佳奈多アフター~It's a Wonderful Cross Life~ side Kanata   作:月の海

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朋「ともの母親を探してみようと思う」

岡崎さんは私達にそう言った。

智代さんはともを寝かしつけるためにここにはいない。

理「あてはあるの?」

朋「とりあえず保険証に書いてあった住所に行ってみる」

鷹「実際にそこにいたら?」

朋「まずはともを預かってること、そして会ってやってほしいことを伝える」

佳「そこまで決めているならいいんじゃない?それを私達に言ったのはいざという時の智代さんへのフォローを頼みたいってとこかしら」

朋「察しがいいな」

佳「まぁあの状態の智代さんを母親に会わせるわけにはいかないものね」

朋「そういうことだ。我が彼女ながら盲目的でな」

佳「わかったわ、まかせて」

朋「明日仕事終わったら行ってくる」

状況がこれで好転すればいいのだけれど…


おわりとはじまり 中編

鷹「大変だよ理樹兄ぃ佳奈多姉ぇ葉留佳姉ぇ!ともがいなくなったっ!」

 

理&佳&葉「!!」

 

鷹「姉ちゃんが幼稚園まで迎えにいったらもういなくなってて、幼稚園の先生も帰り支度するところまでは見てたらしいけど、ひとりでかえっちゃったみたいでさっ」

 

佳「智代さんは?」

 

鷹「今捜してる」

 

葉「どこをですカ?」

 

鷹「さぁ…闇雲にだと思うけど」

 

理&佳&葉「…………」

 

理「ねぇ鷹文、智代さんってさ」

 

鷹「言わなくてもいいよ、分かるから」

 

すぐに冷静さを失うわね……

 

佳「岡崎さんは?」

 

鷹「もう仕事終わったみたいで連絡つかなかった。たぶんともの家に向かってるかその帰りだと思うけど」

 

佳「たぶんともは家にいるはずよ。鷹文君」

 

鷹「わかった」

 

鷹文君は保険証を取りに行った。

 

佳「ここに誰か残って岡崎さんの帰りを待つ必要があるわ、葉留佳頼める?」

 

葉「了解、岡崎さんかともが帰ってきたら連絡するよ」

 

鷹「取って来たよ」

 

佳「それじゃあ葉留佳、行ってくるわ。後は頼んだわよ」

 

葉「イエッサー」

 

葉留佳を残し私達は智代さんと合流すべく走り出した。

 

 

 

智代さんは幼稚園までの道のりですぐに見つかった。

 

智「佳奈多っ!大変なんだっ!」

 

佳「聞いてるわ、まずは落ち着きなさい」

 

智「落ち着いてなんかいられるかっ!ともがいなくなったんだぞっ!ひとりなんだぞっ!あんなに小さいんだぞっ!」

 

一気に捲し立てる智代さん。

 

智「迷子になってるかもしれないんだぞっ!可哀想じゃないかっ!」

 

パンッ―

 

智代さんの目の前で手をたたいた。

 

―猫だまし。

 

智「え……?」

 

佳「わかったから落ち着きなさい。冷静になればどこにいるか分かるから」

 

智代さんは目を閉じ息を整えつつ考え出した。

 

智「う…うわああぁ…ともが、ともがああぁぁ……」

 

スパアァァンッ!!

 

智「いたっ」

 

佳「いい加減にしなさい」

 

泣き崩れた智代さんの頭を思いきりはたき落した。

 

智「とも…どこにいるんだ…」

 

佳「はぁ……あの子の家よ」

 

智「…そうか!今いくぞ、ともっ!」

 

ものすごい勢いで走り出したがすぐに立ち止まりまた崩れた。

 

智「場所を知らないんだった私はっ!」

 

理「智代さんってあんな感じだったっけ?」

 

鷹「可愛いでしょ」

 

佳「そうね」

 

智代さんを回収し私達はともの家まで走った。

 

保険証に書いてあった住所、そのアパートの二階に続く錆びた階段にともは座っていた。

 

智「ともっ!」

 

ともは期待に満ちた顔で私達を見たがすぐに悲しそうな顔に戻った。

 

ともが待っていたのは智代さんではなく母親だったのだ。

 

智代「…………」

 

智代さんもそのことがわかったから何も声をかけられなかった。

 

何度も声をかけようとしてはためらってを繰り返した。

 

ここは私の役目だ。

 

佳「とも、帰りましょう」

 

なんて残酷な言葉だろう、もしかすると私はともに嫌われたかもしれない。

 

ともは少し間を開け小さく帰れないと呟いた。

 

それからすぐにともは声をあげて泣いた。

 

これまでずっと我慢していたのだろう。

 

顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。

 

智「……とも」

 

智也さんは瞳に涙を湛えながらともの震える体を抱き締めた。

 

智「とものことは……私が、私達が守るから。だから安心しろ」

 

智代さんは優しく言った。

 

と「おかあさんは…?」

 

理「僕達が必ず探すよ。ともと二人で話が出来るようにする。だから、帰ろう」

 

と「…………」

 

ともは泣きやみ、小さく頷いくだけだった。

 

 

 

家に帰って来てからも、ともはふさぎ込んだままだった。

 

その痛々しい姿に誰も声をかけることができないでいた。

 

狭い部屋に6人もいながら沈黙が続く。

 

動いたのは智代さんだった。

 

智代さんはともを背中から抱きしめた。

 

智「好きだ、とも。ずっとそばにいるからな」

 

それに呼応するように鷹文君がともの手をとった。

 

鷹「僕も、そばにいるよ」

 

理樹と葉留佳を見ると頷き返してくれた。

 

私達もとものそばに座った。

 

佳「私達もいるわ」

 

と「うん……」

 

ともは智代さんの腕を抱いた。

 

と「いっぱいちゅーして」

 

智「ん?」

 

と「ともにもいっぱいちゅーして…おかあさん…むかしはいっぱいしてくれたのにしてくれなくなったんだ……とものこときらいになったから…すきだったら、ちゅーしてほしい…」

 

安心したいんだろうと思った。

 

智「うん、するぞ、ちゅー」

 

ともの頬にキスをした。

 

ともは安心したように智代さんに体重を預けた。

 

智「ずっと好きだから、とも」

 

と「うん」

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