佳奈多アフター~It's a Wonderful Cross Life~ side Kanata   作:月の海

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先生の許可がおりたので彼を連れてアパートに帰る。

私にとっては住み慣れた場所、彼にとっては初めて来る場所。

相変わらずのお隣の人達が笑顔で出迎える。

家に入っても彼が何かを思い出す様子はない。

彼の視線はあの写真立てに向けられていた。

それだけは変わらない彼と共に時を過ごした証だった。


時を刻む村 2

次の日、私達は早速行動を開始した。

 

流石に建物自体から作ることは無理なのでまずは使えそうな家を探した。

 

捨てられ廃墟となった家屋を順々に見て回る。

 

朽ちてたり、天井が抜け落ちていたり、床がまったくなくなっていたり、傾いてしまっていたり…

 

なかなか見つからなかった。

 

そのままさまよい続け、ようやくそれらしい家を発見した。

 

急いで施設に戻り、管理人に確認をとる。

 

管理人はどうせできないと思ってかすぐにオーケーサインが出た。

 

岡崎さんと理樹はすぐにゴミ山に向かった。

 

私と来ヶ谷さんは二人と別れ、学校にする廃屋に向かった。

 

物を運ぶ手伝いでもよかったが、その前に掃除を済ませることにしたからだ。

 

施設から借りたバケツに水を汲んで雑巾を濡らす。

 

寒さに拍車がかかったが気にせず絞り、上から手の届く範囲で拭いていく。

 

割と最近まで使われていたらしくそこまで汚れてはいなかった。

 

唯「ふむ、白か」

 

気が付けば来ヶ谷さんが私のすぐ後ろからスカートの中を覗きこんでいた。

 

佳「何をしてるんですかっ!」

 

唯「床を拭いているだけだが?」

 

佳「しらばっくれないでください!」

 

唯「はっはっは、さて、真面目にやるとしよう」

 

そこからの来ヶ谷さんの働きは大したものだった。

 

私だって家では家事全般しているし慣れていると思っていたが結局来ヶ谷さんの半分程度しか働けなかった。

 

一通り掃除が終わり、休憩していると理樹達が黒板を運んできた。

 

佳「よくあったわね」

 

朋「俺も驚いてる」

 

唯「おそらくどこかの施設の廃材なのだろうな」

 

理「ふぅ、なかなかキツいね…」

 

佳「お疲れ様」

 

河「うおおっ、マジで作ってやがるっ」

 

葉「やはは、びっくりですヨ」

 

河南子と葉留佳がやってきた。

 

河「どんな馬鹿だよっ」

 

朋「いいよ、なんとでも呼べよ」

 

河「ザ・斉藤」

 

朋「嫌だとも言い難いが、とりあえずやめてくれ」

 

河「それよりもみてさ、これー」

 

そう言って河南子が見せびらかしたのはお菓子だった。

 

葉留佳も同じものを持っていてどこか自慢げだった。

 

河「村の人がくれたんだよ」

 

葉「いいでしょー」

 

朋「お礼ちゃんと言ったか?」

 

河「言ったよ。子ども扱いすんなよ、もー」

 

朋「子供みたいなもんじゃないか、お前」

 

河「んだよ、誘惑すっぞ、てめー」

 

朋「いいから大人しくしてろよ」

 

河「ふーんだ、いこっ」

 

葉「じゃあ、お姉ちゃん達頑張ってね」

 

葉留佳と河南子は走っていなくなった。

 

朋「何したかったんだ、あいつら」

 

佳「さぁ?」

 

私達は作業を再開した。

 

ゴミの山へ向かう途中、管理人に会った。

 

管「あ、いたいた……ホントに作ってるの?さっきかなちゃん達から聞いたんだけど」

 

理「かなちゃん…?」

 

理樹が私の方をちらっと確認する。

 

にゅっふっふと笑うウェーブのかかったロングヘアの先輩が頭をよぎった。

 

佳「私じゃないわよ」

 

管「あぁ、そういえばあなたもかなちゃんだったわね。河南子ちゃんの方よ」

 

朋「いつの間にか親しくなってたんだな」

 

管「はるちゃんといろんな人にお菓子をせがんでるんだもの。あの子達、今では村一番の有名人よ」

 

管理人は思い出し笑いでもするように微笑みながら言う。

 

管「で、話を戻すけど…あなたたち、どうしてそこまでするの?言い方は悪いんだけど、あなたたちにとっては他人でしょ?」

 

朋「それがどうかしたか?」

 

管「何で、そんな面倒なことに首を突っ込むのか気になったのよ」

 

岡崎さんはちょっと考えるような顔をしたが、すぐにはは、と笑った。

 

管「どうして笑うのよ」

 

朋「いや、全然考えたことなかったからさ」

 

その答えにどうしても笑みが零れる。

 

朋「たぶん、知り合ったからだよ。赤の他人ならそいつの知り合いに任せるさ。でも俺の知り合いだったら俺にできることをしてやりたい」

 

管「どうして?」

 

朋「そうやって考えて生きたら、もっと皆が幸せになれそうだろ。たしかに、施設に迷惑かけてすまないとは思ってる。でも、ともも有子さんも互いに好きあってる。だったら二人は一緒にいるべきだ。それで、俺にできることを考えてみたら、これだった」

 

管「本気みたいね」

 

朋「当然」

 

管「あなたたちも?」

 

私達に向けられる。

 

佳「ええ」

 

理「はい」

 

唯「ああ」

 

管理人は大きくため息をついた。

 

管「…止めようかと思ったんだけど、無理だと悟っちゃったわ」

 

朋「そりゃ助かる。あんたの相手をしてる時間も惜しかったんだ」

 

岡崎さんは歯に衣着せず軽口を叩く。

 

管「はいはい、分かったわよ」

 

理「すみません」

 

管「いいのよ。でも、せめてお昼ご飯くらいは食べに帰っていらっしゃい。ぶっ倒れるわよ?」

 

朋「ああ、明日からそうさせてもらうよ」

 

管理人と別れてゴミ山に向かった。

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