佳奈多アフター~It's a Wonderful Cross Life~ side Kanata   作:月の海

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恋とニートと誕生日 中編

 

顔を洗ってようやく意識が覚めてきたようで本調子になった葉留佳はトーストにかじりついた。

 

私は洗い物をしながら最近感じていたことを聞いた。

 

佳「葉留佳、あなたもそろそろ働くとかしたらどうなの?」

 

葉留佳は一度きょとんとした顔をすると笑いながら言った。

 

葉「お姉ちゃんも働いてないじゃないですカ(笑)」

 

佳「家事全部やってるの誰だと思ってるのかしら(怒)?」

 

額に青筋を浮かべつつも笑顔で答えた。

 

その顔が怖かったのか葉留佳は若干怯えながら反論してきた。

 

葉「わ、私だってやろうと思えばできますヨ?」

 

佳「へぇ、じゃあ今日はやってみてもらおうかしら?」

 

葉「お茶の子さいさいですヨ。姉御は言ってました『葉留佳君はやればできる子』だと」

 

それは出来ない子に使う言葉だと思うけれど。

 

やる気があるのはいいことだ。

 

こうして葉留佳の一日家事挑戦が始まった。

 

とりあえず今日は洗濯、炊事、掃除を担当してもらうことにした。

 

夕食は理樹も帰ってきているので私が準備することにした。

 

 

第一種目~洗濯~

 

佳「じゃあ洗濯しておいてくれるかしら?」

 

葉留佳の食べた皿を洗いながら指示を出した。

 

葉「らじゃー!」

 

元気よく返事した後葉留佳は洗濯機のある洗面所へ向かった。

 

今日の洗濯でミスは少ないだろうと思った。

 

なぜなら色移りするものは今日は含まれていない。

 

流石の葉留佳も洗剤をドバっと入れるような真似はしないはずだ。

 

何か忘れているような気がするがあまり過保護に心配し過ぎるのもよくないだろう。

 

私は洗った皿をふく作業に移行した。

 

 

~一時間後~

 

 

私はテーブルに向かって勉強をしていると終了のアラームが鳴った。

 

佳「葉留佳~、取って来て~」

 

葉「は~い」

 

トコトコ洗面所に駆けて行った。

 

次の瞬間―

 

葉「わひゃぁ!!」

 

佳「いたっ」

 

突然の悲鳴に鉛筆の芯を折ってしまい、その折れた芯が私の額に直撃した。

 

急いで洗面所に入ると青ざめた葉留佳がへたり込んでいた。

 

佳「どうしたの!?」

 

葉留佳は震える手で洗濯機を指差した。

 

恐る恐るその中を覗いてみると確かに悲惨なことになっていた。

 

あるのはちり紙にまみれた洗濯物だった。

 

先程感じた忘れていたことはこれだった。

 

葉留佳はよくポケットにものを入れたまま洗濯に出す癖があった。

 

普段はビー玉とかあまり問題ないものだったし、事前に私がチェックしているのでこんなことはなかったが今日は偶然にも残念な日だったようだ。

 

それからしばらくの間、私達はガムテープ片手に洗濯物と格闘することになるのだった。

 

 

洗濯―×

 

 

第二種目~炊事~

 

ようやく洗濯物が片付いた頃には昼飯時を軽く過ぎてしまっていた。

 

佳「まったく…」

 

葉「やはは、ごめん」

 

葉留佳は苦笑いしながら謝った。

 

佳「遅くなったけどお昼にしましょう。葉留佳が作ってくれるのよね?」

 

葉「もちのろんですヨ」

 

自信満々で答える葉留佳。

 

…この自信はどこから来るのだろうか?

 

佳「それじゃお願いね」

 

洗濯を始める前のままにしてあったノートにもう一度向かい合い、葉留佳の料理が出来るのを待った。

 

 

~しばらくして~

 

 

葉「出来ましたヨ!」

 

笑顔で部屋に入ってくる葉留佳。

 

これは期待できるかもしれない。

 

教科書を閉じテーブルの上を片付けた。

 

葉留佳がドンと音をたて皿を置く。

 

その中身は―

 

―マフィンだった。

 

佳「マフィンだけ?」

 

葉「そうですヨ?」

 

疑問形に疑問形で返された。

 

佳「なんでマフィンなのよ?あなた卵料理なら得意だったじゃない」

 

卵ならちゃんと冷蔵庫にあったはずだ。

 

葉「あ~えっとそれはですね~」

 

葉「作り方すっかり忘れちゃいました(・ω<)」

 

佳「…………」

 

葉「いや~自信あったんだけど3ヶ月何もしないと思い出せないですネ」

 

佳「…………」

 

 

炊事―×

 

 

第三種目~掃除~

 

マフィン自体はとてもおいしかった。

 

遅めの昼食にはこれくらいでちょうどよかったかもしれない。

 

最後の挑戦は掃除。

 

佳「今度は私がちゃんとみてるわ」

 

これ以上手間を増やすわけにもいかない。

 

葉留佳を試す意図のもので監視指導員付きというのも既にどうかと思うが。

 

葉「こ、今度は大丈夫ですヨ」

 

佳「根拠は?」

 

葉「ふっふっふ、掃除の裏ワザを知っているのです」

 

佳「へぇ、何よ?」

 

葉「畳を掃除する時はお茶の葉を使えばいいんですヨ」

 

佳「よく知ってるわね」

 

まさかそんなことを知ってるとは思わなかった。

 

というか、それを覚える暇あったら料理をまずは覚えなさい。

 

佳「じゃあそれで頑張りなさい」

 

葉「はーい」

 

葉留佳は台所に駆けて行った。

 

今回は大丈夫そうね。

 

一人安堵していると葉留佳がお茶の筒を持って戻ってきた。

 

それはクドの―

 

佳「ちょっと葉―」

 

葉「それ~」

 

シュボッと音を立ててふたを開けるとその勢いのまま中身をぶちまけた。

 

佳「……葉留佳」

 

葉「なに、お姉ちゃん?」

 

佳「…正座なさい」

 

葉「へ?」

 

佳「正座ぁ!!」

 

葉「はいぃぃ!!」

 

それから小一時間説教が行われたのは言うまでもない。

 

 

掃除―×

 

 

教訓『葉留佳は放っておこう』

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