自由への戦火~The Liberation of World sea~ 作:ずぅみん
12月22日、ゴールドライン海軍基地司令部管制塔
前回の演習完全勝利の報酬が本日、基地に納品されてきた。納品リストを確認しながらどんどん海軍整備科の人々が納品された機器を備え付けていくのをアルロスは見て回っていた。
その様子を、邪魔にならないところで高みの見物をしている千歳。視線を感じたのかアルロスがそれに気付き、千歳を見た。
「おぉ千歳、いたのか」
「えぇ。あまりにも暇なので様子を見に来てました」
「そうか…。すごいだろ、全部最新鋭だぞ!」
そう言ってアルロスは納品リストを千歳に渡してきた。受け取った千歳はずらっと書き出された設備名称を一通り見てみた。レーダーから工廠のクレーン、食堂の設備まで全部新しいものだ。アルロスによると密かに連合州国海軍トップの神城局長、通称『神城姉さん』に基地の設備アップグレードについて相談したところ、全て手配してくれたのだとか…。書き出されたものを見ていくと気になる文字列を発見した。
「F-15E(ガルーダ隊仕様)…これは?」
「あぁ、それは同盟国のエメリア空軍から送ってもらったものだ。AceCombat6好きだろ?」
「えぇ、まぁ好きですが…」
「F-15Eは隣の航空基地格納庫に入れてある。好きな時に使ってくれ。戦闘機は乗れるだろ?」
「一応乗れますけど…なんで戦闘機まで…」
「ん~…神城姉さんの計らいだ」
もう神城姉さんが何者なのか分からなくなってきた…。他国から兵器を簡単に持ってくるなんて、周囲に絶大な影響力を及ぼすとんでもない人物なのだと千歳は悟った。せっかく愛機を見れるなら、ちょっと見て来ようかな…。
「ちょっと格納庫行ってきます」
「おう、気をつけて」
ゴールドライン海軍航空基地格納庫
滑走路脇に位置する格納庫に千歳はやってきた。そういえばこの基地に来てから一度もこっち側には来てなかったな…。千歳はそう思いながら航空機を整備する人々を見ながらとぼとぼ歩いていると、見覚えのある機体を見つけた。尾翼に大きく描かれたGMの文字とガルーダ隊のエンブレム、それに機首に描かれたエメリア共和国の空軍章、それは紛れもなく千歳の愛機だった。
「すげぇ…本物だし…」
自分の愛機をまじまじと見ていると奥に同じ塗装の機体がもう1機あるのに気が付いた。不思議に思った千歳は歩み寄ってみた。
「…なんで2機あるんだ?」
周囲を見回してみたがガルーダ隊の塗装が施された機体はこの2機しかない。千歳は2機目の機体の周りを1周歩いてみた。するとインテークから人が出てきて千歳と目が合った。その時千歳の頭が記憶の中から顔の照合を始め、合致した主の名前を弾き出した。
「…マーカス?」
「あれ?千歳か?」
彼はマリネア連合州国がエメリア共和国救援の為に千歳を隊長として結成されたエメリア共和国空軍東部防空軍第8航空団第28飛行隊通称『ガルーダ隊』の二番機『シャムロック』として戦場を飛び回り、エメリア共和国を勝利へと導いた戦友である。エメリア・エストバキア戦争が終戦して千歳がマリネア連合州国に帰った後もたびたび連絡を取り合っていた。
「なんでこんなとこにいるんだ?ってかインテークの中入って何やってた!?」
「お前の機体を運ぶ際の護衛としてやってきた。インテークの中で何って…昼寝だけど」
「昼寝!?」
相変わらずすごいことをさらっというマーカスだ。もし寝てる間にエンジン回されたら…と思うとぞっとして自分だったらできないな、という感想を心の奥にそっと閉まった。
「インテークの中で寝るのはいいもんだぞ~。あ、千歳、もしかしてお前の機体1機だけだと思ってるだろ?」
「まぁそうだな」
「ところがね~これ以外にも持ってきたんだな~」
「は!?何を持ってきたし!」
「それは、あそこへ行けば分かる」
そう言いながらマーカスは地下格納庫へ繋がる階段を指差した。
「あそこに入るってことは相当な数だぞ?」
「まぁ、来いよ」
マーカスに案内されるがまま、千歳は付いていった。
地下格納庫
階段を下り終えると、そこにはいろんな戦闘機が並べられていた。その多さに千歳はただ驚くしかなかった。
「すごいだろ?全部お前が乗ってた機体だ」
「エメリア・エストバキア戦争からインフィニティ時代の機体まで!どうして…?」
「実は千歳が去った後もグレースメリア基地の格納庫に埃かぶったままずっと放置されてたんだ。せっかくのいい機体なのにもったいないだろ?だからといって新米の訓練機にするとクセがありすぎる。ちょうど機体の処分で頭抱えてた時にマリネア連合州国海軍から引き取りの要請が来たって訳さ」
マーカスの説明を聞きながら千歳は各機体を見て回っていた。散りゆく桜が描かれたF-14桜吹雪隊仕様や、アイマスの星井美希がでっかく描かれたSu-33星井美希仕様など、全て特殊なペイントが施された機体ばかりだ。
「これどうやって運んで来たの…?」
「輸送船による海上輸送は海賊の心配もあるし時間もかかる。だから飛んできたんだ」
「誰が!?」
「あいつらさ」
マーカスが示した方向へ千歳は振り返った。すると複数人の男たちがこちらに歩いてきていた。そして集団の先頭にいた人物が話しかけてきた。
「よぉ千歳、久しぶりだな!」
「おぉ、フレディ!お前らが運んできてくれたのか!!」
「そうだぜ、ひたすら空中給油をしながらな」
彼、フレディ・デュランはエメリア共和国海軍第2空母航空団第2攻撃飛行隊の隊長『アヴァランチ』としてガルーダ隊と一緒に戦場を飛び回り、ガルーダ隊の支援をしてくれた。作戦に対して何かしら愚痴をこぼしながらも結局協力的になる、いい奴なのだ。
「なんだよ、みんな来てるなら一声かけてくれれば良かったのに!」
「いや、艦隊の編成で千歳が忙しかったみたいでよぉ。こっち来てからでいいかと思ってな」
「ちょっとそれは冷たくないか~?」
久々に再開した面々と楽しそうに話をしていると、その空気を切り裂くかのように緊急警報が鳴り響いた。
≪防空警報!防空警報!ゴールドマリン州一帯に隕石落下予測、至急迎撃せよ。全機スクランブル発進!≫
「この隕石め…」
そういいながら千歳は無数の火球が光尾を残しながら落下してくる隕石群を睨んだ。するとマーカスがパイロット用のヘッドギアを差し出してきた。
「これはガルーダ隊が復活するしかないんじゃないか?」
マーカスの言葉を聞き、ヘッドギアを受け取った千歳は自分の愛機を眺めながら答えた。
「そうだな…。久々に一暴れと行こうか!」
自分の愛機F-15Eに颯爽と乗り込んだ千歳はエンジンを始動させ、メーターチェックを行った。マーカスやグレースメリア基地の人々手厚く整備してくれてたお陰で各計器に動作不良などは見られない。そして無線バンドをゴールドライン海軍基地管制塔に合わせると同基地の総司令でもあるアルロスへ連絡した。
≪あぁ、千歳か。どこ行ったかと思ったよ≫
「アルロスさん、すみません。俺、隕石迎撃に行きます。あの憎い隕石を自分の手で落としたいんです!」
≪わかった、くれぐれも気を付けるんだぞ≫
「了解です」
アルロスとの会話を終えると、心を落ち着かせて自分が離陸する番を待った。そしてしばらくすると管制官から滑走路侵入許可が下りた。地上の誘導員の指示に従い、機体を滑走路まで走らせていく。そしてついに滑走路のスタートの位置についた。
≪ガルーダ1、機体の動作チェックを行ってくれ≫
「了解」
まずは機体をコントロールする操縦桿の動作チェックから。
「主翼…オーケー、尾翼…オーケー、ヨー…オーケー」
この機体を購入してからずいぶん経つのに相変わらず新品同様に動く。それこそ長い期間乗ってなかったのにまだ現役を思わせる軽やかさだ。続いて千歳はアクセルと電装系のチェックに入った。
「スロットル…オーケー、FOX1、FOX2、オーケー。メーター異常なし。HUD、無線通信、感度良好。離陸用意よし」
≪ガルーダ1、ガルーダ2、離陸を許可する。≫
離陸許可が下りた瞬間、横に並んでいる2番機シャムロックと目を合わせた。するとシャムロックは「こっちも大丈夫だ」という感じで手を挙げて返事した。それに軽く頷いた千歳は離陸を開始した。
「了解、ガルーダ1、テイクオフ!」
スロットルを目一杯まで開き、アフターバーナーを全開にした。だんだんと加速し、揚力が増していく。そしてついにタイヤが地面から離れ、ふわっと宙に浮く感覚を感じた。そこから千歳は操縦桿を手前に引き、機首を上に上げてどんどん上昇を始めた。するとあっという間に高度500mにまで達した。
≪ガルーダ隊、高度制限を解除。貴機の幸運を祈る。≫
その言葉を残し、管制官は通信を切った。そして千歳はまだ出ていたタイヤを格納し、巡航姿勢にした。すると後ろから続いて離陸したシャムロックがやってきた。
「やっぱり空を飛ぶのは気持ちいいな。」
≪そうだな。千歳…いや、タリズマン。俺が方向音痴なの知ってるだろ?≫
「あぁ、覚えてる。迷わないようにしっかり付いて来いよ」
≪助かるよ≫
短い会話を終えた二人は機体を左に旋回させて針路を変え、隕石落下が予測されている作戦空域へと向かった。
ちょっと2日遅くなりましたが投稿します
エスコン6のメンツが出てきたのでプレイしてる方々はゲームのキャラと当てはめてみると面白いかもしれません