異次元のイリアステル   作:空からトースター

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第四話 エクシーズ召喚

「___という訳でエクシーズモンスターはレベルを持たずにランクを持つのである。その為、レベル関連のカードの効果を受けないので注意が必要だ。・・・・・・では今回の講義はここまで。次回までに各自復習をしておくように」

 

別次元に飛ばされてから早数日、だいぶこの世界にも慣れてきた。この世界で見るべきものは多いが、なかでもエクシーズ召喚は興味深い。こんなものは何百回と繰り返した歴史の中でも一度も見たことが無い。もしかしたらエクシーズ召喚の有無で未来が・・・・・・

 

・・・・・・まぁいい。今は調査することが大切だ。

それにしてもエクシーズモンスターはレベルは持たない、か。ボクのスキエルは低レベルモンスターだから《グラヴィティ・バインド-超重力網》といったレベルロック系のカードと相性が良くてデッキに入れたりしてるけど、エクシーズモンスターには全く効果が無いのか・・・・・・。そうなるとエクシーズモンスターの対策に何を入れようか?

 

「やあ、ルチアーノ。エクシーズには慣れたかい?」

 

考え事をしていたらちょうど北斗がやって来た。先輩風を吹かされるのは少しムカつくが、エクシーズを学ぶにおいてアドバイスをしてくれる良い奴だ(今のところは)

 

「なあ、エクシーズの弱点ってなんだ?」

 

「ふふ、それは愚問だよルチアーノ・・・・・・」

 

「???」

 

「何故なら遥かなるポテンシャルを秘めたエクシーズに弱点は無いからだ!」

 

 

(・・・・・・こいつに期待したボクが馬鹿だった。)

 

北斗はエクシーズを過信している。いや、愛していると言うべきか。そんな輩はエクシーズ褒めこそするが、欠点を挙げる事はそうそうないだろう。

 

しかしさすがの北斗もルチアーノが冷めた目で見つめている事に気付くと、気まずそうに咳を少しした。

 

「ま、まぁ、あえて弱点を挙げるとするならば、効果の発動に制限がある事かな」

 

「・・・・・・制限?」

 

「ああ。大抵のモンスターの効果は1ターンに1度しか発動出来ないが、エクシーズモンスターにはさらにオーバーレイユニットの使用が求められる。すなわち、エクシーズモンスターはオーバーレイユニットの数『しか』発動できないわけだ。だからオーバーレイユニットが尽きた場合、オーバーレイユニットを補給するか新たなエクシーズモンスターを召喚する必要があるのさ」

 

「へえ、ちゃんと解説出来るじゃん」

 

「あ、当たり前だ!僕はエクシーズコースのエリートだからな!」

 

(エリートというわりには足下が掬われそうだけどね、キシシシ)

 

「・・・・・・なんか甘く見られているようだから、ここらで僕の実力を見せてあげるよ。ルチアーノ、僕とデュエルだ!」

 

どうやら心の中で笑ったのが少し顔に出てたようだ。

 

「いいよ、そろそろこのデッキの試運転をしたかったからね」

 

 

_____デュエル!  ルチアーノ VS 志島北斗

 

 

「先行は譲ってあげるよ。流石に僕もそこまで鬼じゃない」

 

ルチアーノはまだエクシーズの初心者だからと北斗が先行を譲る。

 

(余裕ぶりやがって~。ボクを甘く見た事に後悔するがいい!)

 

しかしそうはいってもエクシーズに関しては北斗の方が一日の長があることは事実。ルチアーノにとっては実力差が出ないうちに速攻で決めたいところだ。

 

「ボクはモンスターとカードを3枚セットしてターンエンド」

 

ルチアーノ

LP4000

手札:1枚

場:セットモンスター1枚

魔法罠:伏せカード3枚

 

志島北斗

LP4000

手札:5枚

 

「おいおい、せっかく先行を譲ったのに全然展開してないじゃないか」

 

「うるさい、お前のターンだ!」

 

「それじゃあ手加減はしないからな。僕のターン、ドロー!」

 

揃った手札を見て北斗は満足げに頷いた。

 

「よし、相手のフィールドにモンスターが存在して自分のフィールドにモンスターが存在しない時《セイクリッド・シェアト》を特殊召喚出来る!現れろ、《セイクリッド・シェアト》!」

 

《セイクリッド・シェアト》レベル1 攻100

 

「さらに僕は《セイクリッド・カウスト》を召喚!」

 

《セイクリッド・カウスト》レベル4 攻1800

 

「《セイクリッド・カウスト》のモンスター効果発動、フィールド上のセイクリッドモンスターのレベルを1つ上げる。僕は《セイクリッド・カウスト》を選択!」

 

《セイクリッド・カウスト》レベル4→レベル5

 

「・・・・・・レベル1とレベル5のモンスター?」

 

エクシーズ使いなのに異なるレベルを並べた北斗にルチアーノは疑問を抱いた。

 

「ふふ、《セイクリッド・シェアト》のモンスター効果発動!墓地、フィールドのセイクリッドモンスター1体と同じレベルになる!」

 

《セイクリッド・シェアト》レベル1→レベル5

 

「レベル5のモンスターが2体・・・・・・っ!」

 

「それでは僕のエースモンスターを見せてあげよう!僕はレベル5の《シェアト》と《カウスト》で___」

 

「リバースカードオープン!永続罠《デビリアン・ソング》!このカードが存在する限り相手フィールドの全てのモンスターはレベルが1つ下がる!」

 

「何!?」

 

《セイクリッド・シェアト》レベル5→レベル4

《セイクリッド・カウスト》レベル5→レベル4

 

「・・・・・・まあいい。こちらのレベルを下げてくるとは予想外だったが、《プレアデス》だけがセイクリッドではないことを教えてあげよう!僕はレベル4の《シェアト》と《カウスト》でオーバーレイ!現れろ!ランク4、《セイクリッド・オメガ》!」

 

《セイクリッド・オメガ》ランク4 攻2400

 

(ランク4のモンスターを持っていないと良かったんだけど、流石に甘いか。でも・・・・・・)

 

ルチアーノは自らの妨害があまり効果がなかった事に残念に思ったが、すぐに残忍な笑みを浮かべた。

 

「潰れちまいな!罠発動、《奈落の落とし穴》!」

 

たった今登場した騎兵の足下に巨大な穴が現れ、その体を飲み込んでいく。しかし北斗はそれを見ても全く焦らなかった。

 

「《セイクリッド・オメガ》のモンスター効果発動!オーバーレイユニットを1つ使用し、このターン《セイクリッド》モンスターは魔法、罠の効果を受けない!」

 

「何!?」

 

《セイクリッド・オメガ》にオーバーレイユニットが吸い込まれると共に、黄色のオーラが《セイクリッド・オメガ》を包んで巨大な穴を弾き飛ばした。

 

「危ない、危ない。こんなにも妨害札を入れているとは思わなかったよ。伏せカードが多いから念のため《セイクリッド・オメガ》にしといて正解だったね」

 

(チッ!)

 

ルチアーノは思わず心の中で悪態をついた。北斗は元々《セイクリッド・オメガ》ではなくランク5のエクシーズモンスターを召喚しようとしていた。つまり自分が《デビリアン・ソング》を発動していなければ、魔法・罠の効果を受けない《セイクリッド・オメガ》は召喚されなかった。

 

(最初はエクシーズ対策になるかと思ったけど、相手次第すぎる!こんなカード、2度と入れないからな!)

 

「バトルだ!《セイクリッド・オメガ》でセットモンスターに攻撃!」

 

《セイクリッド・オメガ》の攻撃によってルチアーノのセットモンスターが姿を現す。

 

《ギアギアーマー》レベル4 守1900

 

しかし《セイクリッド・オメガ》の攻撃力2400には耐えることができずに破壊されてしまう。

 

「《ギアギアーマー》の効果発動!このカードがリバースした事により、デッキから《ギアギアーマー》以外の『ギアギア』と名のついたモンスターを手札に加えることが出来る!ボクは《ギアギアクセル》を手札に加える!」

 

「成る程。妨害札をセットした上に、それを突破された時の為のリカバリーを用意していたとはね。中々やるじゃあないか、ルチアーノ」

 

ルチアーノのデュエルタクティクスに北斗は思わず褒める。しかし本人に悪気は無くても、上からの物言いにルチアーノはイラつく。なにより自分のせいで《奈落の落とし穴》が空振りになってしまったのだ。そんなプレイングを褒められても嬉しくともなんともない。

 

「うるさい!お前をぶっ潰すためだからな、当たり前だ!」

 

「(・・・・・・なんか僕、不味いこと言っちゃった?)僕はこれでターンエンドだ」

 

ルチアーノ

LP4000

手札:2枚

魔法罠:《デビリアン・ソング》伏せカード1枚

 

志島北斗

LP4000

手札:4枚

場:《セイクリッド・オメガ》

 

「ボクのターン、ドロー!」

 

(・・・・・・いよいよやってみるか)

 

講義は受けているが実際にやるのは初めてだ。ルチアーノの手に汗が滲む。

 

「罠発動、《ギアギアギア》!デッキから『ギアギアーノ』と名のついたモンスター2体をレベルを1つ上げて特殊召喚する!現れろ、《ギアギアーノ》!《ギアギアーノMkーⅢ》!」

 

《ギアギアーノ》攻500 レベル3→4

《ギアギアーノーMkⅢ》攻1000 レベル3→4

 

「デッキからモンスターを特殊召喚だって!?さらにこれでレベル4のモンスターが2体・・・・・・っ!」

 

「ボクはレベル4の《ギアギアーノ》と《ギアギアーノMkーⅢ》でオーバーレイ!」

 

フィールドの2つのギアが1つとなりエネルギーが爆発する。

 

「現れろ、ランク4!《ギアギガントX》!」

 

そして巨大な歯車を背負った鋼鉄の戦士が現れた。

 

《ギアギガントX》ランク4 攻2300

 

「よし!エクシーズ召喚出来た!」

 

初めて行ったエクシーズ召喚が成功した喜びで、ルチアーノは思わずガッツポーズをした。初めての成功とは誰でも嬉しいものである。

 

「おめでとう、と言いたいところだが、君のモンスターでは僕の《セイクリッド・オメガ》に勝てないよ?」

 

「いいや、このターンでボクは 勝ーーーつッッ!!!」

 

「なにぃ!?」

 

ルチアーノのいきなりの勝利宣言に北斗が驚きの声を上げる。

 

「ボクは《ギアギガントX》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ使用してデッキ、墓地からレベル4以下の機械族モンスター1体を手札に加える事が出来る!ボクは《ギアギアクセル》を手札に加える!そして《ギアギアタッカー》を召喚!」

 

《ギアギアタッカー》レベル4 攻1900

 

「フィールド上に『ギアギア』と名のついたモンスターがいることで手札の《ギアギアクセル》を守備表示で特殊召喚出来る!ボクは2体の《ギアギアクセル》を特殊召喚!」

 

《ギアギアクセル》レベル4 守800

《ギアギアクセル》レベル4 守800

 

「これでレベル4のモンスターが3体・・・・・・!」

 

「ボクはレベル4の《ギアギアタッカー》と《ギアギアクセル》でオーバーレイ!現れろ、ランク4!《ギアギガントX》!」

 

《ギアギガントX》ランク4 攻2300

 

「そして《ギアギガントX》のモンスター効果発動!オーバーレイユニットを使用してデッキから《ギアギアクセル》を手札に加える!」

 

「ま、まさか・・・・・・!」

 

北斗はこの後の展開を予想して戦慄する。

 

「そのまさかだ!フィールドに『ギアギア』モンスターがいることで《ギアギアクセル》を特殊召喚!」

 

《ギアギアクセル》レベル4 守800

 

「ボクはレベル4の《ギアギアクセル》2体でオーバーレイ!現れろ、ランク4!《ギアギガントX》!」

 

《ギアギガントX》ランク4 攻2300

 

鋼鉄の戦士が3体並んだ光景を見て北斗は素直に感心した。

 

「まさか1ターンで3回も召喚するとは驚いたよ。もう君は一人前のエクシーズ使いだ」

 

「へへっ、もっと褒めてもいいぜ」

 

ルチアーノも自分のデッキが上手く回った事に満足したのか嬉しげに笑う。

 

「でも君の《ギアギガントX》の攻撃力は僕の《セイクリッド・オメガ》より攻撃力が低いまま。君の勝利宣言はいささか早すぎたんじゃないかな?」

 

フィールドのカードを確認して安心した北斗にルチアーノは1枚のカードを見せた。

 

「じゃ~~ん。これ、なーんだ?」

 

北斗はそのカードを見ると、ルチアーノの勝利のピースが揃った事を知った。

 

「い、《一族の結束》・・・・・・」

 

「せいか~い」

 

対するルチアーノは北斗の絶望した顔を見て極上の(悪い)笑みを浮かべた。

 

「ボクは《一族の結束》を発動!これによりボクのフィールド上の機械族モンスターの攻撃力は800アップする!」

 

《ギアギガントX》攻2300→3100

《ギアギガントX》攻2300→3100

《ギアギガントX》攻2300→3100

 

「バトルだ!《ギアギガントX》で《セイクリッド・オメガ》を攻撃!」

 

北斗LP4000→3300

 

「さらに2体の《ギアギガントX》で北斗にダイレクトアターーーック!!」

 

「そんな、この僕がーー!」

 

北斗LP3300→0

 

WIN ルチアーノ

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「よお、なかなかやるじゃねーか」

 

「ほんと、これならエクシーズコースのエリートが変わる日も近いわね」

 

デュエルが終わると、刃と真澄が話し掛けてきた。どうやら途中から見ていたようだ。

 

「そのうちと言わず、今日からなってあげてもいいよ」

 

「ぐさぁ!」

 

真澄とルチアーノの言葉が情け容赦なく北斗の心に刺さる。

 

「だいたいよお、手札の枚数的に北斗ももっと展開出来たんじゃねえか?」

 

流石に見かねたのか刃が北斗のフォローにまわる。

 

「いやまあ、そうなんだけどさ。最初はプレアデスだけにしてあげようと思って・・・・・・」

 

バツが悪そうに北斗が答えた。大抵のデュエリストはプレアデスが立っているだけで詰む。つまり他のセイクリッドまで展開する必要は無いと思ったのである。

 

「ふん、舐められたもんだ。もっとも、それで負けちゃったなんて最高に無様だよね!キシシシ」

 

「そうよ、慢心したあなたがいけないわ。ルチアーノはプレイングセンスだけは高いって言ったじゃない」

 

「おい、『だけは』ってなんだよ?」

 

なんだか真澄に馬鹿にされたような気がしてルチアーノがツッコミをいれる。

 

「あら?だって『ドローの事』知らなかったじゃない」

 

「なっ!?あの話はもういいだろ!!」

 

真澄が良からぬ事を暴露しようとしたのでルチアーノはあわてて話を流させる。LDSに話が広まったら恥ずかしさのあまり2度と通えないだろう。

 

「『あの話』ってなんだ?」

 

「僕も気になるな」

 

しかし刃と北斗が無情にも聞いてくる。珍しくルチアーノが焦っているのが興味をそそられるようだ。

 

「そんなこと、どーでもいいだろ!」

 

 

 

(やっぱり、そっちの方が年相応で良いわよ)

 

顔を赤くしながら追求を逃れようとするルチアーノを見て、真澄は静かに微笑むのだった。

 

 

 




いや、本当はですね、北斗もセイクリッド・ビーハイブ出したりして接戦になる予定だったんです。
ですが書いてる途中で「ルチアーノもっと展開出来るんじゃない?」って思ったらワンキルになってました。ゴメンね北斗。
LP4000だとあっという間に尽きちゃいますねー。気を付けます。
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