きんいろティーチャー   作:ケイトラ

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いつも思いますが、書いていると予想していたよりも長引いてしまいますね……一応、これにて二日目終了となります。我ながら長い。


第12話 面白くなりそうな予感と、面白がられそうな予感

「……はぁ」

 

 

 ラーメン屋を出てから、俺たちは歩いていた。

 両隣からの質問に、一部は応え、一部は誤魔化しながら時間をやり過ごす。

 

 

「そっかー……センセたち、大学まで同じだったんだねぇ」

「幼なじみもそこまで行けば……それだけじゃないかもデスねっ」

 

 

 さすがに誤魔化せない所だったとはいえ、いざ二人に強調されると、どうにも落ち着かなかった。

 とはいえ、仕方ない。

 最初から話したくなかったのなら、そもそもラーメン屋で切り出さなければ良かっただけなのだから。

 

 

「――あまり触れ回らないでくれよ?」

「だいじょぶだいじょぶ! 心配いらないって!」

「ハイ! 私たち、ヒミツ守りマス!」

 

 

 満面の笑顔で頷く二人を、どこまで信用すればいいのだろうか。

 いや、実際……二人は悪い子じゃないし、相手のことを思いやれる子だと思う。

 一度こうして話してみると、何となく分かることもある。

 そして自慢じゃないけど、こういう直感が外れたことは殆どなかったりする。

 

 

「……ま、いっか」

 

 

 そんなことを何となく思っていたら、どこか楽な気分にもなった。

 何が起きても、何とかなる――そんなことも思っているのかもしれない。

 それは、もしかしたら……

 

 

 ――大丈夫だよ、一条くん! 私に頼っていいんだからね?――

 

 ――先輩も、ああ言ってくれてるし……あ、あまり気にしないでもいいんじゃないかな?――

 

 ――そうそう。朱里ちゃんが言ってくれれば、一条くんも素直に――

 

 ――せ、先輩!? な、何を……――

 

 

(……思い出さなくていいあれこれまで思い出しちまった)

 

 

 俺はアホか。

 勝手に思い出して、勝手に自爆する。

 放課後、この子たちと一緒に過ごして実感してしまっていたけど――

 

 

(久世橋先生の自爆癖を笑えないんだなぁ……)

 

 

 

「あれ? センセ、どうかした?」

「照れてマス? ラーメンに七味とかラー油とかやりすぎちゃいマシタ?」

 

 

 案の定、と言うべきか両隣の二人は、そんな隙を見逃さない。

 観察力と行動力――それが、おそらく五人の中でもかなり高いとみた。

 ついでに表情の豊かさも……うん。だから――

 

 

「……それはもしかして、九条さんがやったんじゃないのか?」

 

 

 ちょっとした隙を、こっちも突けるわけで。

 例えば今、そんな発言をしながらも、何だかハッとしたように、一瞬だけモジモジとした様子の――九条さんとか。

 

 

「ど、どうしてソレを?」

「あれだけ思いっきり掛けてれば、なあ?」

 

 

 そんな彼女を一瞥してから、隣の猪熊さんに水を向けると、彼女は嬉しそうに頷いた。

 

 

「うんうん。センセもカレンのこと分かってきたんだね」

「……その言い方、何か引っかかるからやめてくれ」

 

 

 ――やれやれ。

 九条さんの隙を突けて油断したら、この有り様だ。

 今度から、この二人がセットでやって来たら、油断しないようにしないと――

 

 

「あれ? 何だか顔、強張ってない?」

「一条先生、緊張してるデス?」

「……いやいや」

 

 

 おっと。

 だからといって、生徒に不安感を持たせるのは本意ではない。

 相手もつまらないだろうし、こっちも嫌だし。

 

 

「二人とも――面白いな、って思ってるだけだよ」

「……え?」

「ハイ?」

 

 

 少し面食らったのか一瞬だけ固まる彼女たちに「さ、早く行ってあげよう?」と、俺は促した。

 そして聞こえる、さっきに比べると、ちょっとだけテンポが落ちたように感じられる足音。

 

 

 ――ほら。

 やっぱり、俺の見る目は正しかったわけだ。

 

 

「お、面白いって……どういう意味なんだろね、カレン?」

「そ、ソレは――何だか照れちゃいマスね」

 

 

 後ろで何だか落ち着かなさそうに話す二人の声を聞きながら、確信した。

 こんな二人が、悪い子なわけがない、と。

 

 

 

 

――――

 

 

 

Side:綾

 

 

「……二人とも、遅いね」

「アリス、大丈夫ですよ? お二人なら元気に来てくれるはずです」

 

 

 私の近くで、二人の友達の声が聞こえた。

 アリスのちょっとばかり心配そうな声に対し、どこまでも穏やかな調子で、しのが応じる。

「そっか、そうだよね」「はい、大丈夫です」と笑顔で会話し続ける彼女たちを見ながら――

 

 

(――なるほど、遅刻ね)

 

 

 私はというと別のことに、ちょっとばかりカチンと来たりしているのだった。

 

 

 

 ――そんな感覚も、吹き飛んでしまいそうになる。

 何故かというと、目の前で意外すぎる光景を見てしまったから。

 

 

「……あ」

「ヨウコにカレン……あれ? も、もう一人――って、あれって!?」

 

 

 口元に手を当てるシノの横で、アリスが何とも慌てた様子で目の前を凝視していた。

 私は、その近くで身体が緊張してしまう感覚を確かに感じた。

 ――だって、さすがに予想外だったから。

 

 

「……ほら。三人とも待ちぼうけを食らってるじゃないか」

「あ、ホント……ちょっと遅れちゃったデス?」

「やれやれ。センセが、私たちをからかうから」

「――猪熊さんたちがそれを言えるのか?」

「センセは大人で、私たち子ども。だよね?」

「ティーチャーとハイスクールガールの違いデス!」

「……はいはい」

 

 

 二人の友達に笑顔で囲まれながら、まだこちらから遠い所で、何だかバツの悪そうな調子で頭を掻くスーツ姿の男性。

 ……いや。その言い方だと、何だか語弊があるのかもしれない。

 まあ、正しくは――

 

 

「……一条先生、ですね」

「ああ、あの――」

 

 

 しのが言ってくれた通り、私たちのクラスの副担任の先生だった。

 

 

「九条さん。そこは『スチューデント』でいいんじゃないか?」

「あっ、一条先生は分かってないデスね?」

「だよなぁ、カレン。女子高生と学生は違うもんね」

「さすがヨウコデス!」

「……あれか。甘いモノは別腹的な意味か?」

「い、一条先生……私たち、そんな食いしん坊に見えマスカ?」

「何だか――センセの中での私たち像が気になるね」

「え……いつの間にか、俺が悪者になってる?」

 

 

 ちょっと遠くから私たちの元へとやって来るまで、そんな間の抜けたやり取りをする三人組。

 カレンも陽子も……一条先生も、笑顔だった。

 心底、楽しんでいそうな――

 

 

「……綾ちゃん」

 

 

 つい見つめてしまっていると、隣から私を呼びかける声がした。

 ハッと振り向けば、しのが口元を綻ばせながら私を見ていた。 

 

 

「ど、どうかした?」

「……一条先生、まだ怖いですか?」

「――そ、それは」

 

 

 迂闊だった。

 しのは、こういう所で妙に鋭いことを忘れていた。

 私が何を考えているのか、時々、完璧に当てられてしまうことがある、ということを……。

 

 

「こ、怖い、というより……なんというか、ただ」

「そういえば、初日に目が合ったってお話ししてましたね」

 

 

 口ごもる私に、どこまでも優しげなしのの声が被さる。

 そうだ。最初に一条先生を見たのは、その時だった。

 つい二日前のことだったのに、何故か思い出すのが気恥ずかしくてボンヤリとしたものになってしまっていた。

 

 

 まあ、なんというか――やっぱり異性は、ちょっと苦手だ。

 別に何かされた、というわけでもないけど……どうにもこうにも、緊張が先にやってくる感じが拭えないから。

 

 

「きっと、一条先生は……悪い人じゃない、と思いますよ」

 

 

 近づいてくる三人に視線を向けながら、しのはしみじみと言う。

 

 

「あの二人の顔を見てると、そう思っちゃいます」

 

 

 そして、ちょっと照れくさそうに言いながら、私へと視線を向けるのだった。

 その表情は、私に何かを示唆しているようにも受け取れた。

「安心してもいいんですよ?」という、しのの声が聞こえる、ような気もする。

 

 

「――カレンもヨウコも、楽しそうだね」

 

 

 さっきまで静かに、そんな三人を見つめていたアリスが呟いた。

 そして、彼女もしのに倣って私に顔を向ける。

 その表情は、しのに比べると、ちょっと照れくさそうだった。どうやらアリスは、ちょっとだけ私に近い感覚らしい。

 

 

「A組の副担任の先生、かぁ……久世橋先生といい、アヤたちのクラスは暇しそうにないね」

 

 

 ただ、私に話しかけている間に、緊張よりも面白さが勝ったらしい。

 アリスもまた、しのと同じような笑顔で、私に言うのだった。

 

 

「――そ、そう、ね」

 

 

 私は、そんな二人に見つめられながら照れくさくてたまらなかった。

 つまり、気にかけられていたということがよく分かってしまって。

 ……一条先生絡みで、緊張が先走ってしまっていたことに。

 

 

 ――さて。

 何となく、私はそんな三人を再び見つめてしまう。

 距離は益々近づいていて、もうみんなの輪郭がくっきりと浮かび上がっていた。

「アヤヤ!」「おー、綾」と、嬉しそうに呼びかける二人に笑いかける。

 そして――

 

 

「……小路さん、か」

 

 

 そんな二人より、やっぱりちょっとだけ距離感を測りかねた様子の男性へと目を向ける。

 私と視線が合うと、ちょっとだけ身体をピクッとさせてから、軽く微笑みながら私へと視線を返してくれた。

 

 

 ――まあ。こうして、ちょっとだけ落ち着いた気分でいると、分かることもある。

 男性としては、そこまで高いというわけでもないけど低いというわけでもない身長。

 特別痩せてもいないし、取り立てて太っているというわけでもない体格。

 髪はそれなりの長さで、最低限よりちょっとは整えているとはいえ、そこまで頓着していそうにない身だしなみ――

 ファッション雑誌を時折読む性のせいか、こんなことがつらつらと思い浮かんでしまうのだった。

 

 

(い、いやいや! そういうことは、別に――!)

 

 

 どうして、男性の評定なんてしているの、私は……!

 ああ、やっぱり――緊張、してるのかしら。

 初日に目が合った時に思った強張った感覚は、やっぱりすぐに慣れるものでもないらしい――

 

 

「綾ちゃんは、可愛いですね」

「――!」

 

 

 なんてことを思っていたら隣には、おっとりとしていて、けれど、とんでもない発言をしてくる友達の姿が。

 しのは、ニコニコと何とも楽しそうに笑っている。

「アヤ、顔ちょっと赤いね」と、街灯に照らされる私の顔を見て、クスクスと笑う金髪少女の姿も。

 

 

 ……どうやら。

 

 

(一条先生といい……私は、しばらく安心できなさそうね)

 

 

 と、すぐ近くまでやってきている三人を見て思うのだった――

 

 

 

――――

 

 

 

(……なんというか)

 

 

 俺たちがここまで来る間に、小路さんは一体どれだけ色々なことを考えていたんだろう。

 そんな疑問をふと思ってしまうくらいには、彼女の振る舞いは大仰なものだったように思う。

 ……彼女についても、俺が覚えた直感は当たっているみたいだった。

 

 

(まるで、昔の――アイツみたいに)

 

 

 

「一条先生。カレンと陽子ちゃん、ありがとうございます」

「――あ」

 

 

 顔を真赤に染め上げたままの小路さんを見ながら思っていると、いつの間にやら近くに大宮さんがやってきていた。

 街灯に照らされた彼女の笑顔は、これまた飛び切りで――同時に、やっぱりちょっと怖かったりする。

 

 

(何だか、底が知れないんだよなぁ……いい子なのは、確かなんだろうけど)

 

 

 とりあえず、彼女に悟られないように微笑むことは忘れない。

 やっぱり、生徒を不安にさせるのは嫌だし。

 俺も気分が良くないし。

 

 

「ま、まあ――面白いな、二人は」

「あっ、センセが私たちをバカにしてる」

「一条先生は、これダカラ……」

「――あれか。生意気、っていうのかな? こういうのって」

「いえいえ。可愛い、だと思いますよ、一条先生」

 

 

 とまあ、そんな取り留めのないことを言い合う俺たちだった。

 

 

 

(――さて)

 

 

 二人が三人組と合流して、いつもの(?)五人組になった所を見届けてから、

 

 

「それじゃ、そろそろ俺は帰るから」

「また何か食べるんじゃないの?」

「一条先生は、食いしん坊さんデス!」

 

 

 ……どうやら、俺がなにか言う度に、二人から何かを言われるのが既定事項になったらしい。

 嬉しそうにからかってくれる二人を見ると、「まるでパブロフの犬だな……」と、およそ女子高生に対しては失礼染みたことを考えてしまう俺だった。

 まあ、別段不愉快になるわけでもないし、いいんだけど――

 

 

「ご、ごめんなさい、一条先生……カレンは昔からこうで」

「ワッ!? ア、アリスがワタシを裏切って……先生側ニ」

「ち、違うよっ! た、ただ――カレンが先生に迷惑を、って」

「……アリスに心配されてマス」

「ふふっ、私は落ち込むカレンも好きですよ?」

 

 

 ――俺に対して何かを言おうとするカータレットさんの発言まで、そんな彼女には遮られるらしい。

 やれやれ……元気がいいのは何よりだけどさ。

 おかげで今日、一緒にいて楽しかったのは本当だしな……。

 

 

 

「ん、大丈夫だよ、カータレットさん。九条さんと猪熊さんは賑やかで面白かったし」

「――き、きっと、先生のこと、からかってたと思います」

「……否定はしない、かな」

 

 

「あ、やっぱりアリスは先生サイド……」「センセだって私たちのこと、からかったし」と俺は、そんな外野からの言葉を敢えて一旦やり過ごしながら応えるのだった。

 そんな俺たちを嬉しそうに見つめる大宮さんと、何だか複雑そうな表情で見つめる小路さん。

 ……出だしは順調、なのかな? そうと思いたいんだけど、どうでしょうか、先生方?

 

 

「――そ、それじゃ、また明日」

 

 

 目の前の生徒と、あの二人のことを思い出していたら何故か照れくさくなった。

 俺はもう一度別れの挨拶を繰り返し、クルッと出口へと向かう。

 あの二人が言うような飯はもう食べないけど――ビール一杯くらいなら、飲みたい気分かもしれない。

 

 

「――く」

 

 

 ん?

 なんだ、今の……声が漏れた?

 振り返れば、そこには俯いた様子で、どこか恥ずかしげな小路さんの姿があった。

 彼女は、俺に視線を向けては逸らすということを繰り返してから、こう切り出すのだった――

 

 

 

「久世橋先生とは……その。や、やっぱり、え、えっと……」

 

 

 ――後で思い返せば、その時の小路さんは色々と考えこんでしまっていたんだと思う。

 例えば、誰かと話す時には何かしらの話題があった方がいい、とか。

 そして、新しいクラスの副担任とはいえ教師とはコミュニケーションを取れた方がいい、とか(おそらく、隣で微笑む大宮さん辺りに触発されて)。

 

 

 その時の俺は、というと――

 

 

「……ごめん、小路さん。あの二人に教えてもらってくれ」

「……え?」

「そ、それじゃ」

 

 

 情けなくも、そう言って身を翻すことしか出来なかった。

 い、いや、しょうがないと思ってほしい。 

 自分から蒔いた種とはいえ、さっきから散々にからかわれて、あの頃のクッシーや先輩を思い返すだけで照れくさくなるような心境にすら至っていた俺。

 もう、キャパオーバー。正直、限界だったんだから――

 

 

「そ、そう、ですか……」

「あ、あと」

 

 

 何となく感じていた通り、とても居心地の悪そうな小路さんに、これだけは言っておかないといけなかった。

 一度、姿勢を戻し、彼女と向き合う。

「は、はい?」と疑問符を浮かべる彼女と視線を合わせ、

 

 

 

「明日から、またよろしくな」

 

 

 

 この時だけは姿勢を正して、そう言った。

 そして相手の表情を確認する前に、そそくさとその場を立ち去るのだった――

 

 

 

――――

 

 

Side:陽子

 

 

 

「……センセって、やっぱ何かおかしいね」

「ヨウコも、そう思いマスカ?」

「ホントに」

 

 

 私たちの目の前で、綾は何だか凄く照れくさそうにして、その隣ではしのがそんな綾に優しく声を掛けて、アリスは焦った調子のまま。

 うん、何というか――私たちは、いつも通り、だけど。

 

 

「一条先生は、何だか不思議デシタね」

「……不思議、か」

 

 

 カレンが何となく呟いた言葉に、私も賛成だった。

 一見、わかりやすいように見えて、どこかで掴みどころがない――何となく、そんな印象だった。

 いや、といっても親しみにくいってわけじゃないんだけどさ……お陰で卵も、もらっちゃったし。

 

 

「一条先生は、久世橋先生が大好きデスね」

「うんうん、まったく」

 

 

 隣で何とも楽しそうに言うカレンに、私も同調する。

 ラーメン屋での思い出話の中で、センセがどれだけクッシーちゃんのことを気にかけているかはよく分かった。

 転校した時、その後での色々、文化祭実行委員会、そして――

 

 

「……タダ」

「カラスちゃん、だろ?」

「――やっぱり、ヨウコも思ったデスカ」

 

 

 そこで、ちょっとだけ複雑そうな表情になるカレン。

 きっと、私も同じようなものになっているんだろうと思う。

 

 

 センセがクッシーちゃんを大切にしているのは本当で。

 きっと、一緒のクラスを受け持つことが出来るのも、実際は嬉しくてたまらないんだろう……面と向かって聞いたら照れてごまかすだろうけど。

 

 

 ――だから、ほんのちょっぴり気になったりする。

 

 

 センセがクッシーちゃんについて話す時、照れくさそうにしながらも、どこか心配しているような所があるような感じがした。

 最初の頃の話を聞いてみれば、なるほどと思う。カレン曰く、今のクッシーちゃんは、その頃みたいにオドオドした様子が全然見えないらしい。

 ――もしかしたら、センセやカラスちゃんの前で「しっかりしないと」なんて思ったりもしてたりするのかな。

 

 

 だから、センセがカラスちゃんについて話す時、それとはちょっと違うことに気づいてしまった。

 どこまでもカラスちゃんを信頼して頼りにしていて――だからなのか、センセの照れ方が、クッシーちゃんの時とは違うような気がした。

 私からしてみれば、確かに一年の頃から親しみやすくて頼りにしてたけど……センセがカラスちゃんに対して思ってる感覚とは、何か違うような気もする。

 

 

 どう違うのか、というのをはっきりと言うのは難しい。

 ただ、あくまで本当に何となく――

 

 

「もしかして、センセは――カラスちゃんが……」

 

 

「が」の後で、私は敢えて何も言わない。

 何だか、それを言うのはナシだよなぁ、って気がして。

 

 

「イエ、ヨウコ……きっと、ワタシたちにも分からないモノがあるのかもしれマセン」

 

 

 なんといっても「ティーチャー」デスし――

 しみじみと言うカレンは、複雑そうに見えながらも、やっぱり何だか嬉しそうだった。

 私はどうかと言われれば、同じなんだろうなぁ、と応えるだろう。

 

 

 結局、センセがクッシーちゃんやカラスちゃんと一緒にいるのは楽しいって思ってるわけで。

 きっと、お陰でクッシーちゃんも柔らかくなっている(らしい。カレン・談)

 ――それなら、それで。

 

 

(……やっぱり)

 

 

「おーい、みんな。そろそろ帰ろー?」と声を掛けながら、私はふと思う。

 

 

(これからしばらく……暇しそうにないなぁ)

 

 

 なんて、愉快なことを――




綾が意味深なモノローグを始めましたが、前にも書いたようにこのSSのメインヒロインはクッシーちゃんで、もう一人のヒロインは烏丸先生なので、「そういう展開」にはならない予定です。
あと、ラストで陽子とカレンが考えてるあれこれですが、そこまでシリアスに発展させる予定はありません。漠然とそういう展開も考えましたが、おそらく誰も得しないと思うので……。
次回は、きっちりとクッシーたちの出番と相成る予定です。
教師陣と生徒陣のバランスを考える必要がありますね……。
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