼロですか!?」

 

しつけぇ!なぜだ、田中か?田中がダメだったのか?

だがあとちょいで曲がり角だ。これで帰れる!曲がり角を直角に曲がり指輪をハメ全力で跳び街から出る。なんとか間に合ったようだ。

 

「ハァ・・・ハァ・・・。ま、まって・・・あれ?いな・・・い?」

 

少し遅れて角を曲がってきた少女は俺の姿が見えないことに疑問を抱き、息を荒げて地に膝をついた。

やっと諦めてくれたことに胸をなでおろし、俺は家に向かって帰っていった。

 

 

それから15分後。人に目撃されるとまずいので途中から常人状態の徒歩で帰宅し、やっと家に着いた。

今日はいろいろと疲れた。飯食って早く寝たい。家の前で大きなため息をはき、ガチャリとドアノブを捻り中へ上がる。

そこには―――

 

「ただいま・・・あ?」

 

涙目でお通やムードを醸し出す2人が、正座をして俺の帰りを待っていた。

 

「・・・。」

 

俺はもう一度大きなため息をはいて、2人の頭を撫でてやった。




今回は前回のオチから始まってしまいました。前回の最後につけとけよとか言わないでください。
今のところ名前が出てるのは廻希・葉月・若葉・雫(神様)・華憐の5人ですね。プロローグ前なのに5人は多いに含まれるのでしょうか...?
学校での展開は読者の皆さんはもう予想がついてるんじゃないでしょうかねぇ。ではまた次回でお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。