佳奈多アフター~It's a Wonderful Cross Life~ side Kanata   作:月の海

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もう一人のとも 後編

鷹「理樹兄ぃ、佳奈多姉ぇそろそろいい?」

 

何度目か数え切れなくなった頃に鷹文君が切り出してきた。

 

佳「……仕方ないわね」

 

鷹「そんな嫌そうにしないでよ、それに仕方ないって来てからだけでもすごい回数してたじゃん」

 

割と序盤に鷹文君は来たのだけど無視して続けていたのだった。

 

佳「それでも足りないものよ」

 

鷹「そんなもんかなぁ?」

 

理「それで、今日はどうしたの?」

 

鷹「すごい言い辛いんだけど、ちょっと待ってて。今連れてくるから」

 

そう言い鷹文君は一度部屋から出て行った。

 

連れてくるって誰をだろう?

 

理「誰だろう?彼女かな?」

 

佳「なんで私達に紹介するのよ」

 

鷹「おまたせ」

 

鷹文君が再度現れる。

 

その傍らにいたのは幼稚園児くらいの女の子。

 

……え?

 

佳&理「…………」

 

鷹「いや、そんな訝しげに見られても。何か言ってよ」

 

理「鷹文、僕も一緒に行って謝るから親御さんに返しに行こう」

 

佳「ごめんなさい、鷹文君がそこまで追い詰められているなんて知らなかったわ」

 

鷹「やっぱりその反応だよね!誘拐じゃないから!そんな哀れんだ目で謝られても困るから!」

 

流石に誘拐したわけではないらしい。

 

佳「じゃあその子は誰なの?ちゃんと説明しなさい」

 

鷹「…父さんの隠し子」

 

佳&理「…………」

 

坂上家は家庭崩壊寸前だったのを鷹文君が体を張って繋ぎ止めたらしい。

 

鷹「ウチの玄関にいてさ。母さん達には見せられるわけないからとりあえず兄ちゃんのとこに連れてきたんだよ。兄ちゃんも姉ちゃんもいなかったけど」

 

理「じゃあさっき連れてくるってずっと外で待たせてたの!?」

 

鷹「いやそれは大丈夫。兄ちゃんから合鍵もらってるし」

 

姉の彼氏の家の合鍵を何でもらってるのだろうか。

 

鷹「二人が帰ってきたら僕から説明するからさ、とりあえずこっちで待機してていいかな?二人だと間が持たないんだよ」

 

佳「わかったわ、いいわよね理樹?」

 

理「もちろん」

 

鷹「助かるよ」

 

礼を言った後、今度は女の子に優しく話しかける。

 

鷹「じゃあお兄ちゃんちょっと出かけてくるからそこのお姉ちゃん達と遊んでてね」

 

?「わかったー」

 

元気よく返事する女の子の頭を撫でて鷹文君は出掛けて行った。

 

 

 

理「それじゃあ僕達と遊ぼうか」

 

?「うんっ」

 

理「君の名前教えてくれるかな?」

 

?「ともだよー」

 

理「それじゃあとも、何して遊ぼっか?」

 

と「うんとねー」

 

こういう時、理樹がいるのは本当に心強い。

 

どうやらトランプで遊ぶことになったらしい。

 

と「おねーちゃんもほら、あそぼーよ」

 

それから私達は三人で遊んだ。

 

 

 

と「すぅ……すぅ……」

 

遊び疲れたともは可愛い寝息をたてて眠ってしまった。

 

佳「可愛いわね」

 

理「そうだね」

 

起こさないように髪をそっと撫でた。

 

ふとともの持って来ていたリュックが目に入った。

 

佳「何か母親の手掛かりになるものがあるかもしれないわ」

 

理「ちょっと見てみよう」

 

リュックを開けてみてみると入っていたのは着替えに幼稚園の制服のようなものに保険証。

 

佳「母親はしばらく帰ってくる気はないようね」

 

理「どうしてわかるの?」

 

佳「ただ一日子供を預けるだけなら保険証は必要ないでしょう?」

 

理「そうか……ねぇ佳奈多さん、これって」

 

佳「それ以上は言わなくていいわ」

 

辿り着いた結論はたぶん理樹も同じだろう。

 

きっとともは……




鷹文君は岡崎さんと智代さんが帰って来るととものことを説明した。

隣から『何を考えてるんだ、貴様はあぁぁぁーーっ!』と怒声が聞こえてきたときは流石に私も怖かった。

その後、すぐに私達が仲裁に入った。

とりあえず今日のところは岡崎さんのところで預かるらしい。

智代さんは溺愛レベルでともを可愛がっていて、今晩は泊まっていき明日は幼稚園に送っていくらしい。

多分智代さん以外はある結論に達しているのだろう、ともには笑顔で答えるがどうしても何か拭いきれないものが感じられた。

願わくはともに私達の想像する結末が訪れませんように。
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