ダンジョンで無双するのはおかしいだろうか   作:倉崎あるちゅ

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間空いてすみませんでした。

そして、お気に入り数100突破!! ありがとうございます!こんな駄文を……!

それではどうぞ!


六話

 

 

ドロップアイテムを全て売り払い、アイズを【ロキ・ファミリア】に送った後、俺は密かに悶えていた。理由は手を繋いで頬を赤く染めたアイズが非常に可愛かったからだ。しかもオロオロしてたし。

 

「……心臓がもたない………」

 

もう末期だと自分でも思う。いっそ告ろうかと思ったが、首を振ってその思いを振り払う。

 

「まだ伝える時じゃ、ないよな……」

 

するならば、ベルが強くなった時だ。まぁ、俺が先延ばしにしてるだけなのだけれど。

うわー、と俺は頭を掻き毟った。気付けばもう廃墟みたいな教会に着いていた。

 

「ただいま」

 

隠し部屋のドアを開けて、俺は部屋の中に入っていく。中ではベルの【ステイタス】を更新している最中だった。

 

「おお、アル君。おかえり。どれくらいのお金になったのかな?」

 

「アルさんおかえりなさい。どうでした?」

 

「あぁ、聞いて驚け。なんと一〇〇〇万ヴァリス以上の金になったぞ」

 

「「一〇〇〇万ヴァリス以上っ!?」」

 

【ステイタス】の更新をしているというのに、二人は叫んだ。

正確には、三一〇〇万ヴァリスなんだがな。これ言ったらヘスティアが顎外れるくらいに口開けると思うし、ベルは失神すると思う。

これで、【ファミリア】の助けになればと俺は思っている。それにベルの武器を新調することもできるしな。ギルドから提供された短刀じゃ心許ないから。

 

「………よしっ、終わったよベル君」

 

「ありがとうございます。神様」

 

更新が終わり、【ステイタス】が書かれた用紙を覗き込むベル。俺は用紙を見るのではなく背中の【神聖文字】を読むことにした。なに、ただの気まぐれだ。

そして俺は、何度も見返した。何故なら、そこには、

 

《スキル》

【憧憬一途】

・早熟する。

懸想(おもい)が続く限り効果持続。

・懸想の丈により効果向上。

 

ついに、ついにベルにスキルが発動した。しかもレアスキルだ。間違いなく俺よりも強いスキル。懸想が続く限り効果持続……強い。強過ぎる。

俺はベルが見ている用紙をチラッと見た。だが、そこにあるスキルの欄には何も書かれていない。ヘスティアが気を利かせて書いていないみたいだ。

 

「ヘスティア、これ」

 

俺は小さくヘスティアに声をかけた。

 

「うん。君にも分かるだろう? このスキルの異常さが」

 

ヘスティアも小さく言う。俺は頷いて、【ステイタス】が異様に伸びていて喜んでいるベルを見た。だが、ヘスティアにとってすれば、他人でベルが変わってしまったことに腹が立ってるみたいだ。

 

「まったく。なんとも腹立たしいよボクは」

 

笑うことしかできない。原因はミノタウロスを倒した俺とその後に駆け付けたアイズだろうから。

まず俺が日常でベルのサポートをしていること。そして有名な『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインの登場。ベルの近くには、自分で言うが、ある程度有名な俺がいて、女性剣士の中で最強のアイズがいる。なら、それに憧れるのは当然だろう。いや分からないが。

だが、俺の思っていることが正しければ筋は通ると思う。

 

「神様、なんで僕、こんな成長したんですかね?」

 

「………知るもんかっ」

 

頬を膨らませてぷいっ、とそっぽを向くヘスティア。

 

(ヤダ可愛い)

 

何考えてんだベルのやつ。大体分かるぞお前の考えてること。まぁ、分からんでもない。だって、ヘスティアのはじめての反抗期みたいなものだからな。

ヘスティアは背を向けて、無言で部屋の奥にあるクローゼットへ向かった。頑張って背伸びしてコートを取り出して、羽織ってドスドスとドアまで歩いていく。

 

「ボクはバイト先の打ち上げがあるから、それに行ってくる。君達は二人で豪華な食事でも楽しんで来ればいいさっ」

 

バタンっ! と音を立ててドアを閉めた。

にしても、なんの打ち上げなのかが不思議だな。嘘つくならもうちょっと上手くなろうな、ヘスティア。

ヘスティアを怒らせたことに若干落ち込むベルを慰めて、俺は『豊饒の女主人』へ行こうと出ていこうとすると、

 

「アルさんどこ行くんですか?」

 

「ん、『豊饒の女主人』っていう酒場に行くんだ」

 

「そうなんですか。僕もシルさんという人のお店に行くんですよ」

 

「シル? ってことは俺と同じ場所だな。一緒に行こうぜ」

 

ベルが言っていたシルという人は、ミア母さんの酒場で働いているヒューマンの少女だ。

シル・フローヴァ。アイズやヘスティアに比べたらそこまで可愛くはない。が、話す度に彼女の魅力が知れてくる。凄く優しい。あとは、少しあざといか。

 

「はい。じゃあ、行きましょう!」

 

こうして、俺とベルは『豊饒の女主人』に一緒に行くことになった。

 

 

酒場に着き、店の前でベルが立ち尽くしているとシルが顔を出して、少し話して、カウンター席へ案内してくれた。

そして現在俺達はミア母さんに勝手に今日オススメ料理を出されてしまった。

 

「それだけじゃ足りないだろう? 今日オススメだよ!」

 

ミア母さんがカウンターから身を乗り出して、でかい焼き魚をゴトッと置いた。

 

「いや、頼んでないですって!」

 

「金あってよかった………」

 

俺は今日換金してきてよかったと心の奥底から思った。ベルに至ってはブツブツ言って、壁に貼り付けられた今日オススメの料理の料金を見てめを丸くした。

 

「八五〇ヴァリスっ!?」

 

うん。高いよな。分かるぞその気持ち。どうせミア母さんは俺にくれたまかない分もふんだくろうとしてるだろう。

そう思っていると、隣から誰かが近づいてきた。

 

「どうですか? 楽しんでいますか?」

 

「……圧倒されてます」

 

初めてこの酒場に来たベルにとってはそれもそうだろう。俺だって圧倒された。主にロキとガレスの飲み比べとか。

 

「うふふ、ごめんなさい。これで私のお給金も期待できそうです」

 

「よかったですね……」

 

シルは笑って謝ったかと思いきや、現金なことを言ってきた。これにはベルはげんなりしている。俺も苦笑しながら焼き魚を食べる。皮がパリッとしてて身はプリプリしてて美味しい。流石ミア母さん。

 

「このお店、色んな人が来て面白いでしょう? たくさんの人が来るとたくさんの発見があって、私、つい目を輝かせちゃって。知らない人と触れ合うのが趣味というか、心が疼くというか」

 

あれ、シルってこんな子だったけ? 結構凄いこと言っちゃってるよね。

 

「結構凄いこと言うんですね」

 

ベルも俺と同じことを思ったのか、パスタをズルズル啜りながら言っている。

シルの変な発言のすぐ後、店の中に猫耳のウェイトレス、通称アホの子のアーニャが声を張り上げた。

 

「にゃー! 御予約のお客様御来店にゃー!」

 

御予約、ねぇ? どうせあいつらだろ。今日会ったからもうお腹いっぱいなんだけど。これ以上俺の心臓を苦しめたいのか。

店に入ってきたのは【ロキ・ファミリア】。

 

『おお、えれえ上玉だなっ』

 

『馬鹿、ちげぇよ。エンブレムを見ろ』

 

『……ってことはあれが噂の『剣姫』か』

 

最初のやつ、俺の前にひれ伏して欲しいな。その下卑た目をアイズに向けんなコラ。……とと、顔に出てた。ベルとシルが怖がってるし。

店の中に来た【ロキ・ファミリア】の面々は【ロキ・ファミリア】の中核を成すメンバーだ。

 

主神のロキ。

団長の小人族(パルゥム)、フィン・ディムナ。

副団長のハイエルフ、リヴェリア・リヨス・アールヴ。

最古参のドワーフ、ガレス・ランドロック。

好戦的な狼人(ウェアウルフ)、馬鹿ベート・ローガ。

アマゾネス姉妹の姉、ティオネ・ヒリュテ。

同じくアマゾネス姉妹の妹、ティオナ・ヒリュテ。

エルフ族の魔道士、レフィーヤ・ウィリディス。

そして、オラリオ内最強の女性剣士、『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

第一級冒険者オールスター。まぁ、レフィーヤはあともうちょいだけど。

そう思うと同時に俺は必死に気配を殺していた。気付かれたくないからだ。とくにベート。あいつは必ず絡んでくる。次にロキ。酒を飲め飲めうるさいんだ。俺は酒とタバコは絶対にやらん。

 

「アルさん! ヴァレンシュタインさんですよ!」

 

ほらほら、とベルが小突く。やめてくれ。必死に気配を殺してるんだから!!

そ、そうだ。他人のふりをしよう。そうしよう。

 

「アルさーん!」

 

無視だ。無視だ。

その後も、ベルはしつこく俺を呼んだ。シルもそれを見て面白かったのか、ベルの援護に回ってきた。………ミア母さんまで援護しないでください。死ぬから。




全然話が進まない。もう少し長く書くか、それとも少し削るか………
次回はもしかしたら戦闘シーンがあるかもしれません!お楽しみに! 駄文ですけど(汗

それでは失礼します。

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