ハイスクールD×G~金色の伝説~   作:ジャッキー007

9 / 9
更新を待たれていた皆様、大変申し訳ありませんでした。
牙狼の世界感をふまえての日常パートが思いのほか難しく、更新が随分と遅くなってしまいました。

今回、ゲストキャラが登場しますが...本当、駄文で申し訳ありません


日常

b一日の始まりを告げる朝、暁邸のリビングには4人の人物が居た。

黄金騎士 牙狼の称号を継ぐ暁光牙と彼を支え、大切な人達の未来を守ると誓った魔戒法師、黒歌。

先日東の管轄にやってきた異国の魔戒騎士フリード・セルゼン、そして…。

「あ、あの…似合っているでしょうか?」

彼らがホラーから助け出し、保護する事になった少女…アーシア・アルジェントだ。

サーゼクス・ルシファーと邂逅し、互いに協力関係を結んだ翌日の夜、彼とともに居たメイド…グレイフィア・ルキフグスより駒王学園の制服と教科書や参考書一式が送られてきたのだ。

3人の前に立つアーシアは、これまで着ていた修道服ではなく真新しい駒王学園の制服を纏っている。

 

「似合ってるわよ、アーシア。ね、フリード?」

「あ、あぁ…」

顔を赤く染め、3人にアーシアは問いかけるが、その眼はチラチラと正面に立っているフリードの顔を見ている。

その様子から、アーシアが抱いている何かしらの感情を汲み取った黒歌が悪戯な笑みを浮かべてフリードを見た。

小さい頃に出会ったときも、再会したときも見慣れた修道服だったためか、普段と違う服装のアーシアにフリードは口を開く。

「その…凄く、似合ってる」

「はい!」

魔戒騎士となる以前から異性を褒めるという機会が少なかったためか、たった一言を紡ぎだすだけでも、フリードには過酷な重労働だった。

微かに視線をそらし、呟く様に吐き出された言葉だったがアーシアには届いたようで、彼女は嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。

「…此れじゃ先が長そうにゃ」

そんな二人の様子を見て黒歌は小さく、苦笑しながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-devil side-

 

駒王学園2年の教室で、俺こと兵藤一誠は何時になくソワソワしていた。

「おい、どうしたんだよイッセー」

「なんだぁ、まさか今日入ってくる編入生のことでも気になるのか?」

「あ、あぁ…」

悪友の松田と元浜が声をかけてくるのも漫ろに、教室の扉を見ていると担任の教師が入ってきた。

 

「皆席に着けー、SHR始めるぞ」

担任の声に、仲のいいグループで話していたクラスの面々がそれぞれ席に着いていく。

やがて、全員が席に着き静かになったのを確認すると、担任は漸く口を開いた。

「さて、既に知っているかもしれないが今日このクラスに編入生が来る」

俺達を見て担任が口にした言葉にクラスの全員がざわめきだす。

それもそうだろう。この駒王学園は町内でも有数の進学校だ…あくまで表向きの顔は、だけど。

ざわつく生徒を宥めながら先生が廊下の方へと声を掛けると、一人の女の子が教室へ入ってくる。

ブロンドのロングヘアーが歩くたびに揺れ、あどけなさの残った顔には微かに緊張が浮かび上がっている。

軈て壇上へとやってきた少女は、俺達の方へ向きゆっくりと口を開いて

「き、今日からこのクラスでお世話になる事になりました…アーシア・アルジェントと申しまひゅ!」

…盛大に噛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-Knight side-

 

人気も無い路地に設置された街灯の影に刃を突き立てると、金切り声と共に黒い靄が球体となって浮かび上がる。

俺達魔戒騎士は、その靄…陰我を断ち斬る事で人間界と魔界を繋ぐゲートを封印し、ホラーの出現を未然に防いでいる。

ゲートの封印が問題なく行われていれば、ホラーは滅多に人間界に現れる事が無いからだ。

例外として…意図的に陰我が集中しやすくなったり、ゲートとなり得るものを使用しない限りは。

「ふっ…!」

地面から刃を抜き素早く切り返すと、もがくように漂う陰我を両断し鞘に納める。

『これでこの辺りのゲートは全部封印出来たよ』

「そうか…」

胸元から聞こえるアルバの声に短く返答すると、俺はふと空を見上げた。

太陽は既に天辺に昇っている事から、今は丁度昼頃なのだろう。

「…」

『なぁに?アーシアの事が心配?』

空を見上げて黄昏れていた俺に、茶化すような声音でアルバが問いかけてくる。

称号を受け継いでからずっと共に居た相棒には、俺の考えていることなど筒抜けらしい。

「まぁな…あの子はこれまで教会で暮らしていたし、今の世間に疎い所があるから」

『異国だし、今まで居た所とは違う環境だから戸惑ってるんじゃないかしら?』

「でも…アーシアなら、きっと大丈夫だろう」

あの子の優しさがあれば、きっとこれから多くの友人が出来る。

その繋がりを…アーシアに関わる人達の希望も明日へ繋いでいこうと決意を新たに、俺は光牙さんと合流するため、路地を後にした。

 

 

 

 

 

-Issei side-

 

「アーシア、このクラスはどうだ?」

「はい!皆さん優しくしていくれています」

 

午前の授業が終わった昼休み。

俺とアーシア、悪友の松田、元浜と桐生の5人は屋上で昼食を摂っている。

母さんが作ってくれた弁当を食べながらアーシアに問いかけると、彼女も誰かが作ってくれた物だと思われるサンドイッチを食べながら笑顔で答える。

 

「そういえば…あの人達から何かされてないか?」

「いえ、そんな事は…皆さん優しい方達です。でも…」

 

俺の問いかけにアーシアは小さく笑いながら答えてくれるが、少し…思い詰めたように俯いて口を開く。

 

「光牙さんも、フリード君も、黒歌さんも…皆さんが、人々を守る為に戦って、私を助けてくれたのに…私一人だけが、こうしていて良いのかなって思う時があるんです」

 

祈るように手を握り、絞り出すように呟くアーシアに、俺は何も言えずに居た。

そんな時だった。

 

 

「どうしたのよ、アーシア?暗い顔何かしちゃってさ」

「あ、桐生さん…」

 

俺とアーシアの会話に割り込むように、今まで3人で話していた桐生が割り込んできた。

一瞬だけ表情を戻すアーシアだったが、その表情は未だに暗いままだ。

 

「何か兵藤にされた?」

「いえ、そんなことは…」

 

心配そうに表情を伺う桐生に小さく笑みを浮かべるアーシアに、どう答えれば良いのか思いつかず、俺は只無力さに拳を握るしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-Asia side-

 

「はぁ…」

 

学校の授業が終わり、放課後の通学路を一人歩きながら溜息を零す。

 

(皆さん、お優しい方々なのに…申し訳無い事をしてしまいました)

 

桐生さんもイッセーさんも、皆さん私の悩みを聞いてくれようと親身になってくださったのに…私は、それを打ち明ける事が出来なかった。

事情が事情なだけに、話せないという事もあって皆さんの心配そうな顔が脳裏を過ります。

だからでしょうか。

 

「きゃっ…」

「おっと」

 

歩道を歩いていると、一人の男性とぶつかってしまいました。

足下に広がる荷物…林檎などの食べ物がある事から、買い物帰りだったのでしょう。

 

「す、すみません!」

「いえ、此方こそ申し訳ありません。お怪我はありませんでしたか?」

 

慌てて散らばった荷物を拾いながら、私は漸くぶつかってしまったその人を見た。

整えられた白髪に髭を生やし、眼鏡をかけた初老の男性。

私がぶつかってしまったのに、柔和な表情を浮かべ此方の怪我を心配してきました。

 

「私は、大丈夫です…」

 

その人の表情を見て、学校での事を思い出し再び私一人だけ、という思いが頭を過る。

それを見たからでしょうか。

 

「何か、お悩みですか?」

 

男性が、思い切ったように私に問いかけてきました。

 

 

 

 

 

 

 

「…成る程、同居されている方はとても大事な仕事をされているのに、自分一人だけが学校に通っていていいのか…ですか」

「はい…」

 

男性とぶつかった場所からすぐ近くの公園のベンチで、私は学校で言えなかった悩みを打ち明けていました。

年上の男性だからなのか、それとも、男性の持つ雰囲気からか私は魔戒騎士やホラーの事を伏せながらも自分が思っている事を口にしていく。

 

「私は、その人達に助けられて、こうして学校にまで通わせて頂いて…何一つ、恩返しが出来ていないんです」

「…」

 

私の言葉に、男性は何も返事を返す事はなく、只話を聞いてくれている。

その事もあってか、話している内に少しずつ心が軽くなっていくのを感じました。

 

「…人には、其々役割や為すべき事がございます」

「為すべき事…ですか?」

 

私が話し終えて少しすると、男性が口を開きました。

 

「はい。私は執事をしていまして、仕えている主人の身の回りのお世話をさせて頂いております」

「執事さん、だったんですか」

 

男性は穏やかな表情を浮かべながら、ゆっくりと、語るように言葉を紡いでいく。

 

「私が主人の身の回りのお世話をするように…貴女がこうして学校へ通う事が、貴女にとって為すべき事なのです」

「そう、でしょうか?」

「そうですとも。同居されている方がどのような思いで貴女をお助けになられたのかは私には分かりませんが…その方にとって、貴女が歩む世界は、守るに値するものなのです」

 

男性の話を聞きながら、改めて光牙さんや黒歌さん、フリード君が学校へ行く私を見ていた時の顔を思い出す。

その表情は穏やかで、まるで暖かく差し込む光を見るような表情だった。

 

「お嬢さん。守る、とはどのような事を想像しますか?」

「守る…ですか?」

 

不意に男性から掛けられた質問に、私は悩む。

守る、と言われてもその答えは一つじゃ無いのですから。

 

「人を守る、というものにも様々な物があります。身を守る為に力が必要な時もありますが、心を守る為に寄り添う事も必要になります…そう考えると、人は皆『守りし者』なのかもしれません」

「守りし者…」

 

男性の語る言葉を聞き、考えていると、男性は腕時計を確認してベンチから立ち上がりました。

 

「長話をしてしまい申し訳ありませんでした。主人たちが帰ってくる時間になりますので私はこれで…」

「…あ、待ってください!」

 

公園から出て行く男性へ、せめてお礼だけ言いたく慌てて立ち上がり、その背中を追いかけます。

しかし…私が公園から出ると、人通りが少ない歩道には、先程の男性の姿はありませんでした。

 

 

「…夢、だったんでしょうか?」

「あれ、アーシア?」

 

何処を探しても男性の姿が見えず、不思議に思っていると後ろから声をかけられる。

振り返ると、其処には黒歌さんが買い物袋を手に立っていました。

 

「こんな所でどうしたの?」

「いえ、何でもありません…黒歌さん、私に…出来る事は、ありませんか?」

 

黒歌さんの問いに小さく首を振って答えると、あの男性に打ち明けた事を口にしてみました。

助けられただけじゃなく、学校にも通わせて貰っている自分に、何か恩返しは出来ないのかと。

 

「…まだ時間も大丈夫ね。アーシア、ちょっと良い?」

 

すると、黒歌さんは時計を確認すると私の手を取りゆっくりと歩き出しました。

 

 

 

公園から離れて数分、街を見渡せる高台へとやってくると、黒歌さんが口を開く。

 

「アーシア、街が見える?」

「はい…」

「此処には、いろんな人達が暮らしてる…私たちは、貴女を含めてそんな彼らをホラーから守るのが使命なのは話したわよね?」

 

黒歌さんの言葉に小さく首肯きながら、街を見下ろします。

其処には、会社帰りの人や買い物を終えた人、私のように学校から帰る人の姿もみえます。

 

「アーシア、貴女が私たちの力になりたいって思っているのは嬉しいにゃ。でも…アーシアにしか出来ないことで、フリードを守っている事を忘れないで?」

「私が、フリード君を…?」

「貴女が闇の世界に踏み込まず、光の下を歩いてくれる…その事がフリードの望みで、貴女が居る場所が、フリードの帰る場所なんだから」

 

黒歌さんの言葉を聞いて、私は漸く男性が言っていた言葉を理解しました。

 

(そっか…そう言う事だったんですね)

「黒歌さん、これから帰ってお夕飯を作るんですよね?」

「えぇ、そうよ?」

 

魔戒騎士や魔戒法師…フリード君や光牙さん、黒歌さんがホラーから人々を守るのなら。

 

「その…私も、一緒に手伝っても良いですか?」

「!えぇ、もちろん。その方がフリードも喜ぶでしょうし」

「ふぇ?!い、いえ…そんなつもりで言った訳じゃ…」

 

私は、彼らが帰ってくる場所を守っていこう。

そう、紅くなった顔を鎮めながら思ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-??? side-

 

「只今戻りました」

「お帰り、今日は遅かったね?」

「申し訳ありません、少々話をしてしまいまして…」

「そうだったんだ...どんな話をしていたの?」

「...秘密、でございます」

「そっか、それなら無理に聞かないでおくよ」

「では、お夕食の用意を致しますね」

「あ、待って」

「?どうかなさいましたか?」

「ちゃんと言ってなかったからね...おかえり、ゴンザ(・・・)




伝説の武器なんてのに、人間ってのは憧れを抱くらしいな。
ソイツがどれだけ闇を孕んでいるのかも知らないで、気楽なもんだぜ。
次回『聖剣』
騎士の因縁、今蘇る
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。