屋内とは思えない広い空間にそびえ立つ3つの椅子。そのうちの1つに巨大な体躯の老人が腰をかけていた。
すると、対面のあたりの空間に穴が空き、中から出てきた子供が椅子に腰をかけた。
「急に呼び出しなんてどうしたのさ?あんたらしくないね」
「時空間に乱れが生じておってな。今はまだ僅かなものだがサーキットに影響が出るとも限らん。そこでお前に現地に向かって貰いたいのだ」
子供は老人のは話を聞いていたがそこでふとあることに気付く。
「あ、ちょっと待ってよ。プラシドの奴は何やってるんだよ」
「知らん。あやつはまた勝手にどこかに行きよった」
「プラシドの奴め~、アイツいつも仕事してないじゃん!」
「行 っ て く れ る な」
老人の有無を言わさぬ言葉にルチアーノはため息をつき、毎度のことだと諦めることにした。
「はいはい、これもサーキットの為だしね」
そういうと空間に穴を開け、自らの仕事に向かうのであった。
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時空間。そこは流動的な大きなトンネルになっており、とても危険な場所だ。もしシャトルなんかで時空間に行ったら十中八九お陀仏になる。もっとも、ルチアーノを含めたイリアステルの面々にとっては歴史改変を行ったりする際に使用する馴染みのあるところだ。
「まったく、ここはいつ来ても嫌な気分になるね」
別にルチアーノに危害が及ぶわけではないが、ここに来る時は大抵歴史を改変する時。すなわち未来を変える事を失敗した時である。そのため時空間を見ると条件反射的に気分が悪くなる。
「あれがホセの言っていた乱れか・・・」
見れば時空間の一部にプラズマのように帯電している箇所があった。
「ま、思っていたより小さいから直ぐに終わるか」
そう言ってルチアーノが右手をつき出すと、腕から緑色の光りが伸びてプラズマと衝突する。こういう時空間の乱れは、あまり発生はしないが珍しいというほどではない。いつも通り時空間の修復に入る。
が、そこで予想外な事が起きる。
「ッ!?何ぃッ!?」
プラズマの光りが突如として膨張し、ルチアーノを飲み込んできたのだ。あわてて脱出しようとするも既に遅く、プラズマの濁流に飲み込まれてしまう。
「ぐぅ!!なんだこの空間は!?」
時空の性質が違うのか今まで使用していた防御機能が効かず、重い負荷がかかり身体が悲鳴を上げる。このままでは時空間にバラバラに引き裂かれるのは明らかだった。
「そんな、バカな、こんなところで・・・ッ!」
激しい痛みに耐えられず、次第に意識が薄れていく。
(未来を、かえ・・・な・・・きゃ・・・)
薄れゆく意識の中で最後に思ったのは怒りでも死の恐怖でもなく、使命を果たせなかった自責の念であった。
なんか死んだ感じになってますけど生きてます。きちんとARC―Vの世界に行きます。