パワーインフレ世界の一般人   作:愛黒猫

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ようやく原作に突入です!
初心者なので文章の書き方が頻繁にかわります。
自分にしっくりくる書き方を見つけるまで、試行錯誤していきますのでご了承下さい。


平凡の終わり

黒猫の分の弁当も作ることを当たり前に感じるようになってきた、今日のこの頃。

いつものように自分の分+猫の分の弁当を作り、早めに家を出た。

一人暮らしの俺には、いってらっしゃい、と声をかけてくれる人はいない。何故か、そんな分かり切ったことが少し寂しく感じた。

猫で癒され気が抜けた分、感傷的になったのかもしれない。

 

そんなことを考えながら、いつもの登校の道を歩いていると、遠くに可愛くない後輩の姿が見えた。学園きってのスケベ小僧のイッセーだった。

 

「おーい、イッセー!」

 

これ以上、一人で歩いていても気分が晴れそうにないので、大声でイッセーを呼ぶ。

すると声が聞こえたようで、イッセーはこちらを振り返り俺の姿を確認すると、少し真剣な顔をしながら近寄って来た。

 

「おはようございます、誠先輩!」

 

「おう、おはようだ。それにしても、どうした?お前が鼻の下をのばしてないなんて珍しいな。」

 

「俺を何だと思ってるんすか先輩!?」

 

「盛った猿」

 

「予想以上にひでぇ!」

 

いや、堂々と教室でエロ本広げるなんて盛った猿でもしねぇよ。こいつはモテない原因が100%自分にあることわかってんのかな?

 

「なら誠先輩だって官能小説を学校で読んだことあるそうじゃないですか!女子の奴らが噂してましたよ!俺とは違って何故かどんな女の子がヒロインだったかの噂でしたけど…」

 

「俺は読む本はその時の気分で決めるからな。官能小説が読みたくなる気分の時もあるさ」

 

「どんな気分だよ!?」

 

「ムラムラ?」

 

「聞かないでくださいよ!」

 

いやいや、考えてもみてくれ。例えば今、凄くお腹が減っている。そして目の前には自分の好物ばかりを並べた料理がある。

まずは、どれか一つを選んで食べるだろ?

でも次第に飽きてくるので、飽きる前に別の料理に手をつける。次も同じように飽きてくるので、また別の料理に。そして次第に、好物そのものに飽きてくる。

そうして最終的に、ちょっと変わった物が食べたくなってくる。自分の趣味思考から外れた食べ物が、だ。

 

これが俺がいつも読む本の内容がバラバラな理由である。

官能小説が読みたくなるときがあるのもしょうかないのだ。

 

……普通の人はどうか知らん。

 

ちなみになにも知らないグレモリーに、その時の小説を貸してやったときの反応は最高に面白かったと言っておこう。…その後、イタズラを後悔するような罰を受けたが。

 

「まあ、いいんだよ。日頃の行いがいいから、うちのクラスじゃ、アイツならなにやってもおかしくないと思われてるからな」

 

「先輩それ多分呆れられてます」

 

失礼な。そんなことねぇよ。クラスメイトの男子も女子も生暖かい目で見てこないし。みんな優しくしてくれるし。

…ほんとだよ?

 

「あの、誠先輩…」

 

急にイッセーが、先ほどまでの表情を引っ込め、少しうつむきがちに名前を呼ぶ。

後輩にこんな顔されては先輩は聞くしかないな。

 

「俺に彼女ができたって噂、聞いたことありませんか?」

 

 

…イッセーに彼女が出来たって噂?

 

 

 

───────聞いたことないな

 

「いや、無いよ」

 

俺が答えるとイッセーは目に見えて落ち込んだ。

 

「…ですよね。誠先輩も知らないですよね」

 

先輩も、ということは色んな人にも聞いて回ったのだろう。

何故そんな質問をするのかは分からないが、イッセー本人には大事な問題であろうことを、表情から察する。

 

「すまんな、イッセー。これでも記憶力はいいから、そんな前代未聞空前絶後天変地異な噂なら忘れるはずが無いんだか…」

 

「先輩全然申し訳なくおもってないでしょ!?寧ろ楽しんでるでしょ!ていうか

どんだけ俺に彼女出来ないと思ってるんすか!」

 

「そんなこと無いさ。イッセーに恋人ができたなら精々、次の日の天気が変わるくらいさ」

 

「雨になる程あり得ないことっすか…」

 

「いやハルマゲドン」

 

「地球滅亡!?俺に恋人ができるのは地球の存亡と同じレベルの確率!?」

 

正直五十歩百歩だと思う。

 

「まあ、何にせよだ。俺に手伝えることがあればいえよ。そこそこの手伝いはしてやるよ」

 

後輩が悩んでいるなら手を貸すのは年長者の義務だ。

 

「ありがとうございます、誠先輩。なんか元気でました!」

 

どれだけ助けになれたかは定かではないが、少なくとも笑えるくらいには元気がでたらしい。

真面目に励ますのは得意じゃないし、性に合わないからな。

 

「あ、俺日直なんで先に行きます!それじゃまた今度、誠先輩!」

 

「おう、またな」

 

走り去っていくイッセーを見つめながら会話の最中に感じた違和感を思い出す。

 

─────聞いたこと無いな

 

そう考えたとき頭に浮かんだのは、イッセーではなくグレモリーだった。

俺はグレモリーとこの噂をしたのだろうか。

 

言いようのない不安と不快感が胸を漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

平凡は、静かに、だが確かに壊れ始めていた。

 

 

 

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