開始と同時に走り出した爆豪くんに思わず乾いた笑いが漏れる。
「やっぱ独断専行したね・・・爆豪君。」
「石くんの言っていた通りいきなり飛び出して行くとは何なのだ彼は!もう!!」
飯田くんはぷんすかしていた。
「まずは打ち合わせ通り片付けようか。」
「ああ!本当に石くんと同じチームで心強いよ!」
「ありがとう。私も飯田くんと組めて心強いよ。」
飯田くんの怒気も和らぎ片付けに移る。
打ち合わせではこんな感じに決めといた。
まずお茶子ちゃんの触ると浮かす個性、無重力対策にフロアの物を片付ける。
おそらく独断専行するかっちゃんは出久くんに集中しお茶子ちゃんを通してしまう。
機動力のある飯田くんにメインの守備を任せ、応用力がある個性の私が核の近くの天井に糸で貼り付き入り口の見張り兼不意打ちをするという風に役割分担をした。
不足の事態には私が核の守備、飯田くんがヒーローの捕縛を優先するよう決めた。
ここまではまるで予想通りに飛び出したかっちゃんのお陰?で予想通りに事態は進んでいるようだ。
「じゃあ私は隠れるね。」
「ああ、頼んだよ!守備の方は任せてくれ!」
「うん、任せた。」
片付けが終わり糸を伸ばし天井に貼り付くと片手で丸を作って見せる。
飯田くんは頷くと耳元に手を当てた。おそらく通信機を使うのだろう。
「オイ爆豪くん!!状況を教えたまえ!どうなってる!?」
『黙って守備してろ・・・!ムカついてんだよ俺ぁ今ぁ!!』
「気分聞いてるんじゃない!!おい!?切れた・・・!!マジか奴!!」
2回目の乾いた笑いが出たが仕方のないことだと思って欲しい。
柱の陰から入り口を見張っているとお茶子ちゃんが来た。
柱を2回軽く叩く。あらかじめ2人なら1回、1人なら2回叩くと決めておいたのだ。
飯田くんが前を向き直る。お茶子ちゃんとばっちり目が合った。
「来たか麗日くん・・・!君が1人で来ることは爆豪くんが飛び出した時点で判っていた!
触れた対象を浮かしてしまう“個性”、だから先程・・・
君対策でこのフロアの物を全て片付けておいたぞ!」
「これできみは小細工が出来ない!ぬかったなヒーロー!!フハハハハハ!」
飯田くんノッリノリだな。
真面目だからってここまでやるとか面白過ぎるな。
ドオォォォォォォォ!!!!!!
飯田くんがジリジリ詰めていくのを確認していると建物が大きく揺れた!
「何だ!!?爆豪くんか!!?何をしているんだ彼は!!」
飯田くんが動揺したのを見てお茶子ちゃんが動いた。一気に飯田くんに向かって走り出す。
「ぬっ、させない!」
立ちはだかる飯田くんの頭上を飛び越えるお茶子ちゃんは真横の柱に隠れる私に気づいていなかった。
すっかり私の存在は頭から消えているようだ。べ、別に寂しくなんてないんだからね!!
「ま、それを狙ってたとこもあるしね。」
粘着糸をお茶子ちゃんの体に貼り付け引き寄せる。
「うぇえ!?」
驚くお茶子ちゃんは対応が出来ず、私は冷静にお茶子ちゃんの両手を確保テープで拘束し糸を床に貼り付けて降り立った。
「確保完了。」
「うえぇ!!石さんの事忘れてたー!」
「ナイスだ石くん!!」
やっぱり忘れてたのね・・・いいけどさ。
いじける気持ちを抑えてこれからの事を考えて飯田くんに向き直る。
「爆豪くんの応援に行こうと思うけど麗日さんの見張りどうする?」
「み、見張り!?」
「確保したのになぜ・・・?」
2人は困惑したように私を見る。飯田くんマスク被ってるから表情分からんけどね。
「オールマイトが確保宣言していないって事は麗日さんの扱いは“人質”ということになる。敵ならせっかくのそれもヒーローの人質を1人で放置なんてしないでしょ?」
私の言葉に2人ともハッとした表情になる。だから飯田くんマス(ry
「そ、そっか!全然気づかなかったよ!!石さんすごい!!」
「そうだったのか!さすが石くんだ!!」
2人からの手放しに褒められて照れそうになるが堪えて言葉を続ける。
2人とも素直すぎていろいろと心配になってくる。詐欺とか普通にかかりそうだ。
「で、どっちが爆豪くんの応援に行く?」
「ならば石くん、君が行ってくれ!」
え?私?まだ働けと?
「悔しいが俺より石くんの方が冷静に動けている。だから石くん、応援は任せた!
もちろんその間見張りは任せてくれ!核には触らせはしない!!」
ですよね、飯田くんがそんな酷い事言うわけないよね。
「了解任せた。行ってくる。」
入り口に糸をかけてさっさとかっちゃん達の元へと向かった。
急いで移動したのですぐに一階に着いたが、もう帰りたいです。
「勝って!!超えたいんじゃないかバカヤロー!!!」
「その面やめろやクソナード!!!」
はい。めっちゃ佳境です。
私が急いで来た意味!?ない?ですよね!分かっとるわ!!
「DETROIT・・・」
勢いよく走り出す2人。
お互いに腕を振りかぶり全力で向かっていく。
「麗日さん行くぞ!!!」
ごめんお茶子ちゃんもう確保済みです。
「SMASH!」
BOOOM!
かっちゃんが唖然として出久くんが倒れ行く中に隠れてる訳にもいかないから出て行き出久くんを抱きとめて、一応確保テープをそっと巻く。
『敵チーム・・・WIーーーーーN!!』
こうして私たちの訓練が終わった。
出久くんがハンソーロボに連れて行かれて行かれて私、飯田くん、お茶子ちゃん、かっちゃんはモニタールームに戻った。
「今回のベストは石少女だ!!!」
クラスのみんなはそうだろうと言うようなリアクションをしていた。
私は内心で首を傾げていた。どうしてこうなった?
「何故だか・・・分かる人!!?」
「ハイ、オールマイト先生。」
発言したのはセクシーな戦闘服に身を包む八百万女史だ。
「それは石さんが1番状況に合わせて冷静に動けていたからです。
爆豪さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断。そして先程先生も仰っていた通り屋内での大規模攻撃は愚策。
緑谷さんも同様の理由ですね。
麗日さんは飯田くんに集中するあまり石さんの存在を失念していたこと。
石さんと飯田さんは特にミスもなく対応出来ていました。差があったとすれば最初に言った通り捕まえた後の冷静な状況判断力と動きの迅速さでしょう。」
しーーーん・・・
「まあ・・・正解だよ。くぅ・・・!」
「常に下学上達!一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」
八百万女史優秀すぎぃ・・・。
オールマイトが素で戸惑ってるよ!やめたげてよぉ!
その後、他のみんなの訓練の様子を見ていた。
轟くんの個性がチート過ぎて内心どん引きしていた。
障子くんの個性も便利だなぁと見ていたが轟くんのが衝撃的過ぎた。
あれは、あかん・・・。
それから訓練がが終わった。
オールマイトの言葉を聞いて戦闘服を着替えて教室に戻った。
教室ではみんなで自己紹介してから今日の訓練の反省会をした。
「石はめっちゃ冷静だったよな!!」
聞き役に徹していたらいきなり話を振られてびっくりした。
「お茶子ちゃんに確保テープ巻くのもめっちゃ早かった!!」
「そういや石は敵を捕まえた事あるんだもんな!!
やっぱ実践は訓練と比べもんになんねぇくらいすげぇのか!?」
上から斬島くん、三奈ちゃん、砂籐くんだ。3人とも勢いが半端なかった。
さらに砂籐くんの言葉を皮切りに今までのメディアに取り上げられた事件の事も聞かれてめっちゃ必死に頭を回転させて答えた。
答えていく度に素直な賞賛の言葉を浴びるので恥ずかしくて仕方なかった。
出久くんが来た事で話題は私からそれたのでみんなにあいさつをして教室を出た。
明日もがんばろう!
原作改変しました。
まああの状況なら捕まえるよね?って感じでお茶子ちゃん捕まえちゃいました。
確保してからの詳しい説明がなかったのでそこら辺を勝手に捏造しました。
飯田くんやお茶子ちゃんなどヒロアカは素直なキャラが多いなと思いました。
また明日から忙しくなるので更新が遅れると思います。
ご迷惑かけますがお願いします。
質問・感想お待ちしています。
今話も読んでいただきありがとうございました!