【習作・ネタ】狂気無双   作:モーリン

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6話

 

 

「それでは徐晃さん、宜しくお願いします」

 

ぺこりとお辞儀をする彼女の背にはむしろは無い。すべて完売したのかは定かではないが、その顔は晴れやかなので恐らく完売したのだろう。

腰には一応護身用なのか、一般兵士が装備するような剣が携えてあった。

 

「此方こそ、宜しくお願いします」

 

その剣に目線を少し流して徐晃も劉備に向かってお辞儀をする。

 

「私の村はここから南に約三日ほど徒歩で歩けば見えてきます」

「わかりました、食料等の準備は…問題ないようですね」

「はい!」

 

劉備が背負っている筵を入れていたカゴの中に十二分な食料や水等が入っていた。勿論徐晃もそうした背負う袋を用意している。

基本盗賊団の根城にて食料を拝借する徐晃はそれほど手荷物はないし、いざとなったら野草でも食べて飢えをしのげる。

ただし、路銀だけは何時も一定以上か、自分の家…というよりもぼろ小屋だが、そこにお金を隠してある。

 

その場所は陳留のとある外れにある小屋。

 

以前までは鍛冶師が居た、江陵の外れだったが、昨年の事件のお陰で安心して寝泊りとお金を置けなくなったので、馬を一頭賊から拝借して引越ししたのだ。

引越しと言っても家財は殆ど無い。というよりお金だけであり、普段普通の人がみても空き小屋だという認識しか抱けない。

ただ、徐晃が時折帰ってきているので、それを見た子供はお化けがいる!という噂を立てたとか立てなかったとか。

 

「それでは早速出立いたしましょう」

 

その言葉に劉備は頷いて、眼前に広がっている荒野へと足を踏み入れたのであった。

 

 

 

 

 

 

「涼州はやはり馬の質がいいですね」

「ほへー」

 

取り留めの無い話をしながら、女二人で荒野を歩き、二日目。今まで奇跡的にも何もなかった。

一日目は少しぎこちない感じで歩いていったが、劉備の人柄もあり、その日のうちに打ち解けてしまっていた。

夜になる前に川を見つけて、交代で布をぬらして汗を拭う。女性の嗜みなのか、劉備はカゴの中から香水を出し振りまいていた。

 

徐晃はそんな彼女を見て、女性として羨ましい部分がある事に内心気付き、驚く。

自分の中にそんな感情はとうの昔に消え去ったと思っていた。流石に毎日布で汗を拭っているが。三日間程風呂に入らなくてもなんとも思わない神経だった。

賊討伐でも返り血は流石にすぐさま落としているが、その死体の匂いなど確かに臭いと感じるが、それほどでも無くなって来た昨今である。

 

それが目の前で香水を嗜んでる姿を見ると女性としての心の部分は羨ましいと感じたのだ。

 

だからと言ってこれから女性らしくしようというのはあまり無い。今までもファッションとかにも気をつけていたし、それ以上のことはあまり望んでいなかった。

ただ、なんとなくいいなと感じただけである。しかし、その突っかかりが逆に面白く感じて、その日は朝になるまで機嫌が良かった。

 

 

「…しかし、ここ最近賊が活発になってきているのに、よく一人で遠いところまでむしろ売りに来ましたね」

「えへへ…家って貧乏だから、私が稼がなきゃ!って思って、三日位なら大丈夫かな?って思ってたんですよ」

「なるほど」

 

そして気がついたら徐晃は、劉備の不思議な魅力に若干心を惹かれていた。

ここまで人と喋ったことは人生において、この19年間において皆無である。12歳になるまでの故郷の邑でもこれほど会話をしたことは無い。

その小さな変化を楽しみながら徐晃は劉備との会話を楽しむ。

 

「でも、徐晃さんはこれまで一人で旅をしていたのでしょう?よほど腕に自信があるんですね。いいなぁ~…わたしって取り柄があんまりないから」

 

しょぼんと顔を俯かせる劉備は正に全身で喜怒哀楽を表現している。

 

「ふふ、それなりには、ですね」

 

武力は言葉では表しきれない。徐晃はその事を理解している。

仮に賊を100人切ったという情報があったとしよう。力としては具体的な数字に、相手がどんな常態なのかがはっきりしている。

よって、指標程度にはなると思われるが、それでも個人差で別れる。

 

まずはこれが戦とは離れている一般人や、文官などはどう捕らえるかといえば、やはり化け物と言われるレベルだ。

しかし、武官であった場合、確かに、強いと思うが、文官が思うほどの印象は抱かない。何故ならどんな武官でも自身の武に大小あれど誇りがあり、負けたくないという気持ちがるから。

そうして意識の食い違いが出てくる。だからこそ、文官と武官はそういった面でも衝突しやすいのだ。

 

何れにせよ、その目で見てみないことには何事も正確には把握できないということだ。

 

と言っても徐晃は自身の武には多少なれど自信があるが、それを誇ることはあまりしない。

人殺しの為の行為をそういった示威行為に使いたくないのだ。

 

……とこれまで言ったのは建前で、本音を言えば人を殺せれば、強い人間と死闘できれば、どうでもいいという思いが一番強いが。

 

「まぁ、今に分かりますよ…」

 

そうして徐晃は東の方角へと体を向ける。

劉備もそれにつられてその方角を見る。その方角には森しかなく、辺りに鳥が飛んでいるだけである。誰かが居る気配は…見た感じない。

首を傾げる劉備を尻目に、徐晃はにやにやとその方向を見つめる。

 

そして、ぽつぽつと男達が森の向こうから姿を現してきた。

 

「…え?」

 

何故分かったのか…という疑念は劉備には無かった。劉備の人生において、賊の襲来というのは言伝に聞いたことがあったりした事があるだけで、実際に現場に居たことはない。

むしろ、彼女が現場に居た場合は、それはもう、この世界観通り陵辱されるがままだろう。劉備自身は1対1では負けることは無いと思っている。

その根拠は劉備がこの立場に立つ以前に、とある人から勉学やそういった武術も少しは習ったからである。

 

しかし、迫り来る賊の数は目算で30人は確実にいるし、その後ろからまだ賊が姿を現していれば50人は確実にいるであろう。

その事実を認識して劉備は体を震わせる。そして、震わせながらも剣を手にとり、抜刀する。

 

その隣の徐晃はその光景を意外そうに見ていた。

歩き方や、体力、筋力から考えて劉備は戦闘には向いていない。むしろ、文官という立場の方がしっくり来る。

よって、この状況で…普通の人間であれば絶望的な状況でも逃げずに立ち向かう姿勢を見せるのは、徐晃が関心を寄せるに値した。

 

「徐晃さん…」

 

悲愴な決意を瞳に浮かべて徐晃を見る劉備の顔は既に真っ青だ。

 

「…劉備さん、私が護衛なので大丈夫です。貴方には指一本触れさせませんよ」

「わ、私も戦います。この人数なら一人より二人じゃないと…」

「大丈夫です…腕に覚えがあると先ほども申したはずですよ」

 

そうして一歩前へ出る徐晃。その頼りになる背中を劉備は見つめる。

その視線には憧れを含んでいたが、徐晃には知るすべは無い。

というより、徐晃の言った言葉は強がりでもなんでもなく、全て事実である。

 

むしろ

 

(…若干数が少ないけど、まぁいいや。今夜もいい気分で寝れそう)

 

と、心中は既に劉備の事を忘れて目の前に迫ろうとしている賊達を殺すことで頭がいっぱいであった。

徐晃の目算では51人。後方からも賊が現れたことで数を増やしたが…問題は無かった。

しかし、今回は護衛対象が居る。一定の距離を保ちながら賊を殲滅させるという、無意味で余計な手間な殺しだが徐晃は逆にうきうきしていた。

 

「それでは、万が一そちらへ賊が来ましたら対応お願いします」

「へ?…え、ちょっと!徐晃さん!」

 

徐晃は劉備にそう投げかけ、恐ろしい速度で賊へと突貫していった。

 

距離にして約1.5里。現代風に言えば約600メートルを一分もしない内に距離を詰めた。

 

「ふふ」

 

息切れの一つも犯さずに団体の先頭に居た賊を神速の抜刀で首を飛ばした

 

「あはぁ」

 

その瞬間数日間しか間を空けていないが、久しぶりに人の肉と骨の感触を得たように感じ、今までよりも快感を覚えた。

 

「な!?殺せ!殺せー!」

 

誰かが徐晃に向けて叫ぶ、周辺の賊もそれに呼応して徐晃を殺しに行く。

どうやら遠くに居る劉備より近くに居る徐晃を血祭りに上げるか、戦闘不能にして犯そうと考えたらしい。

 

すぐさま賊は徐晃を中心に包囲を固めた。

 

「へへ、一人殺してんだ…どうなるか、分かってんだろうな?」

 

その質問には答えず、ただただ綺麗な笑みを浮かべる徐晃。久しぶりの殺人の快楽の為、かなり上機嫌な証拠である。

 

「くそ女…その生意気な顔をずたずたに引き裂いてやるぜ!」

 

徐晃が浮かべている笑顔が癇に障ったのか、顔を赤くして剣を振り上げてくる賊、そして周りの賊も動いてくる。

 

「いいねぇ」

 

見下され、犯そうと思われた徐晃は完全にスイッチが切り替わっていた。

腰を落とし、一閃。目の前の賊を剣ごと上半身と下半身を切断し、もう一振りの刀を抜刀しながら、体を半回転させ、後ろから切りかかろうとしていた賊を左右に分断する。

 

徐晃の左右から剣を一斉に振り下ろしてくる賊を両手の剣で受け止め、弾き、二人を袈裟切りで肩から腰にかけ心臓すら両断しながら、手が交差するように切断した。

その時

 

「だめー!!」

「何だこの女!?」

 

聞き覚えがある女性の声が辺りを木霊させた。

その方向を見ると、劉備が剣は携えているが、武器を振るおうとせず賊と、徐晃に制止の声を掛けていた。

一瞬周りの男達の動きが止まった瞬間に一瞬で周りの人間をすぐさま切り殺した徐晃は、劉備の元へ駆けつけようと地を蹴った。

 

道すがら賊の首を正確無比に無駄なく切断していった先に徐晃が見たのは

 

「へへ、おい、そこの化け物。観念しな」

 

人質にされた劉備であった。

一人の男に後ろ手を取られて、もう一人の男に首筋に剣を当てられている。

状況は絶望的であった。

 

「こいつの連れだろ?どうなってもいいのか?」

「あう…」

 

劉備も若干抵抗したのか、その衣服には土が着いていた。だがやはり多勢に無勢で捕まったと、徐晃は推測した。

 

「おら、武器を捨てろ。こいつがどうなってもしらねぇぜ」

「……」

「徐晃さん…ごめんなさい」

 

劉備は本当に申し訳なさそうにしていた。

そも彼女は殺しをまだ経験したことが無い。徐晃に加勢したのは、相手を殺さずに無力化しようと加勢したかったというのは建前で、本当は無我夢中で徐晃を助けようと思ったのだ。

劉備は徐晃の強さを信じきれていなかった。無理も無い。殆どの人間は信じないであろうし、そもそも徐晃からどれくらい強いのかなんて聞いていない。

 

よって劉備の常識の範囲以内での強さで徐晃の強さを決め付けて、流石にこの人数は一人では無理であろう。という結論に至り、この結果になったのだ。

 

劉備はその勇気を奮ったのだ。

だが、それでも現実というのは無常だったのだ。いくら賊一人には負けないと思っても実際、賊と人くくりにしているが、強い人間も弱い人間も居る。

直接賊と戦ったことがない劉備は心のどこかで慢心していたのだ。

 

「しっかし、二人ともすげぇ上玉だぜ、頭。今日はさっさと引き上げて洞窟でこいつら回しちゃいましょうぜ」

「ああ、殺された人数分孕ますのもいいな!」

 

ははは!と笑っている賊を劉備は真っ青の顔でこれから先の地獄を思い浮かべていた。

 

「で、おい、はやく武器を捨てないとこいつの首を掻き切るぞ」

 

未だに武器を捨てていない徐晃に再度警告を放つ。

しかしそれは無意味だ。まず選択を間違えたのだ。劉備を盾にして真っ先に徐晃を取り押さえるべきであったのだ、この賊達は

だが、徐晃のその強さに賊の誰もが近づいて捕縛するという選択肢は思い浮かばなかった。

 

それが命運を分けた。

 

「徐晃さん!ごめんなさい!私のことはいいから、貴方は逃げて!」

「うるせぇ!」

「うぐ!?」

 

悲愴な決意をして徐晃に投げかける劉備に、賊の一人がボディブローを当てた。人体を打つ音は徐晃の鼓膜まで届いた。

 

「さぁ、速く捨てろ!」

「……殺せば?」

「…は?」

 

ポツリと一言、徐晃はそう言ってのけた。

期待する返事とは全く逆の言葉で一瞬呆けてしまった。

そして人質の劉備もまた、目が点になっている。

 

「ただ、劉備を殺した瞬間に…貴方の首をもらう」

 

殺気が形になったといったほうがいいのか、凄まじい気迫を周囲に撒き散らせ、徐晃は劉備を人質にしている賊を射抜くように睨む。

 

「ひっ」

 

一瞬だけ怯む賊。そして劉備もまた、恐怖を抱いた。

そして、一振りの刀を上に投げる。

恐怖を抱いている賊と劉備は防衛本能か、生存本能かどちらか或いは両方の本能に従ってか、目の前の恐怖が行った行為を見て、自然と上へと目線が奪われてしまっていた。

 

数瞬の空白。徐晃にとってはそれだけで十分な時間であった。

 

視線が上に行っている間に3歩も距離を詰め、漸く徐晃が接近していることに気付いた賊が、劉備に当てていた剣を引いて殺そうとした

が、それは叶わない。

 

空気を切り裂くように、されど劉備を傷つけないような精密さですっと、刀の切っ先で劉備の首に当てている剣を両断し、捕らえている賊の首の動脈を掻き切る。

 

「ぐ、ぎゃあああああああ!?」

 

その激痛に劉備を投げ出した。

 

「きゃ」

 

投げ出された劉備は突然の事で地面に転んだが、すぐさま剣を取って賊に切りかかろうと、もう後には引けないと決意を込めて、賊に対して初めて剣を構えた。

しかしその覚悟は無駄となる。

閃光のような速さで劉備の周りにいる賊を切り殺す徐晃の姿が目に飛び込んできた。

 

「うわああああ!」

「ぎゃああああ!?」

 

周囲に断末魔が広がる。正に鬼人。何時ものような笑顔を浮かばせながら賊を惨殺していく徐晃の姿に劉備は先ほどとは違った恐怖を覚えた。

いや、違う。先ほどと今ので、はっきりと徐晃に対する恐怖が合わさったのだ。

 

しかし、これまでの徐晃は劉備にとっても好印象で、できればこれからも交友関係を築きたいと思った。

旅の話や、冗談の話など、このちょっとした旅で劉備は徐晃に対して少なからず気を許していたのだ。

 

だが、目の前の現実はどうだ?

 

嬉々として刀を振るう彼女は今までの徐晃に対しての印象を変えざるを得ない。

旅の時も一人で旅をしていたと徐晃は語っていた。賊は確かに関係あると言ってはいたが、深く語らないその姿は人には言えない事情があるのだと劉備は察した。

そこから一つの結論をはじき出した。

 

徐晃は、賊のせいでこうなってしまったのではないか……と。

 

確かに、徐晃は賊に会わなければ邑の一因として、誰かと結婚し子供を生み、育て、平和な家庭を築いていたであろう。

だがその未来は賊によって既に叶わなくなったものだ。……本人の意思はどうであれだ。

賊が出現した理由は何だ?国が腐敗していく一方だからだ。そう劉備は頭の中で結論を出した。

 

「ぎゃあああああああああああああああ!」

 

一際大きい断末魔が劉備の鼓膜を振るわせた。その根源をみると、徐晃が賊の左胸の辺りに刀を突き刺している姿であった。

上に投げた刀は既に回収したのか、地に落ちる前に受け取ったのか定かではないが、両の手にはしっかりと刀が携えてある。

 

「あ…」

 

劉備はその光景を見つめるしかなかった。

 

「あ…ああ…しに、死にたくな」

 

最後まで言葉を発せられずに、徐晃は刀の刃の部分を回転させて、上へ向かせ、そのまま心臓ごと頭部を切り上げた。

断末魔は無い。声が発せられる前に喉の声帯すら斬ってしまったからだ。

噴水のように吹き荒れる血が徐晃に降り注ぐ。

 

「あは」

 

殺した瞬間の感覚に徐晃はたまらず、声を漏らす。

 

 

劉備は徐晃の姿と、その周りに伏している賊の死体の惨さをココで漸く意識の中で受け止め

 

「う、おえええ」

 

吐いた。

酷く鼻を刺激する血の匂い。そしてばらばらになっている賊と、いくつも首が転がっている元は薄い茶色だった荒野。

その荒野は何処を見ても赤い色。

その場で嘔吐し、頭がくらくらしてきた劉備はすわり、生ぬるい感覚を足と地に付いた手から感じた。

 

ぬるっと目の前に持っていく。それは赤黒い

 

「…あ……」

 

劉備は現実を受け止め、許容できずに…気を失った。

 

 

「おっと」

 

気を失った劉備は重力に引かれて血の海へと倒れそうになった。

それを徐晃は胸の下に腕を回し、倒れるのを阻止する。

 

「……はぁ」

 

色々な思いと共にため息をつく徐晃の顔は、すこし呆れていた。

 

徐晃には良く分からない感覚であった。

賊を皆殺しにして砦から女性を解放したときに、同じような反応をしていた。

それを見るからに察すると、この状況は彼女達にとって、あまり好ましくないという結論であった。

 

しかし、賊は悪い人間で、しかも連れ去られた女性は陵辱の限りを尽くされた後で、賊を殺したいはずである。

だというのにこういった反応は、徐晃にとってあまりよく分からなかったのだ。そう、殺したいほど憎いと思うから。だから殺されていれば喜ぶだろうと思っていた。

確かに、目の前の光景は確かに少しやりすぎたなと徐晃は思うが、このような反応をされるのは、何故だろうという気持ちであった。

 

そして最も徐晃が気になっているのは、賊を殺している時に何故止めに入ったのだろうという事である。

 

徐晃の考えは相手は此方を捕らえて慰み者にし、殺すという意思が見え見えで、こういった手合いは殺すほうが周りの治安向上にも繋がる。

だというのに彼女は止めに入ったのだ。徐晃の頭では何故その結論に至ったかは分からない。

しかし、不思議と悪いとも思えないのは、彼女の人柄ゆえの事か。

 

だが、悪いと思えなくても甘いとは思った。あの状況に陥ったら殺すか殺されるかの二択。その間にはどんな選択肢も入る隙は無い。

 

その筈なのに、彼女は第三の選択肢を取った。徐晃が考え付かない選択。

 

「不思議な人」

 

ポツリと呟く徐晃。それは本心であった。彼女の生き方は理解できない。しかし不思議と悪くない。だが甘い。

自身とはかけ離れた考え、でも悪くない。

 

そう胸中で思いながら気絶した劉備を見て、くすりと綺麗な笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 




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