佳奈多アフター~It's a Wonderful Cross Life~ side Kanata 作:月の海
恭「恋愛相談がある」
あの喧嘩騒動から二週間。
私達の生活はいつもの変わらぬ日常を取り戻していた。
岡崎さんの怪我もすっかり跡が見られなくなった。
変わったことがあるとすれば岡崎さんの様子だろう。
打ち解けたと言えばいいのかしら。
恭「いや、無視するな」
面倒ですから。
佳「面倒ですから」
恭「思ったまま言うなよ」
理「佳奈多、そう言わないでさ」
はぁ……
佳「神北さんが好きなら告白すればいいじゃないですか」
理「!?」
恭「……なんでわかった」
佳「わかりますよ」
理「全く分からなかったんだけど」
佳「理樹には分からないかもしれないわね」
だって私が気付けたのは棗先輩の神北さんを見つめる目が私を見つめる理樹の目に似ていると思ったからだもの。
理樹本人では気付けないだろう。
理「?」
理樹は首を傾げていたけれど敢えて説明はしなかった。
佳「それで、何の相談がしたいんですか」
恭「それがだな、その…あの…」
珍しくしどろもどろな先輩は見ていて面白かった。
佳「はっきりしないならどうぞお帰りを」
恭「…告白ってどうすればいい」
佳「自分で考えてください。以上」
理「容赦ないね」
恭「ま、待ってくれ」
佳「まだ何か?」
恭「自分で考えまくって、答えが選べなかったから来たんだ」
佳「つまりプランを立てすぎて選べないと?」
恭「そうだ」
理「ちなみにどんなのがあるの?」
恭「例えば…」
先輩は嬉々としてプロポーズ案を語りだした。
恭「とか他には…」
佳「棗先輩」
恭「どうした?」
佳「はっきり言ってしまえば、あなたの妄想に付き合ってられません」
恭「なぜだ!?」
佳「無理なものが多すぎます。高級レストランで食事後、隣のビルを見ると部屋の明かりが『I LOVE YOU』とか不可能でしかないじゃないですか」
恭「あぁそれは謙吾が出した案だ」
佳「宮沢……」
そんな残念なキャラだったんだろうか。
理「まぁ恭介らしくやるのが一番じゃないかな」
恭「俺らしく?」
理「どんな告白の仕方だとしても大事なのは恭介が小毬さんのことが好きだってことだよ」
佳「確かにシチュエーションも多少はあるけどそれ以上に大切なのは気持ちだわ」
恭「……そうか、そうだな」
納得した様子の先輩は懐から携帯を取り出し誰かに電話をかけた。
恭「…俺だ。今大丈夫か?…今理樹達のところにいるんだが来れるか?……わかった、待ってる。じゃな」
まさか―
理「今のって」
恭「小毬だ。俺はこれから告白する」
佳「まったくなんでウチでする気になってるんですか」
恭「俺が俺らしくあるためだ」
佳「それでは私達はお隣に行っているのでせいぜい頑張ってください」
理「頑張ってね恭介」
私達は棗先輩一人を残して部屋を出た。
佳「大丈夫かしら?」
もしも告白が失敗したら神北さんはリトルバスターズに居辛くなるんじゃないかと思った。
理「大丈夫だよ」
理樹は当然のように答えた。
佳「どうして?」
理「だって小毬さんが恭介を見る目って―」
その後しばらく、私達の話題は新たなカップルの誕生でもちきりだった。