第1話 学園強制転入
4月某日。
とあるビルの一室でその戦いは行われていた。
赤いフォトンストリームのファイズ、巧と
オレンジの甲冑を纏う鎧武、紘汰だ。
巧はファイズフォンのENTERを押す。
対し、紘汰はカッティングブレードを1回倒す。
《Exceed Charge》
《ソイヤッ! オレンジスカッシュ!》
ファイズエッジ、大橙丸にエネルギーが重点される。
ふたりは腰を低くし、それぞれの得物を構える。
そして同時に駆け出す。
「でやぁぁぁ!」
「セイハーッ!」
それぞれの武器が交差し、大爆発を起こす。
爆煙の中からふたつの影が現れる。
「いやー、この短期間でめっちゃ強くなったな、巧!」
「そうでもねえよ」
「そう謙遜するものでもないよ、巧くん。この2ヶ月間での成長は目を見張るものだよ」
部屋を出た巧と紘汰の前に両手で軽く拍手をしながら凌馬が歩いてくる。
そしてその後ろからついてきた耀子は巧を視界に入れると、目を見開く。
「巧!?な、なんであなたがここに!?」
「なんでって言われても・・・」
と、凌馬は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「そうそう言い忘れていたよ、巧くん。一昨日はIS学園の入学式の日だったね♪」
「はあぁぁぁ!?」
またも爆弾発言をかます凌馬。
そこに突如として現れる束。
「ほらほら、たっくん!行くよ!」
「いや、勇次と直哉はどうすんだよ!」
「デルタギアの最終調整に時間が掛かっていて、しばらく直哉くんは行けない」
「ゆっくんのカイザギアはこないだの戦闘で壊れた所を改修中だからゆっくんもまだ無理だよ!」
「だから巧・・・さんだけ先にIS学園に行ってください」
「そういうことかよ」
「だから急いで急いで!」
「誰のせいだと思ってやがるっ!!」
キレながらも束の言うことに従う巧。
そしてビルの横には人参型のロケットが浮いていた。
それに跳び乗ると巧は後ろに振り返る。
「紘汰、凌馬、ありがとな」
「気にすんな、友達だろ!頑張って来いよ!」
「私は自分のやりたいことをやっただけさ。
感謝なら束くんや紘汰くんたちに言いたまえ。いいデータを期待しているよ」
「・・・おう、サンキュな」
「それじゃ、しゅっぱーつ!」
そしてロケットは発射された。
~★~
「じゃあ、たっくん♪いってらっしゃーい♪」
「もっとまともな降ろし方をしやがれぇぇっ!!」
IS学園の上空に到着した途端に、束に突き落とされた巧。
自由落下している彼の元に、一体のロボットが飛んで来る。
そして、巧を背部のスクランブルローターに乗せる。
「ふぅ。助かった。サンキュな、バジン」
「・・・」
ヘッドライトを点滅させ、返事をするロボット。
束と凌馬が巧のために作り上げた可変型バリアブルビークル「オートバジン」である。
背中に巧を乗せたまま地面へと降り立つと、学園内からひとりの女性が歩いてくる。
「まったく、何をやっているんだお前は」
「文句は俺じゃなくて束に言ってくれ、千冬さん・・・」
歩いてきたのは世界最強の女性、織斑千冬。
こめかみを押さえながら巧を睨んでいる。
「はぁ、まあいい。あいつに振り回されるのが疲れることはよく知っているからな」
「まったくだぜ・・・」
「だが遅れたのは事実だ。そこでお前には代表候補生と模擬戦を行ってもらう」
「わーったよ。束のヤロウ、今度あったら絶対アイアンクローしてやる」
「ふむ、そのときはぜひ私にもさせてくれ」
なんてたわいのない話をしていたのだが、急に千冬は巧に少し頭を下げる。
「な、なんだよ・・・」
「この学園を、頼む」
「っ!ああ、任せろ」
「ふっ、頼もしいな。では行くぞ」
軽く笑った千冬に付いていく巧。
と、そこで思い出したかのように手を叩き千冬の肩をたたく。
「なぁ、千冬さん。バイク置けるとこあるか?」
「寮の隣にスペースがあるからそこを使え」
「分かった。バジン!」
巧の声に反応し、バジンはビークルモードになり、寮の方向に走っていった。
「さて、行くぞ」
「ああ」
~★~
「さて、私が呼ぶまでここで待っていろ」
「おう」
教室まで連れて来られた巧は廊下で待機するように言われた。
(自己紹介あるじゃねーか・・・何話すかな・・・)
そんなことを考えていると
「さて諸君。先日報道された2人目の男子が今日遅れてきた。__入れ!」
「あいよ」
千冬に呼ばれた巧は教室へ入る。
ちなみにだが、ロケット内で着替えさせられたのできちんと制服を(着崩してはいるが)着ている。
教壇に立ちクラスメイトの方へ向く。
一夏と箒はどこか懐かしい目で巧を見ている。
「狼上巧だ。諸事情・・・まぁ束の性で入学が少し遅れた。
ここには男子が俺と織斑しかいないから珍しいかもしれないが、まぁ仲良くしてくれ」
自己紹介を終えると黙り込むクラスメイトたち。
困惑顔の巧だが、一夏と箒が耳を塞いでいる。
そして___
「「「「「きゃああ~~~~~~!!!」」」」」
大歓声という名のソニックブームに耳をやられる巧。
「イケメン2人目!」
「切れ長の目がまたかっこいい!」
「クールでいけてる!」
好き放題に感想を言われている巧だが、先ほどから耳がキーンとしており何も聞こえていなかった。
「静かにせんか!」
千冬の一喝で静まり返る教室内。
「よし狼上、座れ。それから織斑、オルコット。
代表決定の模擬戦を狼上もやることになった。覚えておけ。さて、SHRは終了だ。解散!」
すると、一夏と箒は巧のもとへ近づく。
「巧!」
「・・・ああ、織斑と篠ノ之か」
「ああ、久しぶりだな」
「おう!巧もIS動かしたんだな」
「正確には束に強制的に付けられたのがISだったんだけどな」
「・・・いつもすまない」
「おまえのせいじゃないんだから気にすんな」
再会の喜びを分かち合う3人。
彼らの学園生活は始まったばかり・・・