遊☆戯☆王ARC-V くず鉄決闘者のそれとない決闘記録   作:紅ハッサム

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第二話 ペンデュラムとくず鉄の今後

あのデュエルから日が開けて2日後の昼下がりの午後、僕らはまたデュエルを、しかもなんの因果か、アクションデュエルなる物をしていたりする。

 

「俺はカードを2枚セット。更にスクラップ・ビーストを召喚してターンエンドだ」

 

くず鉄

手札2枚

モンスター1体

魔法・罠2枚

LP4000

 

「よっし、いくぞオレのターンドロー!オレは手札から「君のドローフェイズ終了時」え?」

 

「永続罠カード、魔封じの芳香を発動!」

 

持ち上がったカードから醜悪な顔の形をした置物が排出された。強欲な壺といい貪欲な壺といい、そしてこれといい、なんでこう、置物系は嫌な感じなのが多いのかねと思わずにはいられないね。効果は優秀だけど。

 

「このカードがある限り、互いのプレイヤーは魔法カードをセットしてからでないと発動できず、更にセットしたターンは発動できない。取り敢えずこれで、いきなり羽箒されるのは避けられるかな」

 

「うっ、アクションカードをその場で発動できないのか…ならモンスター効果ですぐに壊してやる!オレはスケール1の星読みの魔術師と、スケール8の時読みの魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

最早最近のお決まりとも言える様な組み合わせを遊矢君はセットする。

 

それを見た俺は、アクション魔法か罠かを探すべくスクラップ・ビーストの背中に跨る、がーー

 

『error』

 

「えっ、なんで!?スケールは間違ってないはずなのに」

 

一向に柱が出現しないことに困惑する遊矢君と俺。俺はスクラップ・ビーストを駆りながら遊矢君の側まで近寄る。

 

(取り敢えず、アクションデュエルの機能は大丈夫そうだな)

 

ここ数日ですっかりなれたモンスターの騎乗に安堵し、なら遊矢君か俺のディスクが原因かと考えるが、俺のディスクはついこの間もらったばかりだし、遊矢君のは今日学校での定期メンテナンスで異常なしを頂いたばかりなのでそれもないと頭の中で首を横に振る。

 

(じゃあなにが………ん?)

 

考えながら遊矢君のデュエルディスクを見ると、ペンデュラムゾーンに置かれたカードが空気中に舞っている小さな粉に反応するかの様に、軽く電気が散っているのが見えた。

 

そしてフィールドを見て、そのこなの原因が、俺の置いておいた魔封じの芳香から発せられているのを確認した俺は、そこら辺落ちていたアクションマジックの速攻魔法を拾い発動してみる。するとこちらもerrorの文字が出て、ペンデュラムカード同様、粉に反応して軽く電気が散った。

 

(魔法カードの発動は、魔封じの芳香でerror扱いにされる。アクションマジックも同様で、遊矢君のペンデュラムカードにも同様のerrorと反応、そしてペンデュラムカードの絵柄…これはもしかしてーー)

 

「あー、多分なんだが、それ俺のせいかもしれん」

 

「えっ、どういうこと?」

 

いつの間にか出てきていた時読みさんと星読みさんに相談していた遊矢君はこちらを向き、俺の言葉の意味について聞いてきた。

 

「いやな。魔封じの芳香って魔法カードの発動を封じるじゃん?」

 

「うん。さっきそう言ってたね」

 

「でさ、多分なんだけど、ペンデュラムモンスターもペンデュラムゾーンにある間は魔法カード扱いなんじゃないかなって思ったわけよ」

 

実際、何回か前のデュエルで、俺がサイクロンを発動した時ペンデュラム・ゾーンのカードも破壊できた為、その時俺たちは『ペンデュラムカードは魔法か、罠カード、それも永続系のカードにもなるのでは』という予測を立てたのを覚えている。今回の事で、ペンデュラムカードは永続系の魔法の部類に当たる事が判明した。

 

「あ、そっか!魔法カード扱いなら魔封じの芳香の効果で発動できないんだ!だったらセットすれば次のターンから出来るはず。オレは、スケール1の星読みの魔術師と、スケール8の時読みの魔術師をセット!」

 

俺の考察を聞いた遊矢君は、当然行き着くであろう帰結を早速実践すべく、ペンデュラムゾーンにカードを裏向きで置く。

 

ーーが、現れたのは先ほどと同じerrorの文字のみ。

 

「な、なんでーー!?」

 

『…つまり我々は、ペンデュラムゾーンではセット状態で置く事ができない、という事ですね』

 

「みたいだね…」

 

頭を抱える遊矢君に対し俺は頬を掻きながら苦笑した。

 

「えーい、こうなったら!オレは、EMヘイタイガーを召喚!」

 

「おっと」

 

半ばヤケになりながら発生させた召喚陣に、俺は思わず跳びずさり、後ろで待機していたスクラップ・ビーストの背中に乗る。

 

「こうなったら少しでもアドバンテージを稼いでやる!バトル!ヘイタイガー、スクラップ・ビーストに攻撃だー!」

 

ヨーロッパで見られるような、赤い軍服に身を包んだ二足歩行の虎が跳躍し殴りかかってきた。

 

「そう簡単には通さんよ。スクラップ・ビーストを対象に速攻魔法、スクラップ・スコールを発動!」

 

カードの発動を宣言した瞬間、俺はスクラップ・ビーストに「ありがとう」と小声で礼を言い、そのまま背中を蹴って空中へと身を投げ出す。

 

「って、えぇ!?落ちた!?」

 

「このカードの効果により、俺はスクラップモンスターであるスクラップ・キマイラを墓地へ落としてシャッフル。その後カードを1枚ドローしてから破壊する!」

 

「そんなことより下、下!落ちてる落ちてる!」

 

ヘイタイガーの攻撃を躱したスクラップ・ビーストは、自身を白い光の球体へと変化させ、俺の墓地へと潜り込む。

 

そして俺自身の落下速度が上がり始める寸前で、どこからか高速で飛来した白銀の何かによって抱き抱えられた。

 

「えっ、今何かがーー」

 

「破壊されたスクラップ・ビーストの効果にチェーンし、俺はこのモンスターを特殊召喚した」

 

段々と減速し、別の高台へと降ろしてくれたそれを、俺は遊矢君に向き直りながら紹介した。

 

「紹介しよう、俺のもう一つの相棒、機皇帝ワイゼルだ」

 

紹介された白銀のロボット、ワイゼルは俺の横に悠然と並び、共に対戦相手を見据えた。

 

機皇帝ワイゼル

ATK2500DFE2500

 

「えぇ、そいつもいたの!?」

 

「うん、まあ、運が良くてね」

 

因みにこのワイゼル、遊矢君に出したのは初めてではなく2回目だったりする。

 

最初に出した時は………まあ、酷かったかな。初見殺しというのもあったが、それ以上にこっちの事故が…。デュエルが終わるまでワイゼルとコングしかモンスターが来ないってどういうことよ…………?勝てたけどさ、最終的には。

 

「因みに知ってると思うけど、ワイゼルには1ターンに一度、魔法カードの発動を任意で無効にして破壊する効果があるから、頑張って攻略してね」

 

「こ、これじゃあオレ、アクションマジック使えないじゃん!オマケに相手のモンスターも強いし、どーすりゃいいんだよぉー!!」

 

頭を抱える遊矢君に苦笑しつつ、彼がどうプレイングするか悩んでいる間に、俺が今、こうしてアクションデュエルができるようになった経緯を思い起こしていた。

 

000

「は、はぁ。アドバイザー、ですか?」

 

俺は遊矢君のお家で、柊さんや権現坂さん達と共にご馳走になりながら、柊さんと遊矢君のお母さんから出た提案に。思わずオウム返しに聞き返した。

 

あのデュエルの後、遊矢君の保護者と思わしき方々(実際保護者、と、その近所さん)に事情を簡単に説明(デュエルモンスターズの精霊云々は省いた。遊矢君の方も、精霊達が言わせないようにしてたみたいだ)するとお礼を言われ、「良ければウチで夕飯食べていってくれないかい。柊さん所も一緒にさ」的な事を遊矢君のお母さんに言われ、そのままご相伴に預かってるという訳だ。

 

……いや、まあ、その、失礼かなとは思ったので断ろうとしたのだが、その、なんだ、子ども達に押し切られてな。遊矢君のお母さんや、隣にいた柊さんも押しが強くて断りきれなくて……。あぁ、言い訳がましい自分が情けない……。あぁでもご飯美味しぃ。

 

そんでもって夕食を共に頂いてる最中にポロッと、今身寄りがない事を零してしまい、「じゃあウチで面倒見てあげるよ」的な事をお母さんに言われ、流石にそれはまずいと必死に断ろうとした所で出てきた提案がこれだ。(因みに異世界から来た事はまだ黙ってる。いずれバレるだろうが、今バラすと混乱するだろうし)

 

「そう、話を聞いてるだろうけど、ウチの夫、榊遊勝が作った塾があって、今は修造君が塾長をしてくれているんだけど、夫がいなくなってから生徒も教師もサッパリでね」

 

「そこで、シンクロ召喚という未知の召喚法を操る君に、同じくペンデュラムという未知の召喚法を生み出した遊矢や、俺の娘の柚子に、先達としてアドバイスしてあげてほしいと思ってね。聞けば鉄心君、君はかなりのデュエリストらしいじゃないか」

 

「それならばウチの昇も鍛えてやって欲しいですな。此奴も未知の相手との修行になる」

 

いや、そんな、次から次へと言われましても…

 

「俺、まだ高校生ですよ?柊さんや権現坂さんみたいに、教える技術がある訳じゃない。それに…いや、まあ、身元不明の不審者だし…兎に角、そんな俺じゃあ、とても柊さんや榊さん、権現坂さんの御子息を教えるなんてことできませんよ」

 

一瞬、「俺はデュエリストとしては弱いほうですし」と言いそうになったが、それは対戦した遊矢君に失礼だと思い、言わないようにした。

 

するとそんな俺に、柊さんや遊矢君のお母さんはクスクスと笑いかけてきた。

 

「あ、あの、なんか俺、変な事言っちゃってました?」

 

「いやいや、そうじゃないよ。ただ鉄心君、貴方よく責任感が強いとか、そう言われたりしないかい?」

 

「…時々友人に言われる事はあります」

 

自分自身、結構適当にやってる時もあるから自覚はあまりないけど。

 

「それに、幾ら泣いてたからって言ったって、見ず知らずの子どもを慰めようとする奴が悪い奴なわけないよ」

 

「いや、いやいやいや…」

 

それは幾らなんで「オレ、もっと鉄兄さんと一緒にいたい!」ちょっ、遊矢君?人の思考に入り込んでくるの「洋子さんが大丈夫だと言うなら、俺も安心できるな」あ、あの柊さんも「人畜無害って顔してるもんねー」「柚子?お前一体どこでそんな言葉を覚えたんだ」「人を襲う顔ではないな」あ、あの、勝手なひょ「だが、ウチの昇を見る時は、厳しく、お願いしますぞ」い、いや、お願いしますぞ、って…

 

ーーそんなこんなで、なんかいつの間にか話が進み、押しを返しきれずに折れた俺は、「よろしくお願いします」と申し訳ない感じで頭を下げ、榊さんのお家にお世話になることになったーー

 

000

 

あの時の押しはみんな強かったなー、とか思いながら遠い目になっていると、いつの間にかデュエルが終わっていたようだ。

 

「お疲れさん。まあ、今後はペンデュラムの弱点をなんとかするのが課題だね」

 

「うぅ…あんなのずるいやい…」

 

これこれ、拗ねるな拗ねるな…

 

「全く、遊矢はすぐ泣くんだから」

 

「情けないぞ遊矢」

 

体育座りで頭に雨雲を出している遊矢君に、柚子ちゃんがそばにより、ヨシヨシと頭を撫で、権現坂君は腕を組みながら呆れた目で遊矢君を見ている。いやぁ、いいなぁ幼馴染って。なんかこう、見てて和むなー。

 

…若干出ていた、邪な思考を振り払い、柚子ちゃんと権現坂君にに質問してみることにした。

 

「因みに柚子ちゃん、権現坂君。君ならあの布陣、というより、魔封じの芳香、どうやって突破する」

 

「うーん、アタシだと難しいかも。アタシも遊矢と同じように、最初を魔法カードに頼ってるから、ワイゼルの効果を使わせるにしても兎に角1ターン待たないと。でもモタモタしてたらスクラップ・ドラゴンが出ちゃうし…」

 

「オレなら特に問題ないが、ヌスー10で破壊して逆にこちらで使う事もできるな。ただし、スクラップ・ドラゴンを出させてしまう問題もあるが…」

 

そう、柚子ちゃんの『幻奏』、天使族主体で仲間に様々な耐性を持たせて戦うテーマなのだが、ヴァルハラや第一楽章などの魔法カードに展開を頼っているし、『幻奏』自体に除去能力が無いから中々厳しいかもしれない。アリア・エレジーの耐性は鬼だけど…つか一回地獄を見たけど、展開させなきゃええねん!

 

そして権現坂君の『超重武者』、高い守備力を攻撃に使える、機械族主体のフルモンスターデッキである彼は、このコンボの鬼門とも言える。デッキ内にモンスターしか存在しないため、魔封じの芳香とワイゼルのメタが欠片も機能しない所か、逆に破壊され、盗まれる可能性すらあるのだ。唯一救いがあるとすれば、魔法・罠を伏せないため、安心してスクドラを出せると言った所だろうか。彼のデッキを、友人のデッキに「なぁにこれぇ」と途轍もない評価を下した遊戯さんが見たらなんと言うか、最近、心の中でひっそり想像しているのは内緒だ。

 

「そうだね。柚子ちゃんは展開を魔法カードに頼っているから、こういう盤面の場合、モンスター効果による破壊を考えていく必要があるね。権現坂君の場合だと、展開には困らなくても出てくる事が分かっている高レベルモンスターに対応できる布陣を整えておきたい所だね」

 

「あ、はいっ!あとトラップ!」

 

いきなり起き上がった遊矢君に隣で頭を撫でていた柚子ちゃんはびっくりして後ろにこけてしまった。そんな様子に、クスリと俺は笑う。

 

「そうだね。速効性はないけど、罠カードの中でも魔法・罠カードを割るカードはあるから、そういうので対応するのもありだね」

 

「鉄心殿の荒野の大竜巻のようにか」

 

権現坂君の問いに俺は頷いて答える。以前のデュエルで使った荒野の大竜巻。普通に使えばサイクロンや砂塵の大竜巻などの下位互換になるが、上手く工夫すれば上二つにも負けないカードになる。俺のデッキには汎用罠の他に、そういう、スクドラと相性のいい魔法・罠カードが何枚か入れてある。

 

「罠カードにも今言ったような魔法・罠カードを割るためのカードの他に、蘇生系や攻撃反応型、フリーチェーンで発動できるものなど、様々な種類が存在するからね。どんな罠カードがあるか。自分や相手の使う罠カードにどんなものが多いのか。それを知っておくだけでも、今後の参考になるから、暇があれば調べてみてね。さて、今日はこれでおしまい。修造さんがお菓子買って来てくれてるから食べに行っておいで」

 

そういうと、遊矢君と柚子ちゃんは「はーい!」と答えて走っていき。権現坂君は「あ、待たんか!」と焦りながら走って行った。

 

そんな子ども達の様子に微笑み、ゆっくりと歩いて向かっていると、少し先で修造さんが手を振ってくれていた。

 

「お疲れ様、鉄心君。調子はどうだい?」

 

「修造さんもお疲れ様です。やっぱり難しいですね。教えるとなるとかなり意識してしまって体が硬くなってしまいます」

 

「ハハハ、実技を交えながらあれだけ教えられてたら上出来さ。みんなも積極的に授業を聞いているし。遊矢も立ち直りが早くなってきているしな。もっと自信を持ちたまえ鉄心君!」

 

豪快に笑いながら肩を叩いてくる修造さんに、遊矢君の立ち直りが早いのは柚子ちゃんと精霊達が慰めてるからです、とは心に思っても言わないようにしながら苦笑し、褒めてくれたことへのお礼を言う。

 

「ありがとうございます。所でなんですが、今回のことで彼らが自分が持っているカード以外にも興味が湧くかもしれないので、今度の土曜日にカードショップへ行くようなプチ社会科見学の流れに持って行きたいのですが、大丈夫でしょうか?」

 

「ん?おぉいいぞ!どんなカードが売っているのか知ることも、デュエリストとして必要な事だからな」

 

「ありがとうございます。そしたらその場所について、後ほど話を詰めたいのですが、お時間を頂いても「構わん構わん!ただ柚子を家に返す必要があるから、一旦ウチにきてもらってもいいかい?」」

 

「はいわかりました。洋子さんにも話しておきます。それで、その、ペンデュラムの件、どうですか?」

 

俺がペンデュラムの事について口にすると、修造さんは先程までの気の良さそうな顔から一転させて神妙な顔になり、声を潜めて伝えてきた。

 

「鉄心君や遊矢の協力があってかペンデュラムについては少しずつ分かってはきているが、解析の方はあまり進んでいないのが現状だ」

 

「そうですか…ありがとうございます」

 

やはりな、という思いを抱きつつも、アクションデュエルあるデュエル履歴から不慣れな解析をしてくれた修造さんに、素直に礼を言う。

 

「いや、俺も遊矢のペンデュラム召喚についつは良く知るべきだと思っていたからな。鉄心君のお陰で、その問題が明確になったんだ。礼を言うのはこっちの方さ」

 

「いえ、俺は感じた事をそのまま口にしただけで、大した事はしてないですよ」

 

俺はアドバイザー(結局教師扱いだが)になることを了承したあと様々な事を聞いた。主にこの世界のカード事情についてが中心だが。そして話を聞き終え、この世界にはシンクロ、エクシーズ所か融合すら存在しない事に驚愕し、そして一つ疑問に思ったのだ。

 

果たして、遊矢君のペンデュラムカードや俺のシンクロモンスターをこのまま公開させていいのか、という事である。

 

幸いにして修造さん達も最後の方だけではあるがあのデュエルを見ていた為話が通りやすく、そしてペンデュラムカードなるものを、彼らは見た事がないと答えた。

 

そんでもって、遊矢君から話された家庭事情も今までの話から統合させて見ると、有名人の息子が見た事も聞いた事もない、全く新しいカードを生み出し、しかもそれは現在遊矢君しか持っていないというとんでもない結論にたどり着き、もしそれが他の人に知られれば、まずスキャンダルは間違いなく、このままこの問題を放置しておくと大変な事になる事に気がついた俺は、柚子ちゃんと権現坂君にドヤ顔でペンデュラムカードを見せていた遊矢君を引き寄せて、俺の考えられる問題点を話し、相談してみたのだ。

 

遊矢君たち子ども達は話をよく理解できていなかったようだが、親御さん達はこのことを重く受け止めたようで、話し合いを続けた結果、遊矢君は遊勝塾以外でペンデュラムカードを使うことを禁止することにした。最も、最近は遊矢君は友達が少なく、柚子ちゃんや権現坂君と以外ではデュエルをできていないという、聞いていて少し悲しくなってくる理由から、本人としてもそこまで不満は出なかったのだが。

 

「しかし、これ以上の解析となるとここの設備では限界がある。それこそ、LDSの様な大企業じゃないと難しいかもしれん」

 

「LDS、ですか…」

 

LDS。この舞網市で最大手のデュエルモンスターズ専門企業だ。この市のカードの製造や流通などを一手に引き受けていて、最近ではデュエルモンスターズ専門の塾まで開いたらしい。

 

「確かにあそこほどの企業なら可能かもしれませんが、あそこって弱小塾の吸収合併とか黒い噂が絶えないんじゃなかったんでしたっけ?」

 

「そうなんだよなぁ。そんな所に遊矢を預けた日にゃ、最悪ペンデュラムカードを取られる可能性もあるし…」

 

「かと言って、このまま決まった相手とばかりさせるというのも遊矢君の為にならないし、なるべく、遊矢君やペンデュラムカードの身の安全を確保して、世間に公開したいもんですが…」

 

ままならないなぁ、ままなりませんねぇ、と互いにため息をつき、今後どうするべきか、悩みの尽きない題材を考えていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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