多分、後日訂正を加えます
IS起動
「こ、ここか?」
静かにドアを開けて中に入る一夏君。
「ちょ、ちょっと入って大丈夫なの?」
「入ってみなきゃ人がいるかも分からないだろうが」
尤もらしいようで何処か的外れなことを言っている気がするが、それを突っ込むだけの余裕が現在の僕にはありません。
「お、おい空。見てみろよ」
奥の方から彼の声が聞こえる。
声が聞こえる方へ歩んでいくと、そこには2台の静かに佇んでいるISが置いてあった。
「これって確か……」
「ISだっけ?」
IS 正式名称をインフィニット・ストラトス 元は宇宙での活動をサポートするパワードスーツとして製造されたらしいがどういう訳か現在では兵器として扱われている。
しかも起動できるのは女性だけという難儀な機械だ。
「なぁ、空。触ってみてもいいかな」
「まぁ、壊さなければ大丈夫じゃない?」
「そうだよな、壊さなければ大丈夫だ」
何処か自分に言い聞かせるかのように言葉を口に出しながらISへと手伸ばす一夏君。
彼の手がISに触れた途端、まぶしい光が部屋全体を照らした。
「うおっ、何だこれ」
その光を起こすことになった本人もどうやら分からないらしい。
光が消えるとそこには何とISを纏っている彼の姿があった。
「い、一夏君!?そ、それは一体?」
「うん?俺の姿が……なんじゃこりゃあああああああ」
「どうして一夏君はISを起動させることが出来たのだろう……」
「俺が聞きてえよ。……そうだ、空 お前も触ってみろよ。もしかしたら此処にあるのは男でも起動できる奴だったりして」
「ん~可能性はかなり低いと思うけど……まぁ、やってみるよ」
僕も先ほどの一夏君と同じようにISに手を触れた。
その瞬間、先ほどと同じような光が部屋を明るく照らした。その時、ドアが突然開いた。
「君たち一体なに……をして……って男の子!!!」
試験会場の担当者なのか誰なのかよく分からないが女性の方が入ってくるなり、僕たちを見て驚いた。
それもその筈、女性にしか起動出来ないISを一夏君が起動を……って僕も纏ってる!!!
「はははは、空。お前にも起動できたじゃないか」
この状況下で呑気に笑っていられる彼の精神力をこのときは凄くうらやましかった。
それから暫くして事態を聞いて駆けつけてきた人たちが僕たちの周りに集まってきた。
その人たちは皆口をそろえて同じことを聞く。「どうして男の君たちが起動できたの」と。
当然このことはテレビで大々的に紹介された。それもそうだろう、女性しか起動できないと言われていたISを男が起動させたのだから。
僕たちは起動させてしまってから数日、束姉の家で静かに生活をしていた。
本来は一夏君の家で冬姉に助けを求めるのが最善なのだろうが、聞いたところによるとISを作ったのは束姉だという。
なので僕たちは事態が幾らか大人しくなるのを待つため、静かに生活をすることにしたのだ。
「ねぇ、いっくんにそらくん。二人はさ、これからどうしたい?」
「どうしたいって?」
「君たちには今、二つの道があるの。一つはISと縁のない生活を送る。でも、それを実現させるにはちょっと難しいかな?そしてもう一つはISについて丁寧に教えてくれるIS学園
に通う。その二つだね。束さん的にはIS学園かな?女子しかいないけど、そこでならいっくん達の身柄の保証は出来る」
「空はどうする?」
「……ISって束姉が作ったんだよね?」
「うん、そうだよ。ちょっと予想外の用途で現在は使われてるけど」
「なら、僕はIS学園に行く。そして、束姉の手伝いを出来るように頑張ってISについて学んでくる」
「……本当にいいの?私の手伝いをする必要はないんだよ?」
「束姉が僕たちを拾ってくれたように、今度は僕が束姉を手伝います。それが今の僕にできる精一杯の恩返しだから」
「分かった。いっくんは?」
「俺は……俺も一緒に行く。空を一人で行かせるのは不安だしな」
「僕的には一夏君の方が不安だけどね。でも、有難う。僕の為に一緒に来てくれるって言って」
「水臭いな俺たち兄弟当然だろ?」
「うん!」
僕たちがIS学園へ行くことを決意してから数日が凄い密度で過ぎていった。
僕はISについて全く知らなかったので束姉に教わり、その間一夏君は冬姉と一緒に荷造りや自宅の事などでバタバタする日々だった。
それからさらに数日。ついにIS学園へ行く日がやってきた。
これからは寮住まいなので束姉のお世話ができないが、彼女もそれなりに生活能力は人並みにあるので不安はなかった。
「じゃあ、行ってきます」
「うん、いってらっしゃい。あ、姫ちゃんもちゃんと持った?」
「うん、ほら」
僕は自分の指にはめている指輪を見せた。
束姉が急きょ僕のために作ってくれた僕だけの……いや、僕と祐兄の専用機〈神姫〉 僕たちは姫ちゃんと呼んでいる。
この数日に飛行テスト等も済ませているので、ISの経験も幾らかある。
「定期的に連絡くれないと束さん泣いちゃうからね」
「分かってますよ。2日に1回ぐらいに連絡します」
「うん、待ってる。あ、ゆーくんは大丈夫?」
『私も大丈夫です。空のサポートはバッチリしますよ』
束姉特製の機械も指輪として簡易化されたので以前よりも他の人に祐兄の声を聞かせることが出来る。
「よし、じゃあ二人とも頑張ってきてね」
「『はい!』」
これにてIS学園への入学までのプロローグ的なのはおしまいです。