研究者たちは、検体を用いて、“植物病”の特効薬を開発しようと、血眼になっていた。
既に存在する薬に活路を見出だそうとする者もいれば、
人体にとっては有毒な成分が薬になるのではないかと考えた者もいた。
そして、効果を確かめるために数々の臨床試験も行われた。
しかし、特効薬の開発は一向に進まなかった。
“植物病”の大流行が止まらない中、世界保健機構がある発表をした。
―“植物病”の世界的大流行が止まらない。
それを食い止めるためには、特効薬の開発が急務である。
そのために、各国の政府に要請する。
“植物病”の研究にかかる費用をすべて各国政府が負担すること。
これは、人類が生き残るために必要なことである。―
世界保健機構の勧告によって、さらに“植物病”について研究する者が増えた。
世界保健機構の勧告から1ヶ月、ついに“植物病”の特効薬が完成したという論文が発表された。
―植物病の特効薬について―
多くの人々は、悪夢の終わりが見えたと思った。
しかし………
臨床実験を行うも、全く効果が見られない。
研究者たちは、その論文が嘘であると考え、執筆者を問いつめようとした。
しかし、執筆者は行方不明となっていたため、責任を追求することができなかった。
後にわかったことであるが、執筆者の研究室とされていた部屋を開けてみると、そこはオタク部屋であった。
そのあとも、詐欺を行った人々は後を絶えなかった。
その理由は、研究を始める前に政府に申請することで多額の助成金が貰えたからである。
1ヶ月おきに現れる、特効薬が完成したという論文。
そして、論文が嘘であるという知らせ。
人々は、次第に研究者たちを信用できなくなってしまった。
…………………………………………しかし。
ある論文が発表された。
―植物病患者の延命措置の方法について―
それは、“植物病”患者を生きながらえさせる方法を記したものだった。
“植物病”が確認されて以来、治療の限界は変化した部分の半分以上が枯れ始めた時であった。
しかし、植物に変化した部分が枯れ始める前に植物と同じように世話をすることで、完全に植物に変化しても生きながらえることができるようになるのだという。
そこで、“植物病”患者を収容する施設として、植物園が手を挙げた。
人々は、植物の管理方法に詳しい植物園なら、安心して世話を任せられると考えた。
植物園が患者たちを収容・看護することで、植物になっても生き続けることができるようになった。