自由への戦火~The Liberation of World sea~ 作:ずぅみん
12月22日、マリネア連合州国ゴールドマリン州上空
突然落下してきた隕石を迎撃するためスクランブル発進したガルーダ隊とアヴァランチ隊。作戦空域を目指す彼らに誰かから無線が入った。
≪ガルーダ隊、アヴァランチ隊、聞こえるか?≫
「音声、感度良好。もしかしてこの声は…!」
≪相変わらず察するのが早いなタリズマン。こちら空中管制機ゴーストアイだ≫
≪ゴーストアイ!久々だな!まさかまた会えるなんて!!≫
シャムロックがゴーストアイに再会の言葉を話していると、ゴーストアイが「それどころではない」と制した。
≪あぁ、シャムロック。ゆっくり話したいがそれは隕石を落としてからだ。各機に詳細目標を通達する≫
ゴーストアイが各機のレーダーに落下中の隕石のデータを送信した。千歳もデータを受信し、表示された隕石群を見た。
「ゴーストアイ、隕石群は全部で2つか?」
≪大きく分けて2つだ、タリズマン。第1目標群A、第2目標群Bと振り分けた。それぞれ数が違うから気をつけろ≫
「了解!あっという間に片付けよう」
≪了解!≫
≪各機、かかれ!≫
「ガルーダ隊、目標群Aの迎撃に移る」
巡航モードから迎撃モードに切り替わった千歳は早速隕石を撃破した。千歳の手によって放たれたミサイルが隕石に命中し、粉々になった。
「ガルーダ1、A-1撃破」
≪ガルーダ2、A-2、A-3撃破≫
「やるじゃないかシャムロック」
≪本職は空軍だからな≫
「こんのやろぉ!」
マーカスの言葉でスイッチが入った千歳は通常ミサイルと特殊兵装、機銃を使い分け、残りの目標群Aを1人で全て落としてしまった。
≪…そんなにムキになるなよ、ガルーダ隊隊長≫
「さ、次だ。目標群Bに行くぞ」
編隊飛行を開始したガルーダ隊は、アヴァランチ隊が既に迎撃を始めている目標群Bへ向かった。だが、そんなガルーダ隊に邪魔をする奴が現れた。突然コックピットに響き渡る警告音。千歳はすぐに計器を確認した。するとミサイルアラートが点滅し、レーダーには2本のミサイルが迫ってきていた。
≪ガルーダ1、ミサイル!≫
「了解!ブレイク!!」
とっさに操縦桿を思いっきり引き、緊急回避した千歳は見事ミサイルをかわした。しかしどこから撃たれたのか全く分からない。
「ガルーダ1よりアヴァランチ、近くに敵がいるぞ。気をつけて迎撃してくれ。必要であれば援護に回る」
≪ガルーダ隊が援護とは心強いねぇ~。アヴァランチ、了解!≫
≪ガルーダ2よりゴーストアイ。タリズマンがミサイルを撃たれた!敵はどこにいる!≫
≪こちらでは補足していない。補足したらすぐに通達する。それまで気をつけて残りの隕石群を迎撃してくれ≫
ゴーストアイも補足できてないということは欧州国家連合の新型ステルス機か?千歳はそう思いながら探し続けていた。マリネア連合州国は依然として欧州国家連合の包囲が続いている状態だ。もしマリネア近海に欧州国家連合所属の空母が来ていれば、そこから発艦して邪魔することも可能だ。
「それにしても、何の為に…なぜ俺たちを邪魔する必要がある?隕石は奴らにとって関係ないだろ…」
そう呟きながら空で唯一隠れられる場所、雲の中に入り込んで敵性航空機を探した。すると雲の切れ間にシャムロックでもアヴァランチ隊でもない尾翼が一瞬見えた。すかさず後を追うと欧州国家連合のエンブレムがペイントされた機体を発見した。千歳はすぐに無線でその存在を通達した。
「ガルーダリーダーより全機へ、敵性航空機を発見した。ゴーストアイ補足できるか?」
≪いや、補足できない。新型ステルス機のようだな。必要ならば撃墜して構わない≫
「了解した」
ゴーストアイへ報告と確認を終えた千歳は無線をオープンバンドに切り替え、敵性航空機に警告を試みた。
「貴機に告ぐ。この空域はマリネア連合州国の領空だ。貴機は領空侵犯している。すぐに引き返せ、さもなくば撃墜する」
しばらくしても応答が無かったため、二度目の警告をしようとしたときに突然急速旋回して機銃を乱射してきた。そして鳴りはじめるミサイルアラート…相手は落とす気満々のようだ。
「くそ!そっちがその気なら落としてやるよ!シャムロック、あいつを落とすぞ!」
≪了解!≫
こうしてガルーダ隊VS欧州国家連合新型ステルス戦闘機とのドッグファイトが始まった。このタイミングでおっぱじめて来たということは恐らく空母の位置を知られたくなかったのと、新型機の性能の小手調べといったところだろうか。千歳は敵の後ろにぴったり張り付きながら情報収集を始めた。単発エンジンを搭載し、操縦桿の方向によって噴射方向が変わる偏向ノズルを採用。加速はやや劣るものの、旋回性能が極限まで上げられているようだ。せっかくロックオンしてミサイルを撃っても簡単にかわされてしまう。
「…チッ!少しは大人しくしてろってんだ!」
放たれたミサイルをかわし、千歳を振り切ろうと変態軌道を描く敵機に愚痴をこぼした。すると敵機が急に減速し、視界から姿を消した。「どこに行った!?」と自機の周囲を見回しているうちにミサイルアラートが鳴った。
≪タリズマン!後ろに回り込まれたぞ!!≫
シャムロックに言われて後ろを振り向くと迫りくる2本にミサイルが見えた。
「なるほど、攻守逆転って訳ね~。だからって舐められちゃ困るな」
ミサイルをローリングで簡単にかわした千歳は機首を急上昇させ敵機がフルスロットルで追って来るのを確認すると、今度は急減速し失速、降下しながら宙返りし、エンジンをフルパワーにして失速状態から脱出。再び敵機の後ろに付いた。しかしこれから追い始めるという時にアヴァランチから無線が入った。
≪こちらアヴァランチ、ガルーダ隊、聞こえるか?≫
「こちらガルーダリーダー、どうした?」
≪隕石群をあらかた片付けたが間に合わないのがある!援護に来てくれるか?≫
「まだ敵機を落としてない!猶予はどれくらいある?」
≪4分…といったところだ。俺たちじゃ遠すぎて間に合わん!頼む、片付けてくれ!≫
「了解!こいつをすぐ片付ける!シャムロック、君は先に行っててくれ!」
≪了解した!≫
「さぁ、終わりにしよう…」
そう言って千歳は通常兵装から特殊兵装に切り替えた。特殊兵装のミサイルは敵機の動きを先読みして撃てばミサイルの弾頭に搭載された自律プログラムがリアルタイムで計測し、敵機の未来位置を予測。マリネア連合州国が開発した、従来のミサイルより命中精度を飛躍的に上げたミサイルだ。敵機にロックオンした瞬間、千歳の指が迷わず発射ボタンを押した。放たれたミサイルは順調に敵機との距離を詰めて1発命中したが、もう1発はかわされてしまった。
「くそ!被弾したのにかわせるとか狂ってるだろ!」
暴言を吐きながらも落ち着いて敵機を再び捉えた千歳はまたミサイルを発射。被弾して黒煙を噴く敵機に吸い込まれるように命中し、敵機は落ちていった。
「ふぅ、終わった…。シャムロック!隕石は!?」
≪大丈夫だ、タリズマン。ちょうど仕留めたところだ≫
「よし、ガルーダリーダーよりゴーストアイ。残っている隕石はあるか?」
≪大丈夫だタリズマン。作戦は終了だ、基地に戻ってゆっくり休め≫
「了解!全機、帰投するぞ!」
≪了解!!≫
作戦が終わった瞬間、各自無線越しに雑談をし始めた。もうエメリア・エストバキア戦争時代から恒例になってしまっている。実はこの無線越しに明るいトーンでみんなの話を聞くのが千歳の楽しみだったりする。今回もくだらない話で盛り上がっているようだ。さっきの緊迫感とは裏腹にほっと胸を撫で下ろすと穏やかな気持ちで操縦桿を操作し、針路をゴールドマリン海軍航空基地へ向けた。