短いですがどうぞ。
4月第2週月曜日。
俺は椅子に座って少々頭の上が寂しくなりかかっている男性の話を聞いていた。
『ようこそ。我が金良同高校に入学してくださいました。私が校長の――。』
天使を倒してから2日が経ち、こうして無事に高校に入学することが出来た。
金良同高校。
学力・部活動共に平々凡々の成績を残し続けおり、地域からも安定していると評判になっている学校。
将来がまったく決まっていない者が集まりやすいと言う噂も聞く。
「うげっ...女子多い...。」
どういう理由かここ近年は女性の入学率が多く、女子がこの学校の顔になっているらしい。
現にこの場を見渡しても一目で女子の方が多いのがわかる。
どうか女子の尻に敷かれるようなことが起こりませんようにと願うばかりだ。
『最後に入学生の皆さん。周りを見渡してください。この人たちが共に学校生活を送るものです。』
校長先生に促されて話を聞いていた生徒が遠慮がちにキョロキョロしだす。
できればこういうことはしてほしくないんだけどなぁ。
そこでふと、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「・・・あれはたしか。」
『では私からの話は以上です。共に競い合い、高め合う学校生活を送ってください。』
☆
早く家に帰りたい。できれば平和に。
各クラスのHRも終わり早歩きで校門を目指す。
「ただでさえちょっと女子が嫌いだっていうのにあんなの見たら帰りたくなるっての。」
だがその願いは後ろから聞こえてくる呼び声によって叶えられることは無かった。
「田中貴子さーん!」
・・・・・・。
「たーなかーたーかこさーん!!」
・・・聞こえてない聞こえない。
まだだ、まだ歩みを速めちゃダメだ・・・!
そう、勝負はあの校門を左に曲がって俺の姿が彼女から見えなくなるようになってからだ・・・!
「貴子さーーん!!」
やめろ!その名で呼ぶな!
よりによって下の名の方を呼ぶな!
おかしい。彼女は俺の顔をちゃんと見ていないはずなのに!
なんであんなに自信満々で追いかけてくるんだ!?
早く家に帰りたい原因であるあの少女は後ろで声をあげながらほかの生徒の視線を集めながらこちらに一直線に走ってきていた。
「・・・泣きてぇ。」
俺は校門をまたいだ瞬間全力で彼女の前から姿を消した。
☆
ピーンポーン。
「は〜い今開けま〜す。あ、おかえり廻にぎゃあぁぁぁぁ!?えっ?!なにこれどゆこと!?てか痛い痛いっ!!」
「どうした葉月!なにがあっ...なんだこれは...?」
「いやだぁ!もう学校なんかに行きたくないぃ!!」
駆けつけてやってくるも葉月の腰にしがみつき泣きじゃくっている俺を見て呆然とする若葉。
「あ〜、また好きになれない女子でもいたのか?」
「あ〜、それだね。ほら起きて奥で話そう?ちゃんと聞いてあげるよ。」
2人の言葉に頷きながらリビングのイスに座り2人と対面して座る。
「で、どんな子だったの?」
「初日でここまでなるくらいやばい奴だなんて想像出来ないな・・・。」
2人は難しい顔をして頬杖をついた。
実はこんなやり取りはもう見慣れた光景。
俺が女子が苦手なことを知る2人はいつもこうやって俺の愚痴を聞いてくれるのだ。
「・・・実は。」
「「実は?」」
「・・・実は2日前に助けた女の子が同じ学校でした。」
「「あっ・・・。」」
2人は言葉を詰まらせイスから降り、床に正座した。