パンツ脱いだら通報された   作:烈火1919

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A's10.お風呂なの

 わたしは駆ける

 

 鳥のように 風のように 背中に羽を広げて目的地に向かう。

 

『まってなのはっ!? 家ならまだしも公共の場で私用の魔法はまずいってばっ!?』

 

 先程、雑務を粛々とこなしていたわたしの元に一通の添付付きメールが届いた。 宛先人はわたしのこいび──ペット、家事をなんでもこなしてくれるペットである。 仕事中だというのにわたしに構ってもらえなくて寂しかったのかペットがメールを送ってきたのだ。 それ自体はまぁよくあることなので、ため息を吐きつつもメールを確認することに。

 

 そこには天使が変なキメポーズを決めていた。

 

 体中に電流が走るというのはこういうことをいうのだろう。 気が付くとわたしは駆けていた。 後ろから追っかけてくるフェイトちゃんもきっとメールを確認した後、あんな雑務なんかどうでもよくなってきたのだろう。 だってわたしがそうなんだから。

 

 高校のときクラス対抗リレーで、『なのはちゃんは出来るだけ短い距離になるように前と後ろに速い人を置いとくね』と言われたこのわたしが、光の速さで家へと帰る。

 

「ただいまッ! ヴィヴィオはッ!? わたしの可愛いヴィヴィオはどこッ!?」

 

「なのはママおかえり~! ほらこれ──」

 

「かわいいッ! ヴィヴィオほんと可愛すぎるッ!!」

 

「うぎゅぅ……なのはママ……くるし……」

 

 勢いを殺すことなく家の中へダイブしたわたし、玄関ではヴィヴィオがお出迎えしてくれていた。 わたしの姿を確認してニコニコ笑顔で話しかけてくるヴィヴィオ、しかしわたしはそれよりも速いタイミングでヴィヴィオをがっしりと抱きしめていた。 ヴィヴィオの鎖骨が折れてしまうのではないかと心配になるほどの力が抱きしめた。

 

 ヴィヴィオが何か言っているが気にしない。 そのままヴィヴィオのほっぺに自分のほっぺをスリスリしながらひたすら愛でる。

 

「あのー……なのはさん? 一応俺もお出迎えしてるんですけど……」

 

「ガークンモ……」

 

「いまヴィヴィオを堪能してるんだから二人は黙っててっ! あ~! ヴィヴィオ可愛いよー、これ聖祥の制服でしょ? それもわたしの制服だね、無くさないように目立たない所に名前書いてるもん、ほら。 あれ? 俊くん何処いくの? え? ご飯の準備してくるの? いってらっしゃーい。 あーでも可愛いよヴィヴィオ。 ヴィヴィオ可愛いよ。 この制服どうしたの? おかあさんがヴィヴィオのために持ってきてくれたの?」

 

「ううん。 パパがヴィヴィオにくれたの!」

 

「変態止まれッ! いやきょろきょろしながら探さなくていいからっ!? キミのことだよキミのこと!」

 

「はぁはぁ……やっとおいついた……。 ちょっとなのは……雑務終わってないのに仕事放棄しちゃダメだって……」

 

「あ、おかえりーフェイト。 早かったね、どうしたの足ガクガクして。 大人のオモチャが取れなくなっちゃったの?」

 

「俊……いまちょっとそんな冗談に付き合って……られないの……。 ごめん、お水をお願い……」

 

「フェイトーっ! 私の可愛いフェイトっ! おかえりなさい!」

 

「ちょっ!? お母さんちょっとまって押し倒さないで……っ!」

 

「ちょっと俊くん、なんで俊くんがわたしの小学生のときの制服もってるのか教えてくれる?」

 

「つい股間がギンッとなって保存した。 いまでも残り香を堪能している」

 

「そんなに小学生のときのわたしがいいのっ!? いまの19歳のわたしの香りじゃ満足できないのっ!」

 

「ツッコミガオカシイ」

 

「どういう意味なのか説明してよっ! もう俊くんがわたしの制服盗んだのには驚かないよ、キモくて家から追い出したくて軽蔑するけど、ブルマのラインを超えてないからまだ絶交はしないで許してあげる」

 

「よかった……スク水はセーフってことか……!」

 

「いや余裕でアウトだよっ!?」

 

「みてみてフェイトママー! ヴィヴィオかわいい?」

 

「ヴィヴィオ絶対に離さないッ! もう絶対に離さないよッ!」

 

「むぎゅっ!? フェイトママくるし──」

 

「フェイトッ!? ヴィヴィオガタイヘンナコトニナッテルッ!?」

 

 なのはが顔を真っ赤にしながら俊に抗議でぽかぽかと力なく殴り、死にそうな様子で帰ってきたフェイトはヴィヴィオをぎゅっ~っと抱きしめる。 リンディはフェイトに抱きついたまま幸せそうな顔を浮かべ、ガーくんはヴィヴィオの様子におろおろと動き回る。

 

 玄関で男女鳥類合計で6人がぎゃーぎゃーと騒ぎ立てる中、一人の女性の手を叩く音でこの場が完全に静止した。

 

「あらあら、いい年した大人が玄関でそんなに騒いじゃダメよー。 はーいヴィヴィオちゃんおいでー。 ガーくんも。 なのはははやてちゃんに電話ね、心配したはやてちゃんが連絡してきたわよ。 フェイトちゃんはリンディさんのためにちょっとだけそこで寛いでおいてもらえるかしら? お水は私が持ってくるわね。 俊ちゃんは集合」

 

「お、おかあさんっ!? どうして此処にいるのっ!?」

 

「あれ? なのはが呼んだんじゃ──」

 

 

「はーい、なのはもお口はチャック、手はお膝。 はいいい娘ねー。 でもチャックははやてちゃんに連絡してからにしましょうね」

 

「素直に正座してお口チャックの仕草までするなのは可愛いなぁー、萌え萌えきゅんきゅんしちゃう」

 

「俊ちゃんはちょっとこっちにいらっしゃい」

「……はい」

 

 2階へといざなわれる俊。 ごめんなさいという言葉と嗚咽だけが木霊する。

 

『…………ッ!?』

 

 ヴィヴィオを除く全員が泣き目になっていたのは言うまでもない。

 

『なのはちゃん? 一体どうしたん?』

 

「おかあさんがわたし並みに魔法を使いこなしていたら世界が滅んでたかもしれないよはやてちゃん……」

 

『何があったんっ!? どんな残虐な行為が行われてるんっ!?』

 

 電話口からやての焦りを伴った声が聞こえてくる。

 

「でも心配しないで、きっと死なないから。 あ、ちょっとまって。 いまフェイトちゃんにお水渡してくる」

 

 正座から足を崩し、キッチンへと向かうなのは。 その後ろにヴィヴィオがくっ付いてくる。 なのははコップの8割を水で満たしつつ、ヴィヴィオにフェイトへ渡すようにお願いした。 ヴィヴィオはこくんと大きく頷くとフェイトに水を渡しに走る。

 

 なのはもフェイトの元へと歩を進めながら、はやてと会話する。

 

『あー……ヴィヴィオちゃんの制服姿なぁ。 それならなのはちゃんが飛び出した理由もわからないでもないかも』

 

「でしょでしょ?」

 

『う~ん……まぁしゃあない。 今回の件は見逃したる。 でも雑務は持ってくるからキッチリ終わらせるんやで?』

 

「うへぇ……。 わかりました……」

 

『ほな、こっちもそろそろ終わりそうやから、もう少ししたらそっちに行くで』

 

「はーい。 まってるねー」

 

 通話終了ボタンを押し、携帯をポケットにしまいこむ。 いまだ2階からは俊のごめんなさいと嗚咽が聞こえてくるが完全スルーすることにした。

「フェイトちゃん、夕食前にお風呂入らない? 洗いっこしようよ」

 

 水を飲みほしたコップを横にどけ、制服姿で浮かれてるヴィヴィオに笑顔を向けていたフェイトに、なのははそう提案した。 ちなみにフェイトの後ろにはリンディが背後霊のように存在していた。 その頭の上にはガーくんが乗っていた。

 

 フェイトはなのはの提案に、いいよと笑顔で答えた。 浮かれていたヴィヴィオも一緒に入りたいと言いだし、二人はそれを笑顔で快諾。

 

「あっ! でもヴィヴィオはせいふくぬがないといけないのかぁー……」

 

「んー? また着替えればいいんじゃないかな? 寝るときにパジャマに着替えるんなら問題ないよ? でも、ご飯のときはエプロンつけなきゃダメだよ?」

 

「おぉ~! なのはママあたまいい!」

 

「ふっふっふー、だってママはヴィヴィオのママだからねっ!」

 

 ドヤ顔するなのはにヴィヴィオはてばなしで拍手を送る。

 

 ひとしきり拍手した後、なのはとフェイトとヴィヴィオはそれぞれの着替えと遊び道具を持ってくることに。 その際になのははリビングで一人アニメを観ていた人物に声をかけた。

 

「ヴィータちゃんも一緒にはいる?」

 

「くそっ……! なのはに声をかけられた、これであたしのゆったりとした時間も終わりを迎えてしまったッ……!」

 

「いやそれどういう意味っ!?」

 

 どうやらヴィータは極力関わらないように努めていたようだ。

 

 

 

       ☆

 

 かぽーん、風呂場の中でそんな音が聞こえてくる。

 

 現在風呂場にいる者は、なのはとフェイトとヴィヴィオとガーくん、そしてヴィヴィオに無理矢理入らされたヴィータであった。 リンディも入りたいと駄々をこねた

ようだが、フェイトに断られてしまった。

 

 そんなフェイトはというとヴィヴィオを膝に抱っこして湯船の中で温まっていた。 なのははヴィータの髪を洗っている最中、ガーくんは浴槽でぱしゃぱしゃと泳いでいた。

 

「フェイトママのおっぱいはおおきいねー。 ぽにょんぽにょんしてる」

 

「えーほんと? ありがとー」

 

 抱っこされたヴィヴィオはフェイトの大きな胸を触りながら揉みながら、感心したような声を上げる。 フェイトは娘に触られるのに抵抗がないようで、ヴィヴィオの気の済むようにさせていた。

 

「どうしたらフェイトママみたいにおっぱいがおおきくなるのかなぁ?」

 

「んー、そのうち大きくなるよ、大人になったらね。 ヴィヴィオはまだ子どもだからね」

 

「そっかぁー。 あしたにはヴィヴィオはおとなになってるかな?」

 

「それはちょっと無理かなー。 でもどうしてそんなに早く大人になりたいの? 子どもっていいよ?」

 

「そうだよーヴィヴィオ。 なんでも子ども料金だし、ちょっと泣けば許してもらえるし、小さい女の子ってそれだけで得だよー。 ね、ヴィータちゃん?」

 

「なんであたしに振るんだよ」

 

「だってほらヴィータちゃんはエターナルロリ娘だし。 あ、お湯流すから目をつぶってー」

 

「読みたい本が高い場所にあるときはロリを呪いたくなるけどな。 それになのはだって精神年齢はロリ一直線だろ」

 

 シャワーのノズルを引っ張り、まずなのはがちゃんとお湯が出てるかを手に当てながら確かめる。 お湯が出てるのを確認すると、ヴィータの頭の泡を流しながらもう片方の手で髪を梳いていく。

 

 視線だけヴィヴィオに向けたなのはが質問する。

 

「でもなんでいきなりヴィヴィオはそんなこと言いだすの? 子ども嫌になっちゃった?」

 

「ううん。 パパのもってるえほんにおっぱいのおおきいおねえさんがのってたの!」

 

「「ほう……」」

 

 二人の瞳から光が消える。

 

 いままで泳いでいたガーくんが音もなく水中に沈む。

 

「ねぇヴィヴィオ? パパは持ってたその絵本について詳しく教えてくれるかな?」

 

「ふぇ? いいよー! でもなのはママちょっとこわい……」

 

「ううん、大丈夫そんなことないよ。 ね? フェイトちゃん?」

 

「そうそうそんなことないよ」

 

 安心させるようにフェイトがヴィヴィオの頭を撫でる。 ヴィヴィオは笑顔でそれを受け取る。

 

「えっとねー、パパはねえほんをほんがたくさんあるばしょのおくにおいてたよ。 それでねー、こうね? かみをふたつにしてるえほんがたくさんあった!」

 

「成程成程、ツインテールの絵本が沢山あったんだね」

 

「うわぁー……マジかよあいつ。 19歳でツインテールしてる魔法少女が家にいるっていうチャレンジーだな。 引くわぁー……」

 

「それでね? はやておねえちゃんぐらいのかみのひともいたよ!」

 

「「ほうほう……」」

 

「それでね? みんなはだかになってた! でもね、ヴィヴィオがえほんよんでたらパパがきてダメー! ってされちゃった……。 でもパパもてにおなじようなえほんもってた。 それでねそれでね? パパがヴィヴィオがおとなになったらあのえほんみせてくれるっていったのっ!」

 

 だからはやくおとなになりたいんだぁー、ヴィヴィオはその言葉で締めくくった。

 

 ヴィータは一人、二人の覇気によって気絶したガーくんを引き上げた。 そして今度はヴィヴィオを手招きで呼び、風呂椅子に座らせると体を洗い始めた。 それにならってヴィヴィオはガーくんの体を洗いはじめる。

 

「あわあわあわ~、あわわわわ~」

 

「ご機嫌だなヴィヴィオ」

 

「うん! ヴィータちゃんとあわあわごっこできるからね! でもなのはママとフェイトママとも──」

 

「あー、そっちは見るな、いま見たらヴィヴィオは一生二人に抱きつくことが出来なくなるからな」

 

「お?」

 

 首を傾げるヴィヴィオ、しかしヴィータに見たらダメだと言われたので素直にその言葉を聞きいれたようだ。 既にガーくんの体を洗うことに専念している。 気絶しているガーくんに対して起きるように体を揺らしながら声をかけている。

 

 そんなヴィヴィオの頭を一撫でしてヴィータはちらりと湯船の方に目を向ける。

 

「ねぇフェイトちゃん……爪を一枚一枚剥がしていくのはどうかな……?」

 

「それいいと思う。 それとニッパーで舌を5mmずつ引っ張っていくのもアリだね……」

 

「(あ、今日がひょっとこの命日か)」

 

 一瞬で悟ったヴィータ。 なんせ二人の後ろでは互いの死神がガッチリと握手を交わしていたのだから。

 

 なおもパパをどう調理するかが話し合う二人。 もうすでにその会話は娘に聞かせていい内容とは到底呼べなかった。

 

 ヴィータはヴィヴィオの体の泡を流しながらため息まじりに二人に話しかける。

 

「お前たちがもっとかまってあげないからエロ本なんかに走るんだよ」

 

「なっ!? そ、そんなことないよ! かまってあげてるもんっ!」

 

「んじゃ二人の魅力がエロ本に負けたんじゃねえの? 可哀想に……」

 

「そ、そんなことないよ! 少なくとも私は魅力たっぷりだと思う! なのはよりスタイルいいし!」

 

「ひ、ひどいよフェイトちゃんっ!? わたしよりおっぱいが大きいだけじゃん! それ以外なら負けてないもん!」

 

「いいや! 絶対に迫ったら私にメロメロになるよ! だって俊は私を押し倒したもん! 私がじゃないよ、俊が私を押し倒したの!」

 

「わ、わたしだって何回も押し倒されたよ! それはもう獣のようにっ!」

 

「嘘でしょ?」

 

「ごめんなさい」

 

 素直に頭を下げるなのは。

 

 そんななのはにフェイトは頭を撫でることで答えた。

 

「ま、あいつは童貞だからもう少しわかりやすくアタックとかすればいいんじゃねぇの?」

 

「わかりやすくってどれくらい?」

 

「はやてぐらい」

 

「あんなことしたら心臓バクバクしちゃうから無理だよ、わたし」

 

「小学生かお前は」

 

 言動だけは負けず劣らずなのになぁ。 声にこそ出さないがなのはに対してそう評価するヴィータ。

 

「はやてみたいかぁ……。 ちょっと頑張ってみようかな」

 

「えぇっ!? フェイトちゃんあんなことできるの!? あんなこう……えっちなこと!」

 

「ま、まぁ私達も大人だしね」

 

「さ、流石大人だねぇ~フェイトちゃん」

 

「なのははそういうのはないの?」

 

「い、いや考えたことはあるよ? シミュレーションもやったし、アプローチも散々してきたもん。 でも、でもだよ? いざ本当に俊くんとそういうことをするとなると……」

 

 途端にもじもじしだすとなのは。 一人が顔を覆ったり、へにゃった顔になったりと大忙し。

 

「あー……ある意味では健全な付き合いになりそうではあるな」

 

「私が男だったら絶対になのはと結婚してると思う。 可愛すぎて死にそう」

 

 真剣な表情と声でヴィータに声をかけるフェイト。

 

 

 わからんでもない。 そう口にしたヴィータはヴィヴィオの手を握った浴室を後にしようとする。

 

「おたくらは……聞くまでもないか」

 

 なのはをしっかりと抱きしめたフェイトを見てヴィータはそう呟いた。

 

「あれー? なのはママとフェイトママはー?」

 

「ママ二人はもうちょっと入っているそうだ」

 

「じゃぁヴィヴィオもはいるー!」

 

「ダメだ。 さっきからシャワーで遊んでばっかりだっただろ。 ほら、体拭くから大人しくしてろ」

 

 ぶーぶーと抗議するヴィヴィオ、しかしヴィータが体を拭きはじめてからは大人しくするヴィヴィオであった。

 

『フェイトちゃん、おっぱい触らせてー? なにかが掴めるかもしれない』

 

『胸のふくらみしか掴めないと思うけどいいよ。 その代わり──』

 

『きゃっ!? もう、もうそんなとこダメだって……! んっ……!? ら、らめらめ……』

 

「ガーくんは真っ先にこちらに走ってきてる童貞を止めといてくれ。 もうすぐヴィヴィオの着替えも終わるから」

 

「ハーイ」

 

『くっ!? おのれガーくんそこをどけ! 理想郷がもうすぐなんだッ!』

 

『カナシムミライシカソンザイシテイナイ。 ゲンジツヲタタキツラレルダケダ』

 

『それでも……! 拝みたい世界があるんだッー!』

 

『セントクリョクガハネアガッテイルダトッ……!?』

 

「相変わらずこの家族は毎日楽しそうだな」

 

「たのしいよぉー! ヴィヴィオすきー!」

 

 自分の目の前で嬉しそうにはしゃぐヴィヴィオを見て、ヴィータも呆れながらも笑顔を見せた。

 

「ひょっとこさんッ! なのはさんの下着をくれるということで加勢しに来ました!」

 

「よし嬢ちゃん、特攻野郎Hチームの力を見せるぞ!」

 

「ひょっとこさんと同等とか死んだほうがマシなので抜けていいですか?」

 

「5秒でチーム解散か! それもまたいいだろう!」

 

「あいつら協調性ってもんを知らんのか」

 

「こまったちゃんだねー」

 

 そんな言葉どこで覚えたんだー? ゴメスちゃんがいってた! そんな会話を二人でしながら後を去ったヴィータとヴィヴィオであった。

 

                ☆

 

 ヴィータとヴィヴィオがリビングに戻ると既に六課メンバーとスカリエッティ家族が集まっていた。 全員でトランプをやっていたようだ。

 

「ハートを止めてるのは誰なんでしょうか?」

 

「何故一斉に私のほうをみるのだ。 私はハートの8など──」

 

『ドクターお願い、だ し て ?』

 

「喜んでッ! むひょおおおおおおおおおおおッ! もっと、もっといまの言葉を!」

 

 妹たちの甘えた声に興奮するスカリエッティにため息を吐くウーノ。

 

 ヴィヴィオはヴィータの手を離しスカリエッティの元に一直線に飛び込んだ。

 

「わーい! スカさんだー!」

 

「おぉヴィヴィオ君っ! 久しぶりだね会いたかったよ! 管理局の開発部というのは全く面白くもなんともなくてね。 この間だってビームサーベルを作ったから局員に配らせるように提案したら却下されたよ。 どう思うヴィヴィオ君? とりあえず試作品をひょっとこ君には渡したんだけど──」

 

「おい一番渡しちゃダメな奴に渡すなよっ!?」

 

「でもひょっとこ君からは、『おっさんに白刃取りされた。 スカさんもっとすごいの作って』とお願いされてね。 いま頑張ってる最中なのさ」

 

「スカさんたいへんだねぇ~」

 

 よく分かっていないヴィヴィオの感想。 だがスカリエッティはそれで満足したのか優しく頭を撫でるだけに止めた。

 

「ヴィータ、先程から気になっているのだが……なぜヴィヴィオは聖祥の制服を着ている? ひょっとこのコスプレ魂がまた発動したのか?」

 

「あぁいや、そうじゃなくてヴィヴィオが聖祥に通うからそれの試着」

 

「ほぉ……。 ヴィヴィオがあの魔窟に通うとはな……」

 

「私てっきりヴィヴィオちゃんはSt.ヒルデ魔法学院とかその辺に通うと思っていましたが……成程あの魔窟に通うんですか」

 

「仮にも自分たちの主の母校を魔窟呼ばわりするのはやめろよ二人とも」

 

 魔窟であることには変わりないがな。 ひょっとこが連れてきた狐まだ生きてるかな?

 

「ヴィヴィオ、もっとよく見せてー!」

 

「いいよー! ほら! くるくる~くるくる~」

 

 スカリエッティの娘たちにお願いされたヴィヴィオは、スカリエッティから離れ皆の中心でくるくると回って見せた。 全員が一様に優しい笑みを浮かべるそんな光景が広がる。

 

『もー、フェイトちゃん激しすぎるってばー』

 

『でもなのはも可愛かったよ?』

 

『もう上がったの!? なんで上がっちゃうのッ!? もっと入浴しといてよ!?』

 

『なのはさんの裸体! なのはさん抱きしめてッ!!』

 

『ぎゃぁああああああッ!? 変態が編隊を組んで襲ってきたッ!?』

 

『この動き……ランページ・ゴーストッ!?』

 

 一部見せられない光景も広がっていた。

 

 




キョウスケがエクセレン助けるところ大好きです。

なのはのヴィヴィオへの愛が止まらない

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