通算UAが1000を超えていて驚きました。
皆さんに読んでいただき恐縮です。
扉を開けるといくつもの視線に扉を閉めたい衝動に駆られる。
しかしそこは私の数多の特技の一つポーカーフェイス(極度の人見知りによる表情筋の職務放棄)で平然と教室に足を踏み入れる。
教室内の原作通りのメンバーに手頃な人にローリングソバットをキメたくなる。
落ち着け私!そこは逆の字固めで我慢するのよ!←錯乱
テンションが上がりすぎて思考があれになっていると人の近づいてきて正常な思考に戻る。
「俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ。」
飯田くん!!!!!!マジ飯田君だ!!!超四角い!手の動きが変!飯田君だ!
「私は市立名部中学出身の石弦。よろしく。」
「ああ、よろしく!君もやはり雄英に来たんだね!」
君も?やはり?荒ぶっていた思考が落ち着き頭に疑問符が浮かぶ。どゆこと?
「君の活躍はヒーローネットでいつも見てるよ。同年代で同じくヒーローを志す者として君の存在には一目おいている。だが、雄英に入学した以上は同じクラスメイトとして君にも負けるつもりはない!お互い切磋琢磨しがんばろう!」
ああ、ヒーローネットでの奴ですか・・・。
私は4年生の頃のあの事件以降も敵に遭遇したり助けを求める人に出会い、ヒーロー志望としてもちろん、出来る範囲かを判断してからだけど、敵を捕まえたり助けたりした。
すると4年生の事件で名が少し知られていた私は事件に関与するたびなぜだかメディアに取り上げられた。
遂には最も閲覧者の多いインターネットサイト、ヒーローネットに中学生の頃から事があげられる様になり、面白がったメディアから今最もヒーローデビューを期待されている存在(ルーキー)という心から有り難くないキャッチコピーをいただいたのだ。本当にやめて欲しい。
普通ならヒーローを目指す者としてメディアに取り上げられる事を喜び誇りこそすれど嫌がるなんて以ての外だが私は前世からの性格故に目立つことが大嫌いだ。
人の視線に晒される事が本気で苦手なのだ。
今思うと小さい頃の私は転生トリップした喜びと大好きな原作メンバーに会えるという事で興奮して目がくらみ一時のテンションに身を任せてしまっていた。目立つこととか観衆の視線に晒される事を全く考えていなかった。
くっ!これも全部僕のヒーローアカデミアが面白いのが悪いんだ!!
ヒロアカがあんなに面白くなかったらトリップしても喜びも興奮もせずに冷静でいられたんだ!
ちくせう堀越め!いつか会えたなら絶対サイン貰うから覚悟しとけよ!!
私が思考に耽っていて無言だったため飯田くんを放置してしまった。
急いで頭を働かせて飯田くんの言葉に返事する。
「活躍と言っても自分のできる範囲で動いただけで私自身はそれほどすごいことをしたとは思ってないんだ。メディアが面白がっている節もあるしね。
でもだからと言って私も負ける気はないよ。これからよろしく。」
ひとまず無難にいい奴っぽい返事ができてホッとする。
それから自分の席に行き座る。
私の前は耳郎ちゃんで後ろは瀬呂くんだ。
さあて、誰か話しかけてくれないかな・・・!?
この入学して私は漫画で知っていたとはいえ実質初対面の人達だ。私から話しかけるなど笑止千万、無理難題もいいとこである。
いきなり話しかけて仲良くなれる程のコミュ力なんて鷹の目持ちのHSKではない私が持ち得る訳がないのだ!
しかしこうしていてもどうにもならないしいつの間にかグループができていたら私はぼっちになってしまう。寂しいと死んでしまう事に定評のある私としてはぼっちだけは避けたい。
よし!3,2,1で耳郎ちゃんに話しかけよう。目指せ脱ぼっち!!
大丈夫。私ならできる!できる!できる!私ならできる!私は太陽だ!!
失敗する未来しか見えないのはなんでだろう?
よし、話しかけるぞ!
3,2,1!「ね「机に足をかけるな!」おう・・・。」
飯田くーーーん!!!かっちゃんに注意するのは知ってたけどタイミング!!
もう完璧に私の残り僅かな勇気は霧散し話かけるという選択肢も消え去った。
い、いいもん!この後だって話すチャンスなんていくらでもあるんだから!あれ、これフラグ?
もう諦めて原作の光景を傍観する事にした。
あ、出久くん来た。
王道的選ばれた主人公。突然だけどそれが私が出久くんに抱いてる印象だ。
これは別に悪い意味での印象じゃない。なぜなら彼には選ばれるに足る理由があったと私は思うからだ。
出久くんは無個性という絶望の中でもヒーローという夢を諦めなかった。
これがどれほどすごいことかこの世界に生まれて本気で無個性というのがヒーローを目指す者にとって如何に絶望的な事かを理解したからこそ言える事だ。
個性を持っている事が一般的なこの世界では無個性とはつまりは一般人以下なのだ。場合によっては一般人の方が役に立てる程に個性の有無とは重要なのだ。
例え武道を極め様とも無個性では遠距離中距離の個性やかっちゃんや斬島くんの様な近距離でなお強力な個性の敵が現れれば鍛え上げたそれも何の意味もなくなる。
例え原作の発目ちゃんが作っていた様な機械を使おうとそれを壊されてしまえば無力になる。
無個性とはこの超人社会において、それだけで圧倒的弱者であるという証明に他ならないのだ。
その無個性に生まれながらヒーローになるという夢を諦めなかった出久くんは悪くいえば現実を見ていない馬鹿だが良くいえば主人公として必要な“諦めの悪さ”という資質を持っていると言えるのだ。
もちろんオールマイトに出会えた事は幸運という外にないが、それでも彼は、出久くんは、あのかっちゃんがヘドロに襲われているあの場面において、憧れのオールマイトに現実を見ろとまで言われてなお、諦める事を選ばず、助ける事を、走ることを選んだのだ。
私はそれだけで僕のヒーローアカデミアの主人公として、オールマイトにワン・フォア・オールの後継者として選ばれるに足るだけの存在であると思う。
長々と何が言いたいかというと、だから私は漫画を読んでいた前世の頃も好きだったが、転生した今は前以上に出久くんの事を尊敬しているということだ。
あ、出久くんの素晴らしさを語っていたらお茶子ちゃんが来た。めっちゃ可愛い!さすがメインヒロイン!肉球ぷにぷにさせ欲しいわ。
って、あ!
「お友達ごっこしたいなら余所へ行け。」
相澤さんキターーー!!!寝袋に入ってて芋虫みたいで少し気持ち悪いとか思ってごめんね!!
でも素敵だよーーー!!なんで10秒飯食ってんのか分かんないけど格好いい!!!
相変わらずもさいけど最早そこすら可愛いと思えてきて自分でも末期だと思うよ。
「担任の相澤消太だ。よろしくね。」
あ、目が合った。にっこり笑っておく。手も振りたいがグッと我慢する。
よろしくねとか可愛すぎるよ!狙ってんの!?あざといが可愛いから許す!
「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ。」
これから始まる個性把握テストに向けて相澤さんに格好悪いところを見せないように気を引き締めた。
主人公が実は有名人である事をアピールするつもりが出久くんと相澤さんの登場によりあまりアピールできませんでした。
相澤さんはもちろんですが出久くんも他の皆も大好きです!
それすらも気にせずに読んでいただければ幸いです。
今話も読んでいただきありがとございました。