【習作・ネタ】狂気無双   作:モーリン

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結構暗いです。けど無双します。
何かもう凄い強い狂った人間を書きたかったのです。
正史でも活躍している人物なのですが、狂っているので閲覧注意です。


1話

 

西暦181年。後漢末期の時代である。

三国時代幕開けより少し早い。けれど、漢の民が官僚に不信感を抱き各地で小さいけれど、

決して見過ごせないような団体が目に付く世の中である。

 

「おい!この商い人いいもん持ってるぜ!」

「へへ、こいつぁ儲けもんだな!」

 

益州のとある場所。荒野が広がり、所々草木が生えている。

そんな大地の真ん中で、馬車が損壊し、馬が血を流し、数人の人間が大地へと沈んでいる。

 

それを行ったのは多数の賊である。数は210。この時代では比較的数が多い盗賊団。

主に商い人を狙い多数で囲んで嬲りながら人を殺し、その商品を奪っていく。

当然、そこに女がいれば犯し、砦へと持ち帰り死ぬまで犯す。

 

その被害人数は数十人以上にも及び、この賊たちがいかに残虐非道なのかが分かるだろう。

 

しかし官軍は動かない。否。動いているが、中々補足出来ないのだ。

地理を理解し、賊にしては統率が取れた動き、さらに斥候を用いて官軍の動きを早く察知し逃げる。

 

そうして生きてきたのだ。上手い汁を啜って。

 

「女がいないのは寂しいが、砦に行けばいるからな」

「ああ、まぁまだ殺さないように扱わないとな!ははは!」

 

殺した商人を更に切り刻み、すでに原型をとどめていない。それでも彼らは笑う。

何故なら目の前に金、宝、食料があり、自分達は最強だと思っているから。

そして、根城にしている砦にはまだ女が数人生きているからだ。

 

 

しかし、彼らは知らない。今日この場所で生を終えることを

 

 

「ん?おい」

「あ?何だ?」

 

形なりの見張りを行っていた賊の一人が荒野の向こうから人影を察知し、近くの者の肩を叩き、知らせる。

 

「ありゃ…人だな」

「へへ、身包み奪って殺そうぜ」

 

鴨が葱をしょってきたとは正にこのこと。この不安定な時代に一人で出歩くなぞ、自殺行為に等しい。襲ってくださいといっているものである

 

「おいおい…ありゃ女だぜ!」

 

一人が声を上げて、周りの賊がその方向を見る。小さい人影だったのが、賊に近づいてきてその形を現した。

髪の毛は腰まで流し、光に反射し青みが綺麗に光っている黒耀色。瞳は深海を思わせる蒼で鼻は高く、唇はルージュを塗ったかのように美しく艶を感じる

身長は目測で7尺程度。服装は体のラインが分かるような白と赤い斑点が特徴的な布を腿の中ほどまである上着で女性らしい起伏が浮かび上がっている。

腿から足先にかけて白いニーソを履いており、これも赤い斑点の模様が特徴的だ。

 

しかし、腰には二振りの剣が帯剣してあり、武芸者だということをうかがわせる。

 

「おいおい…極上の女だぜ」

「ああ。おい!野郎共!囲んでしまえ!」

 

その号令と共に賊全員が商品等を置いて女の周りを囲んだ。男総勢210名が一人の女を囲んだ

 

「近くで見るとたまらねぇな」

「ああ、世にこれほどの女が居たなんて、こいつで数年はこまらねぇな」

 

賊が女を囲み、情欲に溢れる言葉を零す。その眼は女の顔、胸、腰、尻、腿など網膜に焼き付けんばかり凝視する。

傾国の美女…という評価が頭を過ぎる。それほどまで完成された美を持っており、妖艶な雰囲気である。

 

ゴクリと、誰かが唾を飲む音が聞こえる。

 

「へへ、あんた、何者かしらねぇがココを通るには金が必要なんだぜ」

 

賊のリーダーだろうか、先ほど女を囲めと号令した人間が女の一歩手前まで歩み寄り、品定めするような眼で警告する。

しかしこの警告は意味が無い。金があろうと無かろうとこの場で犯しつくし、更に砦までの道すがらも犯し、帰ってからも犯す。

この男はそう頭の中で思い描き、下腹部の一部が硬くなる。

 

「生憎、金は路銀しかない」

 

臆せずして零したその声は、凛と響き、声量が小さかったのにも関わらず男達の鼓膜を刺激した。

そして思う。啼いた声も聞きたいと。

 

「それじゃあ…体ではらわねぇとなぁ?」

 

そうして女に触れようとして右手を伸ばす。

 

 

 

 

その瞬間、その右腕が宙を舞っていた

 

 

「へ?…あ、あああ…あああああああああああああああああ!!俺の腕がああああああああああああ!!!?」

 

根元から切れた腕が宙から地へと落下して大地を赤く染め上げる。

そして男の切断箇所からも血が噴出し、近くに居た賊を赤く染め上げる。

あまりにも一瞬の出来事で状況が理解できていない男達。

 

「こ、こいつ!殺せ!!殺せ」

 

切られたリーダーがそう口にし、最後に雄たけびの如く叫ぼうとしたがそれは叶わなかった

 

「へあ?」

 

金属と金属が擦れる音が小さくなった瞬間に、男の首が飛んだ。

切断面から血を噴出しながら、その場で少し立ち尽くし、やがて重力に引かれて後ろへ倒れていった。

その血は女を少し汚していた。まるで衣服を飾っている赤い斑点のように。

 

「き、きさまあああああああああ!殺せ!嬲り殺せ!!!」

「「「おおおお!!!」」」

 

一斉に女へ襲い掛かる賊はしかし、遂に女にたどり着くことは無かった。

抜刀された剣が霞むような速さで、空気を裂きながら賊の体を両断していく。

あまりにも早く、あまりにも技術があるのか、まるで素振りをしているように滑らかに人を切る。

 

「うぎゃああ!」

「ああああ!?しぬ!?しぬううううううううう!?」

 

女が二振りの剣を振るう毎に、賊が持っている質の悪い剣毎体を両断する。

血しぶきが舞い、少し離れてみると血風が舞い起こっている様な光景だ。

正に地獄絵図といったほうが正しいだろう。

 

「お、おい…こいつ……」

「わ、笑って…いやがる……」

 

賊が怯み、逃げ出した賊がいるが、敵討ちやまだ諦めていない賊が多い中、女と対面していた者がそう零す。

そう、笑っているのだ。この地獄絵図を生み出して笑っているのだ。

 

「ねぇ」

 

動きを止めてそう問いかける女。その声に、誰一人として動けるものはいなかった。

話しかけられた内容を全部聞かなければ殺される。誰もがそう思い、地に足を捕らわれたようになる。

 

「君達が女を犯して快感を得るように、私は…」

 

満面の笑みを浮かべる女は正にこの世の物とは思えないほど美しく綺麗な笑みだ。

更に顔が少し上気し、妖艶さも増している。この地獄絵図ではない所でこの笑みを見れば一目ぼれをしていたであろう。

それほどまで美しく整っている。にも関わらず、今ここにいる誰もがそう見えなかった。

 

「こうやって殺したり、強い奴と戦っていると感じるんだぁ…ふふ、今最高にいい気分……」

 

蕩けるような顔を晒しながら、剣を抱き上げて刀身に着いている血を舐め上げる。

 

「あは、あはははははははははははは!!」

 

剣を手に戻し、笑う。透き通るような地獄の声。

 

「う、うわあああああ!逃げろ!逃げろおおおお!」

「くるなあああああああああ!」

 

その狂ったような笑い声で賊たち全員の心が折れる。生にしがみつこうと必死に逃げようとする賊を嘲笑うかのように

 

笑い声を上げながら切る。斬る。キル。

 

一方的な殺戮だ。少し前……一刻も前は商人を襲い、賊たちが人を嬲り殺していたのに、既に逆転した。

女は逃げる男へ向かって無慈悲に剣を体に滑り込ませ、絶命させていく。

二振りの剣を巧みに操り、演舞を舞っているような美しい動きで、まるで死神の鎌を振るうように賊を切り伏せていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、あの益州のでけぇ賊たちが全滅したってぇ話、知ってるか?」

「益州の…確か200人位のでけぇ賊か」

「ああ、官軍様もお手上げの賊でぇ」

 

益州のとある飯屋。忙しそうに料理を運ぶ人や、注文された料理を一生懸命作っている料理人。

運ばれてきた料理を食べる老若男女。そして溢れる喧騒。

その中で男二人が昼から酒を飲みながら噂話に華を咲かせていた。

 

「全滅って…とうとう官軍様が討伐したってのかい?」

「…それがよ、わからねぇんだ」

「分からない?」

 

噂話を持ちかけた男が杯を持って一気に酒を煽る。

喉を通り抜ける熱さを逃がすように肺から息を吐き出した。

 

「ぷはぁ…ああ、分かってるのは荒野に賊と思わしき死体が転がっていたのを誰かが発見し、土に埋めたらしい」

「つまり、誰が討伐したか分かってないのか?」

 

そう問うた男も残りの酒を一気に煽った。

 

「ああ」

「ふーん、まぁ良かったじゃねぇか。あの賊がいなくなれば商人は安心して行き来できらぁ」

 

そう、あの賊のお陰で商人の行き来が滞っていたのもあり、居なくなったなら安全も確保される。

よって、邑にも商人が来るようになったのだ。

 

「ここからが面白いところよ」

「何だ?」

 

体の向きを変えながら話を振ってきた男を見る。

 

「何でもたった一人の女に殺されたらしい」

「はぁ?それはいくらなんでも、夢を見すぎだろう」

「いや、それがよ、近くの邑に俺の知り合いが住んでるんだけど、そこの邑に女が一人尋ねてきたのよ」

 

何時の間に酒を頼んだのか、食事を運んでくる少女が男達のテーブルに追加の酒を置いた。

それを持ち、ちびりと酒を嗜む。

 

「それがまた別嬪な女だったらしい。赤い服を着ていて、少し土汚れと臭いがしていたが、この荒野を旅していたんだ可笑しくは無い」

「まぁそうだな」

 

別段可笑しくは無い。二日三日も風呂に入らないことは、旅をしている最中ではしょっちゅうあるのだ。

匂いを発していても可笑しくは無い

 

「それで近くに河がないかと聞かれ、その場所を教えて、その次の日に女が帰ってきたのだが…」

「おいおい、もったいぶるなよ」

「ああ、すまねぇ。なんとその赤い服がほっとんど白くなってたらしいんだ…赤い斑点を残して」

 

そういい終わると、口を潤すように酒を一口口に含み、ゆっくりと喉へ運んでいった。

 

「…何か?その赤い服は実は血だったって落ちか?」

 

つまみを食べながら話を聞いた男は、内心そんなことは無いだろうという思いを秘めて落ちを言い当てる

 

「ああ、その次の日に賊の死体が見つかったんだ…ありえるだろう?」

「いやぁ、確かに女で武勇に秀でてる奴は結構居るが、200人以上を一人ってのは…流石に夢物語だろうよ」

「まぁ、俺も実際に見たり聞いたりしてねぇからなぁ。なんともいえねぇ」

 

そうして、酒や食べ物を全て食し、席を立ち上がる。

 

「賊は居なくなった。これだけでいいじゃねぇか」

「確かにな。まぁ所詮は噂よ。当てにならねぇ」

「だな」

 

そうして料金を払い外へ出ようとし、扉を開けて店の外へ出た。

 

店内には蒼黒い髪を腰まで流し、二振りの剣を携えた女がテーブルで食事をしていた。

 

 




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