正義の魔王 inハイスクールD×D   作:しらこつの

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第11話 姉妹

僕達にも部屋を与えられた。

事前にソーナさんに教えてもらっていたから準備もしてきている。

 

僕は彼女を部屋で待っていた。

そして・・・。

 

コンッコンッ

 

部屋をノックする音。

 

「どうぞ。」

 

少しの間を開けて一人の少女が入ってきた。

 

「・・・失礼します。」

「決心が固まりましたか?」

「・・・はい・・・本当は怖いです・・・でも。」

 

そこで言葉は止まってしまう。

目元が少し赤くなっている。

涙を流すほど苦しんだのだろう。

 

「・・・でもやっぱり会いたいです。

 ・・・お姉様の口から本当の話が聞きたいです。」

「わかりました。」

 

権能を使い、扉をつなぐ。

突然の事で塔城さんは驚いている。

扉を開けると、そこは僕の自宅。

 

「少し待っていてください。」

 

リビングでミッテルトさんと一緒にくつろいでいる黒歌さん。

僕が入った事を確認すると途端に顔が歪む。

 

「白音さんが会いたいそうです。」

「・・・わかったにゃ。」

 

黒歌さんの足取りは重い。

やっと最愛の妹に会える喜びもあるだろう。

けどそれ以上に妹に会うのが怖いのだろう。

彼女の為とはいえ主を殺した。

自分が生き残るため妹を残して逃げた。

妹を巻き込みたくなかったとは言っても、逃げた事実は変わらない。

 

扉の前には不安そうな表情の塔城さんが待っていた。

その姿を確認した瞬間黒歌さんの表情が崩れた。

 

「・・・白音ぇ。」

「・・・・・お姉様。」

 

 

 

 

 

Side 小猫

 

部長の結婚を防ぐ為合宿を行う事になった。

それを聞いた部長の幼馴染である支取蒼那様本名ソーナ・シトリー様が駆けつけてくれた。

詳しい話を聞いたソーナ様は私達を鍛えてくれる人を紹介してくれた。

ソーナ様に諭された部長は一応それを容認し私達は合宿に向かった。

 

部長の所有する別荘でソーナ様を待っていると連れて来たのは三人の人間だった。

連れて来たのが人間だったのが驚きだった。

人間で大丈夫なのだろうか?

ソーナ様が連れて来たのだから大丈夫だろうがやはり心配だ。

人間と悪魔では元々の力が違うから。

 

でもそれは杞憂だった。

 

さも当然のように力を見ると言いだし、そして祐斗先輩を簡単に倒してしまった。

それも悪魔の力を使っている祐斗先輩をだ。

その後も部長達の魔法を見ても驚くそぶりも見せない。

 

そして等々私と兵藤先輩だけになってしまった。

ソーナさんに聞いたのだろう。

先輩の力について良く分かっている。

しかも言葉がうまい。

先輩がやる気になるように誘導していた。

 

やっと私の番。

どんな訓練か楽しみだ。

けど彼から聞かされた話は信じられない事だった。

 

突然姉である黒歌の名前が出た。

いったいどうして?

何でここでお姉様の名前を聞かなくてはいけない。

早く忘れたいのに。

 

聞きたくないのに話が耳から入ってしまう。

お姉様が今までどんな生活を送って来たのか分かった。

彼とお姉様が一緒に居る事はわかった。

会いたくないかと言われた。

どうすればいいのかわからない。

わからない。

そんな私の様子が分かったのか、今日は何もしなかった。

ゆっくり考えてくれと言われた。

 

 

 

気が付いたら部屋にいた。

自分で帰って来たのだろうが覚えていない。

 

今思い出すのはお姉様が主を殺していた場面。

怖かった。

あの時は恐怖で気絶してしまった。

 

そして気が付いたら知らない森にいた。

辺りを見回しても誰もいない。

お姉様を探して歩き回った。

見つからなかった。

何日も探し回った。

 

限界も近づいた時にある人と出会った。

リアス・グレモリー。

部長だ。

気を失っていた私を保護してくれた。

その時お姉様の事を聞いた。

お姉様は力が暴走、主を殺して逃げたと。

思い出した。

その時私に危害が加わらない様にグレモリー家が保護すると言われた。

 

お姉様の事を何とか折り合いをつけた頃にリアス様の眷属に誘われた。

私は今迄の恩を返すために悪魔になる事を決めた。

 

 

 

部屋で私は恐怖に押し潰されそうだった。

怖くて涙を堪えられなかった。

お姉様との楽しかった思い出とあの時の恐怖が入り混じりどうしたらいいかわからなくなっていた。

 

そんな時さっきの人の言葉を思い出した。

 

「黒歌さんは今でもあなたの事を思っていますよ。」

 

少し心が軽くなった気がした。

本当かわからない。

でもあの人の言葉は信用できる。

そんな気がした。

 

もちろんお姉様に会うのは今でも怖い。

でも前に進まなくちゃいけない。

私だけ皆に置いて行かれる訳にはいかない。

私を救ってくれたリアス様の為にも。

自分自身の為にも。

 

私はお姉様と向き合う事を決めた。

 

気付けば夜になっていた。

彼の使っている部屋の扉をノックする。

「どうぞ」という許可を貰い中に入った。

 

「・・・失礼します。」

「決心が固まりましたか?」

「・・・はい・・・本当は怖いです・・・でも・・・・・・でもやっぱり会いたいです。

 ・・・・お姉様の口から本当の話が聞きたいです。」

「わかりました。」

 

彼は扉の前に立つと信じられないほどの魔力を放つ。

突然の事に警戒も忘れ唖然としてしまった。

魔力が収まり彼が扉を開けるとそこは見た事の無い玄関だった。

 

「少し待っていてください。」

 

そう言葉を残しその家に入って行った。

 

この扉と自分の家をつないだ?

そんな魔法聞いた事が無い。

彼は本当に何者だろう。

 

お姉様と会う不安を紛らわすように違う事に気をまわしながら待つ。

暫くして、彼が一人の女の人を連れて来た。

一目見て分かった。

会いたかったけど、会いたくなかった。

 

「・・・・・お姉様。」

 

 

 

 

Side 黒歌

 

リアス・グレモリーの眷属を鍛えるにあたって、白音と話してみないかと相談された。

ここでの生活は楽しい。

私も鍛えてもらって力をつける事が出来た。

もう悪魔に手間取る事はないだろう。

皆よくしてくれるし、大切な人も出来た。

 

でもずっとこのままでいいとは思っていない。

いつかは白音と会わなきゃいけない。

居心地が良すぎて忘れてしまう事がある。

 

不安だ。

もし白音に拒否されたら私は如何なるのだろう。

ソーナ達のおかげではぐれ認定を解除され自由に生きる事は出来るかもしれない。

昴達もずっと一緒だと言ってくれるかもしれない、いや、実際言ってくれるだろう。

でも拒否されたままあの子の近くに居られるだろうか。

昴達にも目的があるからここを離れる事はない。

そうなると、私は・・・。

 

決めきれない私に昴が、

 

「本当は黒歌さんのはぐれが消えてからがいいと思っていましたが、せっかくの機会です。

 どんな結果になったとしても、前に進んでみませんか?」

 

と優しく手を差し伸べてくれた。

昴に会ってから励まされて、助けられてばかりだ。

昴が機会を見て白音を説得するという事に決まった。

 

 

 

昴達が出かけた夜、昴が帰って来た。

その時悟った。

ついに覚悟を決めなくちゃいけないのだと。

 

そして・・・。

昴に連れられて行った先にずっと思い続けていた最愛の妹の姿があった。

その姿に思わず涙がこぼれそうになる。

 

「・・・白音ぇ。」

 

思わず駆け寄って抱きしめそうになった所で思いとどまった。

白音の表情が不安と戸惑いでいっぱいだったから。

自分の気持ちを押しとどめて、ゆっくり近寄っていく。

隣には昴もいてくれる。

 

「・・・久しぶりにゃ白音。」

「・・・・・。」

 

じっとわたしを見つめて動かない白音。

隣で昴も黙っている。

 

「元気にしてたかにゃ?

 その様子から見るに、元気そうでよかったにゃ。

 でもちょっと小さすぎるにゃ。

 もっといっぱい食べ・・・。」

「今までどこにいたんですか。」

 

今まで聞いた事の無い冷たく抑揚のない声。

 

「・・・し、白音?」

「今まで何をしていたんですか。

 どうしてその人と一緒にいるんですか。

 どうして・・・どうして私を置いて行ったんですか。」

 

最後は泣き叫んでいた。

もう我慢できなかった。

思いっきり白音を抱きしめる。

 

「ごめん、ごめんにゃ。」

「お姉様なんて・・・・・お姉様なんて大嫌いですっ。」

 

そう言いながらも白音はきつく縋りついて泣き出した。

私も涙が止まらなかった。

やっと・・やっと白音に会えた。

今はそれだけで十分だった。

 

 

 

2人泣き止んだ所で昴に言われた。

 

「今日は二人でゆっくり話してください。

 黒歌さん、ここではグレモリーさん達に気付かれる可能性がありますから、自分の部屋を使ってください。」

「わかったにゃ。」

「塔城さん。

 今まで言えなかった事ちゃんとぶつけてください。」

 

白音は黙って頷いた。

 

「こっちにゃ。」

 

私が歩き出したら白音も付いてきた。

部屋に入り二人並んでベッドに座る。

 

「・・・私は。」

 

そう切り出し私の今迄の暮らしを話し始めた。

私があの悪魔の眷属になった経緯。

あそこでの思い出したくもない暮らし。

白音を守る為に主を殺した事。

最初は一緒に逃げていた事。

途中二人とも捕まると判断して氣を失っていた白音を隠した事。

追っ手をまいて迎えに行ったら居なくなっていた事。

探そうとしたけど、すぐに追手が来て逃げる事しかできなかった事。

何度も襲われたけど何とか白音が人間界に居る事を突き止めた事。

人間界に入ってすぐ、悪魔の罠に掛かり殺されそうになった事。

その時に昴に助けられた事。

昴達はこんな私を家族だと言ってくれた事。

こんな私の為に魔王と戦ってくれた事。

 

時間はかかったけど白音は黙って聞いてくれた。

 

「ごめんにゃ。

 すぐにでも迎えに行きたかった、この気持ちに嘘はないにゃ。

 でも私の力不足で白音にはつらい思いをさせたにゃ。

 多分もう私の事なんて見たくもないと思うにゃ。

 だからこれから先、白音の前に現れ・・・。」

「勝手な事言わないでください!!」

 

今まで黙っていた白音が大声を上げた。

 

「お姉様が主様を殺したところを見て、お姉様が怖かった。

 突然いなくなって、一人になって怖かった。

 部長に助けられてお姉様の事を聞いた時も怖かった。

 でも・・・でも・・・・全部私の為じゃないですか!!」

 

先程収まった涙がまた溢れ出す。

それと一緒に白音の思いも。

 

「お姉様が悪魔になったのも。

 主を殺したのも。

 全部・・・全部私がいたから。

 私が弱かったから。

 お姉様は悪くない。

 私が・・・私が・・・。」

「それは違うにゃ。

 白音がいたから頑張れた。

 白音がいたから生きようと思った。

 私はまた昔みたいに白音と仲良く暮らしたかった。

 だから今まで頑張ってこられた。」

 

未だ涙を零す白音がこちらを見つめる。

私も前が見えなくなってきた。

 

「白音は私の希望だにゃ。」

「・・・黒歌お姉様。

 もう何処にも行かないでください。

 もう私を一人にしないでください。」

「これからはずっと一緒だにゃ。」

 

私達は再び抱きしめあった。

2人で泣き疲れ抱きしめあったまま眠りにつくのだった。

 

 

次の日の朝。

ミッテルトさんが起こしに来たとき、二人が寄り添っている姿がとても微笑ましかったと言っていた。

・・・写真を撮って貰えばよかったにゃ。

 

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