どこかで切ろうかなぁ~って考えつつ結局全部つなげてしまいました・・・
扉の開いた先にぎいたのは予想通り、堕天使と思しき少女が一人と、その他大勢の神父たちだった。その奥には十字架がたてられおり、アーシアがイエス・キリストのように縛られている。
その様子を見た瞬間、イッセーが叫んだ。
「アーシア!!」
アーシアが声に反応するように少しだけ顔を上げ口を動かすも、その声はあまりに弱々しく聞こえない。
その様子を見た堕天使と思しき少女は愉悦に顔を歪ませ、イッセーを見やる。醜悪と言う言葉をそのまま体現したような顔だと思った。
イッセーはアーシアから堕天使に目を向ける。今にも飛びかかりそうな怒りに満ちた顔で睨む。
「夕麻ちゃん・・・!」
「こんにちはイッセー君。その名前で呼ぶってことは、まだ私に未練があるって思っていいのかしら?でも残念。
私はもうあなたには全く興味無いの。次からはレイナーレ様と呼びなさい。下等種族」
からかう様に言う堕天使もとい、レイナーレ。イッセーは全く相手にもされていないようだ。
「それにもう手遅れよ。儀式はもう終わるの」
(儀式?)
俺の頭に疑問が浮かぶ。シスターではあるが、ただの人間であるアーシアは堕天使が欲するような何かを持っているのだろうか?
答えはすぐに分かった。
突然アーシアの体が緑色に光りだしたからだ。それと同時にアーシアは苦悶の表情を浮かべ、絶叫する。
「いやあぁぁぁぁぁ!」
「アーシア!」
その悲痛に満ちた声を聴き、イッセーが飛び出した。
だが、その行く手を神父たちが阻む。
「どけよ、くそ神父ども!!お前らにかまってる暇はねぇんだよ!」
「そうはいくか!ここで死ね!悪魔め!」
アーシアを助けようと必死になるイッセーはもがく様に抵抗する。
その様子に小猫や木場も参戦するが、いかんせん最初に突撃していったイッセーに意識が集中しているようだ。木場たちの連携で陣形は崩れたものの、敵はイッセーにに集中し、突破できずにいる。
そうこうしてるうちに、突然アーシアの悲鳴が途絶えた。最悪の事態を想像し、慌ててそちらを向くと、アーシアの体から緑色の光が出ているのが見えた。
それをレイナーレが愉悦に歪んだ顔を、今度は喜色に変えて高笑いしながら掴む。
その瞬間、体が緑の光に包まれたかと思うと、そこには緑色の光を己の体から発するレイナーレの姿があった。
「アハハハ!神器!やっと手に入れたわ!これで私は至高の堕天使に!アザゼル様の愛を!馬鹿にしてきたやつらに報いを!望むこと全てが叶えられる力が手に入った!」
状況は悪くなる一方だ。飛び出したイッセーも、神父に阻まれ動けないでいる。阻まれ動けないでいる。木場たちのフォローも木場たちのフォローも上手くいっておらず、いまだ状況を打破できる一手は打てていない。
・・・しょうがないな。多少危険だがこちらに敵さんの注意を逸らすか。
「おーい!小猫!」
「・・・何ですか先輩?」
敵を素手でふっ飛ばしている小猫を呼ぶ。いや比喩ではなく、本当に2~3メートルくらいの距離を神父たちが人力で空中遊泳している。どこにあんな力があるのやら・・・。
「これから俺狙われそうだから、ちょっと護衛を頼む!」
そういうと小猫は木場にアイコンタクトを送り、急いでこちらに向かってきた。
「・・・わかりました。・・・先輩には指一本触れさせません」
「・・・頼もしいけど、後輩の、それも自分より小さい女子に言われると結構情けないな俺」
顔には出さないが、結構ダーメジを受けている誠だった。
「・・・そんなことよりどうするんですか?・・・この程度の相手なら簡単にあしらえるので、多少無茶でもできますが」
「いや、イッセーが通り抜けれるようにするだけだから、無茶っていうほどのことはしないつもりだよ。まぁ、さしあたっては・・・」
そこで俺は大きく息を吸い・・・
「モブキャラ神父!」
「「「「あいつをぶっ殺せ!!!」」」」
・・・一言そう言い、モブキャラ神父たちの意識の矛先をこちらに向けさせた。だが、大勢の殺気に怯むことなく誠は言い続ける。
「何を怒ってるんですか、倒されたら二度と出てこないであろう神父さん!どうされたのですか、キャラが立ってない神父さん!なぜ座り込むのですか、顔すら出てこないような神父さん!」
誠は止まらない。めだかの学校にいる某副会長のごとく、他人の心を蹂躙する。言われた本人達以外は笑えるところが余計たちが悪い。
小猫は神父たちの意識、もとい殺意がこちらに向いたことを確認するとため息をついた。
「・・・やはり先輩は空気が読めない人でしたか」
呆れたように言うなよ。
「KYでごめんね」
「・・・死語ですよ、それ」
知ってます。
「それはともかくとして。ほら、イッセーはうまくアーシアを助けれたみたいだよ」
迫りくる神父たちから小猫に守ってもらいつつ、イッセーのほうを見やる。このスキを逃さずアーシアを助けられたようだ。拘束を外したアーシアを抱きかかえている姿が見て取れた。
感動のシーン。だが現実はそう簡単には終わらない。
すべてを台無しにするような、無慈悲な堕天使の声が響く。
「死ぬわよ、その子。神器を抜いたんですもの」
冷たい冷笑を浮かべ、見下すように。
「―――っ!?ならアーシアの神器を返しやがれ!」
「嫌よ。このための計画だったのよ。はいわかりましたって返すわけないじゃない」
ごもっとも。むしろここで返したほうがおかしい。
「レイナーレェェェ!」
「アハハハ!負け犬の遠吠えね!」
イッセーはどうやら怒りのあまり冷静さを失っているようだ。今更倫理云々を説いても意味がないのはわかりきっているだろうに。一旦、心を落ち着けさせなければ相手の思うつぼだ。
「木場!小猫!イッセーを先に上にいかせろ!このままじゃ埒が明かない!」
「「わかりました!」」
「聞こえたなイッセー!お前は今すぐ上に行け!」
怒り心頭してる中聞こえるか不安だったが、どうやらきちんと聞こえたらしい。俯いていた顔を上げ、こちらを向き叫んだ。
「でもそれじゃ先輩や木場たちが!」
どうやらこちらの心配をしているらしい。・・・あぁ、もう!今までの戦いっぷりを見て気づかないもんかね!?
「あのなぁ!木場たちの戦いを見ろよ!モブ神父相手に一切危なげなく戦ってんだろうが!むしろお前をフォローしてんの!あと俺を!むしろお前が上に行って安全確保したほうが戦いやすいの!Do you understand!?」
察しの悪さに少し頭にきて叫び返すと、なぜか周りの殺気が増えた。
「・・・小猫ちゃん、イッセー君たちの逃げ道作るからそれまで誠さんの護衛をお願い」
「・・・・・・・任されました」
そしてこれまた何故か、小猫はため息つきながら俺を守るように近づいてきた。
「どうした小猫。ため息つくと幸せが逃げるよ?」
「・・・誰のせいだと思ってるんですか。・・・そしてそう思うのなら今度お菓子をお願いします」
呆れたように文句言いながらも、ちゃっかり自分の要望を主張する小猫。その姿があまりにかわいくて思わず頭を撫でてしまった。
「・・・先輩。・・・いまはふざけてる場合じゃないんですけど」
「っと!すまんすまん。いつもの癖でつい」
最近うちにいる黒猫が頻繁に膝の上に乗るようになったので、すっかり撫でるのが癖になってしまっていた。・・・小猫と本物のねこを一緒にするのもどうかと思うが。
しかし、言われて撫でるのをやめると、小猫は少し言うのをためらって視線を彷徨わせたかと思うと・・・
「・・・あとで・・・敵がいなくなった後なら、別に構いません・・・」
・・・小さく、本当に聞こえるか聞こえないかのギリギリのところで呟いた。
本当にかわいらしい後輩だ。そう心中で呟き、苦笑した。
するとそんな中、道が開いたらしく木場の声が響く。
「イッセー君!道が開けた!早くアーシアさん上へ!」
「サンキュー木場!小猫ちゃんも!」
こら後輩。俺に対する言葉無しか?これでも注意をひきつけたりと色々してんだぞ。
なんていう言葉はさすがに自嘲したが、イッセーはこちらを振り向くことなく階段を駆け上がっていった。
その後は一瞬だった。もともと数が減ってきていたというのもあるが、イッセーに向かっていた相手もこちらに向かってきたというのが一番の理由だろう。ほんの十分足らずでほとんどの神父を倒してしまった。
その様子にレイナーレは苛立ち気な表情を見せる。
「っ!下級悪魔どもが手を煩わせやがって!」
・・・相手の本性は知っておくべきだが、女の本性は知らないほうがいいって何かの本で読んだが、まさにその通りだな。
最後の一人を木場が鮮やかな剣劇で沈める。そしてその勢いのままレイナーレの懐に飛び込み肉迫するも、薄皮一枚切っただけで躱されてしまう。やはり、ボス、それも堕天使となるとそう簡単にはいかないらしい。
闇の剣を堕天使に向け、木場が言い放つ。
「悪いけどあなたはここで僕たちが「はいストップ!」殺し痛い!?」
「・・・先輩?」
木場がさっさと締めに入ろうとしていたのでげんこつで止める。その様子を不思議に思ったのは、疑問を口に出した小猫だけではないようだ。レイナーレも同じようにぽかんと口を開け固まっていた。
「何のつもりですか誠さん!?」
「馬鹿だな。お前さんが殺しても何にも解決しないんだよ。お前がこいつを殺したらイッセーは何に対して怒りをぶつければいい?」
「―――っ!」
「そういうことだ。本当なら意味の無い復讐なんて止めるんだが、今回は違うからな。これはあいつが乗り越えなくちゃならない壁なんだよ」
「・・・そうですね。ここで僕が倒すのは無粋でしたね」
木場から殺気が消える。この場はイッセーに判決を任せるようだ。
その様子に安心し、今度はレイナーレに向き直った」
「そういうことだ。えっと、レイナーレさんだっけ?どうぞイッセーを追うなり好きにしてくれ。その至高堕天使とやらの力を見せてくればいいさ」
「・・・そういわれて素直に信じると思って?」
「いや?でも君にはほかに選択肢はないだろ。逃げるために背中を見せれば斬られる。かといって戦えば2対1だ。勝ち目は薄い」
そういわれ悔しそうに顔を歪めるレイナーレ。
「そこまでわかっていて仲間を売るの?はん!人間の考えることは訳がわからないわ!」
本当に訳が分からないのだろう。気持ち悪いといった感じがにじみ出るセリフに、誠は思わず失笑した。
考えがわからないのではなくて、理解しようとしないその姿勢に。あくまで自分たちが優れていると信じている愚か者の見本のようだった。
だが、ここで心情を吐露し敵意を向けられるのよろしくない。目的はこいつとイッセーを戦わせることであってもう足止めではないのだ。
「戦うつもりがないならそこを退いて頂戴。あなたたちにの仲間が無残に死ぬところを黙って見てるがいいわ」
そう言われ道を開けると、翼を広げ一気に階段を飛び去ってしまった。
その後ろを小猫が心配そうな目で見つめていた。そっと頭に手を置き、優しく動かす。
「・・・イッセー先輩は大丈夫なんでしょうか?」
「勝つのは難しいだろうな。あいつは悪魔になりたてだ。戦い方もわからなければ、力の使い方も知らない。可能性があるとすれば、あいつが馬鹿だってことくらいだな」
一応真面目に言ったのだが、二人から帰ってきたのは冷めた目線だった。
「誠さん、なんで馬鹿なのが勝つ可能性なんですか・・・」
「・・・今のはさすがに」
成程。冷めた視線の理由はちょっとした誤解だったのか。
「いや、大真面目だよ。一つのことしか考えられないような馬鹿は、神器との相性がいいんじゃないかと思ってね」
それにグレモリーの話ではイッセーはポーンの駒を8個消費したらしい。転生に必要な駒はその人物の能力に比例するといっていたことから、イッセーには特殊な力があるはずだ。そしてそれは神器である可能性がでかい。
「まぁ、最悪の場合は助けにはいるし問題ないよ。そう簡単に後輩を見捨てるわけないだろ」
「・・・助けに入るのは私たちですけどね」
小猫、それは言わない約束だろ?
「そいうことならイッセー君のところに行っておいたほうがいいですね。万が一ってこともありますし」
木場はそういうと階段を走って登って行った。
「小猫はいかなくていいの?」
「・・・まだ敵がいないとも限りません。・・・先輩と一緒に行きます」
小猫はそう言ってぎこちなく手を握ってきた。柔らかい、女の子の手だった。今までこの手が神父たちの空中遊泳を手助けしていたという考えは今は隅に追いやっとこう、うん。
少し赤くなった小猫。はたから見れば年の離れた兄弟に見えるくらいの差があるが、本人は自分の年齢をきちんとわかっているわけで。お年頃なわけで。
そんな小猫をからかってしまうのは致し方ないことだと思う。
「そっか。それじゃ、そこまでデートと洒落込みますか!」
「・・・!?・・・ば、バカなこと言わないで早くいきましょう先輩」
急に早歩きになった小猫。今日何度目かわからないかわいいという感想を抱いたのだが・・・
「痛い!?痛いんだけど小猫!?」
・・・握った手が異様な握力で潰されそれどころではなかった。
だが、俺の叫びは聞こえないらしく握力そのまま早足で進んでいく。
あぁ、もしかしてふざけすぎた天罰だったりするのかぁ。
薄れゆく手の感覚の現実逃避か、そんなことを考えたのだった。
地上に出るとそこには決着がついたのか、イッセーと木場、そしてグレモリーと姫島の姿もあった。近くには倒れこむように座るレイナーレもいる。
遠くてよく聞こえないが、姫島がイッセーに何か説明しているのが聞こえた。
「別名『紅髪の滅殺姫』と呼ばれているんですよ?」
・・・思わずグレモリーを見る。十中八九あいつのことだな・・・。
物騒すぎるその二つ名を女性につけるのはいかがなものかと思う反面、グレモリーにぴったりだと思ったのは黙っておこう。
それよりイッセーが勝てた原因が気になる。だがそれはすぐに分かった。グレモリーがいうにはイッセーの持つ神器は神滅具というレア神器だったらしい。神や魔王がどれほどか知らないが、それを超えるってんだから相当だろう。
赤龍帝の籠手。ブーステッド・ギア。
面白い。今はまだ始まったばかりだ。これからイッセーは強くなるのだろう。いや、強くならなければならない。イッセー自身それを願い、誓ったことだから。
また、新しい物語が紡がれる。そんな今迄に感じたことのない強い気配に、歓喜のあまり誠は身震いした。
ここに関われて、心底よかったと思いながら。
身震いしたのがばれたのか、隣の小猫の怪訝な顔は頭をなでてごまかした。
突然レイナーレの媚びうるような声が響き渡る。どうやら最後にとうとうイッセーに情けををかけてもらおうという作戦らしい。最後まで諦めない姿勢は好ましく思う。
だが出たセリフはあんまりにも情けないものだった。プライドを捨てるわけでもなく、またプライドを突き通すこともしない、中途半端な偽物。
それだけで、俺のレイナーレに対する興味は完全に失せた。最後まで何かを突き通そうとしたなら庇いもしたが、あのような台詞では紡ぐ物語もたかが知れていた。
無慈悲な冷たいグレモリーの声が響く。
「滅べ」
たった一言。それだけいい、放った黒い一撃で堕天使を跡形もなく消し飛ばした。
消し飛ばされた堕天使の体から緑色の光が飛び出す。グレモリーはそれを手に取る。
そして懺悔するように泣くイッセーに何か囁くと呪文のようなものを唱え始めた。隣の小猫が驚いたような声を上げた。
「・・・転生!」
・・・なるほど、あれがそうなのか。遠目からでもグレモリーが持っていた駒と緑色の光がアーシアの体に入っていくのが見えた。わざわざ死んだ者に転生を施すということは・・・。
案の定、二度と開くことのなかったはずのアーシアのエメラルドのような瞳が、再びこの現世の風景に映し出されていた。
その様子を見て、誠は・・・
「・・・どこにいくんですか先輩?」
「見たいものは見たからね・・・。俺はもう帰るとするよ」
そう言い残しその場を後にした。
一切後ろを振り向かずただただ、足を進める。自宅が見えてきたとき、誠はようやく自分の息が切れていることに気が付いた。
(情けないな。完全に吹っ切ったと思っていたのに)
あの時。アーシアが生き返ったのを見て、両親のことを考えてしまった。想像しても詮無いことだと割っていながらも。もしあの時、あの場に・・・。
そこまで考え頭を振る。何を考えたところで過去が変わるわけではない。分かりきったことだ。
(くだらないこと考えてないで今日はもう寝よう。明日は学校もある。寝不足確定だが授業中に睡眠をとれば問題ないし)
というか意識したら眠くてたまらなくなってきた。着替えるのもめんどくさいからそのまま寝ようかなぁ、とか、黒猫抱いて寝たいなぁ、とか、そんなしょうもないこと考えながらドアを開け―――
「おかえり。あまりに遅いからコーヒーと茶菓子を頂いていたよ」
―――見知らぬ男が二人と女性が一人、白髪男と孫悟空のような緊箍児をつけた男がリビングでくつろぎ、その奥のに悲痛な面持ちで佇む、目を見張るような着物の女性がいた。
それを見てしばらく思考が停止し、戻ると同時に夜空に薄く輝く星と一片も欠けることの無い月を見上げ、誠は思う。
どんな物語でも大歓迎だと思っていた。だが、例外を加えよう。
(夜中の物語だけは勘弁してくれないかなぁ!)
眠れない夜になることを予感しながら、誠は心の中で叫び声をあげた。
小猫もヒロインに加えようかなと思っております。
それについて意見がありましたら、どうぞおっしゃってください。お待ちしております!