パンツ脱いだら通報された   作:烈火1919

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76.ヴィヴィオの冒険

 こんにちはヴィヴィオです! きょうはパパとなのはママとフェイトママがなのはママのおみせでなかよくおしごとしています。 あさにちょこっといったらパパがためいきをつきながらたんたんめん? というたべものをつくってました。 おきゃくさんもうれしそうでよかったです。 なのはママはかわいいえがおでおきゃくさんとしゃべっていて、フェイトママはケーキをつくっていました。 ちなみにヴィヴィオにアメさんをくれたひとでした。

 

「あれヴィヴィオちゃん。 一人でお出かけ? ひょっとこさんは?」

 

「ガーくんいるからだいじょうぶ! あのね? パパとなのはママとフェイトママがいっしょうけんめいおしごとしてるから、ガーくんといっしょにかいがらとりにいってくるの!」

 

「へー、ヴィヴィオちゃんはえらいね。 私もいこうか?」

 

「スバルンはきちゃダメ! ヴィヴィオがとるもん! パパやなのはママやフェイトママにもいっちゃダメだよ?」

 

「わかったわかった。 けど気を付けてね? それと、暗くなる前に帰ってこないとダメだよ? ひょっとこさんが発狂するから」

 

「はーい! ガーくんいこ!」

 

「イッテキマース!」

 

 なのはママのおうちのげんかんでスバルンにてをふって、ガーくんといっしょにかいがらがとれそうなところにいくことにしよう。

ももこさんからもらったすいとうをかけながら、ガーくんとおててをつないであるくことにしました。

            ☆

 うーん……やっぱり誰かに報告してたほうがいいよね。

それにしても、ヴィヴィオちゃんは可愛いなー。 ひょっとこさんやなのはさんやフェイトさんのために貝殻を取りに行くなんて。 まぁ、ちょっと危ないような気もするけどガーくんいるし、海鳴の人達って優しい人が多いし大丈夫だよね? なのはさん曰く『ガーくんめちゃくちゃ強いから安全面は確保されてるかな』らしいし。

 

 でも──

 

「やっぱり連絡はいれておこう。 ようはひょっとこさんとなのはさんとフェイトさんに私から連絡しなければいい話だし」

 

 携帯からヴィータさんの電話番号を選択しかける。

 

 数秒待ったのち、ヴィータさんの声が電子機械を通して聞こえてきた。

 

「あ、ヴィータさん? いま大丈夫ですか?」

 

『まあ、大丈夫っちゃ大丈夫だけど。 どうした? 暇なら手伝え』

 

「いや、いまからなのはさんのベット行くんで暇じゃないです。 って、まあそんなことは些細なことなのでどうでもいいんですが」

 

『いやどうでもよくないだろ。 いまとんでもない変態を見つけてしまったぞ』

 

「ひょっとこさんのことですが」

『あいつは形容し難い変態だから』

 

 どんな変態なんだろう。 ちょっと興味がわく。

 

『で? 要件は?』

 

「あ、そうでした。 いまヴィヴィオちゃんがガーくんと一緒に出掛けたので、一応報告しておこうと思って」

 

『一緒にはついていかなかったのか?』

 

「家族サービスをしたいそうです」

 

『ああ、成程な。 んじゃまあ、あたしからひょっとこにそれとなく報告しておくよ』

 

「お願いしますね。 それじゃ」

 電話を切って、なのはさんの部屋に行くために玄関を開ける。

 

 ぐへへへへ……なのはタン……待っててね……。

 

        ☆

 

「はッ! この気配!? 誰かがわたしの部屋に入ろうとしている!」

 

「はいはい、わかったから仕事をしろ。 いつまでお客と談笑してんだ」

 

 急激な悪寒と寒気を感じ、高速で家の方角を振り向くと、そこには幼馴染兼ペットの俊くんが溜息を混じらせながらサンドウィッチをもって立っていた。 ……そういえば、そのサンドウィッチわたしが持っていくんだった。 すっかり忘れてた。

 

「大変お待たせいたしました。 こちらハムとタマゴのサンドウィッチとレタス・トマト、そしてカリカリのベーコンを挟んだフレッシュサンドにございます。 お飲物のおかわりはいかがでしょうか? よろしいですか? はい、かしこまりました。 それでは、ごゆっくりとおくつろぎください」

 

 俊くんは笑顔を見せながらお客さんに一礼して、そのまま帰るかと思いきやわたしの腕を掴んで外へと連れ出す。

 

 まだまだ暑いこの季節、あまり汗でベタベタするのは嫌なんだけど……。 汗臭いと、そばによることができないし……。

 

 ペシっ

 

「あいたっ!?」

 

 おでこに痛みが走る。 思わず手を額にもっていき擦っていると、目の前で俊くんが溜息を吐いていた。

 

「なのは、仕事しような」

「俊くんがそのワードを口にしちゃいけないような気がするんだ。 『お前がいうな』 みたいなこと絶対言われると思うよ」

 

「翠屋なら話は別だ。 翠屋では真剣に仕事をするよ、俺は」

 

「そういって昨日、発狂したあげく警察に捕まってわたしに引き取られることになった男は誰だっけ?」

 

「クロノの悪口はよせ」

 

「キミの悪口だよっ! なに平気な顔で此処にいないクロノくんに罪を擦り付けようとしてるの!?」

 

「いいか、なのは。 後ろを振り向くのは死ぬときだけだ」

 

「誤魔化すな!」

 

 お返しに ぺちん と俊くんのおでこを叩く。 俊くんは「あいたっ」 という声をあげて打たれたおでこをさする。

 

「まったく、局員が市民に暴力を振るうとは……。 この暴力局員!」

 

「俊くん住民票ないよ? ペットのところで登録してあるし」

 

「え」

 

 思わず俊くんが固まる。 いやまぁ……流石にいまのは冗談だけどさ。

 

「俊くん、冗談だよ」

 

「そ、そんなこと知ってるし!」

 

 ごめん、涙目で言われても説得力はないんだけど……。

 

 しかしまぁ……それにしても、確かに今日の俊くんは頑張ってるよね。 忙しなく働いてくれてるし。 けど……どうしてこんなに頑張って働いてるんだろう? いつもの俊くんならサボってお客と遊んだり、ゲームしにいったりするのに。

 

「ねぇ俊くん? 今日は頑張ってるよね。 いつもならサボるのに。 どうしてそんなに頑張ってるの?」

 

「桃子さんや士郎さんの味と腕を少しでも早く盗みたいから。 そうすれば、いつでもなのはに翠屋の味を食べさせることができるし、フェイトの笑顔もみれる。 それに──ヴィヴィオに知ってほしいんだ。 俺やなのはやフェイトやはやて、皆が子どもの頃、そして中学時代に高校時代、翠屋のケーキを食べて過ごしたことを。 そして──俺たちが好きなケーキを、ヴィヴィオにも好きになってほしい。 小さい夢だよ、四人で卓を囲みながらヴィヴィオに子どもの頃の話を聞かせるんだ。 そしたらさ、やっぱり翠屋のケーキって必要じゃん?」

 

 だからこうやって頑張って働いて、桃子さんや士郎さんの腕を間近でみて、盗みたいんだ。

 

 そう照れながら俊くんはいった。

 

 自慢じゃないけど、わたしのお母さんはその道では有名な人で、その腕前も“超”一流である。 そして誤解しないでほしいけど、俊くんの腕前もお母さんには敵わないながらも一流の腕前はもっている。

 

 けどどうやら俊くんはそれじゃ満足しないらしい。 いや、満足できないらしい。 その道のプロであるお母さんに勝つ気でいるみたいだ。

 

「それにさ、もしなのはが万が一管理局を止めて、翠屋を経営することになったとき、俺が厨房担当だろ?」

 

「それは当たり前だよ」

 

「けどまぁきっと俺だけじゃなくティア辺りはついてくるぜ。 あいつはなのは教の狂信者だからな」

 

「なにそれ怖い」

 

 ティアも怖いけど、いつの間にかできてる私の宗教が一番怖い。

 

「それとも迷惑だったかな? 俺が一緒にいると」

 

 そう聞いてくる俊くん。 どこか不安そうだ。

 

 ……まったく、捨てられた子犬みたいな表情しちゃって。

 

「迷惑じゃないよ。 けど、期待しちゃうよ?」

 

 二人でのお店経営

 

「ああ、任せてくれ。 桃子さんや士郎さんの腕すら超えてみせるさ」

 

 そういって俊くんは笑いながら、お店の中へ入ろうとする。

 

 ──と、そこにヴィータちゃんが物凄く気まずそうな顔で立っていた。

 

「あれ、ロヴィータ。 どうした?」

 

「いや……その……。 ちょっと考えてみたんだけど、どうにも誤解を招いてしまう言い方になると結論が出てしまってさ……。 こう……言いづらいというか、なんというか」

 

「あん? どういうことだよ?」

 

 俊くんの質問に、ヴィータちゃんは頭を掻きながら要領の得ない呻き声を発するだけ。 ヴィータちゃんはゾンビにでもなりたいのかな?

 

 そう思っていると、ヴィータちゃんが俊くんに向かって意を決したように声を発した。

 

「あー、ひょっとこ。 えーっと……、お前の子どものことなんだけどな、ちょっと問題が起こって……、いや、問題はまだ起きてないんだけど。 けど、きっと問題が起こる予感がするから先にお前には言っておこうと思ったんだ。 なのはと一緒にいるなら丁度いい。 これはストレートにいったほうがちゃんと伝わると──、ってなにしてんだ?」

 

 ヴィータちゃんが必死に何か言葉を喋っていたような気もするけど、既にわたしにはそんなこと関係なかった。

 

 俊くんの胸倉を掴みあげ、右手で持ち上げ宙に浮かす。 そして左手には魔力弾を作りながら俊くんに質問をしていく。

 

「俊くん、どういうことかな?」

 

「まってくれ、これは誰かが俺を陥れるために作った罠だ!?」

 

「既に最底辺にいるキミを陥れようなんて酔狂な人はいないよ。 それにしても俊くん。 俊くんってロリコンだよね。 あー、成程。 だからわたしのときは手を出さないんだね。 死ねロリコン。 ねぇ俊くん。 わたしね、俊くんのこと好きでも嫌いでもないけど、そういったところは嫌いだよ。 だって年端もいかない少女に欲情するなんて人として終わってるよね」

 

「あの……なのはさん……? というか、俺のこと好きでも嫌いでもなかったんだ。 これずっとお友達フラグのままで終わるよね……」

 

「わたしもね、俊くんとはずっと一緒にいたいよ。 でも、俊くんがロリコンだと捕まっちゃう可能性だってあるじゃん? だからね、ずっと前から考えていたことがあるの。 でもそれは流石に可哀相だと思って止めてたんだけど……もうそういう気持ちは一切捨てるよ」

 

「いやっそういう気持ちは大事だと思うよ! 人の気持ちを考えることができるってすごく大切なことだと思うしさ!?」

 

 喚く俊くんを下におろして、バインドで足を固定する。

 

 そしてわたしは懐から万が一に備えて買ってきた手錠を俊くんの右手にかける。 そしてもう一つのほうをわたしの左手にかけた。

 

 そして笑顔で俊くんに言う。

 

「大丈夫! わたしが俊くんのロリコン体質を直してあげるね!」

 

 まったく……、ほんと俊くんのお世話は大変なんだから。

 

         ☆

 

 タッタッタッタ……

 

「ねぇガーくん、おもくない?」

 

「ヘイキ! ヴィヴィオカルイヨ!」

 

 ヴィヴィオが上から見下げるように質問したら、ガーくんは下から見上げるようにして答える。

 

 俊がなのはの調教を受けている現在、ヴィヴィオとガーくんは砂浜に足を踏み入れてかいがら集めに精を出していた。

 

「うーん……、なのはママとフェイトママのかいがらはみつかったけど、パパのかいがらはみつかんないねー」

 

「ネー。 アッチニイッテミル?」

 

 ヴィヴィオを上に乗せていたガーくんが、羽で彼方のほうを指さす。

 

「うーん、そうしよっか。 まだじかんもあるしだいじょうぶだよね?」

 

「ダイジョウブ! ガークンガイル!」

 

 ヴィヴィオの問いにガーくんは力強く答えた。

 

 そして二人は協議の結果、とりあえずこの砂浜の終着点まで足を進めることとなった。

 

「ガーくん、こうちゃのむ?」

 

「マダイイ。 ヴィヴィオハ?」

 

「ううん、ヴィヴィオもだいじょうぶ」

 

 二人ともお互いのことを気遣いながら足を進める。

 

「ねえガーくん、あれはなんていうの?」

 

「エーット、トウダイカナ?」

 

「へー、とうだいかー」

 

 ヴィヴィオが指さした方向には、灯台がひっそりとただずんでいた。

 

「ねえねえ、いってみようよ!」

 

「ワカッタ!」

 

 ヴィヴィオが上からガーくんの頭を軽く叩き、ガーくんはそれに応えるように進路を変えて灯台のほうへと走っていく。

 

 灯台にはガーくんの最速の足ですぐについた。

 

 ガーくんから降りるヴィヴィオ。 そして周囲を見回して一言。

 

「なにもないね」

 

「ネー」

 

 ヴィヴィオの言葉に頷くガーくん。

 

「キュウケイスル?」

 

「うーん、きゅうけいする。 ヴィヴィオちょっとだけのどがかわいた」

 

 えへへと笑いながら座り、かけていた水筒を膝に乗せる。 ガーくんはヴィヴィオの隣に待機するように、一緒に座り込む。

 

 ヴィヴィオは両手で水筒の蓋を回し、自分の力では取れなかったのでガーくんに渡す。 ガーくんは器用に羽を動かして蓋を開けると、そのまま紅茶を蓋にそそぎヴィヴィオに渡す。 笑顔で受け取るヴィヴィオ。

 

 ヴィヴィオの手にも伝わる、ひんやりとした感触。

 

 その感触を楽しみつつ、ヴィヴィオは蓋を傾けて紅茶を飲む。

 

「わー、おいしい! ガーくんものむ?」

 

「ノムー!」

 

 そのままガーくんに蓋を渡すヴィヴィオ。 ガーくんはその蓋を受け取り、ごくごくと飲み干す。 どうやら、ガーくんはやっぱりのどが渇いていたようだ。

 

「おいしいね、ガーくん」

 

「オイシイネ!」

 

 ヴィヴィオとガーくんが二人で笑いあってると、突如後ろから声がかかってきた。

 

「こんな所に一人でいると、悪くて怖い狼に傷物にされちゃうぜ。 とくに可愛い女の子ならな」

 

 声をかけられたヴィヴィオは振り向く。

 

「久しぶりですね、オリヴィエ・ゼーゲブレヒト嬢。 またえらくロリな容姿になっちゃって。 既婚者じゃなければ襲ってるところでしたよ。 ……ん? いや、なんか違うな。 微妙にオリヴィエ嬢と違うぞ」

 

 ヴィヴィオが振り向き目にした光景は、黒のコートに身を包み、シルクハットをかぶった男性がしきりにうんうんと頷いている様であった。




この頃のガーくんはまだ下級戦士

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