「…………ん……」
目を覚ますと目の前に泣きそうな顔のゆまがいた。なんだ、何がどうなっている?
「…………ゆま?」
「……っ!お兄ちゃん!」
声をかけてみると抱きついてきた。シャンプーなのか微妙にする甘い匂いを意識しないようにしながらすすり泣くゆまの頭を撫でる。
「……女の子泣かすなんてサイテー」
急にゆまの反対側からした声にバッと振り向くと藤原が俺が寝ているベッドに浸入していた。
「おはよう」
「おはようじゃねぇよ。何してんだお前」
「見てわからない?気分悪いからベッドで横になってるのよ」
俺にはお前が気分悪いようには見えないんだが。
相手するのも面倒なのでゆまを泣き止ませることを最優先事項にする。
「ぐすっ……ひっく……おにいちゃん……」
「どうしたんだよゆま?何泣いてんだ?」
藤原の話によると俺は寝てたというより、意識を失っていたらしい。前田によって保健室に運ばれ、明日香からゆまと藤原に話がいったらしい。ついでにこうなった原因も……明日香め……
「3年トップの丸藤亮、そして1年の中でもトップクラスの龍斗達を集めて何の話かと思ってたけど、私達に嘘を教えていたなんて……」
「……ゆまに本当のこと言ったら心配させると思ったからだ。他意は無い」
「私は心配しないと思った?」
「まったく。それどころかついて来ると思ったよ。俺がついて来させるかどうかは別として」
「…………」
脇腹を抓られた。とてつもなく痛いがゆまを泣き止ませることが優先だ。我慢……我慢……
「すぅ……すぅ……」
ゆまが寝てやがった。とりあえず藤原の手を退けさせるために攻防を静かに繰り広げていると、保健室の扉が開いた。
「龍斗だいじょ…………ぶか?」
「爆発しろッス」
「兄さんの様子を見るついでにと思ったら、随分と楽しそうね」
十代、丸藤、明日香の順で声をかけられた。心配してくれたのは十代だけだが、それより気になったことがある。
「明日香、『兄さん』って……見つかったのか?いつ、どこで……」
知っているが一応それっぽく聞いてみると、明日香は無言で隣のベッドに向かう。そこにはダークブラウンの髪の男が呼吸器をつけて眠っていた。十代の話によると昨夜俺が倒したダークネスが明日香の兄、天上院吹雪だったらしい。
そして天上院吹雪の体には2つ……ダークネスと天上院吹雪自身の魂があり、ダークネスの魂が封印されたとのこと。何故それがわかるのか確認したところ、ダークネスの魂が封印されたのを確認した明日香が意識を失う直前の兄の声を聞いたかららしい。
「で、ついでに俺が倒れたのを聞いたゆまと藤原が来たと」
藤原に確認すると静かに頷いた。
「ゆまったら寝ずに龍斗のそばにいたのよ」
「藤原は寝たのか」
「…………ちょっとだけ……気分悪くなったのもあって寝たわ」
目をそらし、若干間を空けて言われると明らかに嘘とわかってしまう。イタズラ目的か……
「私が寝たのかどうかより、龍斗の体の調子はどうなの?」
「もう大丈夫だ。痛みも違和感も無い」
高火力をいきなり喰らったからしばらく痛むかと思ったが、そんなことは無いらしい。短時間で回復するなら助かる。
「……ん……おにいちゃん……ふぁああ〜」
ゆまが欠伸しながら起きた。
「おはよう、ゆま」
「……ぅん……ぉはよぅ……」
目を擦り、しばらくすると必死な表情で俺の頬に手を添えてきた。
「お兄ちゃん、大丈夫!?怪我は!?痛いところは無い!?」
と思ったら頭やら首やらベタベタと触ってきた。心配してくれるのはありがたいが、ちょっと鬱陶しい。
「大丈夫だよ。心配かけたな、ごめんな」
「……っ!……お兄ちゃぁぁぁん!」
また泣きつかれた。さっきとは違い号泣だ。丸藤と藤原から『サイテー』とか言われてるが無視。とりあえず思い切り泣かせることにして次のセブンスターズについて考える。
誰だったかな……誰かしらが負けたはず……具体的にはクロノスと三沢あたり。三沢……【アマゾネス】……あ、三沢が負ける【アマゾネス】使いかも。【アマゾネス】……【アマゾネスの剣士】……【アマゾネスの里】……リクルート……うわ面倒臭そう……
「ぐすっ……もう……お兄ちゃんに傷ついてほしくない……ぐすっ……だから……私が、お兄ちゃんの代わりにデュエルする」
考え事していたらゆまがとんでもないことを言いやがった。
即答で『ダメだ』と言うと喰いついてきた。
「な、なんで!?」
「『なんで』って……ダークネスとデュエルしたからわかるが、真面目に危険なことなんだ。文字通り命懸けってやつだ。お前には無理だ」
「そ、そんなことないもん!」
「【ダーク・ロウ】のハンデス効果ど忘れする奴が言っても説得力無いぞ。1度のプレイングミスも許されないデュエルをお前にやらせるわけにはいかない」
あのど忘れがなければもっと楽に戦えた。だが次も今回のようなデュエルになると、プレミなんて許されない。
「……じゃあお兄ちゃん、私とデュエルして。勝ってお兄ちゃんに認めてもらうから」
「……いいだろう。どこまでできるようになったか、見てやる……っ!」
起き上がった瞬間、全身に痛みが。
「っ!?お兄ちゃん、大丈夫!?」
「…………だい……じょうぶだ。デュエルするんだろう?」
「そんなの良いから!お兄ちゃんの言う通りにするから、今は休んで!」
無理矢理に寝かせられる。すると痛みが少しずつ治まってきた。
「…………ゆま、お前が俺の代わりにやろうとしたデュエルに、優しさなんていらない。無慈悲に、完膚なきまでに相手を叩きのめさなければお前が、命を落とすかもしれないんだ。わかるな?」
「…………うん」
小さく、それでもたしかに頷いた。
「俺が、俺達7人が奴らを蹴散らすから、心配させるかもしれないけどちゃんと帰ってくるから信じて待っててくれ」
「…………うん」
とはいえ、まだ回復しきっていないことがわかった今、体を休めることに専念しないとな。『少し休む』と言って可能な限り眠ることにした。
☆
「大変なんだなあ!」
翌日の夜。
前田が保健室に駆け込んで来た。クロノスが闇のデュエルをするらしい。兄の見舞いに来ていた明日香は無茶と言い、ゆまがクロノスを止めようと動こうとする。
それよりも三沢じゃない……となると……誰だ……?……情報収集しないといけないか……
「…………待て、ゆま」
「お、お兄ちゃん。大丈夫だよ、デュエルはしない。頑張ってクロノス先生を止めるだけだから!」
「……前田、俺も連れて行け」
「お兄ちゃん!?だ、ダメだよまだ寝てないと!」
無理矢理に体を起こそうとする俺を寝かせようとするゆま。
「……デュエルに干渉できなくても、万が一こちらが負けた場合の対策はできる……頼む」
「わ、わかったんだなあ!」
前田に背負われて湖へ。ゆまがPDAを使ってクロノスのデュエルを中継する。
LP3600
モンスター
【不死のワーウルフ】:攻
ATK1900
【ヴァンパイア・バッツ】:攻
ATK1000
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
VS
クロノス・デ・メディチ
LP2700
モンスター
無
魔・罠
【古代の機械城】:カウンター1
伏せ1枚
手札3枚
ダメージを受けたのか、クロノスのライフが減っている。つまり闇のデュエルによる苦痛がクロノスを襲っているということ。
「戦闘で破壊されてもデッキから同名モンスターを、攻撃力を500ポイントアップさせて特殊召喚する【不死のワーウルフ】と、デッキから同名モンスターを墓地に送って破壊を無効にする【ヴァンパイア・バッツ】……厄介な布陣ね」
知らないカードの情報を明日香が教えてくれて助かる。更に【ヴァンパイア・バッツ】とかいうモンスターは、アンデット族モンスターの攻撃力を200ポイントアップさせる効果もあるらしい。……パンプがしょっぱい……
「……だが【不死のワーウルフ】も【ヴァンパイア・バッツ】も同名モンスターを使う。3回破壊する、もしくは破壊せずに除外かバウンスで対処できる。【不死のワーウルフ】は効果破壊でもいいだろう」
【ブリューナク】や【トリシューラ】が猛威を振るうな。……【氷結界】……
「……明日香の出番だな」
「わ、私!?」
「ああ……ロックしてバウンスしての外道デュエルを見せてやれ」
前世では普通にある戦い方でも、この世界では外道のロックにバウンス。そんな外道(笑)デュエルなら明日香の使う【氷結界】の真骨頂だろう。しかし明日香は『外道じゃない』と怒鳴ってきた。そうだな、外道じゃないよな。友達がいなくなるだけだよな。
「っ!?そ、そんな…………」
ゆまがPDAを見てショックな声をあげた。湖に着く前に決着がついたらしい。それも最悪な形で。
「…………負けたのか」
「…………うん」
戦線を維持され、相手の切り札と思われるモンスター、【ヴァンパイアジェネシス】でクロノスの【古代の機械巨人】を破壊され、他のモンスターでトドメをさされたという状況らしい。
とりあえず前田に頼んで湖へ。そこには十代達が立ち尽くしていた。しかしクロノスの姿が無い。
「……十代」
「……龍斗。来たのか」
「前田に頼んでな。……クロノス先生は?」
十代は無言で万丈目を見る。万丈目はこちらに見えるように人形を見せた。クロノスをデフォルメしたようなデザインだ。
「……人形にされたのか」
「そんな……!?」
両手で口元を隠して目を潤ませるゆま。
「…………前田、来てそうそうすまないんだが、また保健室に頼む」
「わかったんだなあ」
ゆまも一緒に保健室へ。まずは体の調子を戻す。そして、クロノスを倒した奴を叩き潰す。
☆
翌日。
まだ調子が戻らず保健室で眠っていると、カイザーがやってきた。天上院吹雪の見舞いかと思ったが、俺に用があるらしい。
「頼む。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】のカードを貸してくれ」
『貸してくれ』と来たか。【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の更なる姿。俺の知る【サイバー・ドラゴン】……サイバー流の成れの果て……そのカードの力が必要だと……
「サイバー流の象徴、【サイバー・ドラゴン】そして【サイバー・エンド】の特性から剛の力と剛の力をぶつけ合うという信条を自らの力で否定する【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】。その力を借りてでも、俺は吸血鬼カミューラを倒したい……!それほどに、今の俺は憤っている!頼む!」
普段表情を変えないカイザーが怒りの表情を見せ、頭を下げる。クロノスを倒されたのがよほど悔しいらしい。
「……三沢に連絡しておく。『エクシーズ』と書かれたアタッシュケースの中に入ってる」
PDAで三沢にカイザーが寮に行く旨を伝える。カイザーは『すまない』とだけ言ってイエロー寮に向かった。
夜、前田に背負われてカイザーが言っていたクロノスを倒した奴、吸血鬼カミューラの城へ。三沢、万丈目、十代が名乗り出るが、カイザーが3人を止めた。調整は終わっているらしい。
カミューラ自身もカイザーとデュエルしたいらしい。
「ルールはおわかりね?勝者は次なる道へ。そして敗者はその魂を、この愛しき人形に封印される」
カイザーはデュエルディスクを無言で構え、カミューラもそれに応じる。
「「デュエル!」」
カミューラ
LP4000
VS
丸藤亮
LP4000
「私の先攻、ドロー!【ヴァンパイア・レディ】を守備表示で召喚!」
【ヴァンパイア・レディ】
守備表示
ATK1550/DEF1550
「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
カミューラ
LP4000
モンスター
【ヴァンパイア・レディ】:守
DEF1550
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
さて、カイザーのターン。どう調整した?
「俺のターン、ドロー。魔法カード【天使の施し】!デッキからカードを3枚ドローし、手札を2枚捨てる」
いきなり手札交換……?事故……いや、墓地肥やしか?え、結局【インフィニティ】使わずに【オーバーロード】する方向になったのか?
「【融合】を発動!手札の【サイバー・ドラゴン】2体を融合!現れよ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】!」
【サイバー・ツイン・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2800/ATK2100
「更に【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を召喚!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
「バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】で【ヴァンパイア・レディ】を攻撃!エヴォリューション・ツヴァイバースト!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】は相手モンスターとバトルするとき、攻撃力が300ポイントアップする!」
「罠発動【妖かしの紅月】。手札のアンデット族モンスター1体を墓地に送り、相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを回復。その後バトルフェイズを終了させる」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の熱線が突如現れた紅い月に阻まれ、月が紅い粒子となってカミューラを包んだ。
カミューラ
LP4000→5500
「速攻魔法【融合解除】!【サイバー・ツイン・ドラゴン】の融合を解除」
【サイバー・ドラゴン】×2
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
「融合を解除してまで何を……」
早速使うのか、カイザー。
「俺はレベル5の【サイバー・ドラゴン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
「へぇ……面白いカードを使うのね」
初めて見るはずのエクシーズにまるで動揺した様子がないカミューラ。
大抵の奴は動揺するんだが……
「……俺は【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!
誇りを捨て、あらゆる力を取り込み、拒絶し、更なる高みへ登れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!これが進化の果て!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】に似ている、しかしどこか狂気を感じさせるモンスターがカイザーのそばに出現した。
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力は、ORU1つにつき200ポイントアップする」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】
ATK2100→ATK2700
最初からそれ召喚すれば楽だったな。1kill狙っての行動だろうけど。【サイバー・ツイン】の攻撃力分回復されなかっただけマシか。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
丸藤亮
LP4000
モンスター
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻
ATK2700
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻
ATK1500
魔・罠
伏せ1枚
手札0枚
「ふふふ……ゾクゾクするわぁ……一番タイプの子だと思っただけのことはあるわ」
「悪いが、俺にも好みがある」
どうやらカミューラは見た目だけで相手を決めていたらしい。しかしカイザーはそれを一蹴するもカミューラは『それでこそ手に入れる甲斐がある』と言って引かない。ついてきた丸藤はカイザーを心配そうに見ている。
「私のターン、ドロー!【ヴァンパイア・レディ】を生贄に、【ヴァンパイア・ロード】を召喚!」
【ヴァンパイア・ロード】
攻撃表示
ATK2000/DEF1500
「更に【ヴァンパイア・ロード】をゲームから除外し、【ヴァンパイアジェネシス】を特殊召喚!」
【ヴァンパイアジェネシス】
攻撃表示
ATK3000/DEF2100
「バトルよ!行け【ヴァンパイアジェネシス】!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を攻撃!ヘルビシャス・ブラッド!」
「罠発動【攻撃の無力化】!相手モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」
【ヴァンパイアジェネシス】が全身を赤い砂に変化させ、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を攻撃しようとするが、見えない壁に阻まれ失敗した。
「可愛くない……!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
カミューラ
LP5500
モンスター
【ヴァンパイアジェネシス】:攻
ATK3000
魔・罠
伏せ1枚
手札2枚
「俺のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの攻撃表示モンスターをこのモンスターのORUにする!」
「なんですって!?」
「サイバネティック・アブソーバー!」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の胴体部から青白いロープのような線が幾つも飛び出し、【ヴァンパイアジェネシス】を捉えORUにしてしまった。
「ORUが増えたことで、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力がアップする」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】
ATK2700→ATK2900
「強力なモンスターだな。ORUの数だけ攻撃力が増し、さらにはORUとして吸収する効果まで……」
隣にいる三沢が冷静に呟く。たしかに強いけど、あの効果は【インフィニティ】を暴走させる要因でしかないと思う。
「バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】でダイレクトアタック!エヴォリューション・ツヴァイバースト!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の熱線がカミューラを襲う。
「罠発動【妖かしの紅月】!」
「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、カードの効果が発動したとき、ORUを1つ使いそのカードの発動を無効にし、破壊する!インフィニティ・リジェクション!」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】のORUが目の前で弾け、赤白いロープのような線が胴体部から複数飛び出し、【妖かしの紅月】を貫いた。
「ぐぅっ……!」
カミューラ
LP5500→4000
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】
ATK2900→ATK2700
「更に【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック!インフィニティ・ノヴァ!」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の口から吐き出されるレーザーがカミューラを襲う。
「ああぁぁぁ!!」
カミューラ
LP4000→1300
「ターンエンド」
丸藤亮
LP4000
モンスター
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻
ATK2700
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻
ATK1500
魔・罠
無
手札1枚
「すげぇ!やっぱすげぇよ、お前の兄ちゃん!」
十代は丸藤にそう話し、丸藤も嬉しそうに返事をした。
「……憎たらしい」
カミューラのターンになったと思ったら、カミューラの様子と声色が変わった。
「可愛さ余って憎さ百倍だわ!」
カミューラは口を普通の人よりも大きく開け、舌と牙と言っても差し支え無いほど鋭い歯を剥き出しにした。
「ひぅっ!お、お兄ちゃん……」
その様を見てしまったゆまが俺……というより前田の後ろに隠れる。俺もなんとかしてやりたいが、体が痛むのでどうにもできない。
「私のターン!」
カミューラは歯を剥き出したままデュエルを続ける。一瞬【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を睨み1枚のカードを手に取った。
「魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」
「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!ORUを1つ使い、カードの発動を無効にし、破壊する!インフィニティ・リジェクション!」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】から再び線が飛び出し、カミューラの【強欲な壺】を貫く。
「その程度は計算済み!更に魔法カード【幻魔の扉】!」
カミューラがカードを発動すると、暗い緑色の扉が現れる。扉が開くと扉の向こうから強い光がカミューラを照らし、カミューラの体が2つにわかれた。
「【幻魔の扉】……このカードはまず相手フィールドのモンスターを、全て破壊する!!」
問答無用の破壊効果にカイザーも俺達ギャラリーも驚愕した。コストも無く、問答無用で相手モンスターを全滅……【サンダー・ボルト】と同じ効果じゃないか!
「更に、墓地のモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!貴方の墓地から【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を特殊召喚!」
「なんだと!?」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
カミューラの声に従い【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】が姿を現わす。
「相手モンスターを全滅させ、墓地からモンスターを特殊召喚……それをコスト無しで発動できるカード……」
三沢が呟く。ぶっ壊れにもほどがある。しかし本当にコストは無いのか?
「もちろん、このカードを使う代償はありますわ。このデュエルに私が敗北したら、私の魂は【幻魔】のものとなる」
負けたらって……そんなカード使って負けろって方が難しいだろ……
「でも、私は闇のデュエリスト。そしてこれは闇のデュエル。どうせなら闇のデュエルらしい生贄を用意させてもらうわ」
そう言ってカミューラは俺達ギャラリーを見た。
「っ!まさか……!逃げろ、翔っ!!」
カイザーがカミューラの思惑に気付いて叫ぶが時すでに遅し。カミューラの片割れが丸藤の背後に飛んできた。十代達がカミューラを捕らえようとするが奴は十代達より速く動き丸藤を連れてデュエルしているカミューラのところへ移動し、丸藤の首筋に噛みついた。
「さぁ、私を倒してみなさい。私を倒せば、この子の魂は幻魔のものとなり、2度と戻ってこないけどね!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック!インフィニティ・ノヴァ!」
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の吐き出すレーザーがカイザーを飲み込む。
「ぐぅあぁぁぁぁ……!」
丸藤亮
LP4000→1900
「ターンエンド!」
カミューラ
LP1300
モンスター
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻
魔・罠
無
手札0枚
「……俺のターン……ドロー……」
フィールドにカードは無く手札は2枚……仮に突破できても……これは……。
「これでは、カイザーは攻撃できない……」
「卑怯だぞカミューラ!何故正々堂々とデュエルしないんだ!」
十代がカミューラに叫ぶが、カミューラは笑顔で『正々堂々だなんて虫唾が走る』と一蹴。
カイザーは俺達ギャラリーを見て、数秒するとターンエンド宣言した。
丸藤亮
LP1900
モンスター
無
魔・罠
無
手札2枚
「ふふふ……良い子ね。私のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック」
カミューラは無傷で勝利したかのように余裕な態度で攻撃した。
丸藤亮
LP1900→-200
デュエルを終えるとカイザーの姿が消えていった。カミューラは高笑いしながら姿を消した。奴の名を叫んでも姿を現さないのでやむなく城を出る。カミューラのような奴がいるとは思っていたが、実際に見ると怒りがこみ上げてくる。セブンスターズ……カミューラ……必ず叩き潰す!
次回は……秘密です。