やはり鋼鉄の浮遊城での奉仕部活動はまちがっている。   作:普通のオタク

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大変長らくお待たせしました。またコツコツと更新していけるように頑張ります。



かくして、子供たちは試練へ挑む

翌朝、子供たちと一緒に朝食を食べる。

緊張で眠れなかったのか、ただたんに俺と同じで朝から働くのが心底嫌なのか。枕投げがエキサイトしたのか。全員眠そうに目をこすっていた。うん、これはあれですね。眠いんだから無理して働かずに二度寝しよう。俺だって朝から働いて子供の世話とかしたくないし。

「ハイキーくん、サボろうなどと思わないで欲しいのだけれど」

「べ、別にそんなこと思ってねぇし」

「腐れ目、手抜きしたがるときは視線が原因に向いた後、休める場所に向かうからナ。わかりやすいゾ?」

え、俺そんな分かりやすい行動とってたの? どうして誰も今まで指摘してくれなかったわけ? あ、ボッチだったからだわ。

だが、それでも俺の意見もあながち間違いだけではない。

「冗談抜きに乗り気じゃない奴は今の内に言ってくれ。チームワーク取れない俺みたいな奴が混ざってるとそれだけ死亡率上がるからな」

6人は俺の言葉に互いの顔を一瞥したが、誰も席を立つ奴は居なかった。

「……なぁ、腐れ目」

「なんだよ」

どことなくアルゴが焦ったような顔つきで声を出す。

「今ので意欲の低いプレイヤーを外しておこうっていう配慮だったのかもだけどナ? 単に腐れ目みたいだって自分を認識したくなかっただけなんじゃないカ?」

「…………」

アルゴの言葉に子供たち数人が目をそらした。

なんでだよ、ボッチこそ最強だぞ。単に集団生活が苦手ってだけで!

雪ノ下が呆れたように頭を押さえる姿が妙に印象的だった。

✕ ✕ ✕

 

朝食を終え、村の一番奥にある一軒の家に向かった。

そここそが森の秘薬クエストの開始地点であり、とある少女が病に伏せている場所だ。

ノックもせずに入り台所へと向かうと、そこではコトコトと鍋を煮込んでいる女性がいた。

「彼女が依頼人だ」

それだけ言うと、女性に向き合う。

その女性は振り向き、笑顔でこちらに頭を下げた。つられて思わず頭を下げる。いや、NPCだけど、超リアルなんだもの……。

女性は水しか出せないですがどうか、と訪ねてくるのでではそれで。と返す。

丁寧に人数分出てきた水を飲みながら待つことしばし。

女性は煮込んだ鍋の中身を別室へと持っていく。

これがイベントフラグだ。

そのプレイヤーが出入りできないエリアの中では病に苦しみ、ベッドに倒れ伏す少女……女性の一人娘の姿がある。

森の秘薬クエスト。

ここ、ホルンカの村に来る道中でも説明したが、それは病に苦しむ少女を助けるために、村に隣接する森へ行き、<リトルネペント>のレアドロップであるアイテム、リトルネペントの胚珠を手にいれるクエストである。

報酬は第2階層まで現役として使える最高性能の片手剣、アニールブレード。

俺たち奉仕部が、攻略組に最初に提供する武器であり、奉仕部に所属する『子供』に与える最初のクエストに相応しい『残酷な作業』だ。

クエストを改めて理解した六人に、俺は表情を作らないようにして告げる。

 

「お前らへの試験は、これをパーティー人数分……6回。クリアしてもらうことだ。このクエストは何度でも受けられるからな。終わるまで、俺、スノウ、アルゴが交代で監視する。俺達が自分を守るために倒してドロップした物をお前達に渡したりはしない。実力で勝ち取れ」

 

六人がそれぞれ、六通りの、元気な返答を返す。

 

この周回が終わったとき、同じ返事が返ってくるか。

俺たちの仕掛ける試験内容に、今この時点で気がついた様子のメンバーは見当たらなかった。




8時まで残業が増えたりFGOに熱中したりしてますが、これからコツコツ。
とりあえずは活動報告に書いた通り、森の秘薬クエストを3~4回に分けて終わらせようと思います

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