最強を目指す転生者 作:懺悔
駄文です。
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一年前交わした約束の日の朝、ノアとチチは対峙していた。
「それでは、一年前に約束した通りこの試合でチチが勝った場合ノアは武術を辞める、ノアが勝った場合武術を続けるのを認める。それでいいだな」
審判役である牛魔王が、両者を見ながらそう言う。
両者が頷く。
「悪いだがノアちゃんに武術をするのを認める訳にはいかないだ。本気でいくだぞ」
「はい!!母様、私も精一杯頑張ります!!!」
ノアは今まで感じたことのない充実感を感じていた。
今朝今まで背負っていた亀の甲羅を脱いだ。途端に感じる体の軽さ、軽く飛ぶととんでもない高さまでとび、動きも格段に上がっている。まだ、リストバンドを着けているにも関わらずである。
ここまで強くなると前世の世界では敵がいないだろう。この世界でもいないかもしれない。強くなる嬉しさと敵がいなくなる一抹の悲しさがある。
「ノア、リストバンドは外さないのか?」
「はい!このリストバンドは気に入っていますので」
「そうか……それでは始め!」
牛魔王の開始の合図と同時に、構えをとる。
じりじりと両者の距離が縮まる。
先手を取ったのは、チチだった。
「はああああ!!!」
右、左、左右連続攻撃の突きから蹴り、ノアはそれを紙一重に避け続ける。
チチは攻撃の手を緩めず攻め立てていく。
「どうしただ!!ノアちゃん!!そったらことだと武術を認める訳にはいかねぇだぞ!!!」
ノアは、避けるのをやめ、掌もしくは手の甲で攻撃を捌き始めた。それでもチチは攻撃の手を緩めない。娘を戦いの世界に行かないために。武術を学ぶことは敵を倒す術を学ぶこと、そして、人は学んだことを試したくなる。
ましてノアは、悟空の血を継ぐ娘。その血が戦いを求めて行くであろうと無意識の内に予感していた。
その結果、大ケガや死んでしまう可能性もある。
その為厳しいかもしれないがここで倒す気迫が、拳に乗っていた。
その思いは戦っているノア本人にも痛いほど伝わってきた。
(ごめんなさい。母様、それでも戦いたい!強くなりたい!!そして、絶対的な力を手に入れたい!!!)
ノアは、前世からの思い、悟空の遺伝子が求める戦いの欲求、それらが合わさって前世以上の『力』への渇望をもたらした。
だから進む、前へ前へチチの懐に進んでいく。
チチからしたらこんなやりにくいことはない。
只でさえ小さいのに、懐に入られたら攻撃しにくい。
そして、突き飛ばすため、腕を大振りに振るう。
それを待っていたノアは、受け流しチチの体勢を右に大きく崩した。
「しまっただ!!」
苦し紛れに腕を振るうチチ。
しかし、そのノアは残像を残し消えチチの背後から右側頭部に手刀を放ち、寸止めをした。
「…………ふう。おらの負けだ。ノア」
「ごめんなさい。母様」
娘として母の思いに応えたかったが、それ以上に強くなりたかった。
二人の押し黙る空気に耐えかねた牛魔王が、陽気な声で言う。
「い、いや~。二人ともすごい試合だっただな。チチも負けたとはいえいい試合だったべ」
「いや、おっとう。ノアちゃんの方が凄かったべ。約束だ。ノアちゃんが武術するのを認めるだよ」
寂しそうに、チチが答える。
それにたいして罪悪感を覚えるノア。
「だけども!!武術するのは認めるだがノアちゃんは女の子 なんだからお洒落したりおっかぁの手伝いしたりするんだぞ!!!」
「っっ!!はい、わかりました!!母様!!!」
ただでは起きないチチだった。
読んでいただきありがとうございました。