畜生先生ポチま!   作:お話下手
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なんの脈絡もなしにネギ。 これからもこんな感じです。


ネギとの出逢い

 【2003年 2月】

 

 「え? ナギの息子がくる?」

 

 「そうじゃ。 修業として今年から君が副担任している2─Aの担任を任そうと思ってのぉ」

 

 学園長室、ノートパソコンでエロゲーをしていたポチ。 生々しい嬌声を響かせている時、近衛近右衛門からの唐突な一言は、なんとも微妙な空気を醸し出すには充分だった。

 今のタイミングでそれ言っちゃう? なんかツッコミ要員もいないから気まずいって感じじゃないよ、画面に映っている嫁もフィニッシュ迎えそうだし。

 

 「あのぉ、それって大丈夫なの?」

 

 ナギのことをよく知る人物は、この学園に数多くいる。 良い意味でも悪い意味でも注目されそうだ。

 主に変な恨みがあったり、変に注目されたり。

 

 「それはないじゃろう。 ほとんどの学園の者はお前さんのせいで壊れたからの」

 

 「ちょおおおおお!? それはどういうこと!」

 

 「まぁ、そちらにとっては遊んでいただけだから気づかないのも無理ないわい」

 

 代表的な物は、このちゃんはせっちゃんの嫁とか、学園のゆるキャラ作って、まほらっしーとか、エヴァンジェリンに罵倒され隊とか、エヴァンジェリンに踏まれ隊とか、オッサンだけで構成された麻帆良48とか、オッサンだけで構成されたプリキュアとか、オッサンだけで構成されたけいおん!とか、“とあ”逮捕し隊とか、ポチ抹殺瞬殺撃滅撲滅し隊とか、畜生ぶっ殺し隊とか。 オッサン率高い! そして後半が物騒すぎるッ!

 

 「注目されても十歳の可愛い先生くらいじゃ。 命が狙われるとしても高畑先生も居るし、大丈夫であろう。 忙しくともエヴァンジェリンやお前さんの存在で安心じゃからな…」

 

 エヴァンジェリンは封印状態でも強いから良いけど、俺とか無理よ? 刹那ちゃんに負けるレベルだし。

 

 「式は使えるのじゃろ?」

 

 「といっても、両腕か両足が限界。 昔によく出るフルアーマーは一度も無いからね?」

 

 「それでもよい。 支えてやるだけで構わん、記憶が無くともナギの親友としてお前さんの言葉はネギ君に良い結果をもたらす」

 

 「そうなのかなぁ…」

 

 学園長、ポチを買い被りすぎじゃない?

 

 「大人になるのは意外と簡単。 だが、子供であり続けるのは難しい」

 

 前に言った俺の言葉ですね。 でもそれ銀魂から引っ張ってきたやつよ?

 

 「中々的を得た言葉じゃ。 …というわけで────」

 

 ピョンと飛び上がり、俺の横に座り込む。 フフフ、やはり気づいたか。

 

 「このゲームは百合物じゃな! …儂大好物!」

 

 最近発売された“しじゅゆり”と呼ばれるアダルトゲーム! 主に主従関係で女の子達がチュッチュッするストーリー。 ポチのオススメとしては、刹那ちゃんと木乃香ちゃんにそっくりな設定と容姿を持つルートだ。

 

 「これをプレイしながらこのせつも楽しむ! すばらしいのぉ!」

 

 「流石学園長、ポチと趣味が合いますなぁ?」

 

 「ほっほっほ」

 

 「へっへっへ」

 

 「学園長ー! 今月の学費持ってきましたー!」

 

 『ぎゃあああああ!?』

 

 あああああ明日菜ちゃん!? いきなりノックもせずに入るとはどういうことかね!

 犬はあまりビックリしちゃいけないのよ! 学園長とか入れ歯取れてるし!

 

 「おおおおお、明日菜君。 毎回偉いのぉ、じじい嬉しいわい」

 

 学園長落ち着いて! 入れ歯反対反対!

 ポチは荒ぶるタカのポーズとるから、兎に角落ち着いて!

 

 「ポチもいたんだ。 …なんか怪しいわね」

 

 「何を言っているんだい教師である僕は常に明日菜君の御手本として清く正しい生活をしている例え私が電子機器で卑猥な映像を見ようと俺が見ることでそれは生命誕生という真理を垣間見ているだけに過ぎない」

 

 「ちょっとそのノーパソ見せて」

 

 「違うって! これは違うって! ポチ悪くないの! せっちゃんが何時まで待ってもこのちゃんに押し倒されないから我慢出来へんかったんや!」

 

 「いいから見せなさい!」

 

 ちょ、引っ張らないで! なんかメキメキ言ってる!

 どんだけ力強いの!? ゴリラか!

 

 「嫌だあああああ! 学園長ー! 助けてって──いねぇえええ!?」

 

 逃げ足速い! 見捨てやがった!

 

 「ふんぬっ!」

 

 我が手元から離れる愛玩道具。 神速の動きでノーパソを開いた明日菜ちゃんは静止、徐々に顔へ赤みが増し、中身を理解すると頭から湯気が吹き出たと思わせるぐらい髪の毛が逆立った。

 

 「な、ななな…!」

 

 よし、逃げよう。 今すぐ逃げ、あ…捕まった。

 

 「何してんのよ、エロ犬ーーー!」

 

 「ぐげえええ!?」

 

 明日菜ちゃんの蹴りが水月に…! ヤバい、今のポチ、メッチャ主人公っぽい──がくっ。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 今日はネギ君が来る日、職員室で顔を合わせることになっていたが、朝早くからポチはお仕事。 遅刻者チェックだが、まだ時間に余裕があるから暫くボーッとしておこう。

 にしても、変わらず遅刻しそうな生徒達が多いねー、ポチが学生の時はエヴァンジェリンがいたから遅刻はなかったな。 無理矢理連れていかれていたし。

 おや、向こうから高畑先生連呼しながら物凄いスピードで走ってくるのは、明日菜ちゃんと木乃香ちゃんか? …木乃香ちゃんはローラーシューズ使用しているのにあの脚力、ホント運動神経良いよね、才能ある子って羨ましい。

 

 「おはようさん」

 

 「あ、オハヨー。 ポチ、昨日はゴメンね!」

 

 挨拶を済ませ、すぐさま謝罪をしてきた。 良いのよ、メッチャ痛かったけどポチが悪いんだから、未成年にあれは見せちゃ駄目だしね、メッチャ痛かったけど!

 エヴァンジェリンも少しは明日菜ちゃん見習ってほしいわ、暴力振るっても基本的に謝罪なしだから。 朝の挨拶とかアレよ? 起きて早々食事の用意しろだからね?

 ポチが唯一作れるムドオンスープとか不味いって平気で言うし、茶々丸ちゃんが来るまでは地獄だったな。

 

 「ところでさっき、高畑先生連呼してたけどどうしたの? 発情期?」

 

 「アンタまた、そんなこと言って…。 んなわけないでしょ」

 

 「明日菜になぁ、運命の人に会う運勢あげるために好きな人の名前を十回言ったあとワンと吠えれば良いって、教えたんよ」

 

 「マジ? それはポチの専売特許じゃないですか」

 

 「いやー、ホンマにやるとは思わなかったわ…」

 

 「なんですってえええ!?」

 

 「まだ他にも逆立ちしながら開脚して50m全力疾走する、こっちは運命の人の秘密を知れるってやつがあるで」

 

 「マジ? やるわ」

 

 速答ですね、流石明日菜ちゃん。 俺の目の前で瞬きする間に実行し、更に木乃香ちゃんからドン引きされる。

 そんな様子を見ていると、横に何かの気配を感じてそちらへ視線を移すと。

 

 「あの、貴方…顔に死相が出てますよ…」

 

 「は?」

 

 歳は十才くらいだろうか、小さい丸メガネをかけて、背中には比較に大きなリュックを背負っている赤毛の少年が俺を見ながら、顔を真っ青にして声をかけてきたのである。 死相ってアレか、顔相っていう占いのやつで一番最悪の。

 つーか、この子好みの可愛い顔してるけど、なぜだろう。 赤毛を見ると妙にイライラする。

 

 「ぼぼぼ坊や? 喧嘩売ってんのかな? 俺の拳が真っ赤に萌えてるよ?」

 

 「スイマセン! 占いの話しをしていたようなので、あまりにも強い死相が出ていたのもあり、どうしても伝えないと思いまして!」

 

 なん…だと! つまりポチは主人公でよくある死亡フラグみたいなのを建てていたのか!?

 不老不死も終わりが近いと?

 

 「因みにどんな感じ?」

 

 「ブロンド髪の女の子にボコボコにされているのと、刀を持った女の子にバラバラにされているのと、黒髪褐色の女性に穴だらけにされているのと、アルアル言っている人にペシャンコにされているなど、まだまだあります」

 

 「ただの日常じゃねぇかクソッ!」

 

 「因み全て近いうちに起こります」

 

 …なんか生きてるのが嫌になっちゃったな。

 

 「ポチ、さっきから何してんの?」

 

 明日菜ちゃん、実はかくかくしかじか。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「占いね…。 ボク、私のも教えてよ」

 

 どうしよう、なんだか悪いことをしてしまった。 目の前に自らの占い結果に絶望した男性が倒れこんでいる、スーツが汚れるから立ち上げたほうが良いと思うが、周りの人達は一瞥するだけでドンドン横を通りすぎていく。

 ここではコレが当たり前なのだろうか…。

 

 麻帆良学園、死んだ父さんの親友が教師をしていると聞いて、大喜びで修業を受けたけど、来て早々こんな人達ばかりの生活に不安を感じる。 僕の父さん、千の呪文の男の親友、タカミチからは“とあ”という名前で『凄く良い人だけど、凄く変な人』と聞いたけど一体どんな人だろう。

 特徴を訪ねても、変な人と思ったらその人だからとしか聞いていない。 まさか、ね…。

 

 「貴女は失恋の相が出てますね、かなりドギツイのが…」

 

 「な、なんだとこんっガキャー!?」

 

 そんな!? どうして僕を怒るんですか!

 ウソつくわけにもいかないのに!

 

 「で、でも安心してください! その代わり、今年中には運命の人と出逢える相が出てますから!」

 

 もちろん、これもウソではない。 何故か凄く歪な感じだけど、とても大きくて優しくて暖かい者が見える。

 

 「グギギ、明日菜ちゃんは良いよね、失恋でも良い出逢いがありそうで。 ポチとか…ッ!」

 

 無限に死ぬ運命の人は、目に光が消えた状態でゆっくりと立ち上がった。 歯軋りの圧力が凄い、そしてポチって変な名前…。 

 

 「アンタ、黙っていれば良いのよ、口を開くと最悪だし。 柿崎なんてアンタが担任になるって聞いた時は大喜びだったのに」

 

 「うそぉ!?」

 

 「せやけど、初日のやらかしで正体に気付いて死んだ目ぇしてたなぁ。 だから彼氏作ったみたいやで」

 

 初日にやらかしって、何したんですか…。

 

 「えーと。 確か、クラスの中で誰が安産型か目視でランキングづけしてたような…」

 

 頭を捻りながらポツリと出たポチさんの一言。 逮捕されてもおかしくない。 

 ああ成る程、これでやっと理解したというか納得したかな…絶対この人変な人だ。 名前とか違うけど間違いない、この人凄く変な人で絶対に“とあ”さんだ。

 

 「貴方が“とあ”さんだったんですね…」

 

 「え? なんでポチの本名知ってるの? まさか、ストーカー!?」

 

 どうしてそんな風に考えるんですか!? 僕のことは連絡が入っているはずなのに的ハズレにも程がある!

 なんか面倒くさい人!

 

 「僕はネギです! ネギ・スプリングフィールド! 今日から貴方と一緒に2─Aを担当することになった!」

 

 「ネギ!? ネギかぁ……ネギと言えば最近ねぎま食ってないな。 今夜は新田ちゃんとねぎま食いに行くか…」

 

 こ・の・ひ・と・は…ッ!

 

 「えええ! アンタが担当するの!? じゃあ高畑先生は!?」

 

 タカミチは出張が忙しくなってきたから、担任を出来ないって言っていたっけ。 そういえばこの人、タカミチが言っていた神楽坂明日菜って人みたいだけどタカミチが好きなのかな、だから残念がって…。

 

 「マズイわ! たださえポチのせいでクラスが壊滅しているのに、ストッパー役の高畑先生がいなくなったらそれこそ終わりよ!」

 

 あ、そっちなんですね…。

 

 「ええやん、この子可愛いし、楽しくなりそう」

 

 「…あとはガントルちゃん誘って、刀子ちゃんは……保留って、何いいいいい!? ネギだとおおおおお!」

 

 今更気づいたんですか! 本当に面倒くさいなこの人!

 ポチさんと呼べば良いのか“とあ”さんと呼べば良いのかわからないけど、とりあえず変な人は、僕の顔を穴が開くんじゃないかと思うくらい凝視して何かをブツブツ呟いていた。

 

 「確かに似ているな…。 クソッ、アリカ姫とニャンニャンした結果を目の前に見せつけられているようで腹立つぜ…!」

 

 言ってる意味はわからないけど、多分悪いことを言ってることだけはわかった。 なんか、口元から血が滴っているし。

 

 「可愛らしさを持ち合わせながら、父親の男らしさも併せ持つ。 まだショタでこの容姿とは…、このままではポチの麻帆良学園マスコット化に支障が出る、こうなったらククク…」

 

 怖い! 怖いよこの人!

 助けてー! ネカネお姉ちゃーーーん!

 

 








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