禍の団は今日も平和です   作:宇佐木時麻

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前話は最後を少し足しました。


やはり俺達の面接は間違っている

 三大勢力の和平同盟中に宣戦布告した後。ラスロ達は本拠地としている空中要塞都市『アグレアス』に帰投すると、ラスロは迷うこと無くそのまま黒円卓に突っ伏した。

 

「あー、死ぬ。マジで死ぬ。本気と書いてマジと呼ぶくらい真剣に死にそう」

「そのまま本気で死んでしまえばいいのに、ゴミ虫が」

「レイ、ラスロを治療してやってくれないかな? ラスロの怪我は僕が押し付けてしまったものだしね」

「はい、勿論です主様あああああ!! ……さあ、主様に五体投地で感謝の限りを尽くしなさい。主様が言わなければ貴方などそのまま廊下で放置していたというのに」

「俺の扱い酷くね?」

 

 主であるレオナルドに謂れレイは渋々と言った様子で己が創造した『フェニックスの涙』の改良版を渡すと、ラスロはそれを一息で飲み込んだ。

 瀕死の損傷が体内から癒えていくのが実感できるが、それでも失った体力までは回復できない。ラスロは疲れきった様子で椅子の背凭れに体重を乗せ身体を伸ばしていると、その様子を心配したジークフリートやヘラクレス、ジャンヌが背後から声を掛ける。

 

「どうやら酷く疲れているようだね、ラスロ。どうだい? 僕はマッサージして上げようか。ただここじゃちょっと目立つからあの物陰ででも……大丈夫、初めはちょっと敏感に感じるかもしれないけどスグヨクナルカラ……!」

「寄るな触るな近寄るなぶっ殺すぞ」

「ガハハハ! そうだぞジーク。今ラスロに必要なのは筋肉だ! こういう疲労しきって限界の時だからこそ鍛えれば更なる筋肉が付く! さあラスロ、一緒に更なる境地へ行こうではないか!」

「お前はこれ以上どんな境地に辿り着くつもりだヘラクレス……」

「全く分かってないわねアンタ達。今ラスロに必要なのはMO・Eよ! さあラスロ、私の新作『ラス×レオ ~俺の弟がこんなに可愛いのは当たり前~』を読みなさい! 今ここで読んでその感想を聞かせなさい!」

「というかジャンヌ、お前なに他の派閥までこの腐本配ってんだお前! お陰で変な勘違いされてんだろうが!」

「愛ゆえよ!」

「知・る・か!」

 

 馬鹿騒ぎする同胞達の様子に心底疲れたように溜息が溢れる。だけどそれは同時に何処か笑いが溢れてくる様な温かい雰囲気にさせてくれた。

 自分達は世界に喧嘩を売った。ああ、それは覆せない事実であろうし、何よりそれこそ自分達が望んだ事。だが、それは即ちもう後には引けないスイッチを押したも当然。世界の不倶戴天の敵となった以上、そして自分達が臨んだ以上、この果てに在るのは滅びだけだ。

 それでも―――それでも、その刻その瞬間までは、こうして笑い合えるだろうと信じられる。

 

「それで、本当に良かったのかよ曹操。俺らの宣戦布告はまだの予定だったし、第一『アグレアス』の事はバラすこと無かったんじゃないか?」

「まあ、大した問題にはならないさ。この日が来るまで準備していたのだから。それに、恐らく連中は『アグレアス』が奪われた事にすら気づいてはいないだろう。なあ、ゲオルグ」

「無論、問題ない」

 

 ゲオルグが腕を振るうと、空間が歪みその先の光景は変貌する。その先に写るのは会話に出てきた空中都市『アグレアス』―――レーティングゲームの聖地として知られる観光地は、今もなおその場で動く事無く佇んでいた。

 ―――本物は、こうして空を自在に飛んでいるというのに。

 

「ゲオルクの認識阻害結界にレオナルドの魔獣で創造された魔城、か。確かにこれは正体を知ってる俺達でも初見は騙されそうだわな」

「僕の魔獣達は世界一ィィいいいいいいい!!」

「フッ、私の魔術に不可能はない!」

 

 いったい、誰が信じるだろうか。今もなお観光されているその城が実は『魔獣創造』で生み出された魔城なのだとと。彼らが踏み締める床の一枚一枚に魔獣達が息を潜めているなど楽しそうに観光している彼らのは夢にも思わないだろう。

 

「つーかよぉ、前から思ってたんだが『アグレアス』乗っ取ってどうするつもりなんだ? ……その駒を使って部下を強化するつもりなのか?」

「まさか。むしろその逆さ。―――この駒は、我らの敵に送るつもりさ」

 

 そう告げながら微笑む曹操の手に握られているのは、悪魔の『王』の駒。それを使えば戦闘力を十倍近く引き上げる悪魔達にとって禁忌とされているそれを手元で弄びながら、曹操は語る。

 

「道具は使わなければただの塵だ。ならばこれは欲している者に送ってやろう。戦う意志がある者に、力があればと嘆く者に。ただ奪われるだけの弱者ではなく己の意志で選択する戦士になりたいと言うのであれば俺は心からその者を歓迎しよう」

 

 だがそれは、己の敵を強大かつ増幅させることであり―――

 

「ああ、やっぱりお前は狂ってるよ、曹操」

「当然だろう。英雄など、所詮歴史を糸解してみれば皆狂人だ。普通とは違うからこそ羨望され憎悪され悲惨な最後を告げる。狂っていなければそんなこと貫けないさ。そして、だからこそ―――おまえ達も、狂人(英雄)だ」

 

 ああ、違いないと―――彼らは壊れた(狂った)笑みを浮かべる。曹操に仕えている時点でこの場にいる誰もが狂人(英雄)だ。死に向かって片道ガソリンで嬉々と笑いながら断崖に駆ける死にたがりや共だ。

 ならばその時が来るまで笑い続けよう。その時が来れば笑いながら祝福しよう。

 

 その時こそ―――人間は生きる価値があるのだと信じられるのだから。

 

「ああそうそう。後で英雄派に入りたいと言った者達の面接試験をやるからラスロも来るように」

「…………はい?」

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

『禍の団』英雄派の基地内部。『面接会場』と書かれた看板の前にある部屋で、ラスロは長机に肘を乗せながら両手を顎の前で組んでそれを顎置き場にし、目前のパイプ椅子を眺めながらポツリと呟いた。

 

「……なあ、曹操。一応聞くけどよ、『禍の団』ってテロ組織だよな?」

「そんだが? それがどうかしたのか?」

 

 横に腰掛けている曹操はラスロに視線を向けることもなく手元の書類を眺めている。恐らくその書類に書かれている人物が今回の面接相手なのだろう。

 

「じゃあ何でテロ組織に入隊するのに面接が必要なんだ?」

「む。当然だろう、我らの派閥に入るならば家族当然。それなのにただの有象無象の一人として見るわけにはいかないだろう。それにその者に合った職場を選ぶのは上司として当然だろう」

「え、なにここそんなキッチリしてたの?」

「なんだ、知らなかったのか? ……ああ、そういえば君は実力を買われて初めから幹部入りだったな。本来ならば幹部の下につきそこで下作業を覚え前線に加えられ実力を認められてから幹部になれるんだ……部下に聞かなかったのか?」

「というか部下という言葉を今はじめて聞きましたけど!? え、なに? ひょっとして部下いないの俺だけ? あの大量の書類は本来なら複数で終わらせる物だったのかよ!!」

「まあ基本幹部は部下に任せているのがほとんどだがな」

「ホント幹部駄目なヤツしかいねえ!」

 

 正直幹部だけならば英雄派は既に内部抗争で滅んでいると思う。

 

「ふむ。ならば善い機会だ。ついでに君の部下となる者をこの中から選んでみるか? ……おおっと、時間だ。では先ず一人目、入りたまえ」

「いや、確かに部下は欲しいけど……まともなヤツいんのかよ?」

 

 ラスロの呟きは虚空に消え、曹操の言葉と共に部屋の扉が開かれた。

 現れたのは白髪の神父服を着た少年。改造され尽くしてもはや原型が分からないほど手間が掛けられた神父服を翻し、少年は最初のポイントである挨拶を告げた。

 

「チースッ! 俺っちはフリード・セルゼンと申します。糞悪魔どもをぶっ殺したくて此処に入ればすんげぇ力が手に入るって聞いてやって来ましたァッ!!」

「―――不採用。はい次」

「いやちょっと待てええええええェェ―――!?」

 

 即座に切り捨てようとした曹操の肩を掴み寄せ、フリードと名乗った少年には聞こえないように小声でラスロは話しかける。

 

「(いや、ちょっと待てって。いきなり挨拶で不採用は早過ぎんだろ。せめてもう少し話を聞いてから考えろっての)」

「(いや、なんか離しててイライラするし。あとなんか喋り方ウザいし)」

「(完全に私怨じゃねえか……!)」

 

 気を取り直して面接再開。フリードを席に座らせると、曹操は嫌そうに話す内容を纏めておいた紙から質問を問いかける。

 

「ふむ。じゃあ一つ聞くが、君は『禍の団』をどのような組織だと思った?」

(質問内容アバウト過ぎるだろ)

 

 もはや面接で聞く内容ではない問いに、フリードは考える間もなく即答した。

 

「努力・友情・勝利っスかね?」

「―――採用だ。君にはこれからラスロの元で働いて―――」

「いやちょっとストォォォップゥッ!?」

 

 またもや内緒話開始。

 

「(まだ質問一問目で即採用ってそれじゃあ何も分かんねえだろがおいっ!?)」

「(何を言っている。努力・友情・勝利。その三原則を理解しているものが我々の同士でないはずがないだろう)」

「(いやあれ絶対適当に答えただけだって! 見るからに友情とか信じてないよ絶対! たぶん此処ぞと言う時に『楽しかったぜぇ~、お前との友情ごっこ!』とかゲス顔で言って裏切るタイプだって!)」

「(ラスロ……君は人を見る目がないな)」

「(お前にだけは言われたくねえよ!?)」

 

 ラスロがまだ文句があるという事で面接続行。曹操は威厳善くフリードを見つめると、在る例題を問いた。

 

「もし、君の上司となる人物が君より強かったとする。しかし君はどうしても幹部になりたかった。もしそういう状況だった場合、君ならどうする?」

 

 諦めるか、物で釣るか、それとも―――曹操の出した様々な答えが存在する問に対し、やはりフリードは即答した。

 

「寝込みを襲ってでもぶっ殺して幹部になるっス!!」

「―――採用だ。その素晴らしい向上心、ラスロ、やはり彼は君の下に―――」

「アウトじゃボケェェェええええええ―――ッ!!」

 

 ラスロは怒りに任せて目前の長机を卓袱台返しの要領で吹き飛ばした。曹操はそれを直前で覚り書類を確保し、フリードは飛んできた長机を光剣で一刀両断する。

 ガタンッと二つに裂けた長机が地に落ち、ラスロが荒々しく呼吸を繰り返す中、曹操は不思議そうに首をかしげた。

 

「どうしたラスロ、そんなに慌てて。いったい何が問題だと言うんだ」

「問題ありまくりじゃボケ! 今の発言聞いて何で俺のトコ薦めた!? どう考えても寝込み襲って殺す気まんまんじゃん! ぶっ殺して幹部に成り上がる気まんまんじゃねえか! 俺はそんな身に危険が及ぶ部下欲しくねえよ!?」

「ハッハッハ、それは喩えの話だろう。なあフリード」

「は? ――――ええ、勿論冗談に決まってんじゃねえスっか~」

「おい、今の『は?』はどう聞いてもマジトーンだったぞ。こいつ本気だよ……!」

 

 絶対に俺の部下は嫌だ! とラスロが騒ぐのでフリードはジークフリートの所に所属する事となった。きっとジークフリートとなら仲良くできるだろう。刺しても死なないし。

 決して殺されそうになった嫌がらせではない。

 ……決してジークフリートへの生贄などではない!

 

「初っ端からこんなのが相手なのかよ……」

「ラスロは少し落ち着くべきだな。幹部としての名が泣くぞ?」

「誰のせいでこんなに疲れてると思ってやがる……!」

「さて、次の者、入りたまえ」

 

 曹操の号令と共に扉が開き、入ってくるのは何処か絵本で見るようなフリフリとした可愛らしいスカートをはいた人。まるで魔法少女のような―――

 

「ミルたんにょ。職業は魔法少女だにょ」

「いや絶対職業間違ってるだろおおおおおおォォ―――!?」

 

 ―――そんな可愛らしい服が悲鳴を上げるほどパッツンパッツンにまで伸ばされた服を着た、一人の”(筋肉)”だった。

 

「ふむ、なるほど。ではミルたん、君はどんな魔法が使えるのだね?」

「え、ここで話進めんの? どうみても突っ込みどころ満載どころか突っ込むところしかねえだろ!?」

「じゃあミルたんの魔法力を見せてあげるみょ」

 

 ミルたん(?)と名乗った漢はそう言うと立ち上がり座っていた鉄パイプの椅子を持ち上げた。いったい何をするのかと訝しげっていると、突如ミルたんの筋肉が隆起し膨れ上がり、鉄パイプ椅子を変形し始める。

 ゴキンバキン! と明らかに怪音が鳴り響く中、まるでスクラップに掛けられていくように鉄パイプ椅子は圧縮され縮んでいく。

 音がやみ、ミルたんが笑顔でこちらを向くと、その手の平にはおにぎりのような形にまで圧縮された鉄パイプ椅子の成れの果てが存在した。

 

「パイプ椅子を鉄球に変える魔法にょ」

「いやそれ魔法じゃなくて物理攻撃いいいいいいいィィ―――!?」

 

 ラスロは恥も外聞も捨てて絶叫するが無理もない。しかも手の平に握られた元パイプ椅子の鉄球はどう見ても変化前と変化後では面積が違う。どう見ても筋肉だけでそれを為したなど在り得ない。

 

「―――素晴らしい。そのパイプ椅子をその大きさまで縮めることなど力技では本来不可能。しかし、それを覆すほどの意志。己なら出来ると疑わないその信念の強さ。それこそが君の魔法という訳か」

「落ち着け曹操、おまえは何を言っているんだ。あれが魔法とかそんな世紀末魔法少女がいてたまるか」

「だが……君が魔法少女というのなら、なぜここを所望したのだ? 魔法少女ならば普通『ニルレム』の派閥に入りたいと思うのだが」

 

 ふと曹操が疑問に思った事を尋ねると、同様にミルたんも首をかしげた。その反応は、まるでその存在を知らなかった様子だった。

 

「ここは魔法少女じゃないにょ?」

「ああ、魔法少女……つまり女性の魔法使いだろう? ならば『ニルレム』の方が得策だろう、此処は『英雄派』の派閥だからな。俺としても君のような逸材を逃すのは惜しいが、その道を選ぶのは君だ。君が行きたい派閥に行くといい」

「分かったにょ。ありがとうだにょ」

「フッ、礼を言うほどのことでもない」

 

 ミルたんは御礼を告げると部屋から出て行った。あまりの衝撃的光景に思考停止していたラスロだが、ふと我に帰り曹操の肩を掴んだ。

 

「いや曹操おまえ何教えてんだあああああァァ!!」

「ふむ? 何をといわれても、彼女は魔法少女なのだろう? ならば彼女にとって最も適した職場を紹介するのが上司の役目だろう」

「あれの何処が魔法少女だ!? どう見ても世紀末救世主だろうが! というかもし『ニルレム』に行ってあれが量産されたら『禍の団』潰れるぞマジでッ!?」

「それもまた一興だろう。さて、どうやら次で最後のようだ。入りたまえ」

「そんな一興死んでも御免だ……」

 

 とにかく、次で最後なのだ。ラスロは意識を切り替えると入ってきた人物を見る。

 その人物は黒いゴスロリ服を着ており、幼い体格の膝まで届くような黒髪に何処か透明な黒目でこちらを見ており―――

 

「我、『無限の龍神』オーフィス」

「不採用ォォ――――ッ!!」

 

 即答だった。曹操が何か反応する前にラスロは渾身の勢いで宣言していた。

 その言葉にオーフィスは不思議そうに首をコテンっと傾げる。

 

「……何故?」

「何故もクソもあるかァ! お前は俺らの組織のトップだろうが! なんでそのトップが派閥の部下入りしようとしてんだァァッ!?」

 

 もはやさっきから叫びすぎて喉が痛いが、それでも叫ばずにはいられなかった。

 ラスロの言葉にオーフィスは少し不満そうに頬をふくらませる。

 

「我、玉座に座るの飽きた。それに着せ替えされるのはもう嫌」

「まあ暇なのは仕方ないかもしれないけどさ……って、着せ替え?」

 

 それっていったいどういう事だ、とラスロが訪ねようとした瞬間、

 

「その会談―――ちょっと待ったあああああァァ―――ッッッ!!」

 

 窓が割れ、そこから何者かが侵入してきた。

 

「な、何事ですの――!?」

「ほう、これは……」

「チッ」

 

 三者全く違う反応をする中、侵入者はゆっくりとその姿を顕にする。身体を覆っていたマントを翻し、その下から覗かせた顔は―――

 

「オーフィスたんが『英雄派』に入るなど、喩え神や魔王が認めたとしてもこの私―――『オーフィス燃え燃え隊』No.0000001! この団長が赦さない! オーフィスたんは旧魔王派に入るべきなのだ!」

 

 なんか、物凄く見覚えがある、仮面を付けて顔を隠した旧魔王派、シャルバ・ベルゼブブだつた。

 

「……何してんだシャルバ」

「違う! 私はシャルバなどというイケメンではない!」

 

 あっ、こいつ思いっきりぶん殴りてぇ。などとラスロが思っている中、団長と名乗るシャルバは息を荒げながらオーフィスに近づいていく。

 その光景を第三者から見ると、完全に幼子に近づいていく変態にしか見えなかった。

 

「さあオーフィスたん、一緒に旧魔王派のアジトまで行こうか。お菓子も可愛いお洋服もたくさんあるからね~。きっとこんなところよりオーフィスたんも気にいるよ~」

「―――寄るな変態死ね」

 

 直後、オーフィスの極限の破輝が放たれシャルバを一瞬で飲み込んだ。

 

「ってオーフィス何してんの!? そんな攻撃したらシャルバ死んじまうだろが!?」

「ん、悔しいけど問題ない」

 

 光が消滅した後。そこにはほとんど何も残ってはいなかったが、

 

「グヘヘヘヘ……ありがとうございます!」

 

 なんか、物凄く気持ち悪い笑みを浮かべて涎を垂らしたシャルバがほぼ無傷で地面に倒れビクンビクン! と震えていた。

 

「……うわぁ」

「あれ、何度潰しても蘇ってくる。もう蛇も身体にいれたくない」

「オーフィスたんの蛇が私の中に入ってくる……つまりオーフィスたんと一つになるということ……つまり、エクスタシィィィイイイイイイッ!!」

 

 突如上半身だけを起こして天に向かって叫ぶシャルバを見て、ラスロはだいぶ、いやかなり引いていた。というか普通引いて当然だろう。

 

「だから他の派閥に入ってあれから逃げたい。だめ?」

「いや、俺に聞かれてもなぁ」

「―――いいんじゃないか?」

 

 ふと、今まで話に入って来なかった曹操が突然意見を告げた。何をしていたのか見ると、どうやら壊れた窓を修復していたらしい。

 

「オーフィスもそうやって誰かに仕えればいい経験となるだろう」

「まあ、そうかもしれないけどよォ……」

「まあ、そういうことだ」

 

 曹操は不敵に笑うとラスロの肩をそっと叩いた。

 そして、死刑宣告を繰り出した。

 

「そういうことで、今日からオーフィスが君の部下だな」

「…………は?」

「ん。これから宜しく御主人様(マスター)

「え、いや、おい、ちょっと待って」

 

 突然の宣告にラスロはまともに返事を返せなかった。そして、それを聞いていたのがもう一人。

 

「―――オーフィスたんの、御主人、だと?」

「しゃ、シャルバさん?」

 

 ゆらりと、まるで幽鬼のように立つシャルバ。翼を広げ、溢れ出す魔力は嘗て無いほど高まっている。

 そう、シャルバは今かつてないほど怒りに満ちていた。その様子に思わずラスロは敬語で訪ねつつ脚が後ろに引いてしまう。

 そして―――その怒りが爆発した。

 

「貴様―――オーフィスたんにあんなことやそんなことみたいな羨まけしからん事ををするつもりか小僧ォォォおおおおおお!!」

「誰がするかァァあああああ!!」

 

 ああ―――今日も禍の団は平和です。

 




前回がシリアスパートだったので今回ははっちゃけました(笑)
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