「いよいよ、今日だったか。お前の初任務!家族全員で応援しているぜ!」
「たかが、動く金属の塊の殲滅任務だろう。そこまで大仰にする必用はねぇよ」
「あらあら、ゲンヤさん。コウ君ったら、なんだか素っ気ないわよ。照れているのかしら?」
「きっとそうだ、間違いねぇ。昨日、俺は見たぞ。コウリュウが、ギンガとスバルから俺らと同じ言葉を言われたとき、滅多なことじゃしねぇことしながら礼を言っていたことを!」
「ゲンヤさん、それって?」
「聞いて驚けよ、クイント。・・・・・・コイツ、俺たちには全く見せねぇ微笑みを見せていやがった!」
「あら! うふふ。やっぱり堅物なお兄ちゃんも、妹たちのことは可愛くて仕方がないのね!」
「てめぇら・・・・・・」
目の前できゃいきゃいと年甲斐もなく騒ぎ立てる夫婦。
頭髪に若干の白髪が混じり始めて間もない初老の男性がゲンヤ・ナカジマ。本当に三十代半ばかよ、と思えてくる程の若々しい容姿をそのままに保ち続ける妙齢の、ちょっとハッスルした女性がクイント・ナカジマ。
この二人を眺め、こめかみに青筋を立てて若干キレかけている少年が、このナカジマ家長男のコウリュウ・ナカジマだ。
ちなみに、このコウリュウ。実はこの夫婦二人の血は繋がってはいない。
コウリュウは元々ストリート・チルドレンであった。幼い頃から親に捨てられ、路地裏で来る日も来る日も、只管にその日生きるために過ごしていたのだが、少し暴れすぎた時期があり、それがいけなかった。この世界ミッドチルダ(クラナガン)における警察組織『管理局』へと知れ渡ってしまい、敢無く捕まり、連行された。
その際に、引取り先のいないコウリュウを引き取ってくれたのがこのナカジマ夫妻であったのだ。
同じく、コウリュウよりも以前に引き取った姉妹ギンガとスバルも含め、三人兄妹としての関係を結んだ。以後、三人の間の仲は良好のままだ。
養子となってしばらくして、管理局員であるゲンヤとクイントの勧めもあり、魔法という、ここミッドチルダではポピュラーなものに触れてみた。
指導役のクイント曰く、なかなかに高い魔法の適正値を持っていたということであったので、ゲンヤが奮発して、専用に高性能なインテリジェント・デバイスを用意してくれたのだ。
その後、修練を積み重ね続けた結果、局入りには何の問題もない基礎・応用の戦術と技術、そして実力を身につけたコウリュウは士官学校へと入り無事卒業。間も無く管理局へと入局した。
そして今日この時を以て、初の任務へと出向くこととなっていた。
それから幾度の季節の廻りを経て、彼は少女たちとの運命的な出会いを果たす――
■
「貴方が、今回私と一緒に作戦に参加するコウリュウ・ナカジマ陸曹ですね。私は、高町なのはといいます。ちなみに、タカマチが苗字で、ナノハが名前ですよ。それで、階級は二等空尉だけど・・・・・・資料で見た限りじゃ同い年みたいだし、そういう固いコトは気にせずに気楽に話しかけてくれていいよ?」
「了解だ。・・・・・・よろしく頼む、高町。これでいいか?」
「うん!ただ、苗字だと少し遠慮がちに聞こえるけど・・・・・・まあ、出会って間もないことだし、いっか。それじゃあ、行こう!」
言葉の雰囲気と同様に花のような笑顔で、ではなく、反して真剣そのものといった真面目な表情で告げる高町。
これから向かう先は、とある管理世界。そこでは最近世間から身を隠しながら、そして管理局の視線までかいくぐって質量兵器の密売を繰り返している犯罪者集団が存在していた。
規模で言うと正直、驚異とは言い難いものであったので、本来ならば例え十代半ばを過ぎた年若い娘であろうと、高町なのは程の魔道士であるのならば容易に解決可能な案件であった。
それを海に行った知り合いから聞いたゲンヤが海の、高町なのはに対して指令を下す立場にあるクロノ・ハラオウン提督に無茶を言って、コウリュウの実践経験を積ませる為に同行することを許可してもらっていた。
余計なことをしてくれた。そうコウリュウは思う。
既に初任務をこなしたあの幼い頃の自分とは、戦略も戦いに関する技術も物が違うことは明らかだ。その中で底辺である自覚はあるが、保有魔力量AA、陸戦AAAクラスは伊達ではない。
恐らくは、この機に他人との共同戦線を経験して、共闘の大切さを覚えてもらえると踏んでいたのだろうが、ゲンヤは間違った。
そもそも、このコウリュウ。他人の都合なんてものはお構いなし、自己中心で世が回っている傲慢な性(さが)である。有り体に言えば、戦闘中の他人は時によって己の射線上に立つ邪魔者でしかないのだ。
もし邪魔でもしでかそうものならば、例え局の大切な戦力だろうが、大事なイメージアップ要員であろうが撃って退(ど)けよう。いつも通りの、似たような考えで結論づけたコウリュウは、上空を低空飛行で飛ぶ高町に付いて、小回りが効き、排気音を極めて無音に近づけたバイクで疾走していた。
□
「ここに来るまでの身のこなしを見た感じ、単独行動を任せても大丈夫そうだと判断しました。なので、これからは一旦二手に分かれて潜入しましょう」
そんな高町の意見に従い、コウリュウは現在、単身で敵地へと乗り込んでいた。今は裏口の出入りに使用されていると思われる扉の付近で身を潜めている。
あらかじめセットアップしていた小銃型デバイスを自身の顔の真横まで掲げると、拳銃の回転弾倉付近にある紫色の宝玉を見やる。
『ガンロック。この建物の内部にいるクソ野郎どもは何人いる?』
《ちょい待て――分かったぜ。一階の廊下で行ったり来たりしている見張りっぽいやつが一人と、その奥に進んで右手にある部屋の中に二人。近いのはこいつらだけ、あとは高町の嬢ちゃんが相手するだろ》
「・・・・・・そうかよ。タイミング、外すなよ?」
《ハ、こっちのセリフだ。トチったら盛大に笑ってやるよ》
コウリュウは身を屈めて扉のドアノブの目と鼻の先まで接近し、待つ。
《今! ヤっちまえ!》
ガンロックの掛け声と同時に動き、ドアを開け放つと同時に見知らぬ男の背中が視界に入る。
突然の物音に振り返ったそいつの鳩尾に目掛け魔法によって強化された左のボディブローを抉りこませる。
「――――がッ、あぁ・・・・・・」
「フン」
《チョロいな、コイツ》
倒れた男に厳重なバインドを掛けて、早々とその場から移動する。
次もガンロックの指示通りに進み、廊下の奥にある扉の内、右手の扉の横に立つ。
『俺が倒したヤツから順に、強力なバインドを掛けていけよ?』
《おう》
大振りなモーションから繰り出される蹴りで、扉を壊して部屋の内部へと侵入。
まず出会い頭に一人別の方向を向いていた男を避け、もう片方の、こちらを最初に視認してしまった男へ小銃を発砲し、見事眉間に命中させた。途端に、相手はひっくり返って伸びる。
続いて遅れて反応した男へと近づき、銃底でこめかみを強打。たまらず相手は呻きながら力なくその場に倒れ伏した。
《やっぱ、お前の戦い方ってヘンだよなー》
「? 何がだ?」
《ミッドチルダ的にってこと》
確かにコウリュウは、一般的なミッド式の魔導師の戦い方とは大きく外れている。
どちらかといえば遠距離、または中距離間で戦うのが得手とするミッド式魔導師であるが、コウリュウは普通に中距離からガウンガウンと撃ちまくるだけでなく、接近して殴ったり蹴ったりもしているのだ。
教育者であったクイント・ナカジマの影響なのかもしれないが、やはり“そういう質”でもあるので、その要因も大きく占めているとも言える。
「上の階に行ってみるか・・・・・・」
《あー、早く行ったほうがいいぜ?》
「? 何故だ?」
《いや、制圧はとっくに終わってる感じなんだけどな。ちょいとおかしな点があって、さっきから索敵に引っかからない場所が移動してる》
「どこに向かっている、ここか?」
《高町の嬢ちゃんのところだなぁ》
「――ッ! それを早く言いやがれ!」
念のため、高町に危険を知らせようと念話を飛ばした。
『オイ、高町。聞こえているか、高町! ・・・・・・ちっ、AMFッ!』
《急いだほうがいいぜ? 奴さん、結構疾い》
「分かっている!」
急かすガンロックの声に苛立ちを覚えながら、コウリュウは鍛えられた脚力に物を言わせて廊下、階段を駆け抜ける。
何故か移動する不自然に索敵に引っかからない場所、それに追いつくことはそれほど難易なことではなかった。
「――そこか。ガンロック!」
《応! ぶちかましてやれ!》
右手に構えた小銃の撃鉄を下ろす。続いてコウリュウは必殺の一撃を見舞うべく、トリガー・ワードを口にした。
「ブレイズ――」
小銃の銃口へと光が集まっていく。十分に固まったところで、
《――カノン!》
銃口に収束された魔力が、膨大な熱量と共に発射される。
この狭い廊下を飲み込む様に目標へと迫る。逃す隙間など存在しない――!
「ぐ、あぁぁ――――ッ!!」
一応非殺傷設定で放った砲撃魔法であるが、それでも悲鳴を上げるほどに痛いことは確かだ。悲鳴を上げたことで人間だと分かったコウリュウは、うつ伏せに倒れた男に寄り、しっかりとバインドを掛けた。
一息つくと、念話で高町の声が聞こえてきた。
『な、なに今の爆発音!? て、すぐ後ろの廊下からなの!?』
『ウルサイ』
《いや、説明してやれよ・・・・・・》
その後も尚続き「隠れていないで出てきて下さい!」と、未だ念話中であるにもかかわらずキンキンと騒ぐ高町。どうやらテンパってコウリュウの元へと念話を飛ばしてしまったらしい。
《あー、えっと。高町の嬢ちゃん? 取り敢えず落ち着きな》
『え・・・・・・、あ、コウリュウくんだったの? ごめんね、急に取り乱したりして・・・・・・』
《いいんだよ、こいつが機嫌悪いのは今に始まったことじゃないし。さて、状況の説明は要るか?》
『ううん、だいじょうぶ。こっちは終わったよ。コウリュウくん、怪我とかは無い?』
『問題ない』
《だから、お前、愛想悪いぜぇ! 高町の嬢ちゃん。こっちは人数自体が少なかったから、心配するようなことは一切起きてないさ》
『そう。なら余計な心配だったかな? とにかく、管理局の方には私が先に連絡しておきます。コウリュウくんは、先にこの管理世界の駐留基地に出向いていてね。一応、現地の司令官にも責任者一同で連絡しなきゃいけないから、ロビーの方で待っていて。そこで一旦待ち合わせということで』
『了解だ』
高町が「じゃあね」と言い念話を切ると、コウリュウは一息吐き出した。
すると、そのため息を聞き取ったガンロックは、からかうように機械音声を張り上げる。
《おや? どうしたコウリュウ? 桃色ビームの可憐な乙女に一目惚れでもしたかぁ? あ、それで口数減っていたのか!》
「誰がだ、ポンコツ」
そんな軽口を何時ものことだと一蹴し、コウリュウは高町に言われた通りに待ち合わせの場所へと向かった。
□
「ねぇねぇ、コウリュウくん」
「・・・・・・何だ?」
駐留部隊の司令官への報告も終わり、その帰りの次元航行艦内。
館長への報告も終わり、後は飯だ、風呂だと考えていたとき、高町が話しかけてきた。
「後で気がついた事なんだけど・・・・・・助けてくれたんだね、あの時」
「は?」
「作戦中、廊下の方でおっきい音が鳴って、私が、その、慌てちゃったとき」
“? ああ、そうか。・・・・・・あれは助けた内に入るのか”
「レイジングハート、私のデバイスがね、教えてくれたんだ。あの時の私、完全に油断していた。次元犯罪者の人達、もう捕まって身動きできないはずなのにずっと笑って、私の言葉に耳を傾けようとしないから、おかしいなって・・・・・・あのままだと私、どうなっていたか――だから、ありがと」
「そうか」
《・・・・・・あ、いや、そんなに畏まってお礼なんてしなくてもいいって! っとまあ、コウリュウ、態度悪いけど、本心ではそんなに気に――》
「――奴の、お前へ向けた進行をもっと早い段階で察知できなかった俺にも非はある。だから、気にするな」
《あれ、コウリュウがフォロー? え!? めっずらしぃー・・・・・・》
心外だ。とコウリュウは胸ポケットでチカチカと疑問げに光る自身のデバイスに対して思う。
これは、フォローなんかではない。ただの反省会のようなものだ。
それに、明らかに自分より戦果を上げている高町が先に誤ってくる必要なんか、どこにもないというのに。
「それとな――」
なんだか、勘違いをされているようなので、しっかりと公言しておくとする。
「お前を助けたわけじゃねぇよ」
「――――え?」
「俺は、現場の最高責任者であるお前の元へ、犯罪者どもの無力化を終えたから報告しに行こうとしていた。その途中にいた奴が偶々、邪魔になっただけだ。お前を助けよう、などとは思っていなかった」
「・・・・・・」
《お、おい! コウリュウ! テメェ――》
「――――プッ」
《あれ?》
「あはは、はは! うん、そうだね。でも結果的に私が助かっちゃったんだもん。記録映像、みんなに見せたけど、みんなも私が助けられたって判断したことだし、君は私を助けたんだよ。そういうことだから・・・・・・」
なんだろう。とっても、今、逃げたい衝動に駆られる。しかし、逃げられないだろう。コウリュウはマルチタスクを使い、目の前の少女の次に放つ言葉を待ちながら、そう悟っていた。
「私はお礼をしたいです。電話で話したら、私の友達もお礼がしたいって言ってくれたの。それで、みんなでお食事にでも行こう、ということになりました! コウリュウくん、今からの予定は空いてる?」
「空いているが・・・・・・? ちょっと待て、高町、お前――」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。私の友達となら、すぐに仲良くなれるよ!」
「――――はぁ」
《flag》
「何で旗なんだ、ガンロック」
無音で一つの単語を本体に表示するデバイスが、なにやら高速でチカチカしていることから大いに興奮中であることは分かったが、あとは分からない。
問いかけても返ってこないので返事を諦め、コウリュウはやや諦め顔でにこにこ笑顔の高町の後に続いた。
□
「同年代の男の子に危ないところを助けられたんだ。それで、お礼がしたいの」
友人が、そんな言葉をプライベート用の通信越しで相談してきたとき、八神はやては驚愕したものだ。
「な、なのはちゃんが・・・・・・なのはちゃんが、男の子絡みの話題を振ってきたァ――――!?」
「男の子、なのはが――――!?」
「な、なに?」
同時に偶々一緒に自宅で映画鑑賞と洒落こんでいたもう一人の友人フェイト・T・ハラオウンも、その事実は寝耳に水であったらしい。はやてと同じく目を剥いて、ディスプレイに映るなのはに、ずいっと接近していた。
「あのね――」
なのはの体験談を聞き終えたはやては「なるほどな」と嘆息。そしてなのははこう言った。自分を助けてくれた彼にお礼がしたい、と。
彼女は実直な人間だ。この流れも、自然なものでなんら違和感などない。
「なのはちゃん。私、今、フェイトちゃんと一緒におるんよ。なんやったら、今からみんなでご飯食べに行かへん? もちろん、その彼も誘って」
「いいの!? ありがとう、はやてちゃん!」
「私は、ええよー。フェイトちゃんはそれでええかな?」
「うん、いいよ。なのはがお世話になった人なら、きちんと会ってお礼したい。それに――いや、なんでもないよ」
突然口ごもるフェイト。分かるで、その気持ち。と、はやてはフェイトに視線を向けて頷く。
“今まで、私とフェイトちゃんの二人が「忙しいから彼氏とか作れない状況」やったのに、少しでも余裕あるなのはちゃんがそういう色の付いた話の欠片もなかった。そやのに、今日、なのはちゃんがまさかのフラグ立ち・・・・・・! ちょっと悔しいけど、私がその男の子とやらを見極めたる!”
“なのはが・・・・・・。私、なんだか少し置いていかれた気分。でも、しっかりしなきゃ! おうえん、してあげるんだ、私・・・・・・!”
「あ、あの? 二人とも、なんだか表情がこわいよ・・・・・・?」
盛大に勘違い、もとい早とちりして暴走気味になる二人は、妙な決意を新たにしたのである。
さて、現在はやてとフェイトの二人は、とあるちょっぴり豪勢な料理を楽しめるレストランへとやってきていた。
あらかじめ予約を入れていた四人席専用テーブルへと座り、件の彼となのはがやって来るのを今か今かと待ちわびていた。
「――――ねぇ、はやて」
「ん? なんや、フェイトちゃん?」
「なのはが言っていた子って、どんな人かな?」
「んー、どうやろなぁ。私も楽しみなんよ」
それからしばらく、二人で「ああかもしれない、こうかもしれない」と、様々な予想を立ててはまた別の仮説を立てることを繰り返していた。こと女性において、この手の話題が欠けることはない。
すると、店員の接客する声が聞こえ、振り向くと、話題に上がりまくった人物、高町なのはが小さく手を振ってきていた。
「こっちやでー」
同じく手を振りながら返すと、彼女は後ろに影で隠れていた人物の手を掴んで引っ張ってくる。連れてこられた少年は明らかに疲れた表情をしていた。
「お待たせ、はやてちゃん、フェイトちゃん。こちらコウリュウくん」
「紹介に預かった、コウリュウ・ナカジマだ」
まず、第一に、顔立ちがとても良いことに目が惹かれる。肌も綺麗だし、事前に言われていなければ男と認識することは難しかったかもしれないほど、それほどに女顔なのだ。
隣の席に座るフェイトも「うわ、白くてキレイ・・・・・・」とぽーっとしている。
「んん?」
――て、待て。彼は今、ナカジマと言ったか?
「ナカジマって――――アンタ、ナカジマ三佐のご家族なんか!?」
「ほう。よく知っているな。海の人間にはあまり知られていないと思ったが」
「いや、違うよ。はやてちゃんはね、きみのお父さんのお弟子さんだった時があるの」
「そういえば、そんな話を聞いたことがあったな。なるほど」
「世間は狭いね、はやて」
「そやなぁ」
本当に、すごい偶然だとはやては思った。父方には様々なことを教えてもらい、その息子には友人を助けてもらった。ナカジマ家には、ほんとうに世話になりっぱなしである。せめて、この一時だけは楽しんで帰ってもらわないと割に合わない。
「急におっきい声だしてすみません。私、なのはちゃんの友達で、八神はやてっていいます。そんで、こっちは――」
「――私はフェイト。フェイト・T・ハラオウンといいます。なのはを助けてくれて、ありがとう」
「ああ」
《いえいえ、可愛らしいお嬢ちゃんたち。礼を言うならこっちの方だぜ? なんせ、この堅物を、華のある場所に引っ張り出してくれたんだからよ!》
「デ、デバイス・・・・・・なん? ずいぶんと、よくしゃべるんやね・・・・・・」
「このポンコツの言葉は、鵜呑みにする必用はないぞ。律儀に全部聞いていると、疲れる」
《素直じゃねぇなあ。こいつ、こんなこと言ってるけどな? 返事すんのはいつもこっちが全部言い終えてからなんだぜ? 何気に度量が大き――》
「余計なこと言うんじゃねぇ」
「仲、良いんだね」
「・・・・・・言ってろ」
□
それから、コウリュウと少女三人は談笑を続け、仏頂面のままであったコウリュウも時偶微笑みを見せるようになり、四人の仲は順調に、良い方向へと向かっていた。
そして、こんなのも偶にはいいかと、乗り気でなかったコウリュウも考えを改めはじめていた。
食事はとうに終わり、一時間くらいは話し込んでいたと思う。夕方あたりに見えた外の空は、もうすっかり暗くなっていた。
「・・・・・・そろそろ、お開きにしよか」
「そうだね、すごい話し込んじゃったみたいだし。これ以上は、流石にお店にも迷惑だ」
「今日は、諸々含めて礼を言う。――――中々に、楽しめた」
「あは、そう言ってくれると、私も誘った甲斐があるよ」
「――――ほな、また今度な。またみんなでこよ?」
「・・・・・・そうだな。善処、しよう」
「楽しみにしてる」
「それじゃあ――――」