モンスターハンター ~漆黒の意志~   作:鷹幸

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 タンジアの港を出航した、レオン、ソラ、ナナ。
 彼らが目指す先、アルバ村への到着は目前に迫っていた……





第5話 ただいま、 What is the Lios Valley?

 アルバ村――。

 火山地方の火山峡谷地帯に位置する、人口数百の村である。百年ほどまえにやってきた移民が開拓した村で、鉄工業や武器製作を主な産業としている。時期によっては、風向の影響で火山灰が多く降り積もるため、農業はさほど盛んでない。

 村の後ろには崖のような山がそびえ、三方が高い岩壁で囲まれている。村は、大通りを中心に、石造りやレンガ造りの家が軒を連ねていた。その多くは鍛冶職人や武器職人の家である。

 

「へぇ……、そんな村なんだ」

 

「うん。鉄とか、ほかの金属の精錬技術もかなり高いから、上質な鋼材を求めてやってくる商人なんかもたくさんいるんだ」

 

「じゃあ、わたしも良い武器を作ってもらおうかな~」

 

「でも、高くつくぞ」

 

「えっ。どれくらい?」

 

「昨日の飯が、一年間毎日食べられるくらいじゃないかな」

 

「それなら、ご飯食べるほうを選ぶかなぁ……」

 

「……ホント、最近タイガに似てきてるよな」

 

「食べ盛りなんだよ……、きっと!」

 

「ま、悪いことじゃないとは思うけど」

 

 地面の起伏に合わせて揺れる荷車の上で、ソラとレオンは会話を展開していた。彼らは、アプトノスという草食竜が()く荷車に乗って、アルバ村を目指しているところだ。例によって、手綱を引いているのはアイルーである。

 

「もうすぐ着く?」ソラが訊いた。

 

「あぁ」レオンはうなずく。「十分ちょっとだろう」

 

「……そっか。それにしても、なんだか寒くなってきたね」ソラは、二の腕の辺りをさすった。

 

「そうだな……、けっこう北の方まで来たしな。寒いなら、オレの荷物の中にコートがあるから、それを羽織(はお)ればいい」

 

「でも、あとちょっとだから大丈夫」

 

 荷車は、落葉樹と常緑樹の交じった林を抜けた。遠くに、噴煙を噴き出す黒い火山が見える。天高く舞い上がる灰は、火山上空を覆い尽くしていた。

 ソラは、赤い溶岩が噴き出るような火山を想像していたが、今見えているものはそうではなかった。しかし、山の中腹は仄かに赤く光っている。あそこに、灼熱の地獄が待ち構えているのだろう。

 

 しばらく走って、荷車の震動が収まった。到着したようだ。

 

「ここ?」ソラはレオンをうかがう。

 

「あぁ、そうだ。降りよう」

 

 レオン、ナナ、ソラの順に、荷台から降りて土を踏む。

 

「ホント、久しぶりに帰ってきたなぁ……」

 

「そうね……」

 

 レオンとナナは村の門の前に立ち、しみじみとした表情をにじませている。彼らの視線の先には、聞いていた通りの村があった。

 

「ここが……、レオンの故郷!」二人の横に立つと、ソラは声を弾ませた。

 

「2年くらいじゃ、とくに何も変わらないよなぁ……」

 

 はは、と軽い笑いを飛ばして、レオンは村へ入ろうとする。ナナ、ソラも後に続く。

 石づくりの村の門に、モンスターの頭部らしきものが飾られていたのにソラは気づく。……剥製だろうか。刺々しい黒と赤の鱗が、頭の後ろに向かって生えている。ガラス玉のような蒼い目は、それがまだ生きているかのような錯覚を起こさせるものだった。

 

「ねぇ……、これって、リオレウス……?」

 

「うん。リオレウスだ」

 

 リオレウス。

 別称を【火竜】という、大型の「飛竜種」だ。赤い甲殻に身を包み、大きな翼で、空を舞う。飛竜リオスの雄の個体であり、雌の個体はリオレイアと呼ばれる。

「飛竜種」というのは、モンスターを分類する上での名称の一つ。ほかにも、猫によく似たアイルーは「獣人種」、荷車を牽いていたアプトノスは「草食種」に分けられる。「飛竜種」は、前脚が翼になっており、飛行する能力のあるモンスターを指す(中には、飛行能力がほとんどない種も存在する)。

 そんな飛竜種のリオレウスであるが、その体内には〝火炎袋〟と呼ばれる内臓器官があり、ここで作りだされた炎の塊を吐き出して外敵を攻撃するという特徴を持つ。これが、リオレウスの別名が〝火竜〟たる所以(ゆえん)だ。また、数多の飛竜の中でもとりわけ優れた飛行能力を持つことから〝空の王者〟とも呼ばれ、その高い戦闘力や凶暴性で、ハンターたちに畏怖(いふ)される存在でもある。

 その王者の首が、アルバ村の門には飾られていた。

 

「なんで、こんなの飾ってるの?」ソラが訊く。

 

「うん……、何て言えばいいのかな」レオンは腕を組むんだ。「……そう、ここは『リオス・ヴァレー』に近いからだよ」

 

「……りおす・ばれー?」ソラは首をかしげる。

 

「あぁ。『火竜の谷』とも呼ばれる場所だ。文字通り、火竜――つまり、リオレウスやリオレイアが集ってくる場所なんだ」

 

「そこ、けっこう近いの?」

 

「近いよ」

 

「えっと、それだと……、この村も襲われたりするんじゃ……?」

 

「そう。ご先祖様がここに移住してきた当時は、そんなことがあったらしい。それで、その火竜を退けたのが、そのときの狩人(ハンター)だったんだ。……そして、ハンターは英雄として祭り上げられ、以降、ハンターを称えるために、いろんな行事をしたりリオレウスの首を飾ったりしている……ということ」

 

「そうなんだ……」

 

「ま、村の書物庫に行けば、その当時の資料なんかが残ってるよ。興味があるなら、あとで見に行くか?」

 

「うん。そうする!」

 

「よし。……でも、まずは村長に挨拶に行こうか」

 

 ソラはうなずく。ナナは、口を大きく開けてあくびをした。

 そして、彼らはアルバ村の門をくぐった。

 

 

       *

 

 

 ――彼らが村へ到着して数分後。

 漆黒を身に纏った男が、荷車から降り立った。

 彼は、門の前に立つと、空を仰いで、宙に語り掛ける。

 

「……ただいま、僕の故郷」

 

 

 

 

 




 ついにアルバ村へ到着です。
 ちなみに、村名は煌黒龍(アルバトリオン)の名前とは一切関係ありません。

 そういえば……、CAPCOMから『モンスターハンター ストーリーズ』が発表されていたようですね。
 モンハンがRPGに……。
 レーティングとかどうなるんでしょうねぇ

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