佳奈多アフター~It's a Wonderful Cross Life~ side Kanata 作:月の海
11月も終わりに差し掛かり、いよいよ寒さが本格的になってきた。
そろそろ雪も降ってきそうな気配だ。
秋を感じさせてくれていたあの銀杏の葉もすっかり落ち、樹の周りは黄色い絨毯を敷いたようになっている。
あの後、智代さんと二人で河南子に説教すると、黒幕に来ヶ谷さんの存在があることがわかった。
今度会ったらあの人も絶対説教ね。
どうせ馬耳東風だろうけど。
佳「よし、洗濯終わり」
今日やるべきことはすべて終わってしまった。
理「お疲れ様」
葉「おつかれ~」
二人が私を労ってくれた。
今日は理樹のバイトもやすみで三人揃って暇していた。
葉留佳は相変わらず何もしていない。
今もただごろごろと転がっていた。
理樹はというと棗先輩から借りた漫画を読んでいた。
スクレボっていったかしら?
私も座り、西園さんが貸してくれた小説を読み始めた。
貸してくれたのは『Reread』という恋愛ものの小説だった。
仲津 静留というキャラクターが私のお気に入りだった。
そのうち西園さんが『Reread』の秘蔵の本を見せてくれると言っていたので楽しみにしている。
その話をする西園さんの頬が赤くなっていたように見えたが多分気のせいだろう。
理「…………」
佳「…………」
葉「…………」
理「…………」
佳「…………」
葉「…………」
理「…………」
佳「…………」
葉「うがーーーっ!!」
佳「うるさいわよ」
葉「何行無駄にするつもりですかカ!読んでる人も暇なんですヨ!」
構ってもらえないのが寂しかったのかよく分からないことを言っていた。
葉「てことで私は外行ってきますヨ」
唐突に宣言して葉留佳は走り出した。
何がしたいんだろうあの子は。
…まぁいいか。
私達はそれぞれの読書に集中した。
それからしばらく没頭していたので気が付かなかったが理樹がスクレボを読み終え手持ち無沙汰にしていた。
佳「理樹もどこか行きたかったら行ってきていいわよ」
理「うん」
理樹は返事すると私の寄りかかっているクッションの反対側に陣取った。
佳「私のことは気にせず好きにしていいのよ?」
理「わかってるよ、僕が好きで佳奈多さんと一緒にいたいんだ」
佳「物好きね」
理「そうかな?好きな子と一緒にいたいと思うのは普通のことだと思うけど」
こういう風にまっすぐ好意を向けられるのは恥ずかしかった。
あれだけ人前でイチャつくのは平気なのにこういうのが恥ずかしいと思うのはおかしいのかしら?
佳「す、好きにしなさい」
背中合わせでよかった、赤くなっている顔を見られずに済むから。
理「うん………くすっ」
理樹にはそれがお見通しだったみたいでくすりと笑った。
佳「…最低ね……最低」
理「え~、どうして?」
私の彼氏は意地悪だ。
佳「なんだか手玉に取られてるみたいで悔しいわね」
理「そう?」
佳「そうよ。理樹、ちょっとこっち向いて」
理「?―――ん!」
理樹がこっちに振り返ると同時にキスをした。
軽い感じですぐに唇を離した。
佳「お返しよ」
理「じゃあ僕も反撃するよ」
今度は理樹の方からキスされる。
そこからキスの応酬が始まった。