衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

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エンタメって難しいですねー……
少しストックが溜まってきてますので、執筆速度の都合と相談してしばらくは2日または3日に1話ペースで更新します。


暴露 VS.龍牙

「教育実習生?それが何かあるのか?」

 

イエローに昇格して数日、実技演習……つまりは実際にデュエルして自分のデッキの特徴を把握するための授業でやたらとイエローやらブルーやらに挑まれたものの全て難なく撃破。【スクラップ・ドラゴン】達の活躍が……いや、【レベル・スティーラー】の過労死が尋常じゃない。動き出したら1ターンに2、3回出てきては落ちてを繰り返してる。……しばらく休ませてやりたいと思い授業で毎回出すレポートの準備と称して休憩していたのだが、三沢もやってきて話しながらレポートを書いていると、『教育実習生の噂』について聞かれた。俺は何も知らないから聞き返すことになったが。

 

「ああ。なんでも教育実習生とデュエルすると、必ず魔法カードが発動せず、しかもデュエルに負けたらレアカードを取られるらしい」

 

魔法カードねぇ…………なかなか厳しいな。魔法無しでも戦えなくはないけどな。あれば早く決着できるってだけだ。多分。そんな縛りプレイとかしたことないから『魔法カードが使えない』という厳しさの実感が湧かない。……ついさっき思ったことと矛盾してるかもな。

流石に【HERO】でいくつもりはないけどな。【マスク・チェンジ】も【融合】も使えないからな。

 

「君はシンクロ・エクシーズと超レアカードがケース単位であるから狙われると思ってな。気をつけた方がいい」

「心配どうも。だが『負けたら』だろ?勝てば問題ないし、負けるつもりはない。そもそも勝負するかどうかすらわからないからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教育実習生と俺がデュエルを?何故?」

「シンクロ・エクシーズを操る君のタクティクスを超えてこそと思いましてね。『教師とはただ教えるのではなく、教師が生徒から学ぶこともある』というのを知る良い機会でもあるから是非君にお願いしたい」

 

……3日後、授業も終わりデッキ作成・調整・十代や天上院あたりと勝負してまた調整をしようと思った矢先、校長室に呼び出された。何事かと思い校長室に行くと、件の教育実習生とデュエルしろとのこと。50連勝すれば教師になれて、現在49連勝らしい。

で、理由を聞いたら今の答えが帰ってきた。面倒な。

 

「もし、断れば?」

「シンクロ・エクシーズのテスターかどうか怪しくなりますね。I2、KCのテスターなら受けて当然かと」

 

…………面倒な。

だがテスターでなければシンクロ・エクシーズを俺が持っていることに疑問が生じる。それによる追求は避けたい。海馬さんに怒られるのは嫌だ。

 

「…………わかりました。受けますよ」

「ありがとう。では、日程だが……」

 

来週の実技演習の時間にデュエルフィールドでやることになった。

さて、噂が本当なら魔法は使えない。

モンスターと罠だけか……どんなデッキだよ…………んなもん作ったか?

…………作るかぁ?無難な選択しかしないであろう俺が。

いっそのこと魔法入れてもすぐコストにするか?【サモプリ】とか使って。でもそうすると手札の消費が激しい……手札無しでもモンスターを大量展開できるやつ…………いや、そんな都合のいいデッキ……………………あるな。アレがあったな。アレが。賭けって感じが強いけど、仕方がない。

 

「では、よろしくお願いしますよ」

「……ええ。では、失礼します」

 

軽く頭をさげて、校長室を去る。

校長室を出ると、十代に丸藤、天上院と枕田、浜口とよくいる面子が揃っていた。

 

「揃いも揃って校長室になんの用だ?」

「アンタが校長室に呼び出されたから心配してあげたんじゃない!」

「特に用ってわけじゃなかったよ。教育実習生とデュエルしろって言われただけだ。だが、心配かけたのはすまなかったな」

 

しかし、心配ねぇ……枕田ってこんなヤツだったか?…………そんなヤツなんだろう、そこまで長い付き合いでもないから全て知っているわけじゃないし。

 

「教育実習生……ってあの噂の?」

「恐らくな。噂通りなら魔法は使えん。つまりモンスターと罠だけでのデュエルになるからデッキを弄らなきゃならん」

「そんなので勝てるんですの?」

「なんとかやってみるさ。既に大枠の案は浮かんでる。あとは細かく調整するのに三沢に協力してもらうさ。お前達にも協力してもらいたい。対戦相手としてな」

 

枕田には特にな。デッキテスター初仕事の相手が俺ってことになるが……まぁコイツならなんとかなるだろう。仮にもブルーだし。

部屋に戻ってデッキを作成・調整→十代達と対戦→調整と繰り返して1週間。なんとか形になった。形になるまで3桁近く負けてる気がする。枕田には1キルされた回数が20はあるはずだ。なんで【ジャンク】渡したんだろう……形になってもあのデッキには半分程度しか削れなかった……やめよう、思い出すのは俺のテンションが鬱入るだけだ。

 

「それデーワ。本日の実技演習は教育実習生龍牙VSラーイエローのシニョール宮田のデュエルナノーネ」

「今日はよろしく。君に勝てば私は教師になれる」

「らしいですね。なんでも49連勝中だとか」

「ああ。だから負けられないんだ」

 

俺も負けるつもりはない。このデッキは枕田以外には勝てたんだ。偶然。

その偶然に賭ける。…………そういえば【インフェルニティ】の方が安定した気が…………

 

「ところで、君は珍しいカードを持っているそうだね」

「…………シンクロのことですか?」

 

言ってくるとは思ってたよ。残念ながら渡すつもりはさらさらない。

 

「そう!そのシンクロなんだがね。私はデュエリストでもあるが、コレクターでもあってね。よかったら、私が勝ったらわけてくれないかな」

「…………貴方が使える筈がないのにですか?」

「それは、私が決めることだ」

「いいや、俺が決めることだ」

 

お、顔が険しくなった。この程度で怒るなんて短気だな。

 

「シンクロはそれだけで使えるものじゃない。シンクロ単体で使えるとか思ってる時点でシンクロは扱えないよ」

「こ、このガキィ……私向かってその態度……勝って土下座させて即刻退学にしてやる……!」

「やれるものならな」

「それデーワ!デュエル開始ナノーネ!」

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

龍牙

LP4000

 

互いにデュエルディスクを構える。俺のは、ようやくできた新型のディスクだ。見た目は今までと変わらないけどな。

 

「俺のターン、ドロー!俺はスケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】でペンデュラムスケールをセッティング。カードを1枚伏せ、ターンエンド。そしてエンドフェイズ、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果で、このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加える。【時読みの魔術師】を手札に」

 

今回使うのはペンデュラム召喚を使うデッキだ。【DD】だと色々困るので【EM(エンタメイト)】軸だがな。ペンデュラムスケールゾーンを取り付ける場所だが今までのデュエルディスクのフィールド魔法ゾーンを更に伸ばして、1箇所。反対側に1箇所で出来上がりだ。

 

『ペンデュラムスケール?』

『もしかして、また新しい召喚か!?』

『何種類の召喚法を知ってるんだ!?』

 

十代達以外は入試以来であろう新ワードに動揺している。まぁ仕方がないだろう。だがペンデュラムカードはスケールに置く際、魔法カードとして扱われる。つまり本来は使えないはずなんだ。相手の龍牙も動揺している。

 

「な、何故だ……魔法カードは使えないはず!」

 

龍牙は狼狽えながら左手に付けている指輪に触れた。

アレがジャミングしているのか。まぁいい。追求はコイツを倒してからだ。

軽いジャブで済ませよう。

 

「『使えないはず』とはどういうことだ?」

「ッ!!な、なんでもない!」

 

校長室から部屋に戻る直前、海馬さんにこの件について尋ねたところ、なんらかのジャミングをしている可能性があるとのこと。海馬さんは相当に怒っていて、俺が使っている、ペンデュラム召喚可能型のデュエルディスクを作成する際にジャミング電波をジャミングする機能を付けたと言っていた。……なにそのなんたらジャマーキャンセラーみたいな理屈……続けよう。ただ完全には出来なかったらしく、ペンデュラム限定になってしまったが……それだけでもありがたい。

 

「そうですか。これで本当にターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札5枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

 

「わ、私のターン!【俊足のギラザウルス】を特殊召喚!」

 

【俊足のギラザウルス】

攻撃表示

ATK1400/DEF400

 

「このカードは特殊召喚扱いで召喚できる!だがこの方法で召喚したとき、相手は墓地からモンスターを特殊召喚する!」

「だが俺の墓地にはモンスターはいない」

 

エクストラにはいるけどな。

 

「更に私は【俊足のギラザウルス】をもう1体特殊召喚して、2体の【俊足のギラザウルス】を生贄に捧げ、【超電導恐獣(スーパーコンダクターティラノ)】を召喚!」

 

【超電導恐獣】

攻撃表示

ATK3300/DEF1400

 

「バトル!【超電導恐獣】でダイレクトアタック!」

「リバースカード【ガード・ブロック】!戦闘ダメージを0にして、カードを1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「くっ!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

龍牙

LP4000

モンスター

【超電導恐獣】:攻

ATK3300

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……来た!【星読みの魔術師】!

だがどうする?エンタメするのか?このデッキ、カードを使うならエンタメをするべきだろう。だが俺のキャラじゃない…………コレと【妖仙獣】のときくらいはエンタメでいくか。

 

「すぅ…………はぁ…………」

 

ゆっくりと深呼吸する。

落ち着いて……噛むのはアウトだ。

…………よし!

 

「……Ladies & gentlemen !これより私、宮田龍斗によるシンクロ・エクシーズに続く新たな召喚方をご覧に入れます!」

 

ざわざわと周囲がざわめきだした。今回は十代や天上院も同じようにざわめいてる。俺のキャラの変化に驚いているんだろう。

 

「自分フィールドにモンスターがいないとき、このカードは発動できる!俺は、スケール8の【時読みの魔術師】とスケール1の【星読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

フィールド魔法ゾーンは従来の企画の倍の長さまで展開され、それと同時に反対側のペンデュラムスケールゾーンも展開され、そこに【時読み】と【星読み】を置くと、俺の後ろに薄い青に光る柱が現れ、【時読み】と【星読み】が姿を現わす。彼ら(彼……だよな?)の下にそれぞれ『8』と『1』の数字が書かれている。

 

「これで、レベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!」

『同時に召喚!?』

『上級、最上級は生贄がいるだろ!?』

「疑問はごもっとも!しかし、ペンデュラム召喚は特殊召喚に分類されますので、問題はありません!

揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!

ペンデュラム召喚!!手札から、誇り高き銀狼!レベル4【EM シルバー・クロウ】!」

 

【EM シルバー・クロウ】

攻撃表示

ATK1800/DEF700

 

「鋭く噛みつき、世界を反転!レベル4【EM ウィップ・バイパー】!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示

ATK1700/DEF900

 

「仲間の力を見せてやれ、!レベル5【EM パートナーガ】!」

 

【EM パートナーガ】

守備表示

ATK500/DEF2100

 

「応援されれば勇気凛々!レベル2【EM チアモール】!」

 

【EM チアモール】

攻撃表示

ATK600/DEF1000

 

「そして、エクストラデッキから!雄々しくも美しく輝く二色の眼!レベル7【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「ば、バカな!?こんな召喚、私は知らないぞ!」

「知らなくて当然。これは今回が初お披露目の召喚。召喚方の都合上、この特別製のデュエルディスクでなければ召喚できないのです!【EM パートナーガ】の効果発動!このカードの特殊召喚に成功したとき、自分フィールドのモンスター1体を対象に発動!【オッドアイズ】を選択!これで【オッドアイズ】の攻撃力は、自分フィールドの【EM】の数1枚につき、300ポイントアップ!現在、フィールドの【EM】は【パートナーガ】を含め4体!よって1200ポイントアップ!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ペンデュラム】

ATK2500→ATK3700

 

にしても良く回るよな。一応罠はデッキ圧縮を多く投入しているけど、なんかモンスターが多く手札にくるし、都合いい手札だしでちょっとあの自称神がなんかしてるのかと疑問を抱く。

 

「私の【超電導恐獣】の攻撃力を上回っただと!?」

 

召喚成功時に何もない……【激流葬】や【奈落の落とし穴】は無いか。

 

「【EM チアモール】の効果!1ターンに1度、メインフェイズ中に元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスター1体を対象に発動!その攻撃力が元々の攻撃力より高い場合、攻撃力が更に1000ポイントアップ!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

ATK3700→ATK4700

 

「【EM ウィップ・バイパー】の効果!フィールドのモンスター1体を対象に、その攻撃力と守備力を入れ替える!【超電導恐獣】を対象に発動!コンフュージョン・ベノム!」

 

【超電導恐獣】

ATK3300/DEF1400→ATK1400/DEF3300

 

「私の【超電導恐獣】の攻守を入れ替えるだとぉ!?」

「【パートナーガ】の効果で、レベル5以下のモンスターは攻撃できませんが、問題ありません!バトル!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【超電導恐獣】に攻撃!螺旋のストライクバースト!」

「トラップ発動!【万能地雷グレイモヤ】!これでお前のモンスターは……何故発動しない!?」

 

龍牙の言う通り、伏せられているであろう【万能地雷グレイモヤ】は発動せず、伏せられたままだ。

 

「時空を見定める【時読みの魔術師】よ。その精緻なる力で我を守護せよ!

【時読みの魔術師】のペンデュラム効果!自分のペンデュラムモンスターが戦闘をするとき、ダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない!インバース・ギアウィス!」

「バカな!?トラップによる防御ができないだと!?」

「【オッドアイズ】が戦闘を行うとき、相手プレイヤーに与える戦闘ダメージは倍になる!リアクション・フォース!」

 

【オッドアイズ】から放たれるブレスは、【超電導恐獣】を呑み込むだけでなく龍牙をも呑み込んだ。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

龍牙

LP4000→-2600

 

「以上、宮田龍斗によるペンデュラム召喚の初お披露目でした!」

 

頭を下げ礼をすると歓声が上がった。

中には『仇をとってくれてありがとう』といった内容のものも。恐らく龍牙と戦って負け、カードを奪われた奴だろう。

 

「み、認めないぞ!この私がラーイエロー如きに負けるはずがない!イカサマだ!」

 

歓声を消すかのように大きな声で龍牙が異議を唱えた。まぁ予想通りだがな。

 

「ほう。イカサマですか。ではその証拠を提示していただきたい。それと、この発言についても質問に答えて貰いましょう」

 

ポケットに忍ばせておいたレコーダーのスイッチを押す。すると、先ほど龍牙が言ったセリフが出てきた。

 

[な、何故だ……魔法カードは使えないはず!]

「この発言の意味はなんです?何故、貴方は俺が魔法カードを使えないと思ったのですか?」

「な、そ、それは……」

「答えていただけますよね?俺は今までのデュエル全てで魔法カードを使ってきた。魔法カードに何かトラウマでもあるわけでもないのに、何故俺が魔法カードを使えないと思っていたのか」

 

まぁ、答えの予想は恐らく海馬さんの言った通りだろう。

 

「…………これは俺の予想です。異議は最後に受け付けましょう。俺が魔法カードを使えないと思った理由、それは貴方がデュエルディスク、または貴方が身につけているものを使って魔法カードが使えなくなるジャミング電波かなにかを発していた。例えば、貴方が左手に付けているゴツい指輪とか、ね」

「い、言いがかりだ!」

「では先ほどの質問に答えてくれますよね?教師になるんでしょう?生徒からの質問くらい答えないと」

 

まぁ教師にならないけどな。負けたし。もう一度戦っても勝つし。

 

「誰がイカサマした貴様なんかに「答えなさい龍牙君」こ、校長!?」

「答えなさい龍牙君。彼の話が本当なら、君は即刻この島から出ていってもらう」

「校長!コイツはイカサマしたんですよ!?ペンデュラム召喚なんていうイカサマを!」

「彼はイカサマなんてしてませんよ。何故なら彼はーーー」

 

お、おいちょっと待て校長!アンタまさか

 

「ーーー彼はI2、KCからやってきたシンクロ召喚、エクシーズ召喚、そしてペンデュラム召喚のテスター兼スカウトなのだから」

「なっ!?」

 

この人バラしたーーー!!

テスター候補にだけ教えるつもりだったのに生徒全員にバラしたーーー!!

おかげで生徒全員が動揺して騒いでいる。

 

「宮田君。すでに海馬社長、ペガサス会長から許可はでています。安心したまえ」

 

いや、安心したまえじゃなくて!

この後の展開が面倒になるんだが!

 

「あり得ん!こんなガキがI2、KCのテスター!?」

「信じる、信じないはアンタの自由だ。俺はアンタの噂について海馬社長に聞いたよ。そして出たジャミングの可能性。そのジャミングを感知することで、ペンデュラムカード限定で魔法カードを使えるようにジャミング妨害をしていたのさ。実際、ジャミング妨害は起動していた。いや、今も起動している」

 

そう言ってディスクを掲げる。

中央部分には[Jamming Program. During startup.]と表示されている。

 

「これは今現在もジャミングされているということ。誰か、魔法カードを使ってくれ」

「そういうことナーラ、私がやりまスーノ!魔法発動【古代の機械城】!」

 

クロノスはどこからかいつも使っているデュエルコートを持ち出して起動。すぐにカードを差し込むがカードのソリッドヴィジョンすら出てこなかった。

 

「先ほど、俺が【オッドアイズ】のカードを魔法カードとして使ったとき、そこの教育実習生は左手の指輪に触れていた。恐らくその指輪がジャミングをしていたのでしょう」

「龍牙君。その指輪を私に渡しなさい」

「し、しかしこれは祖母の形見の……」

「彼の話の実証です。これが本当なら事情聴取が必要になる」

「くっ、くそっ!」

 

脱兎の如く逃げ出す龍牙。

しかし、

 

「ぐあっ!!」

 

校長が龍牙を叩き伏せていた。

 

「クロノス教諭!」

「ハイデスーノ!」

 

校長が抵抗する龍牙の左手をこじ開け、クロノス教諭が指輪を確保。

俺がそれを受け取り、ディスクの中央部分を確認する。

 

「この指輪の宝石が回転するのか。

現在、ジャミングプログラム起動中。そしてこれを回すと……」

「【機械城】が出てキターノ!」

 

ディスクの表示もなくなり、発動し続けていた【古代の機械城】が姿を見せた。何が形見だよ。思いっきり弄ってるじゃねぇか。

 

「これが証拠。そして、今までの49連勝で奪ったカードも回収しましょうか」

「その前に事情聴取がある。後ほどカードはこちらで回収しよう」

 

龍牙はやってきたクロノス以外の教師陣に囲まれてデュエルフィールドから出て行った。

さて、あとは……

 

『テスター!?』

『だからシンクロとか使えるのか!』

 

こいつらだ。まだ騒いでやがる。

 

「……鮫島校長が言ったように確かに俺はテスターだ。しばらく後に出てくるシンクロモンスター達をこの島を拠点に広めるために来た」

 

俺が話し出した途端に、周囲の連中は静まり、やがて全体が静かになった。

 

「何故ここなのか。最初はただの一学生としてこの島に来るつもりだったが、筆記試験後ペガサス会長、海馬社長に会い、紆余曲折を経てテスターになった。そして、ここから出てくるプロデュエリストに、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを使わせ、全世界に知らしめる。それがテスターとしての最終目的だ。君達のうち、誰かがプロになる可能性があれば、そして今俺が持つシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを使う気があり、且つ俺がそれを使いこなせると判断すれば、君達にカードを託そう」

 

一部を除いた全生徒が一瞬ざわついた。

新しい物好きか、あるいはシンクロモンスター達を心の底から使いたいと思っているのかはわからんが。

 

「判断基準はデュエル内容ただ1点!基本的に勝敗は問わない。もし、プロになる前にシンクロモンスター達を使いたいのなら、君達の全力を!タクティクスを!俺に見せて欲しい。以上だ。クロノス先生、そろそろ授業は終わりですよね?」

「え?あ、そ、そうナノーネ。これで今日の授業は終了ナノーネ!」

 

とりあえず、今にもやってきそうな生徒達から全力で逃げよう。うん。

脱兎の如く逃げ出す俺だった。




というわけで全生徒(あのターザンとか【もけもけ】を使うあの人を除く)にテスター暴露です。
次回はテスターがバレた後の日常的な閑話です。
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