テスター試験に備え問題を作成していても授業はある。当然生徒である俺も授業を受けなければならない。
ということで、
「アニキ〜!頼んますよ〜!」
「おう!任せとけ!」
現在体育の授業でレッドVSイエローの構図で野球をしている。俺のポジションはキャッチャーだ。1ー0で負けている。要求したコースには来たがコースが甘く、十代に一発打たれて1点やられた。そして今はその十代の打順だ。
さて……さっきはインハイ投げさせて打たれた。その前の打席ではインローのボール球を打たせセカンドゴロ……投げさせる場所を考えていると、
「その勝負待った!」
という大声と共に三沢が来た。そういえばいなかったな。
「すみません。デュエル理論の考察に夢中になってて」
デュエル理論って前の授業じゃねぇか。
「投げられるのか?」
おい先生。まずは遅刻してきたことを怒れよ。
結局三沢がピッチャーに。
俺はキャッチャーとして色々相談しなければならない。
「で、投げられるとは言っても相手は十代だ。大丈夫なんだろうな?」
「問題無い。既にアイツを倒す計算式は完成している」
計算式ねぇ……まぁ、勝てるなら良いけど。
「来い、2番!」
「行くぞ、1番君!これが君を倒す俺の投球だ!」
結果、三沢VS十代は三沢の勝利。三球三振に仕留めた。
そして最終回、こちらの攻撃だ。十代がピッチャーで点差は1ー0のまま、アウトカウントは2アウトという場面で連続フォアボールで満塁に。俺もフォアボールで現在2塁にいる。そして三沢の打席。結果だけ言えば逆転サヨナラ満塁ホームランだった。しかしボールを取りに行った十代と丸藤が帰ってこない。心配した三沢が十代達のもとへ走っていき、少しすると戻ってきた。事情を聞くと三沢の打球が近くを通っていたクロノスに直撃したらしく、十代達が理不尽にも怒られていたらしい。しかし三沢が駆けつけ『自分が打ったせいだ』と言うと態度が一変しすぐにおさまったらしい。
で、今日の授業が終わって部屋に戻ると部屋の前に机やPCが置かれていた。
机の中身を確認すると俺と三沢の物だった。ドアを開けると、三沢と十代、そして丸藤がいた。
「三沢、何故俺の机やPCが外に出ているんだ?」
「ちょうどよかった。龍斗も手伝ってくれ」
「質問に答えろ。何故俺の机やPCが外に出ている?」
「この部屋にビッグバンを起こすためだ」
…………ビッグバン?
何の事かと思っていたらようはペンキ塗って数式だらけの部屋を綺麗にしようというものだった。
そういえばこいつ、何故か鉛筆とかではなくペンで数式書いてたな。大量の消しゴムじゃダメなんだな。
仕方がないので俺も手伝って部屋を綺麗にした。途中十代や丸藤、三沢が遊びだしたので蹴り飛ばしてやったが……で、現在食堂。
「で、三沢。十代達に協力してもらってまで部屋を真っ白にしたのは何故だ?」
あんなことをしなければならないほど数式を書いているのもおかしいが、数式が書いてあることなんて気にしない三沢が、いきなり部屋を綺麗にするのは何か理由があるはずだ。
三沢の話では、どうやら明日万丈目と寮の入れ替えをかけたデュエルをすることになったらしい。…………あれ?三沢ってずっとイエローだったはず……じゃあ負けるのか?
「なるほど。部屋を綺麗にした理由はわかった。じゃあ次だ」
「次?」
「寝る場所どうするんだ?」
部屋はペンキ塗りたてで寝られる場所がない。もっと言うとカードを保管する場所がない。
「俺は十代達の部屋に泊めてもらおうと思う」
なら後は俺か……
「前使ってたレッド寮の部屋使ったらいいんじゃねぇか?」
十代がそんな提案をしてきたが……
「空いてるのか?あと使ってもいいのか?」
今の俺はイエローの生徒だ。他寮の生徒がそう簡単に使えるとは……
☆
「まさか使えるとは……」
とりあえず大徳寺先生に相談したところ、まるで問題ないということで使わせてもらうことに。さすがにPCの持ち込みはできなかったので、アタッシュケースだけを持ってレッド寮に移動して詰めデュエルの内容を考えることにした。
「相手のフィールドに【DNA移植手術】(属性:光)と【
あとライフはどうしよう……別にピッタリ0にしなくてもいいわけだから、ある程度少なくてもいいんだが……いや、ライフはラストでいいのか。まずは相手のフィールドを完成させて……それで、こちら側のフィールドを作成する。
「…………どうやって倒すか……」
ちょっと固めすぎたか?いや、しっかりと手札を用意させれば……だがそれで詰めデュエルになるのか?……三沢あたりに判断させよう。次からまた違う問題を考えればいいし、面倒だけど。
「手札が【ライトニング・ボルテックス】、【大嵐】、【
あとはエクストラと墓地の用意か。このカードとこのカード。あとは……いらないか。あとはライフの設定をして……これでできあがり。これを適当な用紙に書いて、明日にでもPCに保存しよう。とりあえず今日は1問完成させて就寝。
翌日。ドンドンとドアを叩くような音が聞こえる。部屋のドアからではないということは別の部屋か。
ドアを開けると十代達がどこかに走って行った。
十代の部屋のドア近くに購買のスタッフがいるから事情を聞いてみるか。
「なんかあったんですか?」
「それがね。船の荷下ろしのために桟橋に行ったら、海にカードがこーんなに捨ててあったのさ」
購買のスタッフは腕を目一杯に広げて表現するが、イマイチ理解し辛い。だがカードか……少し気になるな。
「そうですか……ありがとうございます」
礼を言って俺も走って桟橋に。
そして十代達を見つけた。
「十代」
「あ、龍斗。これ……三沢のカードだ」
【ブラッド・ヴォルス】……今は禁止の【破壊輪】……他にも様々なカードが海に捨てられている。
「迂闊だった。このデッキは部屋の外に出していた机の中に入れてあったんだ」
「いったい誰がこんなことを……」
「折角オベリスク・ブルーに昇格のチャンスなのに〜!」
丸藤と十代はこの状況を嘆いている。それに対して三沢は大分冷静に見える。
「……三沢、時間が無い。行くぞ」
「ああ」
「え!?デッキも無いのにどうするんすか!?」
「まさか、龍斗のデッキを!?」
「アホ。三沢はそんなことする必要無い。とにかく行くぞ」
十代達と走って校舎に向かう。
デュエルフィールドに到着すると、そこにはクロノスと万丈目がいた。
「遅いーノネ。シニョール三沢」
「尻尾を巻いて逃げ出したのかと思ったよ」
「そ、それじゃあ三沢の相手って……そうか!三沢のカードを捨てたのもお前が!」
「な、なんでスート!?」
「なんの言いがかりだ十代?何故俺がーーー」
何も知らないとばかりに振る舞う万丈目。しかし若干だが口角が上がっているように見える。
「本当に言いがかりかしら?」
万丈目の発言を遮るように後ろから声がした。全員で振り返ると、天上院とカイザーがいた。
「私見てしまったの。今朝万丈目君が海岸にカードを捨てていたのを」
ほう……十代もそうだが、テストすると言ってあるのに随分余裕があるようだな。まぁ解いてくれれば文句は無いが……
「気になって事情を聞きに来たのだけど……」
「汚いぞ万丈目!やっぱりお前が!」
「黙れ!俺は自分のカードを捨てたんだ。それとも、そのカードに三沢の名前でも書いてあったのか?」
自分のカードねぇ……わざわざ海にまで、それも寮の入れ替えがかかっているこのタイミングでカードを捨てに行く理由があるとは思えない。
「俺を泥棒呼ばわりした責任は取ってもらうぞ。いかがでしょう、このデュエルで負けた方が退学というのは」
余程自信があるんだな。寮の入れ替えをかけるデュエルをする、つまり実力が近いと教師に判断された生徒同士だというのに。
「無茶苦茶だ!キーカードをなくした三沢のデッキはーーー」
「いいでしょう。デッキならあります。その条件、受けましょう」
「三沢!?」
「心配かけて悪かったな十代。捨てられたデッキは、調整用に作った寄せ集めのデッキ」
あのデッキには俺も世話になったな。【サイバー】を組んだときに。【破壊輪】なんてカードは出てこなかったけど。三沢は何故か制服のボタンを外し始めた。
「本当のデッキは、ここにある!!」
その発言とともに制服の中を見せる。
…………服が無かったらただの変態だな。ともかく三沢の上着の中には6つのデッキケースが付けられていた。
「見よ!俺の知恵と魂を込めて作った6つのデッキを!
『風』!疾きこと風の如く!
『水』!静かなること水の如く!
『火』!侵略すること火の如く!
『地』!動かざること地の如し!
『闇』!悪の闇に『光』差す!」
風……【ドラグニティ】……いや、【ハーピィ】か?
水……【
火……【ラヴァル】……
地……【クリフォート】……
闇……【甲虫装機】、【BF】、【暗黒界】と……
光……【ライロ】、【魔轟神】、【聖刻】と……こんな感じか?
「む、6つのデッキだと!?そんな虚仮威し、この俺の怨みの炎で焼き尽くしてやるわ!」
俺は6つ以上持ってるぞ。
別にデッキ1つに拘る必要はないからな。
「決まった。お前を倒すデッキは……コレだ!」
三沢はデッキケースからデッキを取り出すと同時に服を着直した。……どうやったんだ?どのデッキを選んだのかよりそっちの方が気になる。
「このデッキが虚仮威しかどうか、すぐにわかるぜ、万丈目!」
「こい、三沢!」
「「デュエル!」」
万丈目準
LP4000
VS
三沢大地
LP4000
「俺のターン、ドロー!俺は【
【地獄戦士】
攻撃表示
ATK1200/DEF1400
闇属性で戦士族で攻撃力1200……サポート多いな。いろんなカードで持ってこれる。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
万丈目準
LP4000
モンスター
【地獄戦士】:攻
ATK1200
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
「俺のターン、ドロー!」
「三沢はどのデッキを選んだんだ?」
「風?水?」
「俺は【ハイドロゲドン】を召喚!」
【ハイドロゲドン】
攻撃表示
ATK1600/DEF1000
水か。
「いけ、【ハイドロゲドン】!【地獄戦士】を蹴散らせ!」
【ハイドロゲドン】の口から自身の体を構成していると思われる水を吐き出し【地獄戦士】を破壊した。
「くっ!だが【地獄戦士】の効果発動!このカードの戦闘で発生した俺へのダメージは相手も受ける!」
万丈目準
LP4000→3600
「こちらも【ハイドロゲドン】の効果発動!このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、デッキからもう一体の【ハイドロゲドン】を特殊召喚する!」
【ハイドロゲドン】
攻撃表示
ATK1600/DEF1000
三沢大地
LP4000→3600
「そしてこれはバトルフェイズ中の特殊召喚のため攻撃することができる!【ハイドロゲドン】でダイレクトアタック!ハイドロ・ブレス!」
「ぐ………ぁあああ!!」
吐き出された【ハイドロゲドン】の水が直撃し、万丈目が吹き飛ばされた。
万丈目準
LP3600→2000
「ターンエンド!」
三沢大地
LP3600
モンスター
【ハイドロゲドン】:攻
ATK1600
【ハイドロゲドン】:攻
ATK1600
魔・罠
無
手札5枚
え、エクシーズしてぇ……【No.101】とか【カステル】とか召喚してぇ……
「俺のターン、ドロー!俺は罠カード【リビングデッドの呼び声】を発動!墓地の【地獄戦士】を復活させる!」
【地獄戦士】
攻撃表示
ATK1200/DEF1400
「さらに速攻魔法【地獄の暴走召喚】を発動!俺の手札、デッキ、墓地から【地獄戦士】を全て特殊召喚する!三沢、お前も【ハイドロゲドン】を特殊召喚しろ!」
【地獄戦士】×2
攻撃表示
ATK1200/DEF1400
【ハイドロゲドン】
攻撃表示
ATK1600/DEF1000
「でも【地獄戦士】の攻撃力では、【ハイドロゲドン】には届かない」
「何か考えがあるはずだ」
考え……【バルバロス】で一掃?
「当たり前だカイザー!貴方のあとを継ぐのはこの俺なのだから!装備魔法【団結の力】これで【地獄戦士】の攻撃力は俺のフィールドのモンスター1体につき800ポイントアップする!」
【地獄戦士】
ATK1200→ATK3600
「【団結の力】だって!?」
「あんなレアカード持ってるんスか!?」
なんだ天上院、こっちを見るな。
俺は渡してないぞ。
「バトル!【地獄戦士】で【ハイドロゲドン】の1体を攻撃!ヘル・アタック!」
『ヘル』と名のついたモンスターならなんでもその攻撃名になるんだが、いいのか?
三沢大地
LP3600→1600
「どうだ三沢!俺はこれでターンエンド!」
万丈目準
LP2000
モンスター
a【地獄戦士】:攻
ATK1200
b【地獄戦士】:攻
ATK1200
c【地獄戦士】:攻
ATK3600
魔・罠
【リビングデッドの呼び声】a《地獄戦士》
【団結の力】c《地獄戦士》
手札3枚
「俺のターン、ドロー!【オキシゲドン】を召喚!」
【オキシゲドン】
攻撃表示
ATK1800/DEF800
「バトルだ!【オキシゲドン】で攻撃力が上がっていない【地獄戦士】を攻撃!オキシ・ストリーム!」
「ぐっ……だが【地獄戦士】の効果でバトルによるダメージはお前も受ける!」
万丈目準
LP2000→1400
三沢大地
LP1600→1000
「【ハイドロゲドン】で【地獄戦士】を攻撃!ハイドロ・ブレス!」
「っ……!だからダメージはお前も受けるんだぞ!?」
万丈目準
LP1400→1000
三沢大地
LP1000→600
「どうして三沢君はダメージを受けるとわかって攻撃を……」
「いや、これでいい」
「え?」
丸藤の疑問にカイザーが最低限以下のセリフで対応。もうちょい弟に優しくてもいいような……まぁあれがカイザーなりの接し方と言われたらそれまでだけど。
「翔。万丈目の【地獄戦士】を見てみろよ」
十代に従い丸藤はフィールドに残っている【地獄戦士】を見ると
【地獄戦士】
ATK3600→ATK2000
「攻撃力が減ったッス!」
「【団結の力】で上昇する攻撃力はフィールドのモンスターの数×800」
「万丈目のモンスターを減らすことで、三沢は次のターンのチャンスを作ったのさ」
カイザー、十代の解説に丸藤はなるほどと言うように頷いた……だがライフ600……ガンマンラインを下回った。【ガガガガンマン】いないけど。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
三沢大地
LP600
モンスター
【ハイドロゲドン】:攻
ATK1600
【ハイドロゲドン】:攻
ATK1600
【オキシゲドン】:攻
ATK1800
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
「俺のターン!俺は【地獄戦士】と手札全てを生贄に、【炎獄魔人ヘル・バーナー】を召喚!」
【炎獄魔人ヘル・バーナー】
攻撃表示
ATK2800/DEF1800
「【ヘル・バーナー】は上級モンスターだ。しかも相手フィールドのモンスター1体につき攻撃力が200ポイントアップする!」
【炎獄魔人ヘル・バーナー】
ATK2800→ATK3400
…………いや、なんかドヤ顔してるけど、その効果の割に召喚コスト重くないか?
「バトル!【ヘル・バーナー】で【ハイドロゲドン】を攻撃!」
「罠発動【攻撃の無力化】!相手モンスターの攻撃を無効にして、バトルを終了させる!」
「くっ……ターンエンド!」
万丈目準
LP1000
モンスター
【炎獄魔人ヘル・バーナー】:攻
ATK3400
魔・罠
無
手札0枚
「良く凌いだな三沢。だが次の俺のターンで確実に終わりだ!」
「次ターンがあるとすればな」
「なに!?」
万丈目のセリフに返す三沢。
三沢の手札は4枚あるし、十分に耐えられるだろう。【ヘル・バーナー】を除去できなくても最悪全部守備で耐えればいいし。
「俺のターン!魔法カード【ボンディングーH2O】を発動!2体の【ハイドロゲドン】と【オキシゲドン】を生贄に出でよ!【ウォーター・ドラゴン】!」
【ウォーター・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2800/DEF2600
「俺のフィールドのモンスターが減ったことで【ヘル・バーナー】の攻撃力がダウンする」
【炎獄魔人ヘル・バーナー】
ATK3400→ATK3000
「だがまだ俺のモンスターの方が攻撃力が上だ」
いや、まだ手札あるし。
「それはどうかな?既にお前を倒す方程式は完成している!」
「これまでの闘いも全て計算の内だって言うのか!?」
俺を除くギャラリーが驚く中、俺はこう思っていた。
…………お前はどこのアストラルだ!
俺の心のツッコミは当然聞こえずデュエルは進行する。三沢の発言とともに【ウォーター・ドラゴン】のいる場所から万丈目のフィールドに向かって津波が発生。【ヘル・バーナー】を呑み込んだ。
「【ウォーター・ドラゴン】の効果。炎属性、炎族モンスターの攻撃力を0にする」
「なんだと!?」
【炎獄魔人ヘル・バーナー】
ATK3000→ATK0
なんだ。呑み込んでも破壊はされないのか。
「【ウォーター・ドラゴン】!アクア・パニッシャー!」
【ウォーター・ドラゴン】が水を吐き出し【ヘル・バーナー】を爆散させ、壁が無くなった万丈目を呑み込んだ。
万丈目準
LP1000→-1800
次回は万丈目好きの方ごめんなさい。ちょい酷い展開に……