レイとデュエルした翌日。
朝早く帰ると思っていたが、次の船は土曜日らしい。今日は月曜日、つまり約1週間はここにいなければならない。事情を知っている全員で校長室へ乗り込み(俺は明日香に拉致られた)レイを帰るまでブルー女子寮に居てもらうようにした。
「あ、お兄ちゃん!何処行ってたの?」
教室に行くと浜口、枕田とともにゆまがいた。事情を知らない周囲の生徒がざわつくが無視一択。
「ちょっと校長室にな」
「校長室?ま、まさか何か悪い事したの!?」
「だったらまず職員室だろ」
ゆまって若干話を飛躍させるよなぁ。
一緒に来ていた丸藤達に説明を任せ授業の準備をしよう。
☆
授業を終え、寮に戻ろうとすると校舎前にカイザーがいた。
「待ってたぞ龍斗」
「待たせたなカイザー」
既に用意していたデュエルディスクを互いに構える。
カイザーがデュエルするとわかってか生徒が周囲を取り囲む。
「えっと、ももえさん。あの人は?」
「オベリスク・ブルー3年の丸藤亮。トップの成績と実力から『カイザー』と呼ばれてますわ」
「「デュエル!」」
丸藤亮
LP4000
VS
宮田龍斗
LP4000
「先攻はもらう。俺のターン!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を召喚!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
早速デッキに投入してきたか。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
丸藤亮
LP4000
モンスター
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻
ATK1500
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
「俺のターン、ドロー!カードを4枚セットしてターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
無
魔・罠
伏せ4枚
手札2枚
カードを4枚伏せるという行為にギャラリーはざわつくが相手であるカイザーは
「……それだけか?」
といった冷めた反応。
「ああ。今回はそういうデッキだ」
こちらもそれだけ伝える。
「そうか……ならいかせてもらう!俺のターン!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!1ターンに1度、手札の魔法カードを公開することでカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!【融合】を公開!」
【融合】……【ツイン】、【エンド】……どっちもさせるかよ!
「リバースカード【アーティファクト・ムーブメント】!何かチェーンは?」
「いや、無い」
「ならこちらがチェーンする。【アーティファクトの神智】!これには?」
「無い」
「ではチェーン処理だ。チェーン3、【アーティファクトの神智】の効果で【アーティファクト・カドケウス】を特殊召喚!」
【アーティファクト・カドケウス】
守備表示
ATK1600/DEF2400
「チェーン2で俺のリバースカードを破壊してデッキから【アーティファクト】モンスターを魔法カード扱いで魔法・罠ゾーンにセットする!【アーティファクト・デスサイズ】をセット!」
「チェーン1、これで【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】は【サイバー・ドラゴン】になる」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の装甲の隙間から複数の色の光が走り、しばらくすると目が一瞬光った。
「チェーン処理終了したところで墓地の【アーティファクト・ベガルタ】の効果発動!」
「龍斗君、お兄さんのターンなのにどんどん自分のカードを使ってる……」
【アーティファクト】はそういうカテゴリーだからな。本当は【大嵐】してほしかったけど来ないなら仕方ない。
「魔法カード扱いの【ベガルタ】は相手ターン中に破壊されたとき、このモンスターを特殊召喚する!」
【アーティファクト・ベガルタ】
守備表示
ATK1400/DEF2100
「さっき伏せた【デスサイズ】といいその【ベガルタ】といい、【アーティファクト】というモンスターは魔法カードとして扱えるのか」
「ああ。【アーティファクト】は魔法カード扱いで魔法・罠ゾーンにセットできる効果と、魔法カード扱いのときに相手ターン中に破壊されると特殊召喚できる共通効果がある」
ギャラリーの誰かが『迂闊に【大嵐】を使えないな』と冷静に言っている。その発言をきっかけにギャラリーは色々意見を言い合っているようだ。
「【ベガルタ】の効果発動。チェーンして【カドケウス】の効果発動!」
「こちらは何もない」
「【カドケウス】の効果で相手ターン中に【アーティファクト】モンスターが特殊召喚されたので1枚ドロー!」
宮田龍斗
手札2枚→3枚
「相手ターン中に特殊召喚されたとき、俺のフィールドのセットされたカードを2枚まで破壊する!リバースカード2枚を破壊!」
【ベガルタ】を持つ赤い人影が俺に【ベガルタ】を渡す。あ、やっぱり俺がやるんだ。
「よいしょっと!」
リバースカードに【ベガルタ】を突き刺して破壊。この作業を2度する。
「破壊された【アーティファクト・デスサイズ】と【アーティファクト・アイギス】の効果を発動!2体とも特殊召喚!」
【アーティファクト・デスサイズ】
攻撃表示
ATK2200/DEF900
【アーティファクト・アイギス】
守備表示
ATK1200/DEF2500
「【アーティファクト・カドケウス】の効果を2度発動。チェーンして【デスサイズ】更に【アイギス】がチェーンされる」
「こちらは何も無い」
「チェーン4【アーティファクト・アイギス】の効果でこのターン俺の【アーティファクト】モンスターは相手のカード効果の対象にならず、効果で破壊されない」
【アイギス】が黄色いオーラを纏うと他の【アーティファクト】も同じオーラを纏った。
「チェーン3【アーティファクト・デスサイズ】の効果でこのターン、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない」
「何!?ではこのターンは……」
「融合できないってことだ」
【デスサイズ】が黄色いオーラの上に薄紫のオーラを纏うとカイザーのデュエルディスクが薄紫のオーラを纏い、【デスサイズ】のオーラが消えた。
「チェーン2【カドケウス】の効果で相手ターン中に【アーティファクト】モンスターが特殊召喚されたので1枚ドロー。チェーン1も同様に1枚ドロー」
宮田龍斗
手札3枚→4枚→5枚
「これ、本当にカイザーのターンなの……?」
「少なくとも私の記憶ではそうよ……」
枕田の呆れに近い声に明日香が返す。まぁここまで動いてると、どっちのターンかわからなくなるよな。俺もこのカテゴリーが出た当初はそうだった。最近もちょっとわからなくなることがある。
「【プロト・サイバー・ドラゴン】を召喚!」
【プロト・サイバー・ドラゴン】
攻撃表示
ATK1100/DEF600
「【融合】だけがサイバー流ではない!速攻魔法【フォトン・ジェネレーター・ユニット】!フィールドの【サイバー・ドラゴン】2体を生贄に発動!」
【フォトン・ジェネレーター・ユニット】!?そんなカード入れたら事故率が……!
「手札・デッキ・墓地から【サイバー・レーザー・ドラゴン】を特殊召喚!」
【サイバー・レーザー・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2400/DEF1800
「バトルだ!【サイバー・レーザー・ドラゴン】で【アーティファクト・デスサイズ】を攻撃!エヴォリューション・レーザーショット!」
【サイバー・レーザー・ドラゴン】の尾からのレーザーで【デスサイズ】はあっけなく破壊された。
宮田龍斗
LP4000→3800
「ターンエンド!」
丸藤亮
LP4000
モンスター
【サイバー・レーザー・ドラゴン】:攻
ATK2400
魔・罠
伏せ1枚
手札3枚
「俺のターン、ドロー!俺はレベル5の【アーティファクト・ベガルタ】と【アーティファクト・アイギス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
二つの武具を重ね、不滅の剣がここに創造される!エクシーズ召喚!完成!ランク5!【アーティファクト・デュランダル】!」
【アーティファクト・デュランダル】
攻撃表示
ATK2400/DEF2100
「え、エクシーズ召喚!?ももえさん!お兄ちゃんは何をしたんですか!?」
「何って、エクシーズ召喚を……まさか龍斗さんから聞いてませんの?」
ゆま達の方から何か聞こえるが無視しよ……あ、コレ普通に【ヴォルカザウルス】から【ガイアドラグーン】で勝てたんじゃ……まぁいいや。
「カードを3枚セットしてターンエンド!」
宮田龍斗
LP3800
モンスター
【アーティファクト・カドケウス】:守
DEF2400
【アーティファクト・デュランダル】:攻
ATK2400
魔・罠
伏せ3枚
手札3枚
「俺のターン、ドロー!罠発動【リビングデッドの呼び声】墓地の【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を復活させる!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
「速攻魔法【サイクロン】!フィールドの魔法・罠を破壊する!俺はこのカードを破壊する!」
俺は自身のそばのリバースカードを選択し、破壊する。
「破壊された【アーティファクト・フェイルノート】の効果で自身を特殊召喚!」
【アーティファクト・フェイルノート】
守備表示
ATK2000/DEF1600
「【カドケウス】の効果発動、チェーンして【フェイルノート】の効果で墓地の【アーティファクト】モンスターを魔法・罠ゾーンにセットする!【アーティファクト・デスサイズ】をセット!」
【デスサイズ】がセットされたことにカイザーの眉がピクリと動いた。再び【融合】を止められると思っているのだろうか。
「チェーン1【カドケウス】の効果でドローする」
宮田龍斗
手札3枚→4枚
「だがまだ召喚されていないなら、今のうちに畳み掛ける!【融合】を発動!」
「チェーンして【アーティファクト・デュランダル】の効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスター効果が発動したとき、または通常魔法・通常罠の発動時、ORUを1つ使いそのカードの効果を『相手フィールドの魔法・罠カードを1枚選んで破壊する』に変更する!」
「っ……!カード効果を書き換えるだと!?」
未だざわついていたギャラリーが更にざわつく。
「さぁ、どっちを破壊する?」
「…………そのカードを破壊する」
カイザーが指差したカードが砕かれ、【アーティファクト・デスサイズ】が姿を現した。
【アーティファクト・デスサイズ】
守備表示
ATK2200/DEF900
「【デスサイズ】の効果でこのターン、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない」
再びオーラを纏うカイザーのデュエルディスク。しかしカイザーは全く動じない。おそらく手札に【融合】がもう無いのだろう。
「【サイバー・レーザー・ドラゴン】の効果発動!1ターンに1度、このカードの攻撃力以上の攻撃力または守備力を持つモンスターを破壊できる!【アーティファクト・デュランダル】を破壊!破壊光線 フォトン・エクスターミネーション!」
尾から放たれたレーザーによって【デュランダル】が砕かれた……効果も攻撃も尾からなんだな……
「バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】で【アーティファクト・フェイルノート】を攻撃!エヴォリューション・ツヴァイバースト!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の熱線により【フェイルノート】が蒸発した。
「次だ。【サイバー・レーザー・ドラゴン】で【アーティファクト・デスサイズ】を攻撃!エヴォリューション・レーザーショット!」
再び破壊される【デスサイズ】……素直に【モラルタ】破壊すれば良かったなぁ……
「ターンエンド!」
丸藤亮
LP4000
【サイバー・レーザー・ドラゴン】:攻
ATK2400
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻
ATK1500
魔・罠
【リビングデッドの呼び声】《サイバー・ドラゴン・ツヴァイ》
手札3枚
「俺のターン、ドロー!……3枚セットして【カードカー・D】を召喚!」
【カードカー・D】
攻撃表示
ATK800/DEF400
ほぼ平面な見た目の【カードカー・D】が『プップー』というクラクションとともに姿を見せた。どこかから『薄っ!』という声が聞こえたが仕方ないんだ。そういうモンスターなのだから。
「【カードカー・D】の効果発動!召喚に成功したターンのメインフェイズに自身をリリースして2枚ドローしてエンドフェイズになる。ターンエンド」
宮田龍斗
LP3800
モンスター
【アーティファクト・カドケウス】:守
DEF2400
魔・罠
伏せ4枚
手札3枚
「俺のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローする!」
丸藤亮
手札3枚→5枚
「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!手札の魔法カードを見せることでカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!【パワー・ボンド】を見せる!」
【パワー・ボンド】……このターンで決めるつもりか。前のターンは効果を使わずに【融合】を使った。つまり手札には【サイバー・ドラゴン】が2枚または1枚あるということ。どっちが来る……?
「【パワー・ボンド】を発動!【サイバー・ドラゴン】として扱う【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と手札にいる2体の【サイバー・ドラゴン】を融合!【サイバー・エンド・ドラゴン】を融合召喚する!」
【サイバー・エンド・ドラゴン】
攻撃表示
ATK4000/DEF2800
ついに来たか、【サイバー・エンド】……!
「【パワー・ボンド】の効果で攻撃力は倍になる!」
【サイバー・エンド・ドラゴン】
攻撃表示
ATK4000→ATK8000
攻撃力8000という数値に周囲が押し黙る。【ワイトキング】なら1万を超えるけど……それを言ったらダメだろうか。
「バトル!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【アーティファクト・カドケウス】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
「リバースカード!【邪神の大災害】!相手モンスターの攻撃宣言時フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」
カイザーの【リビングデッドの呼び声】と俺の3枚のリバースカードが破壊される。
「破壊された【アーティファクト・モラルタ】、【アーティファクト・フェイルノート】、【アーティファクト・アキレウス】の効果発動!3体のモンスターを特殊召喚!」
【アーティファクト・モラルタ】
攻撃表示
ATK2100/DEF1400
【アーティファクト・フェイルノート】
攻撃表示
ATK2000/DEF1600
【アーティファクト・アキレウス】
守備表示
ATK1500/DEF2200
「【カドケウス】の効果が3度発動し、【アキレウス】、【フェイルノート】、【モラルタ】の効果が発動!」
「たった1回カードを使っただけでチェーンが…………6!?」
レイが若干間を置いてチェーン数に驚愕している。よくチェーン理解してるな。中には理解してない奴もいるのに。
「何かチェーンはあるか?無ければ処理を進めるが」
「…………」
手札を見て考えるカイザー。おそらくチェーンできるが、【モラルタ】と【アキレウス】という新しいモンスターの効果を警戒しているのだろう。
「…………【融合解除】を発動!【サイバー・エンド・ドラゴン】の融合を解除!【サイバー・ドラゴン】2体と【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を特殊召喚!」
【サイバー・ドラゴン】×2
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
「チェーン6、【モラルタ】の効果で【サイバー・レーザー・ドラゴン】を破壊」
投げ渡される【モラルタ】。また俺がやるのか。とりあえず駆け足で【サイバー・レーザー・ドラゴン】をつつく。つついただけで破壊される【サイバー・レーザー・ドラゴン】……
「…………チェーン5、【フェイルノート】の効果で墓地の【デスサイズ】を再三セットする!」
欲を言えば【モラルタ】をセットしたいが、無いので我慢だ。
「チェーン4、【アキレウス】の効果でこのターン【アーティファクト】モンスターを攻撃対象にできない。今俺のフィールドには【アーティファクト】モンスターしかいないので事実上攻撃できないということになる」
「何!?」
カイザーの必殺の一撃と言っていい攻撃を防いだ【カドケウス】で手札を増やせたのが大きいな。
「チェーン3【カドケウス】の効果で1枚ドロー。チェーン2、チェーン1も同様にドローだ」
宮田龍斗
手札3枚→4枚→5枚→6枚
「メインフェイズ2に移行する。【サイバー・ジラフ】を召喚!」
【サイバー・ジラフ】
攻撃表示
ATK300/DEF800
「【サイバー・ジラフ】の効果発動!このモンスターを生贄に、このターンの効果ダメージを無効にする!」
出てきて早々に退場した【サイバー・ジラフ】。仕事がピンポイントすぎる。てかよく回せるなそのデッキ。
「ターンエンド!」
丸藤亮
LP4000
モンスター
【サイバー・ドラゴン】:攻
ATK2100
【サイバー・ドラゴン】:攻
ATK2100
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻
ATK1500
魔・罠
無
手札0枚
「俺のターン、ドロー!俺はレベル5の【アーティファクト・モラルタ】と【アーティファクト・フェイルノート】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
灼熱の力で全てを焼き尽くせ!エクシーズ召喚!燃やせ!ランク5!【No.61 ヴォルカザウルス】!」
【No.61 ヴォルカザウルス】
攻撃表示
ATK2500/DEF1000
「更にレベル5の【アーティファクト・カドケウス】と【アーティファクト・アキレウス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!出でよ!ランク5!【セイクリッド・プレアデス】!」
【セイクリッド・プレアデス】
攻撃表示
ATK2500/DEF1500
「【ヴォルカザウルス】の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い相手フィールドの表側表示モンスター1体を破壊!そして破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!ただしこのターン、【ヴォルカザウルス】はダイレクトアタックできない!」
【ヴォルカザウルス】が胸部の突起から熱線を放ち【サイバー・ドラゴン】を破壊した。攻撃もあの突起からなのか?
「くっ……!」
丸藤亮
LP4000→1900
「更に【セイクリッド・プレアデス】の効果発動!1ターンに1度ORUを1つ使い、フィールドのカード1枚を手札に戻す!【サイバー・ドラゴン】を手札に戻す!」
【セイクリッド・プレアデス】が手をかざして【サイバー・ドラゴン】に光を浴びせると、【サイバー・ドラゴン】が粒子となってカイザーの手札に戻った。
「バトル!【ヴォルカザウルス】で【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を攻撃!」
【ヴォルカザウルス】が口からマグマを吐き出し【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を溶かした。攻撃と効果のエフェクトが違うあたり【サイバー・レーザー・ドラゴン】への悪意か何かを感じた。
「ぐぅ……!」
丸藤亮
LP1900→900
「終わりだ!【セイクリッド・プレアデス】でダイレクトアタック!」
【プレアデス】が持つ剣でカイザーを切りつけた。
丸藤亮
LP900→-1600
「俺の勝ちだな」
「…………ああ」
カイザー、表情を変えないようにしているつもりなのだろうが、悔しさが滲み出ているぞ。
ギャラリーがカイザーが負けたことにアレコレ言っているのを無視して【サイバー・レーザー・ドラゴン】の必要性等を話していると、明日香達も加わってきてレイが、
「勝ったには勝ったけど、なんていうか……卑怯?」
とか言ってきた。卑怯な要素……無いだろ。
「どこが卑怯なんだ?」
「えっと、効果ダメージ与えたり、手札に戻したり……正々堂々じゃないじゃない」
【ヴォルカザウルス】と【プレアデス】のことか。
「別に禁止カードでもないから問題無いだろ。それに……」
「それに?」
「対策してない奴が悪い」
モンスター効果で除去されるのが嫌なら【ヴェーラー】とか【幽鬼うさぎ】でも握っとけ。あ、まだ発売してないや。まぁとにかくそんな感じ。
レイ達が沈黙すること約3秒。
「『対策してない奴が悪い』って……」
「それがテスターの言うこと?」
「いや明日香、レイ。すでに発売しているカードでも【スキルドレイン】でモンスター効果無効にすれば【ヴォルカザウルス】や【プレアデス】は止まるじゃないか」
もしくは召喚成功時に【奈落】とか。
「これからDMはただ高攻撃力のモンスターだして殴るだけじゃ勝てないステージに突入する。フィールドだけじゃない、手札や墓地から効果を発動するなんて当たり前になる。常にギリギリの状態でのデュエル、バウンスやバーンに一々噛みつくな。嫌なら対策しろ」
「でもカイザーのようなサイバー流の人達からしたらリスペクト精神に反するんじゃ……」
「……枕田、このカードを見てもそれが言えるか?」
一応持ってきたもう1つのデッキを取り出しデュエルディスクにセットする。
「出でよ、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】
ATK2100/DEF1600
「このモンスターは1ターンに1度フィールドにいる表側表示モンスターを自身のORUにする効果がある。どんなに強力なモンスターも『対象にならない効果』を持たなければ無力になる」
「そ、そんな……」
「それだけじゃない。ORUを使ってカード効果を無効にする効果まで持っている。互いに全力を尽くすというリスペクト精神を基本にしているサイバー流の象徴、【サイバー・ドラゴン】がそのリスペクト精神に反する効果を手にしたんだ。これで全力を尽くせるか?」
明日香達も俺の言葉に沈黙し、反論できない。
「これが、俺の知るサイバー流の成れの果てだ。リスペクト精神は結構だが、それを相手に押し付けた結果こんなカードを生みだしてしまった。少しだけ、ほんの少しだけでいいから、リスペクトとは何なのか、改めて考えてみてくれ」
サイバー流の人間であるカイザーを特に見てその場を離れる。
☆
寮に戻る途中、背後からゆまに呼び止められた。
「お兄ちゃん、ももえさんから聞いたけど、テスターってどういうことなの!?」
そういえば話してなかったな。
「……どこから話そうかな……」
転生云々は置いておこう。ややこしくなる。いや、そもそもゆまにテスターということがバレてる時点でややこしいし、面倒だな。適当に話してやり過ごすか。
「いつだったかな。家のカード部屋に何枚かのカードがあったんだ。フレームが白や黒、半分モンスターで半分魔法といったカード達だ」
「それが、さっき使ってたエクシーズっていうカードなの?」
「ああ。そして、アカデミア受験を決めて、残すは実技試験のみというタイミングでI2社のペガサス会長が家に来た」
「えっ、ど、どうして!?」
ゆまは心底驚いたらしく、目を丸くして、こちらに迫ってきた。
思わず一歩下がりそうになるがなんとか堪えて話を続ける。
「見たことのないドラゴン、見覚えのない家で自分が作ったことのないカード達と出会うという夢を見たらしい。そして直感的にその家を調べさせ、家に来たって言ってた。俺はチャンスとばかりにテスターになる代わりにこのモンスター達を使えるようにしてほしいって交渉したんだ。で、今こうしてテスター兼学生としてここデュエルアカデミアにいるってわけ」
……若干早口な気がしなくもないがなんとか説明を終えた。【アブソルート】等のゆまが持っている【属性HERO】についてはとりあえず無視しよう。
「そっかぁ……お兄ちゃんがI2社のテスター……だから先生達がお兄ちゃんのことを知ってたんだ」
「いや、それは教師なら知ってても不思議じゃないだろ」
しかしゆまは俺のツッコミを無視して自己完結している。
「……とにかく、俺がエクシーズ召喚を扱えるのはそういう理由があるからだ。わかったな?」
「うん、わかった!お兄ちゃん、テスターのお仕事頑張ってね!」
強く拳を握って応援してくれるゆま。俺はそれに『おう』と返事をして、1日も早くカード達を販売できるといいと思った。
5日後、つまり土曜日。レイが帰る日だ。朝一番の船で帰るので、朝早くに集合してレイを送ることに。
港にはレイの他に俺、ゆま、明日香、カイザー、丸藤、前田、十代がいる。それぞれがレイに一言二言声をかけて送り出す。
レイが迎えに来た両親とともに船にのり、こちらに向かって大きく手を振り『来年小学校を卒業したらまたテストを受けて入学する』と決意費用じみたことをしていた。十代は茶化すようにカイザーに振るが、カイザーは表情を変えず『そのころには俺はもういない』と言っていた。そして直後、
「待っててね〜!十代様〜!」
とレイが言った。十代の声だけがエコーしていたのは気のせいだろうか……
「な、なんで!?なんで俺!?」
「きっと、十代のデュエルに惚れたんでしょ」
狼狽える十代に明日香は手を口に当ててクスクスと笑い、カイザーは『後は任せた』とあっさり寮へ。丸藤と前田も『先に帰る』とか言って帰った。
「船が見えなくなるまでしっかり見送るのよ」
気が済んだのか明日香もそれだけ言って寮へ。
「俺達も帰るぞ、ゆま」
「うん!」
俺も寮へ戻るとしよう。後ろで十代が叫んでるが鉄の意志で無視をした。
レイ離脱です。
なんで、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】って出来たんでしょう。サイバー流って【ボンド】で溶接して【ツイン】で連打するんじゃないんですか?
次回は交流試合の代表決定戦です。おかしな構築のデッキでいきます。