双子の転生者 作:戯言
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side空牙
俺とサラは、宮殿の床に座り息を整えていた。
「なんだら~~。随分ちっこいヤツが二人も登ってきたなや」
疲れすぎて俺とサラは、自分たちに向かって歩いて来る人を気付くことが出来なかった。
見上げて見ると小太りで乱雑な黒髪長髪で、腰には刀がさしてある。せんべいの袋を片手に持った男がいた。
サラが慌てて立ち上がったので、俺も一応立ち上がった。
「あなたが、仙人様ですか?」
「仙人~~?おれが、そったらもんに見えるか?」
「全く見えない。でも、かなりの実力者。いつか手合わせ願いたいですね」
「……中々見る目があるな、おめぇ」
「お褒めいただき光栄の至り」
そんなやり取りをしていると、サラが不満げにこちらを見ていた。
「そんでおめぇの名前なんだ?因みに俺様は、ヤンジロベー様だ」
偉ぶりたいのか自分を様付けしていた。
「俺は空牙」
「私は彩空といいます。よろしくおねがいします、ヤンジロベー様」
「ヤンジロベーだ!!」
「や、ヤンジロベーさん?」
確かに訛りの違いにより違う名前に聞こえる。
「サラ、多分訛りのことを言いたいんじゃないかな?」
「なるほど、ヤンジロベー様、これでいかがですか?」
「……うん、いいぞ」
『こっちじゃ、上に上がってこい』
上から声が聞こえた。
「おい、こっちだ。ついてこい」
ヤンジロベーの先導に付いていき、球体になっている外側の階段を登り、2階部分に着いた。
そこには、壺の台座があるだけで他には何もなかった。
そしてそこに白い猫が杖を持って立っていた。
雰囲気、気配からして只者ではない、多分仙人だ。
「にゃんにゃん」
「にゃ?」
猫好きのサラはついそう言ってしまった。
ただすぐに雰囲気から察したのだろう。
「失礼致しました!!仙人様!!」
「サラが失礼なことをして申し訳ありませんでした。俺からも言わせて下さい、仙人様」
「ほっほっほっほっ。いい、いい。それにしてもよくわしが仙人だとわかったのぅ」
仙人は気にするなと言ったが無理だろう、普通。
仙人だとわかった理由を問われても困るだけだ。
「雰囲気ですかね?何か他の人とは違い透き通っている感じがしますし」
「気配です。常人の人より澄んだ気配がします」
「2人共に鋭い感性を持っておるの~。それにこの塔をこの短時間で登ってこれるとは。如何にもわしが仙人様じゃ。正確にいうと、仙猫様じゃがな。まっ、わしのことは、カリンと呼ぶといい」
俺たちはそれを聞き、膝をつき拝礼する。
「カリン様、カリン様に修行をつけていただいたくやってきました」
「どうか、あなた様の教えを伝授してくださいませ」
「ほー。こりゃまた礼儀正しいやつがやって来たの。そこにいるヤンジロベーにお前さんたちの爪の垢でも飲ませてやりたいわ」
カリン様は、手すりを椅子にせんべいをかじっているヤンジロベーの方を見そう言うとうるせー。とヤンジロベーがそっぽを向く。
カリン様は真剣な表情でこちらを向いた。
「なぜ、力を求めるのじゃ。お主らも知っておろう。ピッコロ大魔王は死んで世界が平和になった。ましてやお主らは子供、無邪気に遊んどればいい」
そうカリン様が、説いてくるが俺たちには力を手にいれたい目標がある。
「私たちにはどうしても戦いたい人がいるのです。でも今の私たちの力ではその人の足下にも及びません。だから、強くなりたいのです!!お願いします!!カリン様!!」
「それに俺は、家族を守りたい。村の皆も守りたい。その為にも力を手にいれたい。……それにピッコロ大魔王が死んでも完璧に平和になるわけではない。この2つの目標を達するため強くなりたい。カリン様、お願いします!!」
俺とサラが、頭を下げる。
「うむ。よいじゃろう」
「いいのですか!!」
「ありがとうございます!!」
もう一度頭を下げる2人に向かって、台座に置かれた壺を示した。
「では、あの超聖水を飲むがいい」
修行をつけて貰えると思ったら、何故超聖水を飲めと言われるのか、わからなかった2人は揃って首を傾げた。
「どうした?超聖水いらんのか?」
「すいません。超聖水ってなんですか?」
「そんなことも知らずにここに来たのか」
カリン様がいうには飲むだけで力が何倍にもすることができるという水。しかし、そんな雰囲気も気配もしないので空牙はただの水だと決めつけた。
ならどうして力が何倍にもなるのか?
それは、カリン様が飲むのを邪魔することによって相手の力を上げることができる。
しかも、強くする相手も選ぶことが出来る。
「カリン様、私にはその超聖水は必要ありません」
「なんと!お主強くなりたいんじゃろ、なのに何故超聖水を飲まん」
「カリン様、そんなもので強くなって何の意味があるのでしょう。自分の手で限界の壁を超えたいのです。生意気かもしれませんけど、それが私の望む強さです」
「カリン様、俺も超聖水はいりません」
「……何故必要としない」
「その超聖水がただの水で飲んでも強くなれないからです。超聖水を強くなったと錯覚するのは、カリン様がその水に力があると言い、信じこませ取りに来たのをとことん邪魔することによって体が無意識の内に鍛えられているからですよね?」
カリン様が黙り込んでしまった。
「空牙、少し言いすぎたんじゃない?」
「……確かにな、事実だとはいえ言いすぎたかもしれない」
「そうだよ、謝りなよ」
「あの、カリン様?」
「…………、にゃっはっはっはっ!いや~、見事な2人だ。修行の本筋をきちんと見ている少女と超聖水の中身を全て当てる少年。確かにこんなもので強くなっても意味はない。お主のいう通り邪道だろう。しかしそれが必要な時がある。何だかわかるか?」
「大切なものを守りたいが勝てないと大切なものを失う。しかし今のままでは絶対に敵わない相手をする」
「その通りじゃ。大切なものを守りたいが勝たないと大切なものを失い、今のままでは絶対に勝てない敵の時、そこに飲むだけで強くなるものがある。それでも飲まないか?」
「…………飲みます」
大切なものと自分の信条を天秤にかけたら、どちらに傾くかわかりきっている。
それは、サラも同じであろう。
「つまり、場合によりけり、ということですよね?」
「その通りじゃ。これからの人生そうゆうこともあるかもしれんということじゃ、今は心の片隅にでも入れといておくれ」
俺はともかくサラは覚える努力をした方がいいかもな。
「もうすっかり遅くなったから、飯にするか」
「肉食わせろ、肉」
「ヤンジロベー、お前はいつもそれじゃの」
晩飯で争っているカリン様とヤンジロベーを無視し、サラと食卓の準備をした。
「ヤンジロベーは、肉が食べたいんだよな?なら、俺の弁当から取ってくれ。カリン様は、焼き魚かな?魚はサラの方が多いからそっちからとってくれ」
そう言いながら俺とサラはポイポイカプセルを投げ、弁当を取り出した。
大きさは、畳一畳分ぐらいの弁当がいくつも出てきた。
「これ食べてもいいんだよな?」
ヤンジロベーは、弁当を開けながら聞いていた。
中には肉に魚に野菜に果実がたっぷり入っていた。
「どうぞ召し上がって下さい。カリン様も」
「う、うむ」
サラも行儀よく食べ始めた。
手のスピードが早すぎてあまりよく見えないけど……。
それは自分にも言えることだと気付かず晩飯を食べ終わった。
そして、次の日。
カリン様と俺たちは向かい合っていた。
これから修行が始まるのだ。
「よろしくお願いいたします!カリン様!!」
「修行は、前日空牙が言ったようにこの壺をわしから奪うことじゃ」
これからカリン様との修行が始まる。
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