『あなたは未来に行くの。』
そう言われて行った未来で、ロボット…バリアンサーにいきなり乗って、戦闘に巻き込まれ…そのまま軍属になって…。
やっとのことで元の時代に戻れると思ったら。
「どこだ…ここ。」
なんだがデジャヴな感じがした。
こんなところ見たことない。深い森の中。どこかファンタジーの世界を思わせるような。
「雛!?」
そして一緒に特異点に入って元の時代に帰ったはずの少女はそこにはいなかった。彼女は無事に元の時代に帰れたのだろうか。
「ったく…なんなんだよ…。」
深い森の奥、街の灯りらしきものは見えない。不思議なのは目を凝らすと景色がくっきりと見え出すことだった。
「俺、こんなに目良かったっけ?」
首をかしげながら森の中を当てもなく漂う。特に変わった様子はなさそうだ。木の葉がザクザクと音を立てることから人の手があまり入っていない森なのだと感じる。
ふと、目に入ったのは中に浮かぶ赤い矢印のような形をした物だった。透けており、周りに文字が浮かんでいるようにも見えた。
「なんだあれ。」
他に頼りもないので近寄ると、目を疑うような生物がそこにはいた。今まで見たことのない、二足歩行の狼だった。世紀の大発見かと頭をよぎったのも束の間。それは、目があったかと思うとこちらに向かって勢いよく飛びかかってきた。
「グルルルルゥ」
「うわっ! な、なんだよ!」
一直線に向かってくるそれにどうして良いか分からず、取り敢えず馬跳びの要領で飛び越えた。しかし、その生物、モンスターは反転しまたも向かってくる。
「なんなんだよ!」
変なところに飛ばされていきなりの戦闘…これが戦闘と呼べるのならば。正に分けの分からないまま未来に行った時と同じように思えた。
「なんか闘いを呼び寄せるように出来てんのかねぇ。」
向かってくるモンスターをもう一度すんでのところでかわす。しかし、避けていてはその状況は変わらない。むしろ体力や集中力を考えればやられてしまうことは見えていた。
ザシュッ
すると目の前に真っ暗な闇が広がった。と言うよりも真っ黒な布が視界を覆った。
ヒラヒラと広がるそれに意識を奪われる。気が付けば自分を襲っていたモンスターはその場から消えていた。代わりにそこにはキラキラとした破片が待っていた。
「大丈夫か?」
真っ黒な布の正体は突如そこに現れた一人の少年の衣服であった。
「あ、あぁ。」
黒ずくめの衣装に、背丈ほどもある大刀を携える少年。今度はどんな時代に迷い込んでしまったと言うのだろう。
嫌な予感しかしない。目の前の少年は俺の疑問に答えてくれるのだろうか。少なくとも、未来の親友みたいなやつじゃないことを祈った。