とある日。ALOシルフ領の家。
「・・・・・・・~」
わたくし、トウカは物凄く眠いです。寝不足で。
流石に毎日二時に寝て、七時に起きるのももう限界。学校で寝ても、帰ってきて寝ても睡眠が足りない。ま、改善する気は無いんだけどね。
クエストをやる気も起きなければ、デザート作るのも面倒くさい。
はああ~と声を出さず静かに欠伸して、ぼんやりとかかっているテレビ番組を見る。ま、特に興味深そうなこともやっていない。今日もアルヴヘイムは平和、だ。
「寝よ・・・」
座っているソファに横になる。ああ、この弾力がまたいい。現実には無い感触。
ゆっくりと自然に瞼が落ちていく。今日はこのまま三時間くらい寝よう、暇だし。やることないし。
・・・・と重いながら瞼が完全に落ちようとしたその時。
トットットットットッ・・・・・。
「トウカっ♪」
「グッ!!」
家の最強居候少女・『絶剣』のユウキに思いっきりダイビングを喰らう。本人に悪気は全くないのだろうが、痛い。もうダメージ認定して良いよ。家だから判定なしはこっちも辛いのだ、衝撃が強いし。
「どうした、ユウキ・・・」
目が開いたので、いつものようにユウキの頭を撫でる。というか、もう寝れない。
「あのね、ボクのアイテムの中にこんなのあったっ!」
そう言ってユウキが出したのは手の平サイズのチェスの駒っぽいもの。
「あ~、俺チェスやったことないからわからんわ」
「ボクもしたことない・・・。でも、ボクが持ってたんだ、なんでだろ?」
「・・・・・」
ユウキが差し出してきた駒を受け取ろうとしたその時ーーーーーーーーー。
「な、なんだっ!?」
「眩しっ、何っ!?」
駒が突然眩しい光を放った。細目を開けようとしたがそれでも眩しい。
たちまち光は空間を包み込んだ。
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『ようこそ、ボクの世界へ!!』
誰の声だ・・・・・・・・?
ゆっくりと目を開ける、とどこかに落ちている途中だった。あきらかに場所が違う・・・・・ってか空?宇宙?
「え?え?どういう状態?」
「トウカぁっ!」
同じく空中にいたユウキを何とか引き寄せて抱きしめる。少しずつうっすらと地面が見えてくるがまだまだ距離はあった。
「ね、これどういうことっ?」
「さあっ・・・わかんねぇっ!!」
風が強過ぎる。惑星探査機的なのが落ちてくるレベルだ。口渇くし。
「ここは盤上の世界、ディスボード!」
と、さっき聞こえたのと同じ声。顔を上げると見知らぬ少年が少し上から自分たちと同じように落下運動中だった。バランス取ってるのかあの体勢は。やけに風の抵抗が少ないな、彼。
「この世界はゲームで全てが決まる・・・!命も、国境線もね・・・!」
「キ、キミは誰っ!?」
「ボク?」
お、ユウキと同じボク使いだ。まあ、こっちは完全に男だけど。
「ボクはテト。あそこに住んでる神、だよっ♪」
謎の自称神様、テトが指差した先にはうっすらとさっきの駒に似た建物が。話し方もユウキに似てるな。ユウキのほうが可愛いけど。
「神さまぁっ!?」
可愛いなぁ、ユウキのリアクション。
「くそ、魔法使えないのか・・・!このまま落ちたらヤバイよな・・・」
さっきから羽をだそうと繰り返してるが、全く反応が無い。やっぱり別世界だな。
「この世界にはね、十の盟約・・・つまりルールがあるんだ♪」
そう言うとテトは両手を使って説明を始めた。
「一つ、この世界におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪を禁ずる。二つ、争いは全てゲームにおける勝敗で解決するものとする。三つ、ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる。四つ、三に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない。五つ、ゲーム内容は、挑まれた方が決定権を有する。六つ、゛盟約に誓って゛行われた賭けは、絶対遵守される。七つ、集団における争いは、全権代理者をたてるものとする。八つ、ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす。九つ、以上をもって神の名のもと絶対不変のルールとするッ・・・・・!」
「魔法使えないのかよおおおおおおおっっっっっっ!!」
「トウカ、ヤバイっ!」
無駄に叫んで口が渇いてしまった。そしてもう地面は目の前。
フウッ・・・・・。
間一髪、何とか地面に手を伸ばして空中でバランスをとった。あれ、魔法使えるのか・・・?
「ふぅ・・・」
ユウキを抱きしめたまま、ぐったりと地面に背中をくっ付ける。
「死ぬかと思った・・・」
手の力を抜いて、大の字になると、テトが顔を覗きこんできた。上手く着地できるのか、助けろよ。
「最後に十、みんななかよくプレイしましょう♪じゃねっ♪」
両手をパーのまま、こちらに向けてバイバイ♪と振った後、テトは消えていった。
「「・・・・・・・・・」」
一体何が何だが・・・・・・・。