誤字や脱字があれば教えてくれると助かります。
今日もベストプレイスでパンを齧る。
人とは居場所を求めるものだ。リア充でもボッチでもそれは変わらない。
居場所とは個人によって様々な見出し方をされるものだ。俺のように特定の場所に求めるもの。人間関係の中に求めるもの。
個人によってそれらは様々な物に見出される。
如何様な者でもそれは変わらない。
結論、便所飯は悪くない。
まぁ、したことはないんだが…
「比企谷。こんなとこにいたのか?」
なんて意味の無い思考に没頭していると声が掛かった。
「葉山か…」
声を掛けてきたのは同じクラスのトップカーストに属するリア充オブザリア充の葉山隼人だった。
「昼飯を一緒にどうだろうって声を掛けようと思ってたんだが、昼休みになるとすぐに姿が見えなくなったから探してたんだ」
そんなリア充が何故俺を態々探してまで昼飯を一緒にしようとするには理由がある。
入学式の日、俺は事故にあっている。その相手が葉山の父だった。
入学式に参加する息子を車で送迎している差中に飛び出してきた俺と接触事故を起こしてしまったのだ。
そんな経緯のせいか葉山隼人は退院し、遅れてクラスに参加することになった俺を何かと気に掛けた。
「そうか…けどもうこれで俺の昼飯は終わりだ。悪いな」
そういってあと半分程になったパンを葉山に見せる。
「それなら仕方ないな。また誘うことにするよ」
そういって葉山は俺の横に腰掛けた。
え?何これ…葉山が帰る流れじゃないの?っべー!マジっべーわ。フラグ立っちゃてるわー
海老名さんが喜んじゃう展開ですね。わかります。…いや、ねーけどさ…
「いや、なんでそこ座るんだよ。教室戻んねーの」
「たまには良いじゃないか。こうして誰かといるのも悪くないと思うぞ」
一理ある。しかし、それは相手による。
今隣にいるのが小町なら何の問題も無いのだが、今隣にいるのはただのクラスメイトの…正直に言ってしまえば苦手な部類に入る人種だ。
「いや、相手によるだろ…」
「ははっ、相変わらず比企谷は歯に衣着せないな」
「そりゃそうだ。そういうのは仲良い相手とか、仲良くなりたい相手にするもんだ」
不躾な物言いで対応するが、葉山は怒る訳でも無くただ笑う。
「前から言ってるが、事故のことなら気にするな。
あの事故が無くても俺はボッチになったさ。だからお前が気に掛ける必要は無い。正直にいうなら迷惑だ」
「そうか…けど俺も前から言ってるだろう。
それが無くても比企谷とは仲良くしたいってさ」
まったく、何がどう琴線に触れればこんなボッチに興味を持つのだろうか?
リア充の考えることはわからん。少し仲良くなって弄って遊びたいのなら大いに納得出来るのだが、どうも葉山が俺に構うのはそういったものとは違う気がする。
だからこそ余計に気味が悪くて警戒心が解けないんですがね。
「そうか…」
「あぁ、そうなんだ」
煩わしい時間だが、それにも限界がある。
葉山はリア充だ。つまり、俺にだけ構っている訳には行かないとういことだ。
「あー!ハヤトこんなとこにいたし!」
「優美子…」
「今日の放課後遊びにいくじゃん。それの話したかったんだけど気が付いたらハヤトいないしさー
マジ探したんだけど、ヒキオと一緒にいたんだ」
そういって声を掛けて来たのは同じクラスの三浦優美子だった。
葉山とはまったく違うタイプだが、トップカーストに属する人間だ。
「つーわけでヒキオ。ハヤトはあーしらと話があるから返してもらうよ」
「好きにしてくれ。」
俺も好きでいるわけじゃない。
なんて余計な口を聞いていれば休み時間の終了まで説教されるに違いない。というかされた。
同じ年に説教せれるなんて新鮮だと思ったのも一瞬でそれはすぐに失われた。なんつーか三浦の説教はどこかかーちゃん臭い。
そのせいで新鮮味など感じることはもう無く、ただ嵐が過ぎ去るのを待つだけだった。
「比企谷。すまないが、そういうわけだから先に戻るよ」
こうして俺、比企谷八幡は束の間の静寂を取り戻した。