万丈目と三沢の寮の入れ替え……どころか退学をかけたデュエル。三沢が【ウォーター・ドラゴン】を使い【ヘル・バーナー】を無力化。実質ダイレクトアタックで万丈目を打ち破った。
「万丈目。お前はデュエリストとしてーーー」
「うるさい!お前がたまたま水属性デッキを選んだために俺はーーー」
「違うな」
「なに!?」
「偶然なんかじゃない。お前が教えてくれたんだ。デュエルが始まる前に」
デュエルが始まる前?…………万丈目が自分のデッキの中身を言ったことは無かったはずだ。
「『この俺の怨みの炎で焼き尽くす』つまりデュエルが始まる前から勝敗は決まっていた」
……いやいやいや!炎とか比喩の可能性のほうが高いだろ!?てか怨みの『炎』って表現が『水』とかってのもおかしいだろ!?そこだけでデッキを決定するのはもはや賭けじゃなくて自爆行為だろ!
「そして万丈目。海に捨てられたカードは間違いなく俺のカードだ」
「何故わかる!?」
「ついメモしてしまったのさ。このカードに数式を」
三沢がポケットから取り出したのは海に捨てられていたカードの1枚、【ブラッド・ヴォルス】。ここからは見えないが、恐らく訳のわからない数式が書き込まれているのだろう。カードに数式なんて書くなよ。
「これが証拠だ!こんな落書きのあるカード、世界でたった1枚だろうからな」
三沢は思い出の品を見るようにカードを見つめている。
「万丈目!カードを大切にしない者はデュエリスト失格だぞ!」
万丈目はショックを受けたようにガックリと項垂れる。そして何か呟いていた。
「シニョール三沢。ユーのオベリスク・ブルーへの編入を認めるノーネ」
…………そういえば、三沢には先を越されてしまったな。
「いえ、そのお誘いはお断りします」
は!?
「何故ナノーネ!?」
「俺は、オベリスク・ブルーに入るときはこの学園でナンバー1になった時と入学式の時に決めていたんです」
入学式のときから……その決意のおかげで先越されずに済んだ……でいいのかな?
「十代、そして龍斗。オベリスク・ブルーに入るとき、それはお前達を倒してからだ!」
…………俺を倒してから、ね……
「よし!なら今すぐデュエルしようぜ!俺も、お前と闘いたくてウズウズしてたところだ!」
「残念だが、それはできない」
「え?なんでだよ?」
「ここにあるデッキはまだ完成していない。お前達を倒すための研究材料の試作デッキにすぎない」
その試作デッキに負けた万丈目……なんか暗い雰囲気を纏いだしたぞ。
「多分。あの部屋の壁が数式で埋め尽くされたときには完成すると思う。十代の【E・HERO】を倒す7番目のデッキと、龍斗のシンクロ・エクシーズモンスター達を倒す8番目のデッキが!」
「俺を倒すデッキだって?面白え!そのときこそお前と勝負だ!」
「シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを倒すねぇ……やってみろよ」
俺と十代、三沢の間で火花が散った。
☆
三沢の宣戦布告の後クロノスによって解散。それぞれの寮に帰るんだが、
「なんの用だ宮田龍斗」
用事ができたので万丈目を呼び止めた。
「大した用じゃない。カード捨てたことが許せないってだけだ」
三沢達の前では気にしないようにしてたが、やはり個人的に許せないものがある。
「カードはI2の人達が時間をかけて作ったものだ。それをお前は……!」
「たかがカードに何をほざく!」
『たかがカード』だと?お前はあの人達がどれだけ苦労してカードを作ったのか知らないからそんなことが言える……何も知らないお前が……!
「……デュエルだ」
「なんだと?」
「デュエルしろと言ってるんだ!貴様のそのふざけた根性、俺が叩き潰す!それともなにか?格下の寮の人間に2度も負けるのが怖いのか?」
「……いいだろう……そこまで言うならデュエルしてやる!」
俺と万丈目はディスクを構える。
「「デュエル!」」
万丈目準
LP4000
VS
宮田龍斗
LP4000
「先攻はもらった!俺のターン!魔法カード【天使の施し】!3枚ドローして2枚捨てる!【Xーヘッド・キャノン】を召喚!」
【Xーヘッド・キャノン】
攻撃表示
ATK1800/DEF1500
「更に永続魔法【前線基地】を発動!手札から【Yードラゴン・ヘッド】を特殊召喚!」
【Yードラゴン・ヘッド】
攻撃表示
ATK1500/DEF1600
「魔法カード【死者蘇生】!墓地より出でよ!【Zーメタル・キャタピラー】!」
【Zーメタル・キャタピラー】
攻撃表示
ATK1500/DEF1300
「3体を合体!完成!【XYZードラゴン・キャノン】!」
【XYZードラゴン・キャノン】
攻撃表示
ATK2800/DEF2600
「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
万丈目準
LP4000
モンスター
【XYZードラゴン・キャノン】:攻
ATK2800
魔・罠
【前線基地】
伏せ1枚
手札1枚
「お前はシンクロ・エクシーズをするために数ターンの準備がある、その準備をする前に倒してやる!」
「…………その程度か」
「なに!?」
「確かに俺は連続召喚のためには準備をしている。手札は6枚までしか持てないという制約がある以上、それ以外の場所で準備したほうがいいからだ」
墓地からモンスターを連続で特殊召喚したほうが展開しやすいからな。
「だが、今のお前にはシンクロも、エクシーズも、ペンデュラムも使う必要さえない!俺のターン!手札から【ファーニマル・ベア】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキから永続魔法【トイポット】を1枚、俺の場にセットする!そして【トイポット】を発動!」
俺の後ろにガチャガチャが出てきた。
「【トイポット】の効果!1ターンに1度、手札1枚を捨ててカードを1枚ドローする。それが【ファーニマル】モンスターなら手札からモンスターを特殊召喚できる。それ以外なら墓地に捨てる!手札の【エッジインプ・シザー】を捨て、ドロー!……引いたカードは【ファーニマル・オウル】。手札から【ファーニマル・オウル】を特殊召喚!」
【ファーニマル・オウル】
攻撃表示
ATK1000/DEF1000
「【ファーニマル・オウル】のモンスター効果!手札から召喚・特殊召喚に成功したときに、デッキから【融合】を手札に加えることができる!」
「【融合】だと!?シンクロやエクシーズは使わないのか!?」
「言ったはずだ。お前にはシンクロも、エクシーズも、ペンデュラムも使う必要はないと」
別に融合を否定しているわけじゃない。【シャドール】がいるからな……
宮田龍斗
手札4枚→5枚
「墓地の【エッジインプ・シザー】の効果発動!1ターンに1度、手札1枚をデッキトップに戻すことで、このカードを守備表示で特殊召喚する!」
【エッジインプ・シザー】
守備表示
ATK1200/DEF800
「【ファーニマル・ドッグ】を召喚!」
【ファーニマル・ドッグ】
攻撃表示
ATK1700/DEF1000
「【ファーニマル・ドッグ】の効果でデッキから【ファーニマル・マウス】を手札に加える!」
【エッジインプ・シザー】で戻した【ファーニマル・マウス】を回収。
「そして魔法カード【融合】を発動!フィールドの【エッジインプ・シザー】、【ファーニマル・オウル】、【ファーニマル・ドッグ】で融合!
悪魔の爪よ!野獣の咆哮よ!煉獄の眼よ!神秘の渦で1つとなりて、新たな力と姿を見せよ!」
両腕を広げ頭の上で手を組み顔の前に振り下ろす。
「融合召喚!現れろ!すべてを引き裂く密林の魔獣【デストーイ・シザー・タイガー】!」
【デストーイ・シザー・タイガー】
攻撃表示
ATK1900/DEF1200
動物のシルエットを鋏で引き裂くショッキングな演出とともに【デストーイ・シザー・タイガー】が姿を現した。
「大見得切って召喚したが、俺の【XYZードラゴン・キャノン】の方が攻撃力は上だ!」
三沢との勝負をもう忘れたのか。確かに攻撃力が高ければ勝敗は早く決する。だがそうじゃないのなら、アドバンテージを稼げばいい。
「【デストーイ・シザー・タイガー】の効果発動!融合召喚に成功した時、素材としたモンスターの数までフィールドのカードを破壊できる」
「な、なんだと!?」
「リバースカードと【前線基地】そして【XYZードラゴン・キャノン】を破壊!」
【デストーイ・シザー・タイガー】の体から飛び出ている大きな鋏が【XYZードラゴン・キャノン】と【前線基地】、リバースカード……【リビングデッドの呼び声】を問答無用に切り裂いた。
「更に【デストーイ・シザー・タイガー】の効果。フィールドの【デストーイ】モンスターの攻撃力は、フィールドの【ファーニマル】及び【デストーイ】モンスター1体につき300ポイントアップする。【デストーイ・シザー・タイガー】自身が【デストーイ】モンスターなので攻撃力が上昇する」
【デストーイ・シザー・タイガー】
ATK1900→ATK2200
「バトル!【デストーイ・シザー・タイガー】でダイレクトアタック!」
【デストーイ・シザー・タイガー】が万丈目を爪で切りつけた。
「ぐぅっ……!」
万丈目準
LP4000→1800
「カードを1枚セットしてターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【デストーイ・シザー・タイガー】:攻
魔・罠
【トイポット】
伏せ1枚
手札2枚
「俺は……俺は負けられない!ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローする!」
万丈目準
手札1枚→3枚
ここで【強欲な壺】か……なかなか引きが強い。
「装備魔法【早すぎた埋葬】を発動!」
【早すぎた埋葬】……まだ【天使の施し】で捨てたモンスターがいるのか。
「ライフ800を払い、墓地のモンスターを復活させる!蘇れ!【Vータイガー・ジェット】!」
万丈目準
LP1800→1000
【Vータイガー・ジェット】
攻撃表示
ATK1600/DEF1800
「更に【Wーウィング・カタパルト】を召喚!」
【Wーウィング・カタパルト】
攻撃表示
ATK1300/DEF1500
「そして2体を合体!【VWータイガー・カタパルト】!」
【VWータイガー・カタパルト】
攻撃表示
ATK2000/DEF2100
「【VWータイガー・カタパルト】の効果発動!手札を1枚捨て相手モンスターの表示形式を変更する!」
【デストーイ・シザー・タイガー】
攻撃表示→守備表示
ATK2200→DEF1200
「バトル!【VWータイガー・カタパルト】!VWミサイル発射だ!」
【VWータイガー・カタパルト】からミサイルが一斉発射され【デストーイ・シザー・タイガー】を爆散させた。
「どうだ!これで俺はターンエンド!」
万丈目準
LP1000
モンスター
【VWータイガー・カタパルト】:攻
ATK2000
魔・罠
無
手札0枚
「ファイナルターンだ。このターンでお前を倒す」
「なんだと!?フィールドにモンスターもいない、手札の雑魚モンスターでなにができる!」
確かに手札のモンスターは攻守ともに100の【ファーニマル・マウス】しか無い。だがこれだけで十分だ。
「俺のターン、ドロー!リバースカード【融合準備】!エクストラデッキから融合モンスターを見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスターをデッキから手札に加える!エクストラデッキの【デストーイ・シザー・ウルフ】を見せ、デッキから【エッジインプ・シザー】を手札に加える。そして【融合準備】のもう1つの効果で墓地から【融合】を手札に加える!」
宮田龍斗
手札3枚→5枚
「そして【ファーニマル・マウス】を召喚!」
【ファーニマル・マウス】
攻撃表示
ATK100/DEF100
「攻撃力100のモンスターを攻撃表示?ふざけてるのか!」
これから起こす悲劇を前にしてなおそんなセリフが言えるのか?
「【ファーニマル・マウス】の効果、メインフェイズに1度だけデッキから【ファーニマル・マウス】を2体まで特殊召喚できる!来い、2体の【ファーニマル・マウス】!」
【ファーニマル・マウス】×2
攻撃表示
ATK100/DEF100
「【融合】発動!手札の【エッジインプ・シザー】と【ファーニマル・ベア】を融合!
悪魔の爪よ!野獣の牙よ!神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れろ!すべてを引き裂く密林の魔獣【デストーイ・シザー・タイガー】!」
【デストーイ・シザー・タイガー】
攻撃表示
ATK1900/DEF1200
「【デストーイ・シザー・タイガー】の効果で【VWータイガー・カタパルト】を破壊!」
【デストーイ・シザー・タイガー】の鋏が再び万丈目のフィールドを襲う。
「俺のモンスターを2度も……!」
「更に魔法カード【
「なっ……!?それほどの数の融合素材が必要なモンスターだと!?」
普通のデュエルなら使う必要も無いが、今のお前には慈悲はいらない!
「悪魔の爪よ!野獣の咆哮よ!煉獄の眼よ!野獣たちの牙よ!鋭き牙よ!光の渦で一つとなりて、新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れろ!すべてを切り裂く孤高の獣【デストーイ・シザー・ウルフ】!」
【デストーイ・シザー・ウルフ】
攻撃表示
ATK2000/DEF1500
「8体のモンスターを使ったのに攻撃力2000……?」
万丈目は怪しむような視線を【デストーイ・シザー・ウルフ】に向ける。
「【デストーイ・シザー・ウルフ】は融合素材に使用したモンスターの数まで、1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。つまり8回の攻撃ができる」
「は、8回だと!?」
「それだけじゃない。【デストーイ・シザー・タイガー】の効果で【デストーイ】モンスターの攻撃力はフィールドの【デストーイ】及び【ファーニマル】モンスター1体につき300ポイントアップする。フィールドの【デストーイ】モンスターの数は2体。よって攻撃力600ポイントアップ!」
【デストーイ・シザー・タイガー】
ATK1900→ATK2500
【デストーイ・シザー・ウルフ】
ATK2000→ATK2600
「バトルだ!【デストーイ・シザー・ウルフ】でダイレクトアタック!8連撃!」
【デストーイ・シザー・ウルフ】が万丈目の頭から何度もかぶりついた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!ぁあ!!あああああああ!!」
万丈目準
LP1000→-1600→-4200→-6800→-9400→-12000→-14600→-17200→-19800
ふぅっ……少しスッキリした。
万丈目は頭から何度も噛みつかれた恐怖からか気絶していた。
なんで【ウルフ】はプレイヤーに連続攻撃できるんでしょう……?『相手モンスターに攻撃できる』みたいなテキストにすればこんなことにはならなかったのに……
次回は猿もといSALとデュエルです。