アイズを模写してみたんですが、難しかったです。比較的絵は得意なんですが、むむむ………。ちなみに美術は4でした。5にならなかったのは提出物を出してなかったという理由で。
まぁ、アイズの模写は挿絵にはしてませんが。
それではどうぞ!
畜生、畜生、畜生っ!!
僕は目に涙を溜めながら、モンスターを切っていた。
僕のせいでアルさんに迷惑をかけた。僕が弱いから、アルさんも弱いと言われた。
獣人の青年の言葉に苛立ったアルさんは魔法の詠唱式無しで、武器を転移させるほどだった。
『グオォォ!』
容赦なく襲いかかってくるモンスターの胸に、僕の短刀が貫いた。モンスターはそのまま倒れ込んだ。
まだまだだ………もっと強くならないと。強くならないと、アルさんまで馬鹿にされてしまう! 嫌だ。仲間を馬鹿にされるのは。
悔しい、悔しいっ! 何もしていないくせに無償で何かを期待していた愚かな自分が……!
どれくらい経ったか、気付けば、僕の装備はボロボロだった。短刀も刃こぼれしている。
けど、僕は強くならなければ。
♠︎❤︎♣︎♦︎
全速力でダンジョンの中に潜った俺は、ベルがいそうなところを探索していた。
元々俺は、探索系の冒険者じゃなく、モンスター討伐専門だった。【ヴリトラ・ファミリア】の連中は大抵の皆がそれだった。中でも頭一つ二つ抜けていたのが、俺ともう一人。もう一人の方は探索系も得意だったから、人探しとかは役に立っていた。いや、役に立ち過ぎて鬱陶しかった。
だが、今のこの状況はあいつの力が欲しかった。
「ベル! どこだっ!!」
声を上げて、走る。声を上げたらモンスターが湧いて出るが、そんなものは太刀を一振りしただけで霧散する。
2階層もいなかった。次は3階層。………いない。4階層……いない。ついには5階層まで来てしまった。
「あいつ……! 無事でいてくれよ……!」
必死に探すも5階層にはいなかった。次は、6階層。6階層についた俺の耳に、微かな剣戟が届いた。それが聞こえた時にはもう俺は、その方向へ走っていた。
一人の冒険者がモンスターに立ち向かっている。その冒険者の髪の色は、白。
対してモンスターは、何体もいる『ウォーシャドウ』。
「ベルっ!」
「……アル、さん」
ベルがチラリと俺の方へ見てすぐにモンスターに向き直ってしまった。それもそうだろう。敵が目の前にいるのに目を離すわけがない。
「ベル、俺がこいつらを相手するから休んでろ」
俺はそう言って太刀を抜いて、中段に構える。しかしベルは首を振った。
「いいえ………僕が、やります」
「お前、今の状態分かってるのか? 今のお前は満身創痍。そんな状態でやらせるわけにはいかない」
「でも、僕は………! 強く、ならなきゃっ」
刃こぼれした短刀を構えてベルが言う。何がベルをそうさせるのかは、容易に考えられる。馬鹿にされたことが悔しいからだ。
なら、俺に出来ることはベルが死なないようにフォローすること。そして、ベルを強くするために、俺の技をこいつに教える。
「分かった。俺はフォローに回る。で、お前には俺の技を伝授しようじゃないか」
「アルさん……ありがとうございます……」
「礼は後な。………【
手に持った太刀を転移させて、代わりに手に持つのは刀身が紅い短刀。
一体のウォーシャドウを睨みつけて、俺は地面を蹴った。
「短刀式五ノ型・花火」
敏捷全開にして、一瞬で近づいた俺に驚いたウォーシャドウは腕を振り上げる。しかし、俺は逆手に握った短刀で逆袈裟斬りをして、すぐに左ストレートを放つ。素早く左拳を引き絞り、次に短刀で横に斬る。流れに乗って左脚で蹴り飛ばす。離れたウォーシャドウを追って、的確に、尚且つ力一杯の突きを放った。
短刀式五ノ型・花火。五連撃の技。俺が会得している短刀の型で一番手数が多い。その分、技を出す時の速さが重視される。
「見てたか、ベル?」
「す、凄い………速くて全然見えなかったです」
呆然とした表情でベルが言う。俺は苦笑して応えた。
「だろうな。俺の型って敏捷に長けてないと出来ないし。とりあえずは一ノ型を覚えてもらうか。今」
話しながら、俺はウォーシャドウの首を撥ねた。ベルは"今"という単語を聞いて、顔を引き攣らせた。
「い、今ですか!? む、無理ですよ!」
「大丈夫、お前なら出来るさ。俺が保証する」
ザシュッと音を立てて最後のウォーシャドウの両腕と首を撥ねる。
それに、ベルの【ステイタス】は敏捷に長けている。ならこの技を使える。
「とりあえず、一ノ型をお手本で見せるから、覚えるように」
「は、はい!」
いい返事だ。そう思って、また湧いて出てきたモンスターに向き直る。
歩くような足取りで俺はモンスターに向かっていく。そして、瞬間。
『ぐ、グオォ…………』
断末魔を上げて、モンスターの胸から一文字の血飛沫を飛ばした。そのままモンスターは地に伏した。
「短刀式一ノ型・閃光………これ、今みたいなスピードは無理でも、習得しろよベル」
短刀を転移させて太刀に持ち替えながらベルに言う。ベルは目を見開いて棒立ちになっていたが、すぐに我に返って頷いた。
それから俺はベルがコツを掴むまで何度もモンスターを倒しながら教えた。教え甲斐のあるベルは何度か失敗してモンスターから被弾しそうになったが、そこは俺が素早い突きで屠った。
そして現在。ベルは一体のモンスターと対峙している。
『グルルゥ……』
「はぁ……はぁ…………っ!」
俺は歩くような足取りで出来るが、ベルの敏捷は俺からしたらまだまだ下。だから走って助走をつけて、そこから踏み込む。
ザッと靴と地面が擦れる音がダンジョン内に響いた。そして、次に聞こえたのは血が勢い良く吹き出す音。
「や、やった………」
ベルは息を上げて地面に座り込んだ。俺はベルに駆け寄り、頭をワシャワシャと撫でた。
「よくやったぞ、ベル! 次はニノ型だけど、それはまた今度だ! たった二時間程度で覚えるなんて凄いぞベル!」
笑顔で撫で回す俺に、ベルははにかんだ。本当に凄いことだ。二時間程度で覚えるなんて。スピードはまぁまぁだったが、これが敏捷CかBにでもなればいい形になる。
座り込んだベルは、立ち上がろうとした。だが、グラリとベルの体が傾いた。
「な、おい!」
急いでベルを支える。支えてみて分かったのだが、軽い。
そうか……こいつは気絶するまで頑張ってたんだな。この頑張りは、きっと身を結ぶ。何故なら、こいつのスキルは【
そして願わくば、俺が暴走した時に止めて欲しい。これはアイズに対してもそう願っている。
♠︎❤︎♣︎♦︎
気絶したベルを背負って、俺は日が登って明るくなった道を歩いていく。
すると、気絶していたベルが起きた。
「……う、ううん……あれ、ここ………」
「お、ようやく起きたか。どうだ、気分は」
「少し、傷が痛いですね。あとは、眠いです」
気絶していたのにまだ寝るか。まぁ仕方ないか。頑張ってたし。
しばらく歩いていると、廃墟のような教会に到着した。そして驚いたことにその入り口でヘスティアが待っていたのだ。
「ヘスティア、ただいま」
「っ! アル君! ベル君!」
ヘスティアは走って俺達のところまで来た。だが、ベルの体を見てヘスティアは狼狽えた。
「ベル君!? 大丈夫なのかい? アル君、これは一体--」
「神、様……」
ヘスティアが俺に問い質そうとしたところで、ベルがヘスティアを呼ぶ。
ベルはその
「僕……強くなりたいです………」
ヘスティアは一瞬目を見開いた。そして、優しく微笑み、彼女は頷いた。
「……うん」
ベルの体についた返り血を拭き取り、戦いによって出来て傷をポーションで治した。
ベルをベッドに運ぼうとしたのだが、ヘスティアにボクがやる! と言われた。そしてヘスティアに任せたのだが、
「ベル君、流石に今日はベッドで寝るんだよ」
「ありがとう、ございます。神様……」
「ふふん、その代わり、ボクも一緒に寝るからね」
「いいですよ。じゃあ、一緒に寝ましょう………」
「ふぇっ!?」
ぼふん、とベルがベッドに倒れ込んだ。肩を貸していたためヘスティアはベルと一緒に倒れた。
その後、駄神様が顔を赤くして何かブツブツ言っていた。今日も平常運転のようだ。
「流石駄神様。ベル君大好きだもんな」
「う、うるさいよアル君!」
顔を真っ赤にして言われても、ねぇ? 説得力ゼロだ。
ヘスティアはこれからベルの【ステイタス】を更新するようだ。俺も更新しようかと思ったが、倒したモンスターは1から6階層のモンスター。更新したとしても1くらいしか上がってないと思う。なら、更新はまた今度だな。
そう思って俺は仮眠をとることにした。確か今日から
そして俺は少しの仮眠をとることにしたのだった。
ベル君にアル君の技を伝授させました! ただし一ノ型だけですが。
アル君の技は、太刀、短刀、細剣、剣の四種類の技がありますので技のバリエーションは豊富です。(動きはSAOを参考にしてますが。もしかしたら名前を借りるかも………)
感想お待ちしております。
それでは失礼しました。