光あるところに、漆黒の闇ありき。
古の時代より、人類は闇を恐れた。
しかし、暗黒を切り裂く騎士の剣によって
人類は希望の光を得たのだ。
これは、古の物語だ。
世界には、人類とは別の種族が生きている。
神を信仰し、神に愛される天使
四大魔王の支配のもと、72の軍団を率いる悪魔
己が欲に堕ち、神に背いた堕天使…聖書に記される存在は、古くより冥界の覇権を巡り対立し、争っていた。
永きに渡り繰り広げられた三竦みの大戦。
それにより、互いの兵は倒れ、戦いは泥沼と化していた。
だが、ある二つの存在により戦況は一転する。
赤き龍帝と白き龍皇…二匹の乱入により、戦場は騒然とした。
三竦みの争いなど我関せずと言わんばかりに暴れ回り、邪魔する者は悉くをその爪牙で屠った二匹に、三つの陣営は一時的にだが争いを止めた。
いがみ合い、殺し合っていた者達は互いに手を取り合い、多くの犠牲の末、戦場を混沌とさせた二匹の龍を討滅する事に成功する。
このまま争いを続ければ、全滅は必至。
故に休戦を申し出ようとしたその時…『奴ら』は群れを成して現れた。
冥界の地に倒れた多くの同胞や敵の亡骸…その影から現れたものは、異形であった。
黒い外皮に身を包み、角を生やした骸の貌。
腐臭を漂わせ、翼で空を舞う姿は正に、『悪魔』と呼ぶに相応しかった。
奴らは生き残った同胞達に襲いかかり…その肉体を奪ったのだ。
我々も、必死に抵抗を続けた。
しかし…同胞の、愛する者の姿をした奴らを討つ事を躊躇い、一人、また一人を奴らに喰われていった。
誰もが絶望し、膝をつき、剣を手放そうとしたその時…眩い光が戦場を照らした。
思わず目を瞑った我々の耳に続いて届いたのは、雷鳴の如き咆哮と嘶きであった。
絶望の黒が支配する冥界…其処に、異彩を放つ者が居た。
燦然と輝く黄金の鎧を纏い、狼の貌をした『彼』は、同じく黄金に身を包んだ馬を駆り、奴らへと向かっていった。
戦場を駆け、その手の刃で奴らを切り裂く。
その雄々しく、威風堂々とした姿に我々は士気が高まるのを感じた。
「彼の騎士に続け!」
誰が言ったかも分からない号令に、残っていた者は奮い立ち、彼とともに立ち向かった。
全てが終わった時、『彼』は既に居なかった。
だが、我々…悪魔や天使、堕天使など関係なく、その存在は深く胸に刻まれた。
そして…いつかは語り継がれるだろう。
世界を闇が覆いし時、光の騎士が現れ希望を齎すであろう…と。
サーゼクス・グレモリー著『光の騎士』 より抜粋。