パンツ脱いだら通報された   作:烈火1919

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A's23.球技大会 ─終─

 クラス写真を撮り後片付けも終わって一時帰宅。 皆で時間を合わせて19:00に翠屋へ向かったわけだが、そこで待っていたのはパンパンと大きな音をたてながら吹き荒れるクラッカーの嵐だった。

 

『球技大会優勝おめでとうー!』

 

 手に持ったクラッカーを投げ捨て、桃子さんと士郎さん、恭也さんに美由紀さんが俺となのはに抱きついてくる。 柔らかく、それでいて温かい優しさがなのはと俺を包み込んでくれた。 みると、フェイトには愛情200%のリンディさん、そしてクロノにエイミィさん&ルドルフ。 アリサにはメイド長と執事長、そしてなにより今回のために会合の日程をズラしてまで翠屋で出迎えてくれた両親が可愛い娘にハグとキスをしていた。 すずかも大好きな姉と両親に抱きつかれながら幸せそうな笑顔を浮かべていた。 はやてには家族でヴォルケンメンバーと石田先生、そしてこの日のために遥々英国からやってきたグレアムさんとリーゼ姉妹が笑顔で迎えていた。

 

「さ、みんなぁ! 今日は貸切よ! いっぱい食べて球技大会の疲れを癒してね!」

 

『はーい!』

 

 小学生のように手をあげて席につく。 俺の両隣にはなのはとフェイト。 アリサやすずかは自分の両親の隣に腰を落ち着かせる。 はやては……ロヴィータちゃんとシグシグとロッテリア達が誰がはやての隣に座るかで揉めていた。 ……グレアムさん、貴方は手を挙げないほうがいいと思います。 最悪退場させられる恐れがありますので。

 

「あーもーわかったわかった。 それなら、リーゼ姉妹が猫になってわたしの膝の上に座って、両隣にシグナムとヴィータがすわりー。 それでまるく収まる結果になるか──」

 

「嫌だ! あたしだってはやての膝の上がいい!」

 

 ロヴィータちゃん完全に身体と精神年齢が一緒になってるよ。 ロリババアなのに。

 

「はーい、みんなーご飯ができたわよぉー。 たーくさん食べてねー!」

 

 桃子さんとリンディさんがから揚げやグラタン、ポテトサラダにおにぎりサンドウィッチにエビフライ、魚のムニエルにピザを大皿に並べてもってくる。 一目で分かる。 これ全部手作りだ……。

 

 料理と桃子さんとの間を視線で何回も何回移動させていたからか、ふと桃子さんの方を見たときには目と目が合った。 というか合わせられた。 桃子さんはニッコリと微笑んで、そのまま俺を抱きしめる。

 

「みんながんばったからもんね。 子どもの頑張りと笑顔は親にとっては最高の喜びよ。 それに、一生懸命頑張ったあなた達に食べてほしいの。 他人が作って運んでくれた料理じゃなく、親が子どものためだけに作った愛情たっぷりの手料理を」

 

「……はい。 いただきます」

 

 自然と笑顔が零れてくる。 あぁ……この人達が自分の成長期を見守っていてくれた本当によかった。 はにかみながらそう思った。

 

 隣でパスタを食べているなのはにも桃子さんは抱きつく。

 

「なのはぎゅーっ! なのはも頑張ったもんねー! 担任の先生から電話があったのよ! 『なのはちゃん物凄く凄かったです! 天使かとおもいました!』って! 天使な

んてそんなの当たり前なのに!」

 

 桃子さんテンションたけー……。

 

「お、おかあさんくるしぃっ!? パスタが! パスタが咽喉に絡みつく!?」

 

 ……うん、桃子さんの相手はなのはにしてもらおう。 あれ女子高生特有のテンションだよな。 前に桃子さんが女子高生の制服着てるとこ見ちゃったし俺。

 

「隣いいか? 俊君?」

 

「あ、士郎さん。 どうぞどうぞ」

 

 いつの間にかなのはは桃子さんにお持ち帰りされていた。 なんか奥から俺を呼ぶ声が聞こえてくるけど怖いから無視だ。

 

「今日はよく頑張ったな。 生活指導の田中先生が電話してきたぞ。 『お宅の息子さんはとてもよくまっすぐに育っております。 境遇にも負けず、前を向いて一生懸命歩いています。 高町さん、本当にありがとうございました』ってね。 あはは、参ったよほんと。 私もあの時はうるっときちゃってな。 あはは、きっと一があの電話に出ていたら肯定しながら親バカっぷりを発揮するはずだ」

 

 そっか……ゴリってば余計なことをしやがって……。

 

「ほんと……これだから教師ってのは嫌いなんですよ……」

 

「あぁ、本当にな」

 

 抱きしめられた士郎さんの胸の中で静かに漏らす。 きっとこの目から落ちる滴は、士郎さんの服に吸収されてすぐにわからなくなるだろう。 それに、皆それぞれの相手に忙しいし。

 

「……士郎さん、俺とっても幸せ者なんですね」

 

「あぁ……そうだね」

 

「もし、俺に子どもが出来たら……子どもにもこの感情を知ってもらいたいと思っています」

 

 自分は一人じゃない。

 

 もし、自分に子どもが出来たなら世界中の誰よりも幸せにしよう。 そう思った。

 

「キミなら出来るよ。 なんせ一達の息子で、私達の息子なんだからな」

 

 そう言った士郎さんの顔は、とても穏やかであった。

 

          ☆

 

 フェイトが酔ったリンディさんに鬼絡みされている。 なんか女の人生説いてるし、チャラ男にだまされるなとか言ってるし、当たり前のように俺の悪口言ってるんだけど。

 

 リンディさんのツンデレっぷりに若干の怖さを感じながら、忍さんが焼いてくれたピザを取り皿に分けようとした手前で、後ろから声をかけられた。

 

「俊! 遅くなってごめん、ちょっと服を決めてたらこんな時間になっちゃってさ」

 

「おうユーノか! 服なんて適当に──結婚してください」

 

 振り向いたら美少女が頬を上気させて肩ではぁはぁと息をしながらこちらを向いていた。

 

「へっ!? い、いやちょっとまってまだ早いよ! まだみんないるし心の準備が──」

 

 顔が熟れたトマトのようになりわたわたとするユーノ。 いやぁ、なかなか乙なもので──ん?

 

「ユーノ。 なんか今日はいつにもまして女装に気合が入ってんのな。 化粧も若干してる?」

 

「う、うん。 今日は俊が頑張った日だから僕も頑張ろうと思って……」

 

 そっかそっか。 だからこんなに可愛いのか。 胸の位置に届くほど伸ばしてる髪は、二つ結びのツーサイドアップに結ばれており、両方に可愛いリボンが巻かれてい

る。 服は水玉が飛ばしてある白地のシャツに淡い緑色のカーディガンを羽織り、下はフレアミニスカに黒のオーバーニーソ。 唇には桜色の口紅を塗っているのが確でできる。 正直これはヤりたい。 そしてそう思ってしまった自分が死にたい。

 

 俺はユーノの肩をがっしりと掴む。 びくりと体を震わせ、目をとろんとさせるユーノ。 おいまて、なんで目を閉じる。 おいアリサ! なんで携帯で写メを撮る!? まてなのはにフェイト!? セットアップはダメだって! こいつユーノだから!? 完全に男だから!

 

 なんか一瞬にして包囲網が出来てしまったが、いまはそんなことはどうでもいい。 まず目を瞑っているこいつを起こそう。 デコにデコピンをかます。 あぅ……と言いながら目を開けるユーノ。

 

「ユーノ、一度しか言わないからよく聞けよ?」

 

「う、うん……」

 

「俺の中の理性と男女の垣根が壊れるから少し押さえてくれ。 お前は素材がいいから女装するとそこらの女よりよっぽど可愛いんだから」

 

 ぼっと顔を真っ赤にするユーノ。 ただただこくんと首を小さく縦に動かした。

 

 …………神様はどこまで俺の邪魔をするんだろうか?

 

 ユーノから2歩下がってあらためてユーノをマジマジと見ながらそう考える。

 

「いや、見方を変えればこれもありっちゃありなのか?」

 

 高校生の性欲では理性とか常識とか倫理とかが消えていきそうだから困る。

 

 そんな俺にストップをかけてくれたのはなのはだった。 ただし冷徹な眼差しをこちらに向けながらだが。

 

「俊くん、ちょっとなのはと一緒にご飯食べようか? ほら、なのはが取ってあげるから何が食べたいか言って?」

 

 肩が壊れるほど強い握力で椅子に座らせられ、有無を言わさず取り皿で取ったご飯を差し出すなのは。 ……死にたくないから従おう。

 

 既に関係は幼馴染では死刑囚とギロチンになっていた。

 

「俊くんさぁ、今日はフェイトちゃんやはやてちゃんにとっても優しかったよね?」

 

「え? そうかなぁ……。 べつに普段通りだったと思うけど?」

 

 別に普段からフェイトやはやてとは仲良いし、あれくらい毎日のことだと思うんだけど……。

 

「……お膝にのせるのが?」

 

「い、いやそれは──」

 

「お姫様抱っこするのが?」

 

「だ、だからそれは──」

 

「……なのはもしてほしかったのに」

 

 そっぽを向きながら、横にいる俺以外には聞こえない声で、なのはは小さく呟いた。

 

 ……なんなんだこの可愛い生き物は……ッ!

 

 ツインテールにした髪を指に絡ませ弄りながらこちらをちらちらと伺うなのは。 本人はバレてないつもりだと思うけど、こっちからしたらその仕草がまた萌えを誘

う。

 

「あー、その……ごめんななのは?」

 

「ゆるさないもん。 でも……明日俊くんが遊びに連れていってくれるなら考えてあげてもいいかな……?」

 

 ……つまりこの萌えとデートする権利をいま与えられたということですね?

 

「ちょっ!? いま俊くんデートだと思ったでしょ!? ち、ちがうからね! これはそういうんじゃないから!」

 

「え!? デートじゃないの!? なにその思わせぶり!? それじゃなんなの、明日の遊びはなんなの!?」

 

「えっと……えーっと……犬の散歩?」

 

「なるほど、納得できる」

 

 犬は股の臭いを嗅いだり舐めたりするからな。 つまりそういうことか。

 

「んじゃぁ明日はどこ行く? 遊園地? 映画? ショッピング?」

 

「うーん……違うところがいいな」

 

「動物園?」

 

「それうちのクラス」

 

 そういえばそうだった。 学校に行けば珍獣がクラスにわんさかいるんだった。

 

 しかし、いま明日といったよな?

 

「明日って学校だけど──」

 

「サボろう」

 

『なのはー、学校サボったらお仕置きよー』

 

「((((;゚Д゚)))) 俊くんやっぱり明日はなしにしよう……」

 

 ……うん、桃子さんのお仕置き怖いよな。 あれは人間がしていい行為を遥かに超えている。

 

「まぁ明日ってのはなしにしても、遊びに行くのは行くんだろ? どこか行きたい場所でもあんの?」

 

 そう聞くと、なのはは目をパチパチとさせ次いで深い深いため息を吐いた。 悪戯好きの子猫を叱るような、いやこれやっぱバカをみる目だ。

 

「……俊くんはこれだからモテないんだよね」

 

「な、なんだよいきなり……」

 

「MVPは何のために取ったの?」

 

 M……V……P……? あ──

 

「そうだった!? すっかり忘れていた、夢の国だよ夢の国!」

 

「そうそう! それだよそれ!」

 

 た、確かポケットの奥に曲げずに──あった! ほっと一安心しつつ、なのはのほうを見る。 なのははニコニコと笑顔を浮かべながら両手をばんざいのように広げて

きた。 うん、とりあえず何やってるのか分からないけど、渡すものは渡してしまおう。

 

 席を立ち、なんかいちゃいちゃしながら食べさせ合いっこをしている桃子さんと士郎さんの前に立つ。 二人とも行為を中断してこちらを見ながら首を傾げている。 そこに、MVPとして校長先生からもらったホテルなしのちゃんとしたチケットをプレゼントする。

 

「あの、これ。 夢の国のペアチケットなんですけど、よかったら二人で羽を伸ばしてきてください。 えっと……育ててくれたお礼というかなんというか……」

 

 あぁー! どうしてこう恥ずかしんだろう! それにいま渡さなくてもよかったんじゃないかな!? 差し出してから気づく不甲斐なさ。 そして振り向けばぽかんと口を開けてるなのはとフェイトとはやて。 いるよな、蚊とかが飛んでくると口を開けながら迎撃するタイプの人。

 

「あら、ありがとう俊ちゃん。 そうねぇ……折角だし明日は臨時休業にして遊びに行っちゃいますか?」

 

「そうだなぁ、折角俊がくれたんだから行ってみるか」

 

「4人目が出来るかもしれませんし」

 

「いや、流石にそれは……年だしお互い……」

 

 夫婦の仲がいいのはいいことだ。 俺もお二人のような関係をなのはやフェイト達と築いていけたらと思う。 まぁ──

 

『……』

 

 それよりもいまはあの三人に弁解というか土下座をしないといけないわけなんだけどさ。

 

            ☆

 

 カランとグラスに圧倒的な存在感で鎮座していた氷が溶けて音をたてる。 中身は三ツ矢サイダー。 しゅわしゅわと泡を弾けさせるサイダーを見ながらのんびりサン

ドウィッチを食べていると横にろりっ娘ロリロリのロヴィータちゃんが座ってきた。

 

「おぉロヴィータちゃん! どうしたの?」

 

「お前がぼっちで寂しそうだったからな。 あと食べたかったから揚げとサンドウィッチをお前が独り占めしてたから」

 

 まぁ確かに皆それぞれ楽しそうにしてるもんな。 なのははいつもの姦し娘たちと。 親は親同士だし、ユーノはクロノと仕事の話してるし。 ロッテリア猫は食事に夢中だし。

 

「まぁいいんでない? 楽しそうだし」

 

「こういう席だと分かるよな。 親密度ってか友達具合が。 いつも話してるけどこういう席だと全く話さない友達とかいるし」

 

「あーそれ高校でもあるわ。 すんごい浅いんだよな、関係が」

 

「つまりいまのお前だよ」

 

「でもロヴィータちゃんは来てくれたじゃん。 つまりロヴィータちゃんと俺は深い仲ってことか?」

 

「食べたい食べ物の場所にお前がいただけだよ。 つまりお前は食事にたかる蝿ってことだな」

 

 どうしてこいつはこう人の心を殺しにかかるような行為を平然とすることが出来るんだろうか。

 

 でもまぁ──つまようじでから揚げを刺して小さな口に放り込みながらロヴィータちゃんは不敵に笑って見せた。

 

「お疲れさん、決勝は痺れる試合だったぜ」

 

 ……ったくこのろりっ娘は。

 

 思わず抱きしめる。 つまようじで眼球を刺されかける。

 

「そういえばなんで決勝のこと知ってんの?」

 

「んー? ザフィーラの散歩がてら皆で観に行ったからな」

 

 成程。 ザフィーラの散歩か。 幼女と大きな犬のコンビか。

 

「幼女はなにをオプションにしても輝くからいいよな」

 

「幼女は正義だしな」

 

 コップにサイダーを注ぎあおるロヴィータちゃん。 こんなに可愛いのに、いつも男よりかっこいいことをするんだろうな。 このロリ娘は。

 

 しばし二人とも無言でサイダーを煽り食事を摂る。 たまにロヴィータちゃんが俺に取り皿を差し出して、目であれを取って来いと命令するのでそれに従う。 無言だけど心地よい空間。 うん、喋るだけが友達じゃないんだよな。 こうやって、喋らなくても居心地の良い空間を互いに共有し、提供できる友達ってのも大事だよな。

 

『えっ!? お小遣いこんなにもらってええの!? うわぁー!』

 

 ふとはやての気色のいい声が聞こえてきたので、ロヴィータちゃんと二人でそちらのほうに視線を向けると、グレアムさんがニコニコとした笑顔ではやてに小切手を渡していた。 ……お小遣いで小切手か。 というか──

 

「グレアムさんがはやてにお小遣いあげると、どう考えても女子高生にお小遣いという名のお金を使って援交──」

 

「ひょっとこ、あのおっさんに殺されたくなかったら喋らないほうがいいぞ。 お前ただでさえ嫌われてるんだからな」

 

 そういえばそうだった。 エロ本ぶちまけたから嫌われてるんだった。

 

「はやての場合、親代わりとなってくれているおっさんの許可を貰うのが大変だよなぁ……」

 

「んー? なんの許可が必要なんだ?」

 

「いや、こっちの話。 それよりひょっとこ、そこのピザ取ってきてくれよ」

 

「はいよー」

 

 ピーマンと薄切りハムをふんだんに使ったピザを一切れロヴィータちゃんに渡す。 ロヴィータちゃんはサンキューといいながらかぶりつく。 その姿はまるで幼女すぎて死ぬほどかわいかった。 ロヴィータちゃん、ほんとかわいいんだよなぁ……。 つまり幼女とちゅっちゅしたい。

 

「……お前ちょっとキモイぞ。 顔が」

 

「えっ? イケメンになにいってるの?」

 

「心配すんな。 自分で思ってるほどイケメンじゃないから。 お前あれだろ? 部屋の鏡みて自分のことをカッコイイと錯覚しちゃうバカだろ」

 

「い、いやそこまでは──」

 

「これだから淋病男はキモいんだよな」

 

「ちょっとまてそれ言ったのだれだ」

 

 顔面を潰れたトマトに変えてやる。

 

「シグナムだけど?」

 

 まぁうちのクラスの田中は『世界大戦末期の状態をよく表現してる顔だよね』って言われてたし、淋病くらいなら甘んじて受け入れようかな? べ、別にシグシグには逆立ちしても勝てないからって理由じゃないからな!?

 

 ロヴィータちゃんは、ははーんと言いながら口角を釣り上げて聞いてくる。

 

「お前シグナムには──」

 

「なのはにゃんが俊ひゅんにダイブなのー!」

 

「うわっぷ!?」

 

 ロヴィータちゃんが何か言いかけて、背後から俺に飛びついてきたなのはに巻き込まれる形で倒される。

 

 ちょ、おいなのはいまロヴィータちゃんとお話中──ってなんか顔赤いし目が怪しくない?

 

 俺のカンは実にあたるもので、挙動がおかしいなのはは俺のことを認識するとすぐに両手で首を鷲掴みに自分の胸に抱き寄せた。

 

「ひゅんくんはなのはのものー! ずーっとなのはのものだもんねー! えひゃひゃひゃひゃ!」

 

 ……こ、怖い。 なんつーか酔ったリンディさんに鬼絡みされているときの既視感を感じる。

 

 先程なのはに巻き込まれたロヴィータちゃんが起き上がりなのはに抗議しようとしたが、なのはのあまりの変貌っぷりを近場でみて思わず桃子さんに問う。

 

「あの……おたくの娘さんはどうしたんですか?」

 

「お水を焼酎と言い聞かせながら飲ましてたらこんなことに……」

 

 なのはの方に振り向き唖然とするロヴィータちゃん。 その間にもなのはの絡みは続く。

 

「ひゅんくんはー なのはのことすきー? それともきらいー?」

 

「いま言わないとダメ……?」

 

「もっちろーん!」

 

「えっと……だ、だいすきだよ」

 

「そうだよねー! きゅうりはやさいじゃなくてすいぶんだよねー!」

 

「あれ!? いまそんな会話一言もしてなかったよね!?」

 

 え!? さっきの告白はなかったことになったの!? 俺の告白よりきゅうりが野菜か水分かどうかのことが大事だったの!?

 

 その後もなのはの鬼絡みは続いた。 一向に噛み合わない会話をしつつ、それでも楽しく夜を過ごす。 途中からフェイトやはやて、悪乗りでアリサやはやてにヴォルケンまで参加してきたもんだから収拾がつかなくなっていった。

 

 意味のわからない言葉の羅列、いきなり始まるもろきゅー談義、何故か床に捨てられていた俺のパンツ。 ユーノ、さりげなくポケットにいれるのは止めて。 日付を跨いでもいまだ明かりがともされ、姦しい声が聞こえてくる翠屋。 夜の宴はまだまだ続きそうだ。

 

 きっと、この場にいる全員が明日は寝坊するんだろうな。 なんてことを考えながら呂律の回らないなのはを介抱するのであった。

 




ちなみに私は球技大会バレーボールでした。

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