パワーインフレ世界の一般人   作:愛黒猫

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久しぶりに投稿です!

・・・けっしてテスト前の現実逃避などではありません。



確証

新しい家族がやってきた。と言っても猫だけど。

 

黒猫が怪我しているのを見つけて家に連れ帰って、数日。傷は快方に向かっていた。

特に化膿した個所もなく、先日には病院にも連れて行ったが、特に問題は無いといわれ、担当した獣医には手当も完璧とのお褒めの言葉を頂いた。

これからも医療に関する本はなるべく優先して読むようにしよう。

 

勿論傷についていくつか質問されたが、知らぬ存ぜぬで突き通した。いや、俺本当に知らないからね。疑いの目で見られても困ります。

・・・だが結局信用して貰えず、しばらくあの病院は利用できなくなった。嘘言ってないのに・・・。

 

まぁ、そんなことはさておき。黒猫の傷が酷くなくて良かった。俺も一応学生だ。ここ数日は休みを取っていたが、これ以上休んでいては先生にも怪しまれるだろう。そろそろ学校に復帰しなくてはならない。黒猫が心配ではあるがこればっかりは致し方ない。

 

「それじゃあ、行ってくるよ黒猫」

 

「にゃぁ~」

 

黒猫がうちに来てから気づいたことだが、家に挨拶する相手がいるっていうことは、幸せなことだ。一人じゃない、それだけで人は安心する。

 

自分の声に返事が返ってきたことに幸福を感じながら、誠は玄関を出た。

 

 

 

学校につくと、そこには既にグレモリーと姫島がいた。

「あら、おはよう誠。もう仮病いいの?」

 

・・・初めて聞いたよ、そんなセリフ。つか全然心配してないな、こいつ。

 

―――だが丁度いい。

 

「あのな、グレモリー。仮病ってのは休みたくて嘘の病気を語ることだからな?」

 

「あらあら。では、東雲君は仮病ではなくちゃんとした理由があったと?」

 

「いや、仮病だけど?」

 

「なら何なのよ、今の思わせぶりなセリフは・・・」

 

「お前らが勝手に勘違いしただけだろう。それを人のせいにするなんてまるで―――悪魔のような奴だな?」

 

「「!?」」

 

・・・こいつら分かりやす過ぎ。俺の言い回しも確かに不自然だったから警戒するのもわかるけどさ。

「おいおい、そんなに言われなれてないからってそんな大袈裟に反応するなよ。思わずなにかあるのかって考えちまうよ」

 

「・・・馬鹿ね。そんなオカルトじみたことあるわけないじゃない」

 

「そうですわ。悪魔なんて、冗談にしても笑えませんわ」

 

「オカルト部の部長と副部長だろお前ら・・・」

 

もう少しマシな誤魔化しは出来んのか。いや、俺からしたらありがたいくらいなんだけど、友人としては心配だよ。

 

「そ、そんなことより誠!相談しちゃいことがあるのよ!」

 

だから、分かりやすいんだってお前。何その噛み噛みなセリフ。俺がそれ指摘したら、失礼噛みまみた、とでもいうの?

 

・・・面白いのでもう少し弄ってみよう。

 

「いやいや、それは後でもできるよね?それよりオカルト部部長がオカルト全否定したことについて詳しく聞きたいんだけど」

 

「え、えっと・・・それは・・・」

 

「そういえばイッセーがオカルト部に入ったんだって?あいつオカルトに興味なかったはずなのに不思議だね」

 

「!?・・・それは、多分何か心霊体験的なものをしたとか・・・」

 

さっきオカルト全否定しただろ・・。

 

「イッセーといえばあいつ、外国語を喋れるようになってたんだよ。発音も、リスニングも完璧でさ。この間なんて外国人と会話してたよ。びっくりしちゃった」

 

「悪魔は全ての言語が喋れる・・・・と言われているわけどももちろんそんなの迷信だろうし私たちにはまったくか「一生懸命勉強なさったんじゃないかしら」んけい・・・そうね、朱乃のいう通りかもしれないわね・・・」

 

・・・グレモリー、残念な子。姫島の顔も若干引き攣ってるぞ。面白かったからいいけど。満足したところで話を戻そう。

 

「ところでグレモリー、相談って何だ?」

 

「!そ、そうだったわね」

 

あからさまににほっとした顔をするグレモリー。・・・もう、何も言いません。

一呼吸おいて話し出す。

 

「知り合いにアルバイトをしてる男の子がいるの。その子はいつも結果は出せないのだけど、担当した相手からは最高の評価を貰うのよ。でも結果は出てないから雇った側としては褒めていいのか、叱ればいいのかよくわからない状態なの。あなたならどうすればいいと思う?」

 

「それは、店の経営方針にもよるだろ。それに一個人が口出すことでもない」

 

「そうだけど、一応ほかの意見も聞いといた方がいいのかもしれないと思って」

 

尻込みしながら答えるところを見ると、この質問はやはりグレモリー本人の物だったらしい。最初からわかってたが。

 

「・・・褒めればいいんじゃないか」

 

「なぜ?」

 

「その店の経営方針は知らないけどね。結果は最初から出せる奴なんて少数だよ。けど、結果なんて後からなんとでもなる。慣れとか、練習だとかやり続ければ必ず成長していくさ。そのうち結果もついてくるようになる。でもさ、中身は違う。それに結果が出なくても評価を受けるってことは、そいつの人格だけを純粋に見た判断が評価ってことだろ」

 

「・・・そうね。そういうことになるわね」

 

「なら褒めてやれよ。そいつの才能を。仕事ができる奴よりも、人を幸せにできる奴の方が価値がある。俺はそう思ってるよ」

 

相手から認められるには馬鹿がつくくらい真っ直ぐじゃなきゃ出来ないことなんだから。

 

授業を知らせる鐘が鳴り響く。

どうやら気づかないうちにずいぶん話込んでいたらしい。

 

「もう時間ね。ありがとう誠。とても参考になったわ。あなたにしては自分まともな意見だったしね」

 

「おいおい、俺は至って真面目で普通の一般男子高校生だよ?そんな評価を受けていたとは悲しいな」

 

「よく言えますわね・・・」

 

姫島が呆れたようになにか言った。予想はつくが。

 

反論してやろうと口を開くが、先生が入ってきた。

「ほら、全員座れ。授業を始めるぞ」

 

俺たちは分かれ、それぞれの席に座った。

 

 

 

 

この世には悪魔学というものがある。文字通り、悪魔についての学問のことだ。

現代において有名なものでいえばロッセル・ホープ・ロビンズ著作の悪魔学大全などだ。

 

そして悪魔学のなかにゴエティアと呼ばれる表題がある。ソロモンの鍵、といえば聞いたことがあるかもしれない。ソロモン王が72柱の悪魔を使役し、様々な願いを叶えていく手順が記されたものだ。

 

その手順には72柱全ての悪魔の特徴と印章も記されている。

 

誠は先日の病院帰りに配られていたチラシを手に取った。

そこに描かれている印章は間違いなく、序列にして56番、26もの軍団を率いる侯爵。大瀧訳ゴモリ。別名グレモリーの印章。

 

ここまできて偶然なんて言わせない。というよりいうやつのほうが少ないだろう。

しかし確証のない推理は信憑性もない、ただの空想だ。妄想、と言ってもいいかもしれない。

 

誠は教室の窓から空を見上げる。周りのクラスメイトが必死に勉強してる音に耳を傾けながら、思う。

 

SF作家ジュール・ヴェルヌ曰く。

人が想像できることは全て現実に起こりうることである。

 

それは正しいのか、正しくないのか誰にもわからない。でも誰もが心のどこかで正しいと思っているのだろう。だからこそ夢に向け希望に向け、挑戦し続けられる。

 

常識に捕らわれて、現実に縛りつけられ、己を捨てる生き方。それはきっと面白くなくて、苦痛に満ちた物語。

 

それは誠の望む物語ではない。

―――物語を読むなら面白く読みたい。それが誠の心からの願いなのだ。

 

 

 

 

 

((((東雲、勉強しないなら帰れよ!))))

・・・・・そしてこれがクラス一同、受験生たちの心からの願いだった。

 

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