パワーインフレ世界の一般人   作:愛黒猫

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久しぶりの投稿です。

小説の手直しを始めたので遅くなりました。しばらく投稿が遅れるかもです。
まだ1話しかできていませんが読み直していただければ幸いです。


時期外れの入部

オカルト部は今まだかつて経験したことのないほどの静寂に包まれた。

 物々しい雰囲気に包まれた中、最初に口火を切ったのはグレモリーだった。

 

「何を言っているの・・・と、誤魔化すのは野暮かしら。どうして私たちが悪魔だと?」

 

 どうやら誤魔化す気はないようだ。

 

「どうしてって言われてもね。イッセーの英語の件やそのチラシとグレモリーって名前。なんでオカルト部だけ夜遅くまで残っていられるか、とか考えてたら自然と」

 

 数えればきりがない。一つ一つは気にも留めないほど些細な問題。だが、一つではわからない意味が分からない言葉もも、つなげてみればそれは物語になる。

 それだけだ。

 

「・・・そう。私たちの不注意ってことね・・・」

 

「そいうこと。今度からはもっとうまく隠しな。でないと勘のいい奴なんかは嗅ぎ付けてくるよ」

 

「善処するわ」

 

 グレモリーの言葉にオカルト部の全員が頷く。

 ・・・でも最後の決め手はグレモリーの演技力の無さにあるんだけどね?

 

「あの、誠先輩。このチラシを持ってきたってことは、もしかして契約に来たんですか?」

 

 イッセーの言葉に全員がはっとしたようにこちらを見る。悪魔と分かってなお近づいてきた人間が、どんな願いを持ってきたのか予想がつかないからだろう。

 その眼にはほんの少しの恐怖と好奇心が見てとれた。

 

「そう身構えるな。別に無理難題言う訳じゃないし、第一契約しにきたわけじゃないんだ」

 

 面白そうだから。俺がここにきたのはそれだけの理由だ。

 

 隣の小猫が不思議そうに首を傾げた。

 

「…それでは東雲先輩はなにをしにきんたんですか?」

 

「だから言っただろ。暇つぶしだよ。俺は退屈でしょうかないんだ」

 

「…それだけのために悪魔に関わるんですか?」

 

 なんでそこで驚いたような顔するんだろうね。

 退屈は人類の最大の敵なんだ。死ぬよりも辛いのは生きることで、もっとつらいのは生きながらにして死んでいること。退屈ってのは俺にとって死ぬことよりもつらいんだ。

 

「人の価値観は人それぞれだよ。俺にとっては悪魔ってのは結構魅力的に思えるんだけどね?」

 

 なろうとは思わないが。

 

 するとグレモリーが怖いくらいに真剣みを帯びて俺を見てきた。

 

「誠。忠告しておくわ」

 

 そう前置きして話し出す。

 

「・・・私たちはあなたの記憶を書き換えることもできるのよ。それでも怖くないと、魅力的に見えるといえるの?常識だってあなたが違和感を感じないように曲げることができるのに?」

 

 そいつはすごいな。でも感じることはそれだけだ。

 

「だから?」

 

 怖くなんてない。

 ――――だって俺は自分の命なんてこれっぽちも興味ないんだから。

 

「だからって・・・。あなたを一瞬で殺せる力が私にはあるって言いたいの!」

 

「だから?」

 

 再度笑って聞き返すと、グレモリーは幽霊でも見たような顔で固まった。ほかのみんなもおなじような顔をしていた。

 

「そんな顔するなって。何に価値を置くかなんて人それぞれだよ。それが俺にとっては面白いことに首を突っ込むことだったって話だ」

 

 まぁ、他のことでも命賭けたって別に構いやしないんだけど。それを言うと話が進まないし、何よりいう必要もないのでやめた。別に嘘じゃないしね。

 

「でも命懸けになる必要あるんですか!」

 

 俺の答えにイッセーが大声で糾弾する。

 

 あらら。イッセーならこの気持ちわかってくれると思ったんだがな・・・。確認のため聞いてみる。

 

「イッセーはハーレム目前にして指咥えて見ていられるか?」

 

「命賭けます!」

 

「イッセー君!?」

 

 いきなりの方向転換に隣りの木場が驚いたように声を上げた。

 

 流石イッセー。分かってくれると信じてたよ。

 

「・・・最低です」

 

 半目で辛辣な突込みを入れる小猫。・・・その最低に俺は入ってるのかな?

 

 グレモリーはため息をつきながら、イッセーに注意する。

 

「はぁ。イッセー、相手のことを否定するなら最後までしなさい。・・・それで。誠は命を賭けてまで私たちのところに何しに来たのかしら?」

 

 仕切り直しにか、一呼吸おいて質問するグレモリー。ようやく本題に入る。

 

「大したことじゃない。俺をオカルト部に入れてほしいんだ」

 

 何かをするとき見るときは最高のポジションがいい。だれだってそう思うはずだ。コンサートや観戦はセンター席。読書するなら落ち着く場所。運動するならスポーツ施設。

 

 物語を見るなら最前線で見たい。

 

「・・・私は賛成です」

 

 意外にも小猫がすぐに入部を認めてくれた。グレモリーも不思議そうな顔をし聞く。

 

「なぜそう思うの?」

 

「・・・・・・・・・私たちが悪魔であることを知ってしまった誠先輩を放っておくわけにもいかないと思ったからです」

 

 いつもより間が長いぞ。今考えたなその理由。

 

「ほんとは?」

 

「・・・お菓子くれます」

 

 そういって、また両手でマカロンを口に運んだ。・・・それ俺の分だよね?いつの間に取ったのさ。そしてこんな時くらい食べるのやめようよ。もしかしてさっきからずっと食べてる?

 

「わかっちゃいたけどもうちょっと他にないの?俺の入部受理理由」

 

 少し切ないんだが、それ。

 

「本音は置いとくとしても、確かに小猫の意見には一理あるわね。誠、あなたは知りすぎたわ。でも幸いあなたは口も堅いし、信用も置ける。・・・それに少ない友人ですもの。いいわ。特例になるけど記憶を消さずに入部を認めてあげる」

 

 ・・・数少ない友人。

 

「なんで涙目になってるのよ?」

 

 お前が切ないこと言ったからです。本人が気にしてないならいいけど。

 

 なんにしても入部も許してもらったわけで、俺の目的は達成されたわけだ。お礼くらいは言っておこう。

 

「ありがとうグレモリー。見かけ道理、太い腹だな!」

 

「それを言うなら太っ腹でしょう!見かけ道理の太い腹って私太ってるみたいじゃない!」

 

「あぁ、すまん間違えた」

 

「悪意のある間違え方ね・・・」

 

 流石に女子に対してこの褒め方は駄目だったか。でも他になんていえば・・・。

 そうだ。たしかなんかの役員どもの女会長さんが自分のことを・・・。

 

「じゃあ、訂正するよ。見た目道理、けつの穴ががばがばだな!」

 

「だからなんであなたはそうセクハラ発言ばっかりするの!?けつの穴が広いって意味でしょうけど、どちらにせよ女性に対していっていいセリフではないわよ!」

 

 おかしいな。むしろ女性自ら言ったセリフなんだが・・・。

 

「・・・はぁ。いい加減にしないと私の堪忍袋も切れそうよ・・・」

 

「馬鹿だなぁ。怒らせてるんだよ」

 

「イッセー、祐斗どきなさい!誠を消滅させるわ!」

 

「「落ち着いてください部長!!」」

 

 怒髪天を衝く勢いで起こったグレモリーを、男子後輩のふたりが慌てて押さえに入る。

 

 いやはや、最近の若いのはすぐキレていかんね。

 

「・・・何考えてるか分かるませんが、先輩のせいですよ」

 

 小猫がそう突っ込んできた。

 

 だからなんでわかるの?悪魔じゃなくて超能力者の類だろ小猫。

 

「・・・違います」

 

 ・・・だからなんで以下略。

 

 見ると馬鹿なやり取りしてる間に落ち着いたらしいグレモリー。傍に力尽きたように座り込むイッセーと木場。

 

 なかなかにカオスである。

 

「・・・入部、許可するんじゃなかったわ」

 

「つれないこと言わないでよ。これからこんなやり取りが続くんだからさ」

 

「本当に入部許可するんじゃなかったわ!」

 

 グレモリーが両手で顔を覆いながら叫ぶ。見ると座り込んでいた二人も、いつの間にかorzの体勢になっていた。

 

 失礼な奴らである。

 

 だが、グレモリー達の姿を見て思う。今はふざけているが、ここにいるみんなは何かしらの問題や悩みを抱えている者たちだ。それは憎しみだったり、恨みであったり、恐怖であるのかもしれない。

 そしていつか、その問題に立ち向かう日が必ず来るだろう。悪魔だから、ではない。俺たちは、感情で生きる生き物であるからだ。成長しなければならない生き物だからだ。

 

 だが抱える問題はそう簡単には解決できない。でもこいつらなら、きっと支え合いながら解決していくのだろう。歯が浮くようなセリフで。現実の厳しさを知らないから言える言葉で。そして・・・。

 

 小説の主人公のように、馬鹿みたいに真っ直ぐに、正義ってものを信じていくのだろう。

 時に笑いながら、泣きながら、怒りながら、哀しみながら、喜びながら。

 

 それはきっと、眩しくて、尊い物語。

 

 俺は、これから始まる物語に胸躍らせ、囁くように呟いた。

 

「ま、そいうことだ。これからよろしく頼むよ悪魔さん」

 

 誠の物語の、平凡が終わった。

 




読み返して気づいた。

部室にいたのにもかかわらず、姫島が一回も出ていないことに!
姫島ファンの人、すいませんでしたー!
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