「これが!シンクロ召喚という力を手に入れた【青眼】の力だ!」
……こういうのって、テスターである俺達が勝つのがセオリーなんじゃないのか?いや、実戦なんだから勝たなかった明日香が悪いと言われるとそれまでなんだけど。
俺の考えていること、イベントなんざ知らんとばかりに、海馬さんの高笑いが会場に響く。
まぁ、海馬さんもシンクロ使ったからいいけどさ。
満足気な海馬さんと、悔しそうな顔の明日香が俺とペガサス会長の傍に戻ってくる。
「えー……シンクロ召喚は基本的には低レベルモンスターの連続召喚が重要になってきます。いくら海馬さんに憧れていても、無理なデッキ構築で高レベルモンスターばかりのデッキにしないことをオススメします」
なんで俺が海馬さんのフォローをしなきゃならないんだ……あ、この人上司なんだった……はぁ……
「次へ行きましょう。次は……エクシーズ召喚の実演ですね。デュエルアカデミア本校所属、藤原雪乃さんです!」
明日香と同じように登場する藤原。しかし緊張している様子は無い。本校とノース校の交流試合の映像に映っていたから、微妙に声が聞こえる。
「さて、雪乃ガールの相手デスが……私が相手デース!」
でしょうね。明日香の相手が海馬さんだったんだから、俺か藤原の相手は貴方でしょう。予想できたために、会場の反応は少し冷めたものだ。
「?みんなNo reactionデース。Why?」
会場の反応に不服そうなペガサス会長。首を傾げている。
「……会長。さっき海馬社長が出てきたんですから、貴方が俺か彼女のどちらかの相手をすることは十分に予想できますよ」
「Oh!そうでした!それならNo reactionなのも納得デース」
大げさなリアクションを取るペガサス会長。身振りで藤原に準備させると、ペガサス会長も釣られるようにデュエルディスク(何故かアカデミア仕様だ)を構える。
「ではエクシーズの実演、始めてください」
「「デュエル!」」
藤原雪乃
LP4000
VS
ペガサス・J・クロフォード
LP4000
「私の先攻ね。【召喚僧サモン・プリースト】を召喚」
【召喚僧サモン・プリースト】
攻撃表示
ATK800/DEF1600
「このモンスターは召喚に成功すると守備表示になる」
【召喚僧サモン・プリースト】
攻撃表示→守備表示
ATK800→DEF1600
フィールドに出ると同時に『グキッ』という重い音がしてその場にうつ伏せの状態で腰を浮かせて倒れる【サモプリ】。守備してないな。
「【サモン・プリースト】の効果発動。手札の魔法カード【破天荒な風】を捨てて、デッキからレベル4モンスターを特殊召喚。【聖鳥クレイン】を特殊召喚」
【聖鳥クレイン】
攻撃表示
ATK1600/DEF400
プルプルと腕を震わせて杖だけを構えると、2対4枚の翼を持った白鳥が現れ、藤原に白や黄色の光の粒をかけた。
「【聖鳥クレイン】は特殊召喚に成功したとき、カードを1枚ドローする」
藤原雪乃
手札3枚→4枚
「【サモン・プリースト】の効果でレベル4モンスターを揃えつつ、失った手札を【クレイン】の効果で補充する。初手としてはかなりいい手札ですね」
一応解説役を続行。海馬さんはこちらに視線を向けず、ジッとペガサス会長と藤原のデュエルを見ている。こっちに絡んでくるつもりはなさそうだ。
「私はレベル4の【聖鳥クレイン】と【サモン・プリースト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
私の戦いはここから始まる!白き翼に望みを託せ!エクシーズ召喚!ランク4!【No.39 希望皇ホープ】!」
【No.39 希望皇ホープ】
攻撃表示
ATK2500/DEF2000
「フィールドにいる同じレベルのモンスターを、召喚したいエクシーズによって指定された数重ね、その上にエクシーズモンスターを重ねて召喚する。これがエクシーズモンスターです。
エクシーズモンスターはレベルを持たず、代わりにランクを持ちます。ランクとレベルの違いですが、ランクを持つモンスターはレベルに関するサポート、並びに効果をほぼ受けません。『レベルを持たないということは、レベル0ではないのか?』と思う方もいると思いますが、それですと『レベル0というレベルを持つ』ことになるので、微妙に誤りとなります」
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
藤原は俺の説明を無視してデュエルを続ける。まぁ、客席の人が聞いていればそれでいいけど。
藤原雪乃
LP4000
モンスター
【No.39 希望皇ホープ】:攻
ATK2500
魔・罠
伏せ1枚
手札3枚
「私のターン、ドロー!魔法カード【トゥーンのもくじ】を発動!デッキから【トゥーン】カードを手札に加えマース!」
ペガサス会長のデッキはやはり【トゥーン】か。藤原のデッキには【トゥーン】は無かったはずだから、【トゥーン・ワールド】を除去しないと、大ダメージを期待できないか。
「デッキからフィールド魔法【トゥーン・キングダム】を手札に加え、コレを発動しマース!」
ペガサス会長の頭上にポンッというようなコミカルな音とともに、緑色の本が現れパラパラとページが捲れていき、白い煉瓦造りの城が飛び出した。
「このカードは発動するとき、デッキの上から3枚を裏向きで除外しマース!このカードがフィールドにある限り、カード名を【トゥーン・ワールド】として扱い、私のフィールドにいる【トゥーン】モンスターは雪乃ガールのカードの効果の対象にならず、私のフィールドの【トゥーン】モンスターが破壊される場合、デッキの一番上のカードを身代わりにできマース!」
会長はにこやかに説明しながら、手札の1枚を取った。
「このモンスターは、相手のフィールドにのみモンスターがいる場合、手札から特殊召喚できマース。【トゥーン・サイバー・ドラゴン】!」
【トゥーン・サイバー・ドラゴン】
守備表示
ATK2100/DEF1600
城から勢いをつけて飛び出したのは、デフォルメした【サイバー・ドラゴン】。何がおかしいのか、『ニシシ』と笑っている。
「カードを2枚セットしてターンエンドデース!」
ペガサス・J・クロフォード
LP4000
モンスター
【トゥーン・サイバー・ドラゴン】:守
DEF1600
魔・罠
伏せ2枚
フィールド
【トゥーン・キングダム】
手札2枚
「【トゥーン】モンスターを守備表示で召喚し、【トゥーン・キングダム】で守る。貫通効果、または効果ダメージでないとペガサス会長のライフを削れない……ペガサス会長、これがエクシーズ召喚の実演ってこと忘れてるのでは……?」
ペガサス会長は『フフフ』と笑っているだけで返答を寄越さない。俺の上司はこんな人ばかりか。
「私のターン、ドロー」
「罠カード【トゥーン・マスク】を【希望皇ホープ】を対象に発動しマース!手札またはデッキから、【希望皇ホープ】のランク以下のレベルを持つ【トゥーン】モンスターを、召喚条件を無視して特殊召喚しマース!」
【トゥーン・マスク】に描かれている青とも緑とも言えるマスクが飛び出し、【ホープ】の前に数秒止まる。しばらくすると、マスクが城の中に入っていき、本とは思えないポンプ運動の後、【トゥーン・仮面魔道士】が城から飛び出した。
【トゥーン・仮面魔道士】
守備表示
ATK900/DEF1400
「【トゥーン・仮面魔道士】はダメージを与えると、カードを1枚ドローできる効果がありますが、【ホープ】はエクシーズ素材……ORUを使うことで攻撃を無効にする効果があります。
まともにダメージを与えるにはあと1体、もしくは次の次のターンにならないといけません。前者まだしも、後者になるころには大ダメージを受ける恐れがあります。ペガサス会長の考えがわかりかねる一手ですね……」
「何を企んでいようと、私のやれることは変わらないわ。カードを伏せ、ターンエンド」
藤原雪乃
LP4000
モンスター
【No.39 希望皇ホープ】:攻
ATK2500
魔・罠
伏せ2枚
手札3枚
藤原のターンの短さ。貫通効果も対象を取らない除去カードも引いてないなら仕方ないか。
「私のターン、ドロー!魔法カード【トゥーン・ロールバック】。これで【トゥーン・サイバー・ドラゴン】は2回攻撃できマース!」
【トゥーン・サイバー・ドラゴン】の背後に影が浮かぶ。2回目は影がするのか。【
「2回攻撃……でも、【ホープ】は攻撃を無効にする効果を持ってるわ」
「But.それにはORUが必要。連続攻撃してしまえば止められまセーン。全モンスターを攻撃表示に変更しマース!」
【トゥーン・サイバー・ドラゴン】
守備表示→攻撃表示
DEF1600→ATK2100
【トゥーン・仮面魔道士】
守備表示→攻撃表示
DEF1400→ATK900
「バトル!【トゥーン】モンスターは【トゥーン・ワールド】が存在し、相手のフィールドに【トゥーン】モンスターがいないなら、プレイヤーにダイレクトアタックできマース!【トゥーン・サイバー・ドラゴン】でダイレクトアタック!エヴォリューション・バースト!」
【トゥーン・サイバー・ドラゴン】の光線が藤原を襲う。
「あぁんっ!」
藤原雪乃
LP4000→1900
いつもの放送できるのか怪しい声を出す藤原。一瞬で会場が騒めいた。
「藤原。マスコミとかいるんだから、そんな声出すな。編集する人達が大変だろう」
「そんな声ってどんな声かしら?」
挑発的な笑みを浮かべて俺を見る藤原。コイツわかってて言ってるな……『いや、いい』と諦めてペガサス会長に続行を促す。
「【トゥーン・サイバー・ドラゴン】でダイレクトアタック!エヴォリューション・バースト・セカンド!」
「【ホープ】の効果発動!ORUを1つ使い、モンスターの攻撃を無効にするわ。ムーンバリア」
【ホープ】の翼が展開し、光線から藤原を守る。
「Oh!片方を止めにきましたか!なるほど、では【トゥーン・仮面魔道士】でダイレクトアタック!」
【トゥーン・仮面魔道士】が藤原の顔の周りを飛び回ったと思うと、藤原の口には長いゴムが咥えられていた。【トゥーン・仮面魔道士】はそのゴムを引っ張っていく…………ご、ゴムパッチン……しかし藤原はそれを受けるようなキャラじゃない。当たり前のように口を開け、ゴムが【トゥーン・仮面魔道士】の顔に直撃。【トゥーン・仮面魔道士】は顔を押さえて悶絶した。
藤原雪乃
LP1900→1000
それでも藤原のライフは減るし、【トゥーン・仮面魔道士】は破壊されない。痛みが和らいだのか、【トゥーン・仮面魔道士】は言葉になっていない文句を言ったあと、ペガサス会長のデッキトップのカードをペガサス会長に与えた。
「【トゥーン・仮面魔道士】は相手プレイヤーにダメージを与えるとカードを1枚ドローさせてくれマース。メインフェイズ2、永続魔法【フィールドバリア】を発動。このカードがある限り、お互いにフィールド魔法を破壊できず、フィールド魔法を発動できまセーン」
【トゥーン・キングダム】を薄い緑色の膜が覆う。
「そして2体のモンスターをリリースし、【トゥーン・ブラック・マジシャン】をアドバンス召喚しマース!」
城から【ブラック・マジシャン】を小さくしたようなモンスターが飛び出るが、【フィールドバリア】の膜にぶつかり頭を強打。目尻に涙を浮かべて膜を杖で突くが、膜は微動だにしない。【トゥーン・ブラック・マジシャン】は城に戻り一瞬で戻ってくると、円を描く道具、コンパスのような物で膜に円形の穴を開け、そこから脱出。
疲れたのかその場で横になった。
【トゥーン・ブラック・マジシャン】
攻撃表示
ATK2500/DEF2100
「【ホープ】も【トゥーン・ブラック・マジシャン】も攻撃力2500。しかし【トゥーン・ブラック・マジシャン】は【トゥーン・キングダム】で守ることができる。ダメージを防ぐ一手ですね」
「ターンエンドデース!」
ペガサス・J・クロフォード
LP4000
モンスター
【トゥーン・ブラック・マジシャン】:攻
魔・罠
伏せ1枚
フィールド
【トゥーン・キングダム】
手札1枚
ふと海馬さんを見てみる。ライバルの武藤遊戯のエースモンスターである【ブラック・マジシャン】が、【トゥーン】とされたのをどう思うのか……
海馬さんの表情は先程と変わらない。特に思うところはないということか?
「私のターン、ドロー。【ゴブリンドバーグ】を召喚」
【ゴブリンドバーグ】
攻撃表示
ATK1400/DEF0
「【ゴブリンドバーグ】の効果発動。召喚に成功したとき、手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる」
「罠発動【トゥーンのかばん】!私のフィールドに【トゥーン】モンスターが存在し、相手プレイヤーがモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚したとき、そのモンスターをデッキに戻しマース!」
「カウンター罠【神の宣告】。ライフの半分をコストに、【トゥーンのかばん】の発動を無効にするわ」
藤原雪乃
LP1000→500
【トゥーンのかばん】が天井から当てられた光に消え、【ゴブリンドバーグ】のコンテナから【聖鳥クレイン】が現れた。
【聖鳥クレイン】
攻撃表示
ATK1600/DEF400
【ゴブリンドバーグ】
攻撃表示→守備表示
ATK1400→DEF0
「【クレイン】の効果で1枚ドロー」
藤原雪乃
手札2枚→3枚
「良いカードを引いたわ。魔法カード【破天荒な風】。次の私のスタンバイフェイズまで、【ホープ】の攻撃力と守備力を1000ポイントアップさせるわ」
【No.39 希望皇ホープ】
ATK2500/DEF2000→ATK3500/DEF3000
「バトル!【希望皇ホープ】で【トゥーン・ブラック・マジシャン】を攻撃!この瞬間、【ホープ】の効果を発動!ORUを1つ使って、【ホープ】の攻撃を無効にするわ」
藤原の行動に『何をやってるんだ』というような声がチラホラと聞こえる。これは……アレか。藤原のデッキの最大火力。
「速攻魔法【ダブル・アップ・チャンス】。モンスターの攻撃が無効になったとき、そのモンスターはもう一度攻撃できる。そして、そのモンスターの攻撃力は倍になる!」
【No.39 希望皇ホープ】
ATK3500→ATK7000
かの【F・G・D】を超える攻撃力に、歓声が上がる。そして【トゥーン・ブラック・マジシャン】を【ホープ】の剣が切り裂いた。
「Oh〜〜〜〜!」
ペガサス・J・クロフォード
LP4000→-500
次回はペンデュラムですね。相手は……教えません。
ペンデュラムしないとまともにモンスターを召喚できないデッキでデュエルします。