やはり文才がないからでしょうか。
目標達成まで先は長そうです。頑張ります。
今日、白音を見に行ったら変な奴にあった。
私はいつものように仙術で気配を誤魔化し、屋上で猫の姿で白音を見やっていた。
それにしても白音、ちっとも体が成長して無いにゃ。私が白音の年くらいのときはもう少しメリハリがあったよ?
そんなことを考えているときだった。一人の男がやってきた。容姿はいい。かっこいいといった感じの顔立ちで、どこか親しみやすい印象を受ける。体も服の上からは分かりにくいが高校生とは思えないほど引き締まってる。簡単に言えば、まぁ、イケメンというやつ。
そいつはすっごい猫好きだった。あった瞬間から私を見る目でそれがわかった。そういう人種はわかりやすく、また扱いやすい。少し警戒した様子を見せれば、撫でるためにすぐ何か食べ物をよこしてくれるからだ。
そして案の定、そいつは警戒した私を見て食べ物よこしてきた。しかも弁当のおかず一個だけなんてケチな真似せず、弁当丸ごと。
いいにゃ、太っ腹な男はポイント高いよ。
それに毛の質を褒めてきたところもプラスだにャ~。女の子はそいうのに弱いのにゃ。
撫でさせるときは少しサービスしてあげてもいいかもしれないと思った。
差し出された弁当は美味しかった。凄く美味しかった。凄く凄く美味しかった。・・・別に私は料理をするわけでもないし、作れなくてもどうでもいいと思っているはずなのに、何故か敗北感を覚えた。
極めつけは菓子、羊羹。もう、頬が落ちるんじゃないかと思うほど美味しかった。甘すぎずしつこ過ぎず丁度いい絶妙な甘さ。温かい緑茶が飲みたくなった。和の物はいいにゃ。
夢中で食べていたらあっという間になくなった。羊羹だけは後で緑茶を淹れてから食べようと残しておく。
さて、それではご飯のご褒美をあげるかにゃ。そう思って振り向いた。
だが男は私なんか目もくれず、本に集中していた。女性から目を離してほかの物に集中するなんて失礼にゃ!と思ったが今の私は猫だった・・・。だがそれでも無視されるのはよろしくない。私は自分から近寄った。
これだけおいしいご飯をくれたんだから、お礼はしないとにゃん。私は意外と義理堅いのだ。
そう思って男をの顔を見て
――――息を飲んだ。
間近で見た男の顔が予想以上に好みだったからではない。本を読む男の目が、あまりにも悲しげだったからだ。表面は面白そうに小説を読んでいるのに心の奥底は笑っていない。
私はその表情の意味を、よく知っていた。
白音を見る時の私の顔。手を伸ばしても掴むことの許されない宝物を見る顔だった。
気づけば私は頭をその男の手にこすりつけていた。
今回は特別。ご飯の御礼。頭を撫でさせた理由はつけようと思えばいくらでもある。
でも一番の理由は、そんな顔をしてほしくなかったからだとおもう。初対面の男に私は同情したのだ。
まったく。こんなの私のキャラじゃにゃいにゃ。罪作りな男。
だがその考えはすぐに訂正した。本当に罪なのは、そこじゃないと。
この男、撫でるのがすごくうまい。1分程度と思っていたのに5分も撫でさせてしまった。もしかしたらもっとだったかもしれない。
的確に気持ちのいい部分を押さえ、触っていい部分だけを触る。正直もう一時間くらいやってもらいたいくらいだった。意志の弱い猫又なら一発で落ちるだろう。
でも残念。私は性格は軽いが、尻軽じゃない。いくら料理できて、ちゃんと撫でていい場所の線引きができて、撫で方が上手で、顔がよくても、そう簡単に男になびいたりしないのだ。
・・・なんか非の打ちどころがなくないかにゃ、こいつ。
そして結局、次を頼んだしまった私も私だにゃ・・・。
でもできればおいしいものが食べたいと思うのはしょうがないことだと自分で納得しておくことにした。
それからしばらくしても、私たちのこの変な関係は続いた。彼は弁当を作り、私は撫でさせる。それ以外はお互い不干渉。私は彼の名前は知らないし、彼の読んでる小説がなにかも知らない。彼も私に弁当を渡したら、自分の弁当を食べる。お互い食べ終わったら私から撫でさせる。そして撫で終わると彼は時間まで読書をする。
互いに必要以上はけっして関わらない。
それな関係がとても心地よかった。似た者同士、傷の舐めあい、ぴったりな言葉が見つからないが、多分そんな感じだ。
禍の団も結構気に入っているが、この男の雰囲気はどこか心を落ち着かせてくれた。静かに過ごせる時間も悪くない、そう思わせるほどに。
この場所で男と過ごす時間が特別なものになるのに、そう時間は掛からなかった。
・・・テロリストである私が安らぎを求めるのも変な話だが。
――でも心のどこかで、この関係が長く続くことを祈っている私がいた。
ミスった・・・。塵も積もればにゃんとやらにゃ。傷だらけの体を引きずりながら苦笑した。
私ははぐれ悪魔である私を討伐しに来た上級悪魔どもから逃げていた。普段はヴァ―リーたちと行動しているので簡単に追い返していたが、今回は皆個別行動で一人だった。一人一人のレベルは高くないが、10人となるとさすがに戦うのは面倒な相手に、面倒くさくなった私は逃げに徹していた。
だが、それが間違いだった。逃げた先には悪魔祓いどもが待ち構えていた。
どうやら手を組んでいたらしい。だが悪魔祓いと悪魔が手を組むなんてことはまず無い。殺し合う者同士が手を組んだところで、裏切られるのは目に見えているからだ。
それなのに手を組んだ。そうでもしないと私をを殺せるわけがないとわかっていたから。追撃部隊を壊滅させるくらいの力がある私に対抗するための、苦肉の策だったのだろう。
そして私は自分より遥かに弱い格下の相手に対して、油断していた。
その油断で危うく命を落としかけた。
避けられる筈だった一撃が頭に当たった、それは覚えている。だが、そのあとはよく覚えていない。無我夢中で殺しにかかり、気づけば私はボロボロになりながらも悪魔たちの死体の上に立っていた。
朦朧とする頭で、かろうじて生き残ったということは理解した。
私はここから逃げるため、歩き出した。
それだけで体はは悲鳴を上げる。歩くのも辛いくらいに出血し、意識だってはっきりしない。自分がどこに向かっているのかすら曖昧だ。
―――死。
致命傷ではないが重傷。今敵が来たら、私はなすべなくやられてしまう。
そのことが私にはっきりと、そのことを連想させた。
白音の、顔が見たくなった。
私はあの子を守るためとはいえ、顔を合わせられないほど、ひどいことをしてしまった。恨まれて当然だ。もう2度とあの子に触れることは叶わないだろう。
でも、あの子を大切だと思う気持ちは、あの子が私のたった一人の家族であるという事実は、変わらない。
その想いが、いつの間にか白音の通う駒王学園へと私の足を動かした。
愛する妹の元へと足を動かした。
幸いにして、他に敵には会わなかった。
しかし、たどり着いた学園の屋上で、仙術で気配を誤魔化したところで私は力尽きてしまった。
これが私の犯した罪の報いかにゃ・・・。
そう思うと、可笑しくて・・・涙が出た。
あの子のためにやったことが罪ならば、私は死んでも構わないと思う。でもこの報いはあんまりじゃにゃいかにゃ。
私のやってきたことがすべて否定されたような、手足が凍りつくような感覚襲われる。
・・・私の、居場所はどこにもない。テロリスト、はぐれ悪魔、どこに行っても私は追われる。家族にすらも、会えない。私の、居場所はどこにもない・・・。
だけど、彼は来た。いつもと同じように私のための弁当を片手に持って。
名も知らない私を見つけた瞬間驚いた顔して急いで駆け寄ってきてくれた。
名も知らない彼が駆け寄ってくれた。それだけで少し、報われた。
手当をしてくれる彼の手は暖かかった。自分ではない他人の体温。
もう大丈夫、そういった彼の言葉は優しかった。自分ではない他人の言葉。
いつしか私の手も、彼と同じ体温になっていた。
彼が走って屋上を飛び出していく姿に心が締め付けられた。
戻ってくる。そう約束してくれたし、私はそれを信用できるほどに彼を信頼してるのに、なぜか彼が離れていくのが悲しくて怖くて、声を上げた。
でも私は彼の名を知らない。だから呼べない。
そして彼も私の名を知らない。だから呼んでくれない。
今まで居心地が良かったと思えていた関係、それがどうしようもなく悲しかった。
しばらくして聞こえてきた彼の足音に安堵し、私は意識を手放した。
長くなりましたが、ようやく書きたかった黒歌を書くことができました!
でもまだ一巻の半分程度しか進んでないんですよね…。小説は難しいです。
誤字脱字、おかしいと思った文章があればどんどん指摘してください。
読みやすく面白い小説になるようにこれからも執筆頑張ります!